ペルソナ使いinロクアカ   作:アロンアルファ

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今回、ペルソナ要素一切ありません。
早くペルソナァ!!させたい……。


It is useful for murder!

 あれからというもの、特に変わらず数日が過ぎていった。

 グレンは教卓で熟睡。僕達生徒は自習と言った形だ。誰もがグレンに対し何も言わなくなった。言っても無駄だと分かったのだろう。

 それでも時々、システィーナはグレンに対し声を上げていた。その度に軽くあしらわれていたが。

 

 そんな中、一人の生徒──リンがグレンに質問をしに行っていた。なんかの文の訳を聞きに行ったらしい。

 そんな生徒に対し、グレンは辞書で調べろと返していた。

 

「そんな男に聞かなくても、私が教えてあげるわよ」

 

 システィーナがリンにそう告げる。

 

「さあ、私と一緒に魔術の深奥に至りましょう!」

 

 そんなシスティーナにグレンが言葉を発する。

 

「魔術ってそんなにすごいもんかね?」

 

 グレンの言葉にシスティーナは呆れたように返す。

 

「何を当たり前のことを……魔術は偉大で崇高なものよ。貴方には分からないでしょうけどね」

 

「なにが偉大でどこか崇高なんだよ?」

 

「……え?」

 

 いつもなら「ふーん……」と言った感じに受け流すのに、今日は食い下がってきたグレン。

 そんなグレンに対し、驚いた様子だったシスティーナだが、すぐに調子を取り戻しグレンに反論する。

 

「魔術は世界の真理を追求する学問よ」

 

 曰く、人がより高次元の存在になるためのものである──と。

 これ以上ない会心の答えをしたと思っていたシスティーナだったが、グレンが返した言葉に言葉が出なかった。

 

「……で、なんの役に立つんだ?それ」

 

「え?」

 

 グレンは続ける。

 

「なんの役に立つんだって聞いてるんだ」

 

「だから、人がより高次元の存在に……」

 

「より高次元の存在ってなんだよ、神様か?」

 

「そ、それは……」

 

 言葉に詰まるシスティーナ。さらにグレンは言葉を続ける。

 

「そもそも魔術ってどんな恩恵をもたらすんだ?」

 

 医術は病や傷を癒すことが出来る。

 濃厚技術は人を飢えから救う。

 建築術は人がより快適に過ごすように出来る。

 術と名がつくものは大体が人の役に立っている。しかし、魔術だけ何の役にも立っていない。

 それがグレンの言い分だった。

 そして、それはある意味事実であった。魔術の恩恵を受けているのは魔術師だけである。一般人からすれば得体のしれない力である。

 

「ま、魔術は……人の役に立つとか立たないとか、そんな次元の低いものではないわ!」

 

「役に立たないなら、実際趣味だろ?」

 

 グレンの言葉に言い返すことが出来ず顔を俯かせているシスティーナ。

 

「……悪かったよ、言いすぎた。魔術は凄く役に立っているさ」

 

「……え?」

 

 システィーナは顔を上げ、信じられないと言ったような顔をする。

 当然だ。さっきまで散々否定してきたのに、急に逆のことを言い出したのだから。

 

「ああ、すげぇ役に立っているさ……

 

 

 

 

 

 

 

 人殺しにな!」

 

 そういうグレンの顔は憎しみで満ちていた。

 グレンは言う。魔導師団に多くの国家予算が注ぎ込まれていること、魔術を使った犯罪の数やその内容、魔術の多くが攻性を持っていること。

 

「これでわかっただろ!?魔術は人殺しと切っても切れないものなんだ!何故ならッ魔術は人殺しと共に発展してきた碌でもない技術だからだ!」

 

 ここまでくれば流石に極論であったが、誰もがグレンの何かを酷く憎むその形相に何もいうことが出来ずにいた。

 

「こんなもん、勉強してるお前らの気がしれねぇよ!こんなことに人生費やすならもっとマシな──」

 

 

 

 

 

 

 

 パァン!

 

 

 

 

 

 

 

「いっ!?てめぇ……っ!」

 

 システィーナがグレンの頬を叩き、睨みつけている。その目には涙か浮かんでいた。

 

「ちがう……魔術は、そんなんじゃない……」

 

「貴方なんて……大っ嫌い……!」

 

 そういい、システィーナは教室から走り去ってしまった。

 誰もが、何も言うことが出来ない中、僕は後ろからルミアに小さく告げる。

 

「システィーナ、追いかけた方がいいんじゃないかな……?」

 

「うん……私、行ってくるね」

 

 そして、ルミアがシスティーナを追って行った。

 気まずさが教室を埋め尽くす。

 

「ちっ……なんかやる気出ねーから、自習だ」

 

 そう言ってグレンも教室から出ていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、しばらくしてルミアが帰ってきた。システィーナは先に帰したとのこと。しばらく一人になりたいと言っていたらしい。

 そして、僕達は自習を再開したが、全員どこかペンの進みが遅いと気づくのに時間はかからなかった。皆、グレンの言ったことに何かしら思うことがあったのだろう。

 

 一日の授業時間が全て終了し放課後となった。僕はすぐに荷物を片付け帰路につ着こうとするが、それは叶わなかった。ルミアに声をかけられたのだ。

 

「ねえ、このあと時間あるかな?ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ」

 

「えっと……僕に?」

 

「うん、トーマ君がいいんだ」

 

 こんなことを言われては断ることなど出来はしない。了承の意を返し、ルミアの後を着いていく。

 

「ここって魔術実験室?」

 

「そうだよ?」

 

「勝手に使っちゃダメなんじゃ……ていうか鍵かかってるし」

 

 そんな僕の疑問に対し、ルミアは懐から鍵を取り出す。

 

「えへ……取ってきちゃった!」

 

 どうやらルミアは僕が思っていたより大分お茶目なようだ。

 ルミアが部屋の鍵を開け入って行く。僕もそれに続く。

 そして、ルミアは床に何かを並べていく。それらに見覚えがあることに気づく。

 

「もしかして、これって魔力円環陣?」

 

「うん、最近法陣の授業についていけてなくって。復習したいなって思ってたんだ」

 

「それって魔力円環陣だよね。別に手伝いなんていらないんじゃ?」

 

 魔力円環陣──特に今やろうとしている流転の五芒と呼ばれるものは水銀で法陣を描き、触媒を置くといったとても簡単なものである。

 

「あはは……ごめんね、本当は聞きたいことがあって。教室じゃ聞きにくかったし、法陣の復習がしたいってのも本当だったから」

 

「そっか……それじゃあ、聞きたいことって?」

 

「うん、昼間の事なんだけど……」

 

 昼間の事というのは、グレン先生とシスティーナの件だろう。それの何が疑問なんだろう?

 

「トーマ君、凄く落ち着いていたから。なんていうか……魔術の事をどう思ってるのかなって……」

 

「魔術の事を……?」

 

 ……まぁ、確かに他の人より動揺は少なかったとは思う。それにしても、

 魔術の事をどう思っているか、か……。

 

「うーん、なんて言ったらいいかな……」

 

 自身の頭で整理し言葉を返す。

 

「僕は魔術の事を道具(・・)と同じだと思ってる」

 

「道具?」

 

 昼間の話を例に出してみるなら、システィーナは魔術は人が高次元の存在に至るためのものと考えていたし、グレン先生は人殺しのためのものと言っていた。

 

「魔術も使い方次第でどんなものにでもなる、みたいな……」

 

「そっか……うん、そうだね。その通りだと思う」

 

 僕の考えがなんとか伝わって良かった。

 

「あの事が無かったらきっと僕もこんな考え方してなかっただろうしなぁ……」

 

「あの事?」

 

「あーえっとそうだね……ルミアならいっか」

 

 僕は話を続ける。

 

「三年ぐらい前だったかな?悪い魔術師に襲われたことがあるんだ」

 

「えっ!?」

 

「と言っても、その時の事はなんにも覚えてないんだけどね」

 

 襲われたショックでその時の出来事を忘れてしまったのである。自分でそんな目にあったというのに驚いたものだ。

 

「まあ、その時に魔術って怖いものなんだって理解できたというか、魔術をこんな風に使う奴がいるんだって知ったんだ」

 

「……そうなんだ。大変だったんだね」

 

 ルミアが悲しそうに言う。

 

「別にもうなんとも思ってないし、全然平気だよ」

 

「なら、良かったよ」

 

 そういうルミアの顔はまだ少し晴れない。悲しいそうというか寂しそう……?なんでだろう、そんな気がするけど……まあいいや。気にしないでおこう。

 

「えっと……もうこの話は終わり!ほら、早く法陣作ろうよ」

 

「……そうだね、やっちゃおう!」

 

 やっとルミアに笑顔が戻ったようだ。女の子は笑顔の方がやっぱりいいと思う。

 

 ルミアが覚束ない手つきで魔力円環陣を作っていく。僕は教科書を見ながらルミアが間違ったらその都度教えていった。

 そして、何とか完成した魔力円環陣の前でルミアが詠唱する。

 

「《廻れ・廻れ・原初の命よ・理の円環にて・路を為せ》」

 

 が、何も起きない。

 

「あれ?おかしいな……何で出来ないんだろ?」

 

「うーんと、どこかおかしいところは……」

 

 教科書と見比べても特に間違っところはない。ということは、魔力円環陣に何かちっちゃいミスがあるのだろう。

 魔力円環陣をじーっと端から見ていくと簡単に見つかった。水銀が途中で途切れている。これならすぐに直せる。

 

「ルミア、そこの──」

 

 と、言いかけたところでドアがバンッ、と大きな音を立てて開かれた。

 

「生徒による魔術実験室の個人使用は禁止だぞー」

 

「グ、グレン先生!?」

 

 まさかの登場である。というかまずい。仮にも講師だし、なんとか誤魔化さないと……。

 

「ふ、二人だから個人じゃない……とか?」

 

「んなわけあるか」

 

 ですよね。

 

「ごめんなさい!すぐに片付けます」

 

 そう言って片付けをしようとするルミアをグレン先生はやんわりと止める。

 

「いいよ、せっかくここまでやったんだし、最後までやっちまいな」

 

 なんというか……意外だ。あそこまで魔術を嫌ってたのに、こんなことを言うなんて。

 

「でも、上手くいかなくて……」

 

「右上のとこ水銀が途切れてる。多分、それのせいだと思うよ」

 

「え?……あっ、ホントだ!」

 

「ふん、よく見てんじゃねーか」

 

 グレンが水銀の入った容器を手に持ち、描いた法陣の上をなぞるように水銀を垂らしていく。その手際に迷いは一切見られない。

 

「お前らは目に見えないものには神経質になるくせに、見えるものには何故か疎かになる。魔術を必要以上に神聖視している証拠だ」

 

 やがて、垂らし終えたグレンが告げる。

 

「よし、じゃあやってみろ。教科書通り五節な」

 

「は、はい!」

 

 ルミアが息を整え、声を発する。

 

「《廻れ・廻れ・原初の命よ・理の円環にて・路を為せ》」

 

 ──魔力円環陣から光が溢れる。それは見るものを魅了する、とても幻想的な景色だった。

 

「わあ……」

 

「すごい……」

 

 今まで見たものの中で、間違いなく一番綺麗だったと言えるだろう。

 

「すごいです、先生!」

 

「そんなに感激するもんかね、これ」

 

 そういうグレンの目が楽しそうに見えたのは気の所為だろうか?案外、魔術の事嫌ってなかったりして……なんてね、そんなわけないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生ももう帰るんですか?」

 

 片付けを終えた後、ルミアがグレンに問う。

 

「あん?……そうだけど」

 

「じゃあ、三人で一緒に帰りませんか?」

 

「え!?」

 

「はあ?」

 

 突然の事に驚く男二人。

 

「私、先生と一度お話ししたくて」

 

「やだ」

 

「そう、ですか……」

 

 ルミアがとても悲しそうな顔をしているのを見て、僕はグレン先生に非難の目を向ける。

 

「……後ろを勝手に着いてくるのは好きにしろ」

 

「……!やった、じゃあ行きましょう!」

 

 嬉しそうに言うルミアを見て、グレンはやれやれといった感じで部屋を出ていく。

 

(やっぱりグレン先生って悪い人じゃないな)

 

 そう思いながら僕は二人の後を追いかけるのであった。

 




主人公ステータス

〔知識〕Rank.1_平均的
〔勇気〕Rank.1_なくもない
〔魅力〕Rank.1_人並み
〔優しさ〕Rank.1_それなり
〔伝達力〕Rank.1_そこそこ

コミュ無し
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