BanG Dream!〜Destiny STAR〜   作:バリート

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#6 感じとってみちゃった!

ーあこsideー

 

友希那さんの歌を聞いたあの日からあこはあれから何度もバンドメンバーにしてもらうよう頼み続けた。でも「帰って」や「そろそろ諦めてください」って‥そればかりで何も出来ない。

 

「はぁ‥もうやんなっちゃうよぉ。りんりんに聞いてみよ」

 

パソコンでりんりんにメッセージを送る。

 

『言葉だけじゃ伝わらないかもしれないね』

 

りんりんは文字を打つのが早いのですぐ返事がくる。

 

『じゃあどうしよ?』

 

りんりんの言ってることの答えがよくわからないので聞き返す。

 

『あこちゃんが友希那さんの歌を好きになった瞬間みたいに、音で伝えられたら、いいのになって思った』

 

「音で‥」

 

『私もあの音を聴いた時、凄いと思ったから。あの感覚は言葉だけじゃ上手く表現出来ないと思う。バンドってそういう感覚で繋がるってことかなって』

 

「‥なんかちょっとわかったかも!」

 

やっと先が見えてきたと思ったら

 

「ただいま〜」

 

「おねーちゃん、お帰り!」

 

おねーちゃんが帰ってきた。

 

「あこ、奏斗から聞いたぞ。今日も『あこだけのカッコいい人とバンドやる作戦』は失敗みたいらしいな」

 

「そーなの、特にギターの紗夜‥さんがすっごい防御力なんだけど認めてもらうまで頑張るんだ。かな兄にも少し手回しをしてもらってるし」

 

「そうか、頑張れよ。って紗夜さん?まさか湊さんとバンド組んだっていうの紗夜さんのことか?」

 

「おねーちゃん知ってるの?」

 

「はは、知り合いも何もあの人はウチの高等部。よく校内でもすれ違うよ。あこのカッコいい人って湊さんのことか」

 

「そうなの!ライブで見たときビビッてきて、すっごくすっごくカッコいいんだ!」

 

「湊さんなぁ‥手強いだろうけど応援してるぞ。そういえば、知ってるか?湊さんはウチのダンス部のリサさんの親友だ」

 

「‥ええっ⁉︎リサ姉の『親友』の話よく聞くよ!二人いたからもう一人は‥」

 

「それは奏斗だよ」

 

「えええっ⁉︎」

 

もう一つ驚きの事実がわかった。

 

 

ーリサsideー

 

アタシと友希那、そして奏斗はまた一緒に下校していると

 

「え!友希那今の話マジ⁉︎」

 

「本当よ。紗夜ってことバンドを組んだわ。まだギターとボーカルだけだけど、コンテストに向けて、新しい曲も出来上がってきてるわ」

 

「友希那も氷川さんもだけど練習の時、予定時間を余裕でオーバーするから、結構大変で‥」

 

「私は頂点を目指すのよ。そのくらい当たり前でしょ?」

 

「だからってバイトの時間ギリギリまでさせるか、普通⁉︎」

 

「現地なんだからいいじゃない」

 

「着替えとかあるんだよ!」

 

友希那に対して文句を言う奏斗。確かにバイトギリギリまでって少しブラック‥。

 

「でも教えてくれなかったからビックリだよ」

 

「友希那がついにバンドか〜アタシや奏斗とつるまないとひとりだから結構心配してたんだよね」

 

自分の中ではいつか来ると思っていたがいざ来るとなると結構早かったことに驚いた。

 

「でも私は本気だから‥私もその子もFUTURE WORLD FES.に出たい、目標が一致したから組んだだけよ。それにお父さんや‥」

 

「うん、わかってる。目的はさておきアタシ嬉しいよ。友希那と一緒に練習してくれる仲間が出来たことだし」

 

「でもさ、どーすんの?FUTURE WORLD FES.の出場ってメンバー三人以上じゃなかった?奏斗は違うみたいだし‥」

 

「悪いけど、俺が入ったとしてフェスへの思いが全く違う俺がいても音に乱れが出るだけだし‥」

 

奏斗が申し訳なさそうに言う。友希那の要望に完璧に応えられないのが悔しいのだろう。

 

「‥バンドを組むこと、止めないの?」

 

「友希那はアタシが止めたらやめる?」

 

友希那からその答えを聞こうとした時

 

「ゆ、友希那さん、お願いします!」

 

「ん?あこじゃん。どしたの?」

 

中等部のあこが校門前にいた。

 

「お願い!お願いお願いお願いします!絶対いいドラム叩きますから、お願いします!」

 

勢い良く頼み込んでくるが正直状況が把握しきれていない。

 

「ち、ちょっと話が見えないんだけど‥あこドラムやってたんだっけ?それで友希那のバンドに?」

 

「うん、何度も断られちゃって‥お願いです!一回だけ、それだけでいいので一緒に演奏させてください!それで‥それでダメだったら諦めますから!」

 

「何度も言ってるけど遊びじゃないの」

 

あこの頼みをバッサリ切る友希那。

 

「まぁまぁ友希那いいじゃん一回くらい。一緒にやってあげなよ☆」

 

「友希那、俺からも頼むよ。だって‥」

 

奏斗はあこが持っていた。ケースの中身を見せる。

 

「スネアがこんなにボロボロになるまで練習してるんだ‥」

 

そこには何度も叩いた跡のあるスネアがあった。

 

「友希那?あことは同じ部活だし、知ってるけど、やる時はやる子だよ」

 

アタシも奏斗の推薦に賛同した。メンバーが揃うのは良いことか分からない。でもあこがここまで必死になることはなかったので応援したくなった。

 

「‥わかった、一回セッションするだけよ」

 

とうとう友希那も折れてくれてあこはやっと許可をもらえた。

 

「やったー‼︎」

 

あこは喜びその場で飛び上がった。

 

「ねぇ友希那、アタシもスタジオ行ってもいいかな?」

 

「どうしたのよ急に?スタジオなんて随分行ってなかったのに」

 

「え、どうって‥ライブハウス以外で歌ってる友希那も見たいし、紗夜って子も気になるし」

 

「そう‥好きにしたら」

 

「(あれ‥なんでだろ‥)」

 

今までは遠くで見てるだけで良かったのに今は友希那のバンドを気にしている。そんな自分の気持ちが良く分からなかった。

 

ー奏斗sideー

 

俺らはライブハウスに着くと既に氷川さんが待機していた。

 

「懐かしいなぁ、このスタジオーって感じの空気☆最後に入ったのって中2くらいだっけ?」

 

リサがハウス内を見渡しながら言う。

 

「中1じゃなかった?」

 

「奏斗の言う通りよ。中2の時は海ばかり行ってたじゃない」

 

「え、友希那さんが海‥もしかして、ビーチでライブしたり‥超かっこいい!」

 

「私は行ってない」

 

あこちゃんの言葉を否定する友希那。まぁあんま進んで海とか行かないしな。

 

「湊さん、この人達は?」

 

「あ、あいさつ遅れちゃってごめんね。アタシ今井リサ。友希那と奏斗の幼馴染で今日は見学に来ました」

 

「宇田川あこです!今日はドラムのオーディションをしてもらいに来ました!」

 

「‥オーディション?」

 

「ごめんなさい、リサ達が‥いえ、私が許したの」

 

俺達が薦めたことをあえて隠して友希那が氷川さんに訳を伝える。

 

「というと、実力のある方なんですね」

 

「うん、あこちゃんはきっと大丈夫だよ」

 

「練習時間勝手に使ってごめんなさい。5分で終わらせるから」

 

「いえ、湊さんの選出なら構いません。しかし意外です。いくら神田さんのお墨付きもあるとはいえ音楽に私情は持ち込まない人だと思っていたから」

 

「その価値観はあなたと合致しているつもりよ。実力がなければ、二人ともすぐに帰ってもらうわ」

 

「はい!頑張ります!」

 

「え、アタシも?」

 

俺も少し驚いたがやはり当人が一番驚いていた。まさかリサまでも巻き添えを喰らうとは。

 

「見学は終わり。紗夜の顔見たでしょう。‥リサ、昔のような遊びでやってた時とは違うの」

 

「‥あっ、そ、そうだったね。あはは、ごめんごめん!その時はすぐ帰るって♪なんか‥アタシ一瞬、昔に戻った気になっちゃったなぁ〜」

 

「リサ姉、かな兄!あこ絶対合格するように頑張るから!」

 

「ん、あこファイト!」

 

「あこちゃんならきっとできるよ、頑張って!」

 

 

スタジオに入った俺達は各自楽器を持ち、調整を行なっていた。

 

「神田さんにキーボードはお願いしてもらうとしてベースもいるとリズム隊として総合的な評価が付けられるんだけれども‥」

 

「こればかりは仕方ないわね。奏斗がキーボードを弾いてくれるだけでも十分よ。このまま‥」

 

「あ、あのさ。アタシが弾いちゃダメかな?」

 

「リサが?」

 

まさかの発言に友希那が驚く。

 

「リサ姉、ベーシストだったの⁉︎」

 

「昔ちょっとね。誰もいないんでしょ?だったらアタシ弾くよ♪待ってて、ベース借りてくるから」

 

一度スタジオ外へ出たリサ

 

「おまたせ〜♪」

 

ちょっとしてベースを抱えて帰ってきた。

 

「湊さん、今井さんは経験者なんですか?」

 

「一応、譜面一通り弾くことは今でも出来ると思う」

 

「一通りね‥」

 

「あ、このネイル?大丈夫、アタシ指引きしないから」

 

氷川さんの視線が自分の爪にいってることに気付いたリサは応答しながら準備を着々と進めていた。

 

「ベースはスタジオの備品ですから、変な弾き方をして、楽器を痛めないでくださいね。私はあくまでテストなら今井さんが弾いても問題ありません」

 

「それじゃ、いくわよ」

 

その瞬間不思議なことが起こった。まるで勝手に指が動くかのよう音を奏で始めた。周りの音が調和し合い、言葉で表現することが困難な音が完成した。全員それを感じとったのか演奏終了後も黙ってるだけだった。

 

「あの‥さっきからみんな黙ってるけど、あこ‥バンドに入れないんですか?」

 

静寂を壊したのはあこちゃんだった。

 

「そ、そうね。ごめんなさい。いいわ。合格よ。紗夜の意見は?」

 

余韻に浸っていた友希那は我に戻り、合否を伝える。

 

「いえ私も同感です。ただ‥その‥」

 

氷川さんも同じだった。

 

「いやったああぁ‼︎」

 

感情があやふやな先の二人と違い、あこちゃんはしっかりと喜びの表現を見せた。

 

「あこちゃん、おめでとう!」

 

「ありがとうかな兄!それにしてもなんか、なんか凄かった!初めて合わせたのに、勝手に身体が動いて!」

 

「!アタシも‥!あこもそう思ったんだ!なんかいい感じの演奏だったよ♪‥ってことは三人も‥」

 

「あぁ、なんかプロみたいだったな‥」

 

「そうですね、これは‥」

 

「えぇ、場所や機材、技術だけじゃない。その時、その瞬間でしか揃い得ない状況下だけで奏でられる『音』」

 

「バンドの醍醐味‥とでも言うのかしら?時々雑誌のインタビューなどで見かけたことがあるけど、まさか‥」

 

「なんか、キセキみたいだね!」

 

「うん、マジック!って感じ♪」

 

「その言い方は肯定できないけど‥でもそうね。貴重な経験をありがとう。あとはキーボードとベースのメンバーさえいれば」

 

「え、ベースならリサ姉がいるし、キーボードはかな兄がいるじゃん!」

 

「いや、アタシは、その‥ヘルプで弾いただけで〜‥」

 

「今井さんは湊さん達の幼馴染で、友達としてあくまで宇田川さんのオーディションに付き合う為に弾いただけ。そうですよね?」

 

「でもバンドメンバー探してるんだよね?こんな良い演奏できたのに、なんでメンバーにしないの?」

 

「‥確かに、技術はまだメンバーとは認められないわ」

 

「!ま、まあそれは仕方ないよね‥はは‥」

 

実力不足と言われちょっと悔しそうなリサ、

 

「ただ、足りないところはあるけど。確かに今のセッションは良かった。紗夜もそれは認めるでしょ?」

 

ただそれに続いたのは前向きな言葉だった。

 

「私は‥確かに今の演奏に限れば、良かったですが‥」

 

「なら組もうよ、この5人で!」

 

「‥あこちゃん、悪いんだけど俺はメンバーにはなれない」

 

あこちゃんの上がったテンションを俺は壊してしまった。それでもこれは大事なことなのでそれを伝える。

 

「えーなんで⁉︎せっかくいい演奏だったのに!」

 

「俺はあくまで友希那達のサポートだ。しかも俺のフェスに対する思いはみんなと違う。そんな俺が正規メンバーになるのはみんなにとっても良くない」

 

「かな兄‥」

 

「安心してよ、ちゃんとFUTURE WORLD FES.に行けるよう俺も頑張るからさ」

 

「‥うん、わかった」

 

そう言われあこちゃんも納得したのだろう。

 

「というわけで、このバンドは4人になった訳だ。一先ず最低人数は確保だな」

 

「えぇ、じゃあ早速二人にも練習の準備をしてもらうわ」

 

そしてそれからみっちり練習に取り組んだ。

 

 

ーリサsideー

 

練習終了後、空はすっかり暗くなっていた。

 

「いや〜、なんか驚きの展開だよね☆友希那とバンドか‥アタシ頑張んなきゃ!」

 

アタシと友希那はいつもみたいに足並みを揃えて帰っている。ただ奏斗は事務作業をすると言って残っていってしまった。

 

「リサ、別に無理に参加しなくても大丈夫だったんだよ。リサだってやりたいことがあるわけだし」

 

「そうね、あのセッションの勢いで私も何も言えなかったけど‥」

 

「でもさ、友希那をほっとけないから、いくら奏斗に任せたとしても私は友希那を一人にさせたくない。だからバンドもやる」

 

今までは奏斗が隣でカバーしていてくれたけどアタシもそこに加わりたくなった。

 

「バンドはそういうのと関係‥」

 

「うん、バンドはバンドでいい。アタシはそんな友希那の近くにいたいの。ただそれだけだから!」

 

『ない』と続けようとした友希那の言葉を遮りアタシは自分の思いを伝える。

 

「‥ついてこれなくなったら、幼馴染だろうと抜けてもらうから」

 

「はーい!そのために練習頑張りまーす!」

 

「メンバーが揃ったらFUTURE WORLD FES.出場のためのコンテストに出る。それはちゃんとわかってるの?」

 

「‥うん」

 

「メジャーで『売れる音楽』を強制され、苦しんでいたお父さんを切り捨てたあのフェス‥」

 

「そのせいでお父さんは音楽を辞めた。ずっと憧れていたステージに拒まれ‥更にはあんなことに‥だから失敗は許されない。許さないから」

 

あの時のフェスの話をする、ちょっと暗い表現になる友希那と奏斗。まだ根に持つ部分があるのは仕方がない。それを克服するために友希那がバンドをしてるのもわかってる。けど

 

「うん、アタシはブランクもあるし、みんなより技術もない。でも頑張るよ」

 

「‥好きにして」

 

「うん!」

 

アタシは昔みたいに友希那の笑顔がみたい。だからこのバンド活動も頑張る。そう決めたアタシだった。




奏斗「はい、6話フィニッシュ!そして今回の次回予告担当は‥」
あこ「宇田川あこです!よろしくお願いしま〜す」
リサ「どーも、今井リサで〜す☆」
奏斗「二人は今回どうだった?」
あこ「やっと友希那さんに認めてもらってチョー嬉しい!」
リサ「アタシもまさか入ることになるなんてね‥」
奏斗「あの時の演奏は凄かったからあの二人が納得するのもわかるな」
あこ「ねぇかな兄がキーボードやらないなら誰がキーボードやるの?」
リサ「そうだよね。友希那もこのジャンルとしてはキーボードは欲しいって言ってたし」
奏斗「メンバー探しは悪いけど友希那に任せるしかないよ」

次回 急に怒っちゃった!

奏斗「さて、また明日からも忙しいぞー」
リサ「奏斗はなんだかんだいつも予定あるしね」
奏斗「だから次回はほとんど出ません!」
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