BanG Dream!〜Destiny STAR〜   作:バリート

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#8 メッチャドキドキしちゃった!

ー沙綾sideー

 

何か市ヶ谷さんと香澄の関係が元に戻り、私達はいつも通り中庭でお昼を食べていた。

 

「おたえをドキドキさせるって何?」

 

「ライブをするの!私がギターで有咲が‥」

 

市ヶ谷さんの言ってることガン無視で話を進める香澄。

 

「ライブなんて出来る訳ねぇだろ!」

 

勿論、市ヶ谷さんはツッコミを入れた。

 

「もしダメだったらオーディション受けられないの?」

 

「そこまで言ってないけど‥」

 

「うわぁ!なんでいんだよ⁉︎」

 

いつの間にかちょこんと座っていた花園さん。本当にいつの間にいたのだろう。

 

「おたえドキドキ大作戦だし!」

 

「重要参考人」

 

「敵だろ!」

 

「違うよ、友達!」

 

市ヶ谷さんの言葉を否定した香澄。その言葉を聞いて

 

「‥!友達‥」

 

「どうしたの?心臓痛いの?」

 

胸の前に手を当てる花園さん。

 

「ううん、友達って言われたの初めてで‥」

 

「まぁあんまり言わないよね」

 

というより言ってる人っているのかな?と思う私だった。

 

「あの‥ライブでドキドキさせられなかったらどうなるの?」

 

「てか関係なくない?オーディションに出るかはウチらの勝手じゃん」

 

「SPACEは甘くないよ」

 

全員に向け淡々と話す花園さんは冗談を言ってるようには見えなかった。

 

「そんなにか?つか、何であそこが聖地なんだ?」

 

「えっと‥SPACEはガールズバンドのために建ててね、オーナーは昔ギターをしてたんだけどライブハウスのイメージを変えたくてSPACEを始めたんだって」

 

「カッコいい!ますますライブしたくなってきたよ〜!よーし!おたえをドキドキさせて認めさせるぞ〜!」

 

「でも、ライブするとしてもどこでするの?」

 

香澄が燃えているところに私は素朴な疑問を投げた。

 

「うーん、有咲の蔵は?」

 

「ウチかよ!」

 

「蔵でライブ‥クライブ」

 

何か不思議なライブ名が生まれてしまった。

 

「いいじゃん、クライブ!有咲、りみりん、クライブ頑張ろ!」

 

「勝手に決めんな!つーかまず許可を取れ、香澄〜!」

 

結果から言うと今日も平和であった。

 

ー香澄sideー

 

とりあえずいつもみたいに有咲の蔵に集まった私達。

 

「蔵でやるのはいいとして、何の曲やるんだよ」

 

さっきキラキラ星を提案したら却下されちゃったから別の曲を探さなきゃいけない。

 

「あ、あのこの曲はどうかな‥?」

 

その時りみりんが自分のスマホの画面を見せてきた。そこに映っていたのは音楽のファイルだった。

 

「タイトルは『私の心はチョココロネ』?」

 

「これ牛込さんが作ったのか⁉︎」

 

「う、うん。お姉ちゃんと昔作ったんだけど、そんなに難しくないかなって」

 

「凄いよ、りみりん!聞かせて!」

 

「うん、じゃあイヤホン」

 

りみりんから渡されたイヤホンをつけ、音楽を視聴した。

 

「うん、可愛い!」

 

「悪くないじゃん」

 

有咲にも好印象だったみたい。

 

「そう言ってもらえてよかった〜」

 

「これ歌ってるのりみりん?可愛い!」

 

イヤホンを外し、スマホのスピーカーからりみりんの可愛い声が流れる。

 

「あわわ、やめて〜!」

 

 

ーりみsideー

 

「‥よし、押さえたよ」

 

曲を聞いてもらい、一通り弾いてみようとしたけど、

 

「次は‥これかな‥いやあっちかな‥」

 

わたしはギターのコードが微妙に読めないからどれが正しい音か分からない。

 

「いつになったら練習始められるんだよ」

 

有咲ちゃんもカリカリしてきちゃってるし早くしなければ。

 

「ごめん、知ってるコードそんなになくて、どうやって弾けばいいかわかんない」

 

「弾ける人に聞くのが一番だと思うけど‥」

 

でもお姉ちゃんもいつも指導してる奏斗さんも忙しい為、相談出来ない。

 

「!いるよ!ギター上手な人!」

 

「誰だよ?」

 

「こんにちはー」

 

香澄ちゃんが電話して数分後、来たのは花園さんだった。

 

「おたえ〜教えて〜」

 

「ちょっと待った!何で花園さんなんだよ⁉︎これは花園さんを納得させる為の勝負だろ、教えてもらう相手がおかしい!」

 

「だって、おたえしか知らないしー」

 

「私は気にしないよ」

 

「ギター、わかんなくてごめんね。教えてほしいのはここで‥」

 

おたえちゃんに譜面を渡し、わからなかった箇所を指し示した。

 

「‥うん、わかった。有咲、アンプ借りるね」

 

「えっ、う、うん‥」

 

自分のギターをアンプに繋げるとギターの弦を弾いた。その演奏はさっきザッと譜面ヲ見ただけなのに完璧だった。

 

「すげー‥」

 

「おたえ凄い!動画撮らせて!」

 

「チョココロネの歌〜!」

 

香澄ちゃんにスマホのカメラを向けられたおたえちゃんは不思議なポーズをした。

 

 

ー有咲sideー

 

また今日も中庭で五人で昼ごはんを食べている。最近これが日常と化している。最初はこんなに増えるとは思ってなかったけど。

 

「ライブの準備頑張ってる?」

 

この中で唯一練習風景を知らない山吹さんが聞いてくる。

 

「うん!順調順調!おたえにバッチリ教わってもらってるし!」

 

「あれ?なんか勝負的な感じじゃなかったんだ‥」

 

「それは‥」

 

何か説明がムズくてどうすればいいかアタシには分からなかった。

 

「あの、クライブの日なんだけど、お姉ちゃん達も来ていい?」

 

悩んでるアタシを助けるかのように牛込さんが話し始めた。

 

「ゆりさんも来てくれるの⁉︎」

 

「クライブのこと話したらお姉ちゃんも行きたいって」

 

「ええ〜マジか緊張するじゃん‥」

 

ゆりさんみたいに人気のあるバンドの人が来るなんてヤバいからな。ヘマ出来ない状態になっちまった。

 

「グリグリのゆりさんが‥!」

 

「花園さんは緊張しなくても‥」

 

「なぁウチのばあちゃんも見たいって言ってるんだけどいいか?」

 

私はゆりさんが来るって言う話からその話題を思い出した。まぁ蔵でやるから、どのみち来ると思うけど一応確認をとる。

 

「もちろん!せっかくだから、私もあっちゃん誘ってみようかなー。あ、さーやも来て!」

 

「えっ、あ〜でも‥」

 

香澄の強い押しに負けそうになる山吹さん。

 

「来て!」

 

「ええっ、花園さんまで⁉︎」

 

グイグイ顔を近づける花園さん。

 

「わ、わかったわかった!ちょっとだけ顔出すよ」

 

結局折れちまった。まぁ山吹さんだったら全然OKだしいいか。

 

「ありがとう、さーや!」

 

「私も彼、連れてこようかな?」

 

「おたえちゃん彼氏いるの⁉︎」

 

「「「ええっ⁉︎」」」 

 

唐突に新事実が発覚しやがった。

 

ーたえsideー

 

あれから私は有咲の蔵に来て香澄達と一緒に練習する日々が続いた。

 

「‥こんな感じか」

 

「凄い凄い!バンド!バンドになってた!」

 

「いやバンドだろ?」

 

「ふふ、でも香澄ちゃんの気持ちわかるよ。みんなで一緒に演奏するのって楽しいよね。‥?おたえちゃん、どうかしたの?」

 

 

「誰かと一緒に演奏するってこんな感じなんだって思って。いつも1人で弾いてたから知らなかったな。自分の音と誰かの音が重なるのってなんか不思議」

 

今まで感じたことのない感覚だった。1人でギターを弾いている時にはこんな感じはなかった。

 

「えへへ、楽しいでしょ。そうだ!本番、おたえも一緒に弾こ!」

 

「え?」

 

「いや花園さんに聞かせるライブだって言ってるだろ」

 

「そうだけど、一緒に弾いた方がドキドキすると思うんだ!」

 

「(私が一緒にライブ‥)」

 

 

ー奏斗sideー

 

今日はグリグリのコーチングの日である。

 

「いえーい!おつかれ!」

 

相変わらずテンションが(無駄に)高いひなこさん。

 

「奏斗くん、ちょっといい?」

 

「どうしました?」

 

一息ついているとゆりさんが声をかけてくる。

 

「今度の週末、空いてるかな?」

 

「え‥」

 

「(もしや‥デー‥)」

 

「実はりみのバンドが演奏会するから、よければ奏斗くんも来ないかなってね」

 

「あ、あぁ〜そういうことですか‥」

 

期待してしまった分ショックもデカイ。‥チクショー‥どうせ俺なんか‥

 

「りみちゃんさえ良かったら俺は大丈夫ですよ」

 

まぁデートあれこれは置いといてあのりみちゃんがバンドを組んだんだ。興味は湧く。

 

「そう、良かった。じゃあ後で場所までの地図送っとくから」

 

 

ー香澄sideー

 

今日は待ちに待ったクライブ当日。

 

「おはよう!」

 

有咲の家に着くと既に皆いた。

 

「皆、おはよう!」

 

皆に挨拶したその瞬間、ギターケースが破れ、ギターケース本体が地面に落ちそうになった。

 

「あっちゃん、ありがとう!」

 

それをあっちゃんが見事にキャッチ!ケースに傷は付かなかった。

 

「ちょっと!‥いつも姉がお世話になってます」

 

私の妹のあっちゃん、明日香も皆に挨拶した。

 

「こちらこそ」

 

「来た?ん?」

 

敷地内からゆりさんが姿を現した。

 

「先輩!」

 

それにあっちゃんは反応した。

 

「知ってるの?」

 

「水泳部の部長」

 

「あれ奏斗くんは?」

 

「すみません、ちょっと遅くなりました」

 

そこに来たのは何処かで見た覚えのある男の人だった。

 

「まだ大丈夫だよ」

 

「あ、奏斗さん。こんにちは」

 

「りみちゃん、沙綾も来てたのか」

 

「まぁ、友達だからね」

 

りみりんやさーやは面識があるみたいだ。あの人と砕けた態度で話している。

 

「ねぇ確かあの人って‥」

 

私が覚えている限りでは確かグリグリのライブの時にいた人だ。

 

「あ、そうだ、奏斗さん。わたしとバンドを組んでくれてる。戸山香澄ちゃんと市ヶ谷有咲ちゃん」

 

「戸山香澄です!よろしくお願いします!」

 

「い、市ヶ谷‥有咲です‥よ、よろしく‥お願いします」

 

「有咲〜何緊張してんの〜?」

 

「う、うっせぇ!‥はっ!」

 

有咲の猫被りはすぐにバレてしまった。

 

「はは、俺は神田奏斗。よろしくね」

 

そして、私が蔵の中に入っていった時ちょうどおたえが来た。

「おたえ〜やぶけちゃった〜!」

 

「‥私も‥」

 

おたえも同じ感じで破れていた。

 

「多分だけど一回しか縫ってないでしょ?それじゃ重いギターは支えきれないよ」

 

「あれ、奏斗さんだ。こんにちは」

 

「えっ何で花園さんこの人のこと知ってんだ‥もしかして‥」

 

「おたえのカレって‥」

 

「奏斗、そうなの⁉︎」

 

有咲もさーやも同じ考えに至ったみたい。

 

「何でだよ⁉︎この子はSPACEでバイトしてるから練習の時顔を合わせるんだよ」

 

「そういえば言ってなかったですね、花園たえです。よろしくお願いします」

 

「あはは‥おたえちゃん、そのカゴ、何?」

 

「ん?カレ」

 

「え?」

 

どうやらそういう事らしい。

 

 

 

 

皆集まったので私達はクライブの準備に取り掛かっていた。

 

「戸山さんだよね?中3の」

 

「ご存知でしたか?」

 

「ふふ、水泳部の後輩だもの。来年が楽しみだわ」

 

「すみません‥部活はちょっと‥」

 

「ウサギどこ⁉︎」

 

何かゆりさんとあっちゃんが話してたみたいだけどそれよりもウサギ!うっかりして逃しちゃった!

 

「ここだよ」

 

神田さんがウサギを抱えていた。

 

「離すなよ!」

 

「ごめーん!」

 

「オッドアイのオッちゃん」

 

おたえが言ってたカレとはこのオッちゃんのことだった。

 

「奏斗は動物に好かれてるもんね。家でも動物沢山飼ってるし」

 

「そうなんですか?」 

 

確かに神田さんに撫でられてるオッちゃんは凄く気持ち良さそうだった。

 

「まぁウチで犬と猫を三匹ずつ飼ってるよ」

 

「じゃあそろそろ始めるんで‥」

 

有咲が一度場の状況を整理してから私達は持ち場についた。

 

「こんにちは、戸山香澄です!クライブに来てくださってありがとうございます!」

 

「今日はみんなをドキドキさせます!してくださったら嬉しいです!」

 

「いきます!!」

 

 

 

ーたえsideー

 

演奏は完璧とは言えなかった。でも‥

 

「やった!最後まで出来た!」

 

「マジヤバかった!ホントヤバかったって!」

 

「でも楽しかった!」

 

「ううん、演奏はまだまだ。でも、気持ちは伝わってきたよ。本気でバンドに向き合ってるって」

 

これは1人じゃ味わえない感覚。

 

「私もこれから香澄達と一緒に演奏したい」

 

この気持ちをこれからも大事にしたい!

 

「おたえ〜!」

 

香澄が私の手を握ってきた。これで私もバンドの一員になったんだなと思った。

 

ー奏斗sideー

 

「じゃあこれからもっとレベルアップしなきゃ!」

 

「でもどうすればいいんだよ?」

 

「おたえちゃんみたいに上手い人に教わるのが良いと思うけど‥」

 

「いるよ、そこに」

 

花園さんはビシッとこちらの方を指差した。

 

「‥え、俺⁉︎」

 

周りを見ても俺に指してたし、尋ねたら頷いたし。

 

「あ〜、確かに奏斗ってグリグリのコーチしてるもんね」

 

「それにAfterglowのコーチもしてるから、コーチとしては中々だよね」

 

「いや‥でも‥」

 

ぶっちゃけ今でもまぁまぁ大変なのに‥これ以上は‥

 

「お願いします!私達のコーチになってください!」

 

「お、お願いします‥」

 

「奏斗さん、わたしからもお願いします!」

 

「お願いします」

 

戸山さん、市ヶ谷さん、りみちゃん、花園さんが頭を下げた。

 

「‥わかった。やるよ」

 

「ホントですか⁉︎ありがとうございます!」

 

流石にあんな本気な子のお願いを断るほど俺は鬼じゃない。まぁ自分の生活は鬼になるが仕方ない。根性でどうにかしよう。

 

 

その帰り

 

「いやぁ‥皆楽しそうに演奏してたなぁ‥」

 

今日の演奏を振り返っていた。今まで見たバンドとはまた違うタイプで、これはちょっと教えるのが楽しみにもなってきた。

 

「ただい‥」

 

玄関には何かヒールがあった。もちろん俺の趣味や不法侵入ではなく

 

「あ、奏斗。お帰り」

 

「姉さん、来てたのか」

 

ウチの姉さん、小川琴葉(おがわことは)旧姓は神田琴葉。年は10も離れているのにも関わらず普通の姉弟よりはだいぶ良い関係だろう。

 

「何?今週分の電話はもうしたけど」

 

「そうそう、あんたにお願いがあってさ」

 

姉さんはホシを撫でながら言ってくる。

 

「実は私の知り合いがさバンドのコーチ出来る人探してて、奏斗に頼めないかなって」

 

「えぇ〜芸能界でしょ。俺には無理だよ」

 

個人的に責任感が強そうだからまだちょっと自信がない。

 

「大丈夫だって、アンタ蘭ちゃん達に教えてるでしょ?それにここら辺で有名なグリグリも教えてるし、行けるいける」

 

「でも‥」

 

「回数多くないし、給料も出るよ」

 

「いやぁ‥」

 

ちょっと揺らいだがなんかなぁ‥

 

「‥猫カフェ、犬カフェのクーポン券」

 

「乗った!」

 

「よしサンキュー!明後日練習あるからヨロ!場所は後で送るから」

 

「あいよ。んで、そのバンドの名前は?」

 

肝心なことを聞き忘れた。もし万が一ガタイのいい漢だらけだったら怖いからね、心の準備をしなければ‥。

 

「パスパレ、Pastel*Palettesだよ」

 

「へあ?」

 

 

 




奏斗「はい、8話が終わったね!そして今回の次回予告担当は‥」
香澄「こんにちは!戸山香澄です!」
有咲「い、市ヶ谷有咲です‥」
奏斗「二人は今回どうだった?」
香澄「キラキラドキドキしてとっても楽しかったです!」
有咲「香澄!それじゃわかんねーだろ⁉︎すみません、曖昧な答え方で‥」
奏斗「いやいや、感想ってそういう言葉で言い表せないこともあるから別にいいよ」
香澄「?どういうことですか?」
有咲「分かれよ!」
香澄「そういえば神田先輩って結局いくつバンドを見てるんですか?」
奏斗「君達を除いて3つだな。そして更に別にもう一つ増えた」

次回 再かいしちゃった!

有咲「そんな忙しいのに私達の面倒まで‥ホントすみません‥」
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