日本国召喚×テラフォーマーズ   作:BOMBデライオン

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第8旅団→第8軍団
ガオグゲル旅団長→ガオグゲル軍団長


63話:絶対防衛線アルーⅢ

 現代戦における情報伝達の重要性を知っているだろうか。

 

 現代でなくても良い。カルタゴのハンニバルや中国の項羽、フランスのナポレオンやナチスのマンシュタインが活躍した時代でも良いのだ。

 いつの時代でも、戦争で勝利を収めるために情報というのは不可欠なのである。

 

 例えば指揮系統が存在しない万の軍勢と、緊密で有機的な連携を取り行える数百の部隊が戦った場合、ほぼ100%の確率で後者が勝つだろう。

 情報伝達による連携が、その戦闘力に天と地ほどの差を与えるのだ。

 

 特に現代という時代は、その重要性が著しく目立っている時代なのでもあると思う。

 戦車や航空機、ミサイルなどのハイテク兵器が全て電子ネットワークによる情報伝達を基に成り立っているのは周知の事実であろう。それは軍事だけでなく一般社会もだ。

 

 軍事的観点における陸地での活動権、制海権、制空権の次────人類は争いの領域を電子の海にまで拡大し、電子戦という目には見えない戦場で戦っている。

 相手のパソコンにウイルスを送り込み、情報を盗むのも良し。ハッキングしてネットワークを使い物にならなくするのも良し。

 敵地上空、高高度で核爆発を起こし、大規模なEMP(電磁パルス)攻撃でインフラを完全に麻痺させるのも良し……。

 

 電子部品の塊でもある現代兵器、そしてドローンという無人兵器が確立されつつある現在、それらへの対抗手段はやはりレーザー砲かEMP兵器なのではないかと思う。

 

 強力な電磁パルスの前では、1発何億ドルもする高性能ミサイルですら一瞬で産業廃棄物と化し、電子機器を焼かれた機械は例外なく同じ末路を辿る。

 範囲はそれだけには留まらず、電気を使うありとあらゆる物がゴミになるのだ。軍事的観点で言うと航空機、戦車、輸送車両、無線などの通信手段──特に現代では、通信手段への攻撃は十分に致命傷となり得る。

 

 この日、この世界で何度目かのEMP攻撃がグラ・バルカス帝国陸軍に対して行われた。

 

 自衛隊が配備する現代兵器と違い、グラ・バルカス帝国の兵器や機械類は電磁パルスに対する防護策など用意されていない。

 その暴威はありとあらゆる電気の通り道を伝い、電子部品の回路を寸断し破壊。無線を始めとする通信手段はほぼ完全に途絶し、司令部と前線が切り離される。

 地下に存在する前線指揮壕では、唯一の光である電球を失った直後、新月の夜にも勝る真の闇が彼らを一瞬で盲目にした。

 外にいた兵士がロウソクを持って来なければ、彼らは永久に闇を彷徨う事になっていただろう。

 

「師団長! 電線に大電流が流れたらしく、回路が焼き切れています!」

 

「こんな魔法攻撃は初めてです! 神聖ミリシアル帝国の秘密兵器かもしれません!」

 

 小さな灯りを頼りに、次々と上げられる悲鳴のような報告。

 回路が焼き切れたというのは本当らしく、後で確認すると電球のフィラメント(電気が流れて光る部分)もが切断されていた。

 

「バ…そんなバカなッ! 回路を焼き切る攻撃だと!?」

 

 神聖ミリシアル帝国を始めとする新世界の魔法文明を侮っていた訳ではないが、まさかここまでとは思わなんだ。

 先の海戦でミリシアルは空中戦艦などと言う化物兵器を投入してきたと聞いた。最初はどんなプロパガンダだと小馬鹿にしていたが、あながち嘘では無さそうである。

 

「…少々魔法文明に対する認識を改める必要があるな。このままでは我々が敗北しかねん」

 

「師団長、このままでは戦線が崩壊してしまいます。これ以上の被害は看過できません。軍団長に撤退の意見具申を…!」

 

 撤退という二文字を聞き、師団長は歯を食いしばった。

 この攻撃の目標がここだけとは考えにくい。恐らく他の場所にいる将校も同じような思いをしているのだろう。

 本来ならガオグゲル軍団長の指示を仰ぐのが正しいのだが、無線が機能していない現状、上の指示を待っているだけで我々は後手へ後手へと回ってしまうのだ。

 

 彼は覚悟を決め、命令を出す。

 この選択の成否がどうであろうと、何もしないよりはマシだと信じて。

 

「…ガオグゲル軍団長なら戦力の分散による各個撃破は避けるはずだ! これより第1師団は戦術的に後退する! 他部隊と合流した後、敵戦力を撃滅するぞ!」

 

 命令が出された直後、走行可能な車両に口頭伝達員が乗り込み、エンジンをかける。口頭伝達とは何とも原始的な手法だが、現状これしか方法が無いのだ。

 

「師団長、彼は前線まで辿り着けますかね?」

 

「補佐官、それ以上は言うな」

 

 最も恐れている事態、それは命令を受け取るはずの前線部隊がすでに壊滅している事である。

 その可能性が全く無いとは言い切れないが、練度も装備も申し分ない彼らならきっと…大丈夫なはずだ。

 

「ところで…彼らにも口頭伝達を思い付く知能はあると思いますが、そろそろ砲兵陣地から連絡が来ても良い頃のはず──」

 

 補佐官が自身の腕時計を見る。

 次の瞬間、2人の間に流れる時計の針が止まった。

 

 ──ゴロゴロゴロ……

 

 この遠方で雷鳴が轟くような音…帝国軍人なら忘れもしない、味方砲兵陣地が砲撃を開始した音だ。

 

 砲兵というのは航空機や前線の観測部隊、無線を活用した弾着観測という支援があって初めて、間接射撃によって丘の向こうの見えない敵を攻撃できるのだ。

 それらのサポートが機能していない今、砲兵が発砲したと言う事はつまり──

 

「──有視界による直接射撃か!? 敵がもうそんな近くまで!?」

 

「まさか前線部隊は…!」

 

 そのまさかであった。

 直後に到着した伝令の口から、彼らは前線部隊が壊滅したと言う事実を突き付けられる。

 

「報告ッ!! 第1師団の前線展開部隊は壊滅した模様! そして砲兵陣地が敵軍への直接射撃を開始! 敵はすぐそこまで来ています!!」

 

 前線で戦い、壁となる部隊がいない砲兵と言うのは酷く脆弱である。

 彼の陣地が陥落するのはもはや時間の問題であり、第1師団は実質的に、すでに全戦力を失ったも同然であった。

 

「クソッたれのミリシアルめ! 魔法とか言うデタラメ技術を使いやがって!!」

 

 木製のイスが蹴り飛ばされ、コンクリートの壁に当たって派手に砕ける。

 部下達はすでに撤収する準備を進めており、指揮壕内はアリの巣をつついたように慌ただしく動き始めた。

 

「師団長! 物に当たってる場合ではありません! 急ぎ撤収の準備を!」

 

「分かっている! 死んで逝った兵らには申し訳ないが、我々だけでも逃げ延びて情報を持ち帰るぞ! 撤収だ、撤収!」

 

 師団長が喝を入れ、将兵らは一層慌ただしく動く。

 軍人となってから初めて経験する撤退戦。祖国の軍隊が負けたという事実にいささか動揺もしていたが、刻一刻と変化する戦況の中で何もせずにはいられなかったのだ。

 

 重要な書類だけがカバンに吸い込まれるように消えて行き、不要な物は野外に集められて焼却処分される。

 紙に付着したインクは勢いよく燃え、晴天の空に真っ黒な汚れを撒き散らして灰となった。

 

「師団長! 全工程完了まで20分かかります!」

 

「いや10分だ! 10分で終わらせろ!」

 

 最新鋭の大砲とは前線に張り付く部隊がいなければ酷く脆弱な上に、観測手と通信手段が無ければただの木偶の坊。なのに鈍重で移動が遅く、さらには敵に奪われるのは何としてでも避けたい荷物でもある。

 敵と運悪くエンカウントしてしまった場合、人員だけなら逃げるのは可能かもしれないが、無断で高価な技術の塊を易々と敵へと渡した失態を上が許すはずがないのだ。

 

 なので命令がない以上、砲兵はその場を動けないのである。

 だが槍や弓しかない未開の原住民ならまだしも、旧式とは言え銃で武装し、統率の取れた軍隊が相手では、砲兵が単独で陣地防衛を成し遂げるのは、とてもではないが不可能である。

 

「砲撃音が続いているうちはここは安全だ! 急げ! 仲間の死を無駄にするな!」

 

 無情にも、ぜんまい時計の針は進む。

 いつ止むかも分からない味方砲兵の生命線、ここからは見えない位置で必死に戦っている仲間の存在に、彼らは一層奮起した。

 

 


 

 

 第1師団傘下砲兵陣地──

 

 

 視界を埋め尽くす人の海。

 前世界にも畑から人が採れると揶揄される国はあったが、この光景を見てしまっては揶揄する気持ちすら起きない。

 

 地平線まで続く人影…いくら肉ごと土を耕そうと絶えることのない人、人、人。旧式ではあるが全員が銃を持っており、下手な鉄砲数撃ちゃ当たるの理論で、狙って当たるはずのない距離から放たれた弾丸が、こちらの人員を偶然撃ち抜くのだ。

 その全てが完全な偶然であるはずなのだが、発砲する人数が多ければ偶然は偶然ではなくなるらしい。一昔前の戦列歩兵が妥当な具体例だろう。

 

「撃てぇ!!」

 

 端から順に、並んだ砲口が火を噴く。

 どこに着弾しようと1発1発全てが敵兵を爆殺し、自分が装填した砲弾が人命を奪っているのだと目視で認識してしまった兵は次第に狂って行く。

 幾度も幾度も繰り返される装填作業、繰り返し奪われる人命、狂気の笑みを浮かべながら砲弾を運ぶ兵士達。

 時々耳元を掠める銃弾の音は、今まで何とか持ち堪えられた兵の精神にトドメを刺すようだった。

 

 それでも、我々はここから動けない。

 上からの命令が来ない以上、戦う装備がある限り戦わなければならないのだ。

 

「撃てぇ!!!」

 

 喝を入れるように、叫ぶ。

 端から順に並んだ砲口が火を噴き、ムー兵の若き芽を刈り取った。

 

「装填急げ! 増援部隊が来るまで持ち堪えるぞ!」

 

 中央暦1643年6月2日、アルーの町とバルクルス基地の間のたった30キロを奪い合う大激戦が幕を開けた。

 血で血を洗う、生き馬の目を抜くという言葉が似合うこの戦場で、どれだけの命が散ったのかは誰にもわからない。

 

 ムーが大人しくここを手渡してしまえば、これだけの犠牲は出なかったのにと帝国兵らは思い、グラ・バルカス帝国がすぐに宣戦布告を取り消せば、これだけ死なずに済んだのにとムー兵らは思う。

 しかし双方の希望は虚しくも衝突し、両陣営は強烈な火花を散らして、意地でもこの地区を敵から奪還しようと激しく殴り合った。

 

 そして6月6日、短期間で万を越える犠牲者を出したこの戦闘に、終止符が打たれる事となる。

 

 日本国が極秘裏に派遣した、元自衛隊員だけで構成された『被手術兵部隊』。そのうちたった1人の隊員が投げた、10にも及ばない数の野球ボール大の機械が──投擲に適した人類の骨格構造、猛禽類の視力と強力な握力、胸筋に支えられて──グラ・バルカス帝国陸軍第8軍団の指揮系統を直撃したのだ。

 

 その機械は着弾後、人体にほとんど影響は無いが、機械類に致命的な影響を及ばす威力の電磁パルスを放出、付近のあらゆる電子部品を破壊。

 通信を遮断された帝国軍はその戦闘力を著しく低下させ、ムー陸軍に圧倒される事となった。

 

 通信手段を奪うだけで、軍隊というのは簡単に戦闘能力を消失するのだ。

 

「あと…もう一押しって感じか?」

 

 戦線の後方に位置するムー軍の臨時指揮所で、一帯のムー軍の指揮を一任された元自衛隊員が呟く。

 アルーの町を防衛するムー軍の指揮官はほぼ全員が敵の猛攻の最中に戦死していたため、彼らの指揮系統は一時的にだが、全て彼の手に委ねられていたのだ。

 彼は日本から持ち込んだ通信機器を手に取り、スイッチを押した。

 

「こちらアルーコントロール。ホークアイ01、戦況を報告されたし」

 

『アルーコントロール、こちらホークアイ01。()()()敵砲兵陣地の抵抗が激しい。ムー陸軍だけでの攻略は困難、すでに数百人が死亡』

 

 特殊な電波を用いての、元自衛隊員間のやり取りが行われる。

 同等以上の技術を持つ国家が相手に存在していたら、間違いなく作戦がバレるであろう暗号化されていない通信。

 だが技術レベル的には何世紀も格下であるグラ・バルカス帝国、ムー、その他新世界の国々相手には絶対に傍受されない、日本国だけの秘匿通信を彼らは行っていた。

 

「アルーコントロール了解、ムー空軍に対地攻撃を要請す」

 

 通信機を手にしつつ、近くのムー兵に目配せを送る。

 先程の通信を聞いていたムー兵は即座に、戦域に展開している空中待機遊撃戦力へと無線通信を行った。

 

『こちらホークアイ01、たった今砲兵陣地に多数の対空兵器を確認した。ムー空軍では十分な損害を与えられない可能性有り』

 

「アルーコントロール了解。ドラゴンフライ01から05に通達、送信した座標位置まで急行した後、敵砲兵陣地の対空能力を半壊せよ」

 

『ドラゴンフライ了解、これより敵砲兵陣地を撹乱す』

 

 命令を授かり、甲高い音を響かせながら、羽の生えた隊員は飛翔する。道中で帝国兵を見かけては空から奇襲をかけて排除し、前へ前へと突き進む彼らの姿はどう見えただろうか。

 ムー兵の目には侵略者に正義の鉄槌を下す存在に映ったらしく、彼らが空からの強襲で敵兵を排除する度に大きな歓声が上がり、士気はみるみるうちに上昇して行った。

 敵軍を圧倒しているという優越感、絶望的だった戦況を自分たちが覆しているという高揚感が、彼らの足を前へ前へと運ばせる。

 

「空襲──!!! ミリシアルの生物兵器!! 対空砲火急げ!」

 

 その者達の姿を目にし、帝国軍の対空兵器が砲口を空に向ける。

 面妖な空を飛ぶ人影に対し、彼らはミリシアルの生物兵器と誤った呼称をした。

 進みすぎた科学はもはや魔法と見分けがつかないのだ。

 

「目標、飛翔する人型生物! 対空迎撃開始!!」

 

 肉眼にもハッキリと認識できる曳光弾の飛翔跡。対空砲が青空に黒い花を咲き散らし、それらをかき消すように光跡が飛ぶ。

 この量の弾幕、相手がムーの『マリン』なら撃墜できたかもしれないが、この程度で『被手術兵』を堕とせると思ったら大間違いである。

 

 西洋ではドラゴンフライ(不吉の虫)と呼ばれるトンボの複眼は、昆虫類最多の約2万8千。

 視力と引き換えに得た驚異の動体視力に加え、常軌を逸した飛行性能を持つこの生物を、軍隊組織に改造人間を採用する国は例外なく、真っ先にこの生物(魔物)をベースに兵士に強化を施す。

 手術を終えれば、空を飛ぶ生物相手の空戦では無敵の兵器が誕生するからである。

 

 そしてこの動体視力と飛行能力は空戦だけでなく、対空砲火を掻い潜って強襲を仕掛ける時にその真価を発揮する。

 ただでさえ被弾面積が小さい上、通常の航空機では有り得ない軌道で肉薄して来る相手に、肉眼で照準を定めて狙い撃つ手法など無意味に等しい。

 

「まさか! あいつら近接攻撃を仕掛ける気か!?」

 

 スラリと抜かれた刀身が白く輝いたように見えた。

 実際は光が反射しないよう黒く塗られているのに、何十年も繰り返されたのだろうその一連の動作は、飛びながらでも、対空砲火を掻い潜りながらでも美しかった。

 

 ──スッ

 

 人型生物は音もなく着地した。

 こちらに小銃の類が無い事を知ってから知らずか、奴は背中から生える4本の透明な羽を畳み、抜き身の刀身を構える。

 迷彩柄の服に白地に赤丸の旗章が刺繍されており、一目で日本軍の者だとわかった。

 

 こいつ、強いぞ…! 

 

 俺自身が剣術を習っていたから分かる。

 真顔のようで、覇気のある顔。その所作一つ一つが彼が鍛え抜かれた武人である事を物語り、一太刀のうちに戦友の首を切り落とした剣筋は少しもブレていなかった。

 ヘルメットやシャベル、そこらの石や鉄パイプで武装し、全方位から襲い掛かる味方を次々と斬り伏せる姿ですら、美しく見える剣技。

 

 俺は掘削用の長めのシャベルを手にし、彼の目の前に堂々と立ちはだかった。

 もちろん時間稼ぎだ。それとは別に、個人的に彼と戦ってみたい気持ちもあったが。

 

「グラ・バルカス帝国陸軍第8軍団第1師団砲兵隊所属、ヘンリ=フォン=ノイシュヴァンシュタインだ! 貴殿の名は何だ!」

 

 それに、彼に勝てば陣地防衛の成功率は跳ね上がるだろう。

 生きて帰れる確率も僅かに上がるかもしれない。

 

「…秋津龍司(あきつりゅうじ)元二等陸尉。日本人だ」

 

 何よりも恐ろしい刀の切先がこちらを向く。

 対峙して初めてわかるこの圧倒的な威圧感、紛う事なき強者を前に唇が乾き、手汗がにじむ。

 時間稼ぎのため、とりあえず話しかける。

 

「日本軍がなぜここに? ミリシアルはいないのか?」

 

「教える事はできない。それよりも時間が無い、私から行くぞ」

 

「時間稼ぎすらさせてくれないのかよ…!」

 

 彼は武人のような高潔な性格の持ち主でもあったが、敵として目の前に立ち塞がる人間を問答無用で叩きのめす冷徹な軍人でもあった。

 冷酷ではなく、冷徹だ。ひたすら任務のために合理的な判断を下すことのできる素晴らしい軍人であった。

 

 反面、その剣技は人間離れをしているのに、非常に人間らしい。

 ただ速いだけでなく、剣速を変化させる目に捉えにくく対処しづらい軌道。フェイントから一転、恐ろしい速度で飛んでくる刃は無数の斬撃が襲い掛かってくるようである。

 手持ちの武器がシャベルでは、その軌道を逸らして防ぐのが精一杯であった。

 …いや、手持ちにちゃんとした剣があってもこの人には勝てないだろう。

 

「見事でした────」

 

 言い終わるより前に、視界の上下が反転する。

 斬られた事すらほとんど感じず、最後の最後までその腕前に驚かされてばかりであった。

 

「ドラゴンフライ02より01へ、少し遅れたが制圧完了」

 

『ドラゴンフライ01了解。目標破壊後、所定の位置にて待つ』

 

「ドラゴンフライ02了解、以上」

 

 通信を終え、彼は飛び立つ。

 それから数秒後、設置された爆薬が起爆し、第1師団傘下の砲兵陣地に存在する対空兵器は弾薬と共に黒い煙を噴き上げて燃え上がり、スクラップと化した。

 

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