今回そこそこのグロ注意です。あと、この話でいったん区切りが付きます。
追記:ごめんなさい。話が被ってました。(え
何でこうなったのか今一良くわかりませんが、取り敢えず直しておいた事を報告します。
被ってて読めてなかった方には申し訳ないです……
旅の四日目。結局、昨日はほとんど眠れなかった。朝焼け頃に寝て、起きたのは陽が最も高く昇っている頃だった。
ルーミアは木の下で爆睡している。私はその隣で寝ていた。
途中で何度か雑魚妖怪に襲われそうになって起きたが、流石に私はそんな奴等に負ける程弱くはない。ちゃちゃちゃっと片付けた。そのおかげで眠れなかったのだが。もう一度眠ろうにも頭が覚醒しきっていて、到底眠れるような状態ではない。
ルーミアを起こすのは気が引けるし、仕方がないので少し散歩でもしようか。
この森は中心にあるかなり高い山の周りに広がっている。中心にある山は富士山より数百メートル低い程度の高山であり、森も樹海の如く広大で、半径5kmは余裕で越しているだろう。森には川も通っている為、多種多様な生物が棲んでおり、此処だけで一つの生態系を成している。
木には見たことのない果実が幾種も生っていて、毒々しい物もあれば、りんごのような見た目の美味しそうな果実もある。
散歩にしては広すぎるが、山の麓まで行く程度なら夜までには帰れるだろう。
道中には様々なものがあった。
まずは妖怪植物。蔓をとてもいやらしく動かしていた。日本の男性には強い人気がありそうだ。
次に、人型の妖怪。自分を含めて三体目である。ただ、遠くから見えただけなのでどんな妖怪かは分からなかったが、ケモ耳が生えていた。
かわいかった。さわりたかった。でも一度触ったらもう理性が戻りそうになかっったので、近くに居なくて正解だったのかもしれない。その妖怪は私が見ていることに気が付いたのか、急にどこかへと行ってしまったので、そもそも触らせてくれなかった可能性もあるが。
三つ目は、死体。それも大量に。
死体の種類は多種多様で、ただ普通の生き物の死体は無く、色々な妖怪の死体がとにかく大量だった。死に方も様々で、体中に風穴が空いていたり、首から先が無い、真っ二つに切られている等、本当に様々。中には判別がつかない程にぐちゃぐちゃにされている物もあった。
どれも敵意に満ちた目をしていて、何かと戦闘していたのだろう。もしも、犯人と出会ったら、戦うことになるのだろうか。一つの死体に切り傷、痣、風穴等様々な傷がついている事から、犯人は集団で
ある事も考えられる。
しかし、最も重要なことがある。
妖怪の死体は残りづらく、少し時間がたつとすぐに無くなってしまう。にも拘らず、死体があるという事は、犯人は近くにいるという事である。
散歩を切り上げるべきか?とも考えたが、好奇心は何事にも勝ってしまう。内心ではさっさと帰りたかったが、好奇心に操られるように、山へと再び向かい始めた。
山の麓に近づいていくほど、妖怪や生き物が少なくなっていく。RPGのようだった。山の入り口に居た妖怪はパンチ数発でダウンしたが、この辺りにいる妖怪はそう簡単には死ななかった。能力で熱を籠めた拳で脳天を殴り、脳をドロドロに溶かすことによって簡単に殺す事が出来るが、そう簡単には頭は狙えない。
力も強大で、光る高速の弾をどこからともなく出してきた敵もいた。どうやら妖怪特有のエネルギーを具現化させることによって弾を出せるらしい。出した分だけエネルギーを消費するようだった。幸い一発の消費量はそれほどでもないので、複数発撃つ事ができる。
さらに、自分の場合は温度を変化させることによってさらに強力な弾にすることも出来、それを広範囲にばら撒けば、エネルギーの消費量が多い代わりに雑魚相手なら一撃必殺の弾をほぼ確実に当てる事が出来るようになった。結構便利である。
しかし此処に出る妖怪はその程度では死んでくれないので、あくまで弾幕は囮なのである。弾幕に気を取られた隙に接近し、脳天へ一撃。
この戦法では中々に体力を消費するが、確実に殺らないと危ない。実際最初は危うく首に一撃を食らう所だった。
麓に近づく程、戦う事は少なくなって行き、進むスピードが上がった。気づけば陽は傾き始め、数字で表すなら大体午後5時頃だろう。暗くなる前に戻らなきゃな、と子供のような考え事をしていると、坂道に差し掛かった。
それは山のふもとに到着した、という事だった。目の前には天高く聳える山がある。その入り口に私は立っていた。
山からは大量の視線を感じる。恐らく、私のことを警戒する何かだろう。妖怪か、野生の動物か、はたまた人間か。人間がこんな危険地帯に居る事は無いだろう。野生の動物だとしても、ここまで集団であることは無いと思う。
ならば妖怪か? しかし妖怪は大規模な群れを成す様な種族は少なくとも私は知らない。
どれかも分からない、危険な集団に単騎で突っ込む程私は馬鹿じゃあない。ここは一先ず退くか。
ガサ。近くの茂みから音がする。私は退こうとする足をぴたりと止め、音のした方向を見つめる。
そこには確かに何かが居る。それも人型のナニカが。体温を感じ取れる私には物陰に隠れる事はほとんど意味を成さない。頭に獣の耳が付いている。恐らく先ほど見かけた妖怪だろう。
そして、更に重要なことが分かった。
────それは、四方八方に在る物陰のほぼ全てに、同じ様な妖怪が居る、という事。その妖怪たちは剣の様な武器と、盾のような防具を持っている。知能もかなり高い妖怪だろう。こうも周りをぐるっと囲まれてしまってはどれだけ速く走ろうが逃げる事は不可能だろう。空を飛べない自分にとっては脱出は困難である。
ここまでの集団であれば恐らく一人一人の戦闘能力は大したことは無いだろう。実力者はそう簡単に出てくるものではない。
さて、どうするか……戦って無事でいられる事はまず有り得ないだろう。私のような生まれたての妖怪は、いくら能力を持っていても大して強くはないのだ。妖怪としての「格」が違う。
考え事をする間にも、妖怪は近づいてくる。一番近い者とは3m程しか離れていない。もし弾を撃つ事が出来るならば既に射程範囲内。こちらも既に能力を行使できる範囲内である。直接触れなければ大幅な温度変化はできないが、それでもダメージを負わせる位はできる。
正に緊張状態。一触即発の状況で、私は妖怪と成ってから初めて、冷や汗をかいた。生まれて初めて体験する生命の危機。
ごくん。と、喉を鳴らす。覚悟の合図である。私は今、この集団と一対多数の、圧倒的に不利な戦闘をする「覚悟」を決めた。あちら側も戦闘をすぐにでも始められるようだった。じり、じりと近づいてくる。相手の姿は見えない。だが、居場所は判る。
さて、恐らくは無事に帰る事は出来ない。ルーミアの寝ている木には荷物がすべて置かれている。お陰で体は軽い。
唯一持つ物は、腰に差した刀と、この覚悟のみである。気兼ね無く戦う事が出来るのは好都合だった。それにこの刀は未だ試し切り出来ていない。
息を整え、気持ちを作る。「勝ちたい」ではない。「勝たなくちゃいけない」だ。絶対に勝たなくては、目的は達成する事が出来ない。
せっかくの第二の人生も楽しめずに終わる。そんな事はあってはいけない。
さぁ、戦いが始まる。
まず初めに来たのは、案の定一番近くに居た妖怪だった。その頭には狼のような耳を拵え、手には丸い盾と、雑な作りの、しかし殺傷能力は大いにあるであろう剣を携えていた。
目には目を、刀には刀。こちらも刀を引き抜き、それから、刃に出来るだけ熱を持たせる。そして、刀と刀がぶつかり、鍔迫り合いになろうとした瞬間、刃をほんの一瞬だけ非常に高温にする。相手の刀は当たった所から、チョコのように鉄が溶けだし、容易く刀を切断した。そのまま相手に驚く隙も与えずに首を刎ねる。熱によって断面は瞬く間に焦げて行き、血の一滴も出さずに相手は絶命した。
次に、正面と後ろから、二人同時に襲い掛かってきた。正面の相手の首目掛けて一直線に、素早く刀を振る。その勢いで後ろに振り向く。相手の顔が青醒め、僅かに刀を持つ手の力が緩んだ。その隙を見逃さずに斬りかかる。相手は直ぐに立て直し、避けようとする。
そんな行動は既に予想済み。避ける方向に高速の弾を飛ばす。能力を上乗せした、正に火の玉を。当たった所からみるみるうちに焦げていく。火を上げる時間も無く、相手は真っ黒になり、ボロボロと崩れ落ちた。
それを見た相手が今度は左右から来る。それを対処すれば、今度は違う方向だったり、上からだったり、遠くから弾を飛ばして来たりした。
全てをひたすら斬る、燃やす、凍らし、砕く。何十回も繰り返した。次々と湧いてきた妖怪だったが、百を超えた辺りで来なくなった。
退いたか、出尽くしたのか。
勿論、私も無事では無く、左腕の肘の辺りが焦げ、右肩は骨の近くまでバッサリ斬られていた。他にも、体中に切傷や痣が出来ていた。息切れもしてきた。少しして、疲れからその場にへなへなと座り込む。
刀は大量の血が幾重にも重なり、ほぼ黒色となっていた。当然、私も体中が返り血に塗れている。
少しの間座り込んでいると、既に陽が落ちる寸前である事に気が付いた。
「……さっさと帰らなくちゃなぁ…」
そんな独り言を呟くと、反応が返ってきた。それも全く知らない声で。
「帰らせる訳にはいかないな。こんなに白狼天狗達を殺しておいて何もされないとでも?」
女の声だった。どうやら、まだ帰れないようだ。それと、先ほどの妖怪は「白狼天狗」らしい。どうでもいいが。
女は続けて、
「さ、大人しく私に殺されなさい。言っておくけど、白狼天狗なんかよりも全然私のほうが強いわよ?もちろん、貴女よりも」
「要するに、あんたを殺せば帰れるんだろう?私は喧嘩売りに此処へ来た訳じゃないの。さっさと私に殺されなさい」
「無理よ。貴女は帰れないわ」
短い会話だった。女がそう答えた瞬間、私は斬りかかる。全力で踏み込み、体重を乗せた一撃を喰らわせようとする。しかし、そう簡単にはいかないようだった。軽くかわし、直ぐに攻撃を仕掛けてきた。
但し、それは近距離からの攻撃ではなく、遠距離からの攻撃だった。悍ましい程の密度の弾幕を放ち、また天狗の持つうちわのようなもので突風を起こし、その弾幕を加速させた。到底避けれるような密度ではなく、私は受けることを余儀なくされた。
だが、全部喰らうほどの雑魚ではない。咄嗟に足元の石を拾い、限界まで冷却し、目の前の弾幕に投げ付ける。当たった所から弾が凍っていく。それでも全てを凍らせられる訳でも無く、幾つかに被弾してしまう。一つ一つにかなり重く力が込められており、利き腕ではない左腕で庇ったが、どんどんと肉を奪われていき、骨が消し飛んで少しの筋肉と皮だけで繋がっている状態になった所でようやく攻撃が収まった。
「おやおや。耐え切りましたか。しかし無残な腕ですねぇ」
煽り気味に女は言う。だが、ただただ耐えていた訳ではない。「風」を目に見えない程に細く凍らし、相手の体に触れさせた。
そして、能力を使う。女を凍らせる。
「グッ!?い……いきなり凍るとはッ……だがッ!」
相手は下半身から凍っていったのだが、相手はあろうことか自分の下半身を切断した。それで相手に能力を効かせられなくなる。妖怪にしか出来ない逃れ方だ。下半身は既に凍ったまま地面に倒れ、動く気配はない。相手は背中から黒い翼を出し、その翼で宙に浮いている。
「やるじゃない……貴女の力を見る為に多少手加減していたけど……貴女の能力は十分危険。今ここで即座に排除させて貰うわ。悪く思わないで頂戴ね」
そういうと、相手はより高く宙に浮き、片手を前に構えてから、
「死ね」
一言だけ呟き、手の内に溜まっていたエネルギーを一気に放出する。それは逃げ場のない巨大なレーザーと化し、私の眼前に迫る。
咄嗟に凍らせようとするが、時既に遅し。レーザーに飲み込まれる。体が消し飛んでいくが、咄嗟に自身の体を絶対零度に限りなく近い極低温の凍ったエネルギーで包み、体を守る。何時もならば作れないような温度だったが、火事場の馬鹿力だろうか。レーザーを受ける凍った私は、そのまま地面へとめり込んでいき、完全に見えなくなった所でレーザーが途切れる。
それと同時に私の意識も落ちていく。果たして目覚めることはあるのだろうか。奇跡レベルの偶然を祈り、私は意識を手放す…………
「これで死んだかしら……まぁ、逃げる姿も見えなかったし、あの程度の力では消滅したと思うけど」
常闇の妖怪は、遠くに見える閃光に目を覚まし、隣に居る筈の友人が居ないことに首を傾げるのだった。これから永い間、その友人と会えない事になるとは露知らずに……
句点や記号周りのミスなど、誤字報告でもいいので報告していただけると助かります。
ルビを振ってほしい所などあれば気軽にどうぞ。
この天狗は文じゃないです。
タイトルについて
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変えようぜ!
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このままでいいでしょ