のび太の艦隊これくしょん   作:スーパーザウルス

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後編です。

さっきT字不利なのに基地航空隊の爆撃だけで6-5のオバさん沈めててワロタ。





ビッグライト③

 日は沈み、星々の煌めきが紺色に染まる闇を照らす夜空の真下で戦艦5人と空母1人が集まってた。コロラドの背の高さの都合で屋内には入れないので風通しの良い広間で食事をすることになったのだ。

 

「えーというわけで、めでたく今月のサーモン海域北方の一発攻略が成功した記念に今回のMVPであるコロラドを祝して、この武蔵が乾杯の音頭をとらせて貰おう。

 

 では皆、グラスを手に持って……乾杯!」

 

「「「「「かんぱ〜い!」」」」」

 

「プハ〜、このために生きてるってもんだなあ!」

 

「もう、武蔵。おじさん臭いからそういうのはやめなさいっていつも……」

 

「堅いこと言わずに大和ももっと食え食え。念願の肉の山だぞ」

 

「わ、私は別にそんながっつきたい訳じゃ……」

 

「ヤマートは要らんのか、ではこの肉が余が貰うことに」

 

「あ! それは私が育てておいたお肉です!」ヒョイパク

 

「ん〜、meatsもsushiもvery delicious だわ」

 

「あんた達、肉ばっか摂ってないで野菜も食べなさいよ!」

 

「ハムハムハムハムハム」

 

「って、コロちゃん一人で食べ過ぎ!」

 

「だってズイーカク、大きくなった分カロリー消費も増えたんだから仕方ないでしょ」

 

「ところでその姿はいつまで続くんだ? まさかずっとそのままというわけではあるまい」

 

「ユウバーリによると明日の朝には元の大きさに戻るらしいわ。

でも私はずっとこのままでもいいくらいよ! これ程のパワーがあればどんな姫級にだって負けないヒーローになれる!」

 

「確かに、コストは普段から出撃するような海域では過剰だが、大規模作戦の最深部では余やナガート達ですら足元にも及ばぬ戦果を期待できるだろう。今回の実戦でよく分かった」

 

「そうよ、そして私はこの鎮守府でNo. 1の座に就いてみせる。

 そうしたら……」

 

「そうしたら?」

 

「もう2度と、駆逐艦や海防艦に『コロちゃん』なんて呼ばせない!」

 

「Ah……. 気にしてたのね、それ」

 

「私が戦艦の中で1番背が低いからってあの子達、私に対する敬意が足りないのよ……! 

 特に清霜! あの子未だに私を『戦艦になれた駆逐艦』だと思い込んでるし!」

 

「あー、そのなんだ……うちの清霜が色々済まんな」

 

「まあまあ、これから活躍していけばコロラドさんに対する評価も変わって行きますよ。さあ、そのためにもどんどん食べましょう」

 

 そう言い、大和は景気良く山盛りの皿から肉をどんどん金網の上に敷き詰めていく。

 

「ありがとう、ヤマト! じゃあこのロースとバラとカルビとタンとハラミを」

 

「だから一気に取りすぎだってば! そんなにいっぺんに食べたら…」

 

 以前から異国の地の『焼肉』という食文化に興味があった(今は屋外で焼いているのでバーベキューとも言えなくはないが)コロラドにとっては火が通るごとに溢れ出る濃厚な脂の匂い、タレと白米と肉の絶妙なハーモニーのせいで食欲を抑えられず瑞鶴の忠告も右から左に流してしまい、生焼け状態の肉だろうと頬張ってしまうほどだった。

 

そんなスピードで一気に大量の食料を胃に流し込めば当然……

 

「Ouch !!!??? お、お腹が……!!」

 

 突如コロラドの腹部に強烈な痛みと便意が走った。

 

「言わんこっちゃない。大丈夫か? 明石を呼んでやろうか?」

 

「だ、大丈夫よ……わ、私はビッグセブンだもの……! このくらいの腹痛……うっ!? うぅ〜〜〜〜…………

 

 で、でもちょっとお花を摘んでくるわ……」

 

 腹部を抑えながらコロラドは席を立とうとしたが、直後に硬直した。

 

「どうした? 付き添って欲しいのか?」

 

「ねえ……私どこのトイレに行けばいいと思う……?」

 

 最初はコロラドの質問の意味がよく分からなかった5人だが、彼女の身体を見て

 

「「「「「あっ…………………………」」」」」

 

 察した。

 

 

 

 

 =================================

 

 

 

 

 その頃工廠ではのび太と夕張が損失した資源の隠蔽をするために画策をしていた。

 

「やっぱりこれだけ減った資材を叢雲ちゃんと大淀が帰ってくるまでに回復させるには明石に作らせてた例のアレを使うしかないんじゃないですか……?」

 

「バインバインか……あれだけは使いたくなかったけど、あの二人の雷が落ちるのは避けたいし、背に腹はかえられないな……」

 

 自分達の失態を何とか誤魔化そうと裏工作を目論むみみっちい二人だったが、そこに腹を抑えながら内股でゆっくり進むコロラドがなんとか辿り着いた。

 

「あ、アドミラル……夕張……やっぱりここにいたのね……」

 

「コロラド? どうしたの、生まれたての子鹿みたいな歩き方して」

 

「も、戻して……」

 

「え?」

 

「元の大きさに戻して! 大きい方が出そうで我慢の限界なのぉ!!!!!」

 

 強烈な便意に耐えていた少女は羞恥心を忘れ発狂寸前だった。

 

「お、落ち着いて! トイレなんて何処にでも……あっ」

 

 そう、のび太達は見落としていた。体積そのものが倍加した彼女に普通のトイレは小さ過ぎるのだ。

 

「早く元の大きさに戻すか私用のトイレを作りなさいよ!」

 

「って言われても、ビッグライトの解除光線はまだ出来上がってないし、幸いにも明日の朝までにはビッグライトの効き目も切れると思うから……」

 

「そんなに待てるわけないでしょ! もういいわ……工廠の中で漏出してやるんだから!!」

 

 腹痛と肛門のふんばりに闘い続けた涙目の少女はもはや正常な判断が出来ないほどに精神崩壊を起こしかけている。

 

「コロちゃん落ち着いて!! 提督、どうすれば……!?」

 

「そうだ夕張! どこでもホールが修理終わってたよね!? あれとビッグライトを持ってくるんだ!」

 

「え? でもあんなの何に?」

 

「いいから早く!!」

 

 訳を聞く時間も無かったので言われるがまま夕張は倉庫の奥にしまってたどこでもホールとビッグライトを引っ張り出して来た。

 

「よし、まずは……どこでもホール!」

 

 と言って取り出したのはハッチの付いた円盤型のマンホール。のび太はそれを工廠前の広い地面に置く。

 

「この蓋に付いたダイヤルを回して開けるとマンホールはダイヤルが指定した地底や洞窟に繋がるんだ。と言ってもまだ完全には直ってないからダイヤルを回しても毎回ランダムになるけど……」

 

 説明しながらハッチを開けると薄暗い穴から風が吹き抜けており、確かに鎮守府に穴を開けたのではなく、暗黒の空間がずっと先まで続くどこか広い地下世界に直接繋がっているのが分かる。

 

「続いてこれを……ビッグライトーーー!!!」

 

 次にコロラドを巨大化した時と同様に先程のマンホールにビッグライトの光線を浴びせ、どこでもホールの穴を広くしていった。

 

「よし、こんなもんか」

 

 満足げに作業を終えると、のび太はおもむろに穴を指差しコロラドの方を向いて

 

「さあ、コロラド。トイレが完成したよ」

 

「…………………………what's ?」

 

 コロラドの思考が一瞬停止した。

 

「あ、アドミラル……私貴方が何言ってるのか理解出来ない……」

 

「大丈夫、和式トイレと変わりないし、これだけ深い穴なら溜まることは無いと思う。多分……」

 

「こんな公衆の面前で、あんたって人はどこまでも……!! うっ!?」ギュルルルルル

 

「だって工廠が使い物にならなくなると困るし…」

 

「ほら、コロちゃん!漏らしたらビッグセブンの名が廃るわよ!他に選択肢がないんだから早く!」

 

 これぞ鬼畜所業である。これが婦女子にさせる行いだろうか? 

 しかしもう肛門括約筋が限界を迎え、夕張の言うとおり猶予は無かった。

 

「いって…………」

 

「え?」

 

「早くどっか行ってーーーーーー!!!!!!」

 

 

 

 

 

 =================================

 

 

 

 

 

「うぐっ……えぐっ……」

 

 公衆の面前で排便を強いられあまりの羞恥の念に押しつぶされ泣き噦る巨大な少女。そこにもはやビッグセブンの威厳は微塵も無かった。

 

 そんな珍事件の救援に呼ばれ大量のトイレットペーパーを輸送しにやって来たロングな金髪に葵色の瞳を持つ米国駆逐艦──フレッチャーはコロラドをあやしていた。

 

「もう泣かないでコロラドさん。さあ、一緒に寮に戻りましょう?」

 

「やだ、帰りたくない……どうせみんなに笑われる……こんな場所で野◯ソして……私なんて、どうせビッグセブンの恥さらしよ……」

 

「そんなこと言わないで、恥じる事なんて何も無いのですよ。あなたはただ一生懸命自分を高めようと頑張ってただけだもの。私はあなたのそんな直向きな精神を尊敬していますよ」

 

「うわぁああああん!!! フレッチャーーーーーー!!!」

 

 さすがマザー・フレッチャーと呼ばれるだけのことはあり、コロラドは一部分を除いて幼いその身体に泣きつきフレッチャーの包容力をその身をもって体感した。

 

「あらあら仕方ないですね。それじゃあ、今だけはビッグセブンであることを忘れていいので、このフレッチャーの胸で思う存分泣いて下さい」

 

 その胸はまさに聖母と呼ばれるに相応しいものであった。

 

「いやあ、すまないねえフレッチャー。急に呼び出しておいてこんなことを頼んでしまって」

 

「構いませんよ、提督。このフレッチャーが役立てることなら何でもお申し付け下さい」

 

「さすがフレッチャーママって呼ばれることだけのことはあるわよねえ。他の子だったらキレるかもしれない案件なのに文句一つ無くこなしてくれるんだから」

 

「フフッ、もう夕張さんったら。でも二つ間違いがありますよ。

 まず、仲間が非常事態に陥ったら艦娘はみんな必ず助けに来ます」

 

「(あぁ、なんていい子なんだ。僕のママにもフレッチャーママの優しさを分けてあげたいくらいだ)」

 

 しかしのび太は今日この日、思い出すこととなる。

 

 

 

 ママを怒らせてはいけないことを……

 

 

 

「それともう一つ……

 

 誰も怒ってないとは言ってませんよ?」

 

「「えっ?」」

 

 

 ガサガサガサガサガサガサガサガサ

 

 

 フレッチャーの目からハイライトが消えると同時に、暗闇の中から工廠に向かって複数の影が急接近して来た。

 

「なになになに!?」

 

「同胞が……友人の女の子がこれほどの辱めを受けていながら、怒らないわけがないじゃないですか」

 

「ふ、フレッチャーさん……?」

 

「ですが、今回はコロラドさん自身も承諾した上での事故ということなので、私の方からとやかく言う気はありません。だから……

 

 

 遠征組の皆さんに全てお話しておきました」

 

 

「遠征組って、まさか!?」

 

 のび太の顔が引きつると同時に茂みから四つの影が飛びついて来た。

 

「およよ? およよ? 睦月達と神風ちゃん達が集めた資源を無駄使いしたのは、どこのどいつにゃしい?」

 

「睦月!?」

 

「仕方ない子ねえ……今、如月が楽にしてあげる」

 

「如月!?」

 

「へへへ、これから殺される養豚場の豚みたいな目をして、可愛いねッ!!」

 

「皐月!?」

 

「ね〜え、こいつ殺っちゃっていい?」

 

「文月!?」

 

 大発を搭載できる睦月型改二シスターズである。

 しかしその瞳には皆が知る無垢な幼な子の輝きはなく、自分達が遠征で集めた蓄えを食い潰した愚か者への殺意に満ち溢れていた。

 

「制裁は彼女達に任せますので、私とコロラドさんはこれで」

 

「待って! これには深い訳が! ああ、うぁああああああ!!!!!」

 

 4人一斉にのび太に襲い掛かり、そのあまりにも無残な現場から夕張は今すぐにでも立ち去りたかった。

 

「わ、私は急用を思い出したので先に失礼しま……」

 

「あら〜、一人だけ逃げようなんてダメよ夕張ちゃん」

 

「た、龍田!?」

 

 突如夕張の背後から現れたのは遠征組の副リーダー──天龍型軽巡洋艦の『龍田』であった。

 

「私達が寝る間も惜しんで溜めた燃料と鋼材を湯水の如く溶かしてくれちゃって……死にたいの?」

 

「お願い龍田! 私もこんなことになるなんて思わなくて……何でも言うこと聞くから命だけは!」

 

「ふ〜ん……だって鬼怒ちゃん。このメロンどうしようかしら〜?」

 

「き、鬼怒!?」

 

 龍田の方を見るとさらに後ろから、ゆらゆらと身体を揺らしながら、一歩、また一歩と、ゆっくりこちらに近付いてくる影がある。

 

「おにおこぉおおおおおおお………………」

 

 遠征組の首領──長良型軽巡洋艦の『鬼怒』だった。

 

「おにおこぉおおおお…………!!!!!」

 

 普段はムードメーカー的な存在でおちゃらけてる彼女だが、あまりのショックからか今は眼の焦点が合っておらず、訳のわからない言動をただ繰り返してるだけであった。

 

 しかしその身に纏ってるオーラはその名に恥じぬまさに怒り狂う鬼そのものだ。

 

「ね、ねえ鬼怒……話せば分かるから、私達仲間だよね……?」

 

 その時、鬼怒の中で何かが切れた。

 

「おにおこぉおおおおおおおお!!!!!!!」

 

「いやぁああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 ================================

 

 

 

 

 翌朝、食堂にて

 

「以上が昨日起きた『ビッグライト事件』の全容です。叢雲さん」

 

「そう、私と大淀がいない間随分苦労をかけたわね。フレッチャー」

 

「いいえ、普段から提督の相手をされてる叢雲さん達に比べたら私なんて」

 

 昨日の事件の当事者であるコロラドとフレッチャー、そして嫌な予感がすると出張先の仕事を早めに終わらせ朝一で帰って来た叢雲と大淀が4人用のテーブルで朝食を取りながら事後報告をしていた。

 

「それで、あの馬鹿二人はどうなったの?」

 

「はい、提督の方は睦月型の皆さんに脚をロープで括られて海上引き回しの刑に処されたようです」

 

「西部劇で馬に引きずられる奴を海でやったのね……」

 

「でも、結構激しかったようで今朝提督の顔を見たら殴られたような痣が出来てました……ちょっと心配ですね」

 

「それくらいのことしたんだから自業自得よ。それで夕張の方は?」

 

「夕張さんは龍田さんと鬼怒さんに連れられて遠征に駆り出されてます。東京急行50周終わるまでは帰さないと言っていたので1週間程は戻ってこれないかと」

 

「これで少しは鎮守府も平和になるわね」

 

「コロラドさんもこれに懲りたら安易に提督や夕張さんの口車に乗せられては駄目ですよ」

 

「ええ、オオヨド……何事も身の丈から外れたことをしようとすると碌な結果を生まないことを実感したわ……」

 

「だいぶやつれてるじゃない。心中察するけどさっさと切り替えた方がいいわよ」

 

「だって、アオバがこの事を記事にしないわけないじゃない! そしてあんな恥ずかしいところを鎮守府のみんなに見られるんだわ……!」

 

「ああなるほど、それだったら心配いりませんよ。ほら、今日の青葉新聞です」

 

「いやあ! そんなもの見せないでえええええ!!!!!」

 

 大淀が持って来た青葉新聞を見せようとするが、すぐさまコロラドは席を立ちその場を離れていった。

 

「あーあ、朝餉くらいしっかり摂りなさいよ……それにしても」

 

 叢雲がテーブルに置かれた青葉新聞に目をやるとトップの見出しにはコロラドの一件とは全く関係の無い記事が載っており、そこに書かれていたのは……

 

 

 

 

 

 

 

『驚愕! 鎮守府に恐竜現る!?』

 

 

 

 という文面と共にオルニトミムスのどアップ写真が貼られていた。

 

「恐竜ねえ……」

 

叢雲は新聞を見ながら淹れたてのコーヒーに手を伸ばすのだった。

 

 

 





コロラド嫁の皆さん、本当に申し訳ないと思っている(メタルマン並感)


ビッグライトの話はこれで終わりですけど唐突に出てきたラストはこの後の後日談に繋がるからあともうちっとだけ続くんじゃよ

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