のび太の艦隊これくしょん   作:スーパーザウルス

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初投稿です。

提督歴三年目だけどこの前の菱餅イベで初めて甲勲章ゲット出来ました。ランカー装備はハズレ月ばかりで泣きそうです。


コンピュータペンシル

〜コンピューターペンシル〜

 内蔵されたコンピューターによって問題の正しい解答をスラスラスイスイと自動的に記入してくれる鉛筆。学業だけではなく、仕事などにも使える。

 

 

 

 

 

 

 

 あの頃から17年が経った。 

 

 

 

 

 

『時間』──それは森羅万象の全てに当てはまるもの。

 かつてその巨体で大地を揺るがし地上を支配した恐竜は数億年で絶滅し、人類が誕生してから数百万年で地球環境を激変させたように、過去から未来へ時の流れに伴って多種多様なものが変化を遂げた。

 

 かつて『彼』がいたこの部屋も未来ではこの家が取り壊され全く別のものに変わってしまっている。

 漫画や祖母に読んでもらった絵本が乱立された本棚、引き出しを開けば時空間と繋がっている勉強机、そして、彼が寝床にしていた押入れ。

『彼』がいなくなってから17年前、この部屋もいつかは──

 

 だが、どんなに時が経とうと変わらないものだってある。野比のび太と『彼』との絆は17年経とうと100年経とうと変わらない。

 今もこの押入れを開ければ彼がそこにいるような気がして──

 

『……………………のび太君……………………』

 

 微かに聞こえてくるか細い声。込み上げてくる涙を引っ込め、のび太は冷静になろうとする。

 彼は17年前からいない、帰ってこれるはずがない。──これは夢だ

 

『のび太君』

 

 次第にはっきりと聞こえてくる声、だが反比例するようにのび太は意識を眠りのさらに深い所まで沈めようとする。

 夢の中でくらいもう少し『彼』の声を聞いていたい……

 

 

 

 が、しかしそんな儚い願いをのび太の今の相棒は無慈悲にも打ち壊す。

 

 

 

「のび太ぁああああああ!!!!!!!」

 

「は、はいぃぃぃいいいいい!!!!!」

 

 かつての小学校教師や自分の母親の顔が脳裏を掠めながらいきなりの怒声に思わず椅子からすっ転ぶのび太。外れかけた眼鏡を整え横を見上げると、腕組みをし顳顬に血管を浮かびあげながらこちらを見下ろす少女がいることに気付く。

 

 なびく長い銀髪、ボディラインを強調するような服にピンク色のネクタイを締め、どういう原理で浮いているのか分からない耳のような艤装がトレードマークの吹雪型5番艦──駆逐艦『叢雲』である

 

「お・は・よ・う」

 

「おはようございます、叢雲さん……」

 

 本来なら仮にも上司である彼を呼び捨てにしようものなら厳重注意するところだが、全面的に自分が悪いことを自覚してるのですぐさま正座に移行する。

 

「部下に仕事を押し付けてる間にうたた寝とは、ほんといい身分よね、司令官」

 

「ち、違うんだよ叢雲! 仕事しようとしたけど夕立や時津風が来て一緒に遊ばないと判子を隠そうとするし、金剛がこの前MVP取ったご褒美にお茶会に付き合えって言うもんだから──」

 

「へぇ〜、私が一人で司令官の仕事を片付けている間にあんたは他の艦娘達と戯れていたと……」

 

「あっ、い、いやそういうことでは……」

 

 どんなに時が経とうと変わらないものもある。

 野比のび太27歳は提督の座についても相変わらずドジでグズで気配りが出来ない甲斐性無しであった。

 

「そんなに艦娘と親しいならこの『艦娘レポート』もあんた一人で大丈夫そうね」

 

 目が笑ってない笑顔で用紙を叩きつける。それは三ヶ月毎に大本営に提出を義務付けられてる、艦娘に関する報告書であった。

 艦娘が発見されてから17年、まだまだ謎多き彼女達を観察しその秘密に迫るのも提督の重大な役割である。故に簡易的なものとは言えそのレポートは所属する艦娘の数だけ各々の鎮守府は提出を強いられる。

 

「そ、そんな!? まだあと100人分も残ってるのに、僕一人でなんて!」

 

「提出期限を1ヶ月も伸ばしてもらったのに今日まで手をつけなかったあんたの責任よ。期日の明日のマルキュウマルマルまで死に物狂いでやりなさい」

 

「今ヒトナナマルマルだから……あと16時間!?」

 

 16時間で100枚のレポートを書くのは単純計算で1枚約10分で書き終えなければならないということだ。集中力の高い人間なら出来なくもなさそうな量だが、残念ながらのび太に16時間ぶっ通しでこんな作業をする集中力は無い。

 

「無理無理! 無理だって〜! 絶対間に合うわけない! 大淀にまた怒られるよ〜!」

 

 自分の母親を彷彿とさせるような激昂した時の大淀はのび太にとって軽くトラウマになっていた。

 

「それじゃ、私は夕食の用意があるから」

 

「ま、待って! 叢雲──ブッ!!」

 

 頼みの綱に縋りつこうとするも閉められた執務室のドアに顔をぶつけ、あまりの痛みに蹲る。もう一度言うがこの男がこの鎮守府の提督である。

 

「はぁ〜、僕はどうしていつもこうなんだ……」

 

 鼻から伝ってくる熱い痛みはドアにぶつかった衝撃によるものか、自分の不甲斐なさから湧き出る悔しさや腹立たしさによるものか。自分はあの時から、『彼』がいなくなってから前に進めているのだろうか、そんな不安が次第に押し寄せると同時に『彼』の顔が頭の中に浮かんでくる。

 

「今の僕を見たら『彼』は何て──」

 

「お困りのようね! そんな提督にぴったりの──そんなところでコロコロ転がって何してるんですか?」

 

 勢いよくドアを開け颯爽と現れたのはポニーテールの髪・スカート・頭の大きなリボンが緑、胸リボンがオレンジという特徴からメロンの愛称で親しまれる少女──軽巡洋艦『夕張』

 

 そして彼女が見下ろしてる、おもいっきり開かれたドアに鼻をぶつけのたうち回ってるこの情けない眼鏡は鎮守府の提督、野比のび太だ。

 

「夕張……ドアを開ける前にノックはしようね。それと僕今忙しいんだけど」

 

「あーはいはい、嘆かわしいやり取りは全部廊下まで聞こえてたから今更取り繕わなくていいの。それより提督、今まさに御誂え向きの物がありますよ」

 

「そ、それは!」

 

 夕張が懐から取り出したそれは、小・中学生が使用する文房具の1つ『鉛筆』の形状をしていたが、一般的なものには無いであろう6つの小粒の豆電球ようなものが鉛筆の削られてない側に取り付けられている変わった代物だった。

 

「コンピューターペンシル〜」テッテレー

 

「ついに完成したんだね! あぁ、子供の頃これを手にするのをどれだけ望んだことか」

 

「ま、天才メカニックの私にかかればこの程度の修理なんて朝飯前ね」

 

「いやぁ、持つべきものは優秀な部下だなぁ」

 

「じゃあさっそく使ってみて下さいよ」

 

 机に座り鉛筆を握った途端、のび太の右腕はまるで別の生き物になったかと錯覚させるほど彼の意思を無視して書面の上を踊るように執筆していった。

 

「おお、握ってるだけなのにまるで誰かに右手だけ操られてるみたいだ」

 

「ふーん、にしても提督結構字が綺麗ですね」

 

「いや、僕じゃなくてコンピューターペンシルが全部やってるんだよ。しかし物凄い速さだ、もう一枚書き終えちゃったよ」

 

 二人が喋っている間ものび太の右手が握っているコンピューターペンシルは淡々と作業を続け、わずか3分で白紙だった用紙に達筆な文書を書き上げ、新しい用紙を出せばすぐさま次の作業に取り掛かった。

 

「でも、私達のことについてまとめる書類を道具任せっていうのは提督としてはどうなんですかね」

 

「えぇ……これを渡してきた張本人の君がそれ言う?」

 

「私はデータが欲しかったのと選択肢を与えただけですから」

 

「うぐっ……次は、次はちゃんと自分でやるから!」

 

「提督…………良い奥さん見つかるといいですね」

 

「やめて! 暖かい眼差しでそんなこと言わないで!」

 

「まあデータも取れたことだし、私は軽巡寮に戻りますね」

 

 夕張が執務室から出て行った後は右手で執筆をして終わったら筆は一時停止したのを合図に左手が用紙を変えるベルトコンベア作業が続いた。

 山積みだった書類がそろそろ半分になる頃、ほとんど意識を向けなくても良かったのでふと窓を覗く。藍色と紅が入り混じっていた空模様は濃い闇に染まり、月明かりに照らされた海は海岸から水平線まで光の道を紡いでいた。

 

「良い奥さんかぁ……」

 

 夕張の言葉を思い出しながら意中の相手のことを浮かべる。

 お下げの髪をした彼女は今どうしてるだろうか。こんなにも未来が変わってしまった今、自分と彼女が結ばれる日など来るのだろうか。

 

「はぁ……しずかちゃん──」

 

「司令官、入るわよ」コンコン

 

「とぉわっ@☆かamS#〆€!!!!!?????」

 

「なに変な声出してるのよ……」

 

 ドアを開けて入って来た秘書官叢雲の思わぬ登場に初対面なら軽く引かれ兼ねない奇声を上げてしまう。独り言もそうなのだがコンピューターペンシルの存在に気付かれないかという懸念が脳裏を過る。しかし同時にのび太は叢雲が持ってきた物に気付く。

 

「な、なんだ叢雲かぁ。見ての通りちゃんと仕事はやってるから……って、その手に持ってる皿は……」

 

「自分のツケでお忙しい司令官様のために晩御飯のカレーを届けに来たのよ、文句ある?」

 

「………………む、む、むらくもぉおおおおお〜〜〜〜〜!!!!!」

 

「なに泣いてんのよ! だらしないわね……ここに置いておくからキリのいいところで食べてさっさと仕事を終わらせなさい」

 

「え、あ〜、うん、その〜…………」

 

「何? 奥歯にものが挟まった言い方ね、言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

 

「今どうしても手が離せなくてさぁ……食べさせてくれない?」

 

「はぁ!?」

 

 勿論比喩ではない。起動したコンピューターペンシルがノルマを終えるまでのび太の右手を完全に固定してしまっているのだ。いや、それに留まらずコンピューターペンシルの支配は体全体にまで広がり文字通り席から離れなかった。

 本来の仕様ならこんな拘束はまず無いのだが夕張の技能を持ってしても22世紀のひみつ道具の完全修復には至らず、この様な弊害が度々発生するのだ。

 

「私、最終的には司令官のオシメを交換させられるのかしら」

 

「僕はまだ27だよ!」

 

「27にもなって部下に食べさせて貰う様な情けない提督は世界中探してもあんたぐらいでしょうね」

 

「うぐっ…………」

 

「はぁあああ〜…………ったく、仕方ないわね」

 

「む、叢雲ぉ! 普段はツンツンしててもデレを忘れない叢雲のそういうところが僕は好きだよ」

 

「目玉に直接ぶち込んでやろうか?」

 

「すいませんでした……」

 

「調子に乗るんじゃないわよ。ほら、あーん──」

 

 側から見れば提督と秘書官の仲睦まじい、見方によっては色恋沙汰にも捉えられる場面。無論叢雲はそんな風に見られるのが嫌なのでこんなところは誰にも見られたくない。特に彼女の長姉は煩わしいほどに突っ込んでくるので尚更だ。

 しかし女神は彼女に微笑んでくれなかったのだろうか。タイミングが悪いとはまさにこの事である。

 

「司令官、晩御飯持ってきましたよ〜。サボらずちゃんとやってますか……って」ガチャ

 

「………………」

 

「………………」

 

 カレーを持って執務室に入って来た二人目の配給者は叢雲に愚姉と評される吹雪型一番艦──駆逐艦『吹雪』

 突然の来訪者に凍りついたかの如く静止する二人だったが、沈黙を破ったのは叢雲からだった。

 

「吹雪、勘違いする前に言っておくけどこれは──」

 

「大丈夫だよ、叢雲ちゃん。お姉ちゃんは全部分かってるから。初雪ちゃんには叢雲ちゃんが朝帰りするって伝えておくね。白雪ちゃーん!!! 今日は御赤飯だよー!!!」ダダダダダ

 

 脱兎の如く廊下を駆け抜ける吹雪、と同時にゴゴゴと大量の負のオーラが叢雲から溢れ出る。

 

「む、叢雲……?」

 

「ちょっと急用が出来たからあとは自分でお願い」

 

「え、でも、僕今両手塞がってるし……」

 

「  自  分  で  食  え 」

 

「はい………………」

 

 修羅と化した彼女を止める者はもはや居らず、鬼の形相で姉を追いかけた。

 

「吹雪ぃいいいいい!!!!!! 待てやコラ────ー!!!!!」

 

「グエッ!!!??? 痛だだだだだ!!! 逆エビ固めは無理! ほんとに無理だからああああああ!!!!!」

 

 廊下から聞こえてくる悲痛な叫びを尻目に再びのび太の意識は書類の山に戻された。

 

「とほほ、結局これが終わらない限り夕飯にはあり付けないのか……まあ、大淀のカミナリが落ちないと考えればこのくらいの空腹なんて」

 

「私がなんでしょうか?」

 

「おわぁあああっ!!!??? お、大淀!?」

 

 音も立てずドアを開けいつのまにか執務室に入ってきていたのは、時には連合艦隊旗艦として、時には提督のサポートをする任務娘としての顔を持つ大淀型一番艦──軽巡洋艦『大淀』

 

「先程から廊下が騒がしいから何事かと思って来てみれば、また提督が奇天烈な道具を使って騒動を起こしてたんですか?」

 

「ち、違うよ! 僕はこの通り、ほら! 艦娘レポートを作成してるところなんだよ!」

 

「1ヶ月も納期を先延ばししてるくせに威張らないで下さい。誰が大本営に頭を下げてると思ってます?」

 

「いつもごめいわくをおかけしてもうしわけありません……」

 

「だいたい今日まで手をつけてなかったんですから、どうせ付け焼き刃の内容で…………な、なんですかこれは!? 達筆な文章でぎっしり書き込まれてるじゃないですか!」

 

「あーははは、まあ僕が本気を出せばこんなの夕飯前かなぁ……」

 

「もぉ〜、だったら最初から本気出して下さいよ。何々、駆逐艦『潮』は他の特型駆逐艦と比べ一回り豊満な胸部装甲に若干のコンプレックスを抱いてるためフォローと心のケアが必要」

 

「ほ、ほら、潮ちゃんとか一部の駆逐艦ってそういうの気にしてるじゃない?」

 

「確かに、そういう悩みを抱えてるけど中々周りに相談できない子もいるって聞きますね。部下の内面的な問題にも気を配れるとは、さすが提督!」

 

「いやあ、それほどでもないよ」

 

「えーっと他には……これは村雨さんのですね。駆逐艦『村雨』は改二改装に伴い身体的変化が著しく、胸部装甲がFカップからGカップに増長しているので下着の新調を要されたし……ってまた胸の話ですか……?」

 

「え!? い、いやほら、駆逐艦や軽巡の子ってたまに体が一回り大きくなる子とかいるでしょ! ちゃんと各々にあった服を着ないと戦闘に支障をきたすかなと思って……」

 

「なんだか尤もらしいことを言って言いくるめようとしてる気もしますが……あ、これは峯雲さんのですね。駆逐艦『峯雲』は先月駆逐艦『村雨』と外出して密かにワンカップ上のブラジャーを購入していたのを確認。これは艦娘が改装とは別に肉体的成長をしていることの裏付けであり……」

 

 読み終える頃には大淀の眉間に皺が寄りレポート用紙の両端がクシャクシャになるほど手に力が入っていた。

 夕張の修理したコンピューターペンシルがまともに機能するという保証はない以上検閲を怠るべきではないのだが、のび太はそこで自身の重大なミスに気付いた。

 

「あ、あの、大淀さん…………?」

 

 だが、時すでに遅し

 

「駆逐艦『朝潮』はここ最近になって初潮を迎えたが、自身の身に起こった現象を理解出来ず戦闘中の被弾だと誤認してしまっているため、海防艦や一部の駆逐艦には性教育を施し、ナプキンかタンポンの着用を促す必要がある。尚、私は個人としてタンポンの方が喜ばしい……ですって!!」

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 もはやグシャグシャになったレポート用紙の束は投げ捨てられ、鬼の形相となった大淀が握り拳を作りながらのび太に近づいて来た。

 

「ま、待って! これは全部コンピューターペンシルが書いたことで!!」

 

「サボってんじゃねえか!!」(正拳突き)

 

「ごめんなさい!! ブベラッ!!!!!」

 

 結局艦娘レポートは一から作り直すことになった。

 

 尚、翌朝某重巡の制作している青葉新聞には『ストーカー疑惑!? 艦娘の性事情を事細かに調べる変態提督!!』という見出しが掲載されていた。

 

 

 




水着能代素晴らしかったけど、通常立ち絵からしてもっと盛っても良かったと思うのん。むしろ盛ってください。
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