のび太の艦隊これくしょん   作:スーパーザウルス

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ビッグライトの後日談です。
今回はラスト手前までは青葉視点です。

最近?ヤンジャン!アプリでぬ〜べ〜NEOが無料なので見始めましたけど、ユリアって子が何処と無く朝潮ちゃんに似ているのでお気に入りです。
や、やめろ憲兵!私はロリコンじゃ(ry




わすれろ草

 〜わすれろ草〜

 花と茎があり、この道具の花の部分のにおいを嗅いだ場合、嗅いだときに考えたり思っていたりしたことを一時的に忘れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 どうもどうも青葉です〜。

 旧式重巡洋艦青葉型のその一番艦、ジャーナリズムを志すちょっとお茶目な女の子です。

 

 いやあ、毎度好評の青葉新聞ですがネタの提供元となっている司令官には感謝感激雨嵐! 

 毎日夕張さん達と変な道具を使って実験をする度に惨事を起こしてはスキャンダルに繋がるのでほんと飽きませんよねえ。

 

 しかし今日は少し記事にしづらいです。なんてたって……

 

「う〜ん、これじゃあスカ◯ロですもんねぇ……」

 

 本日もまた例に漏れず変な懐中電灯でコロラドさんを巨大化させるという珍事を繰り広げましたが、最もインパクトがあって見出しに使えそうなの写真が……

 

「コロラドさんの排泄シーンだけなんて……」

 

 朝一に食堂の掲示板に貼るのには少し相応しくない、というか青葉だって自分の新聞見ながら朝食摂るのにこれじゃ気分が優れませんよ。コロラドさんも晒し者みたいで可哀想ですし。

 

「それに青葉的にはもっと司令官のスキャンダルに繋がるような一枚が欲しいところですし……よし、司令官を監視しよう」

 

 没になった写真の束を机から退けて取り出したのは、な、な、な〜んと鎮守府中に仕掛けた盗聴器と隠しカメラから映像と音声を受信するディスプレイ! 

 

 パソコン一つで青葉のいる秘密の諜報室から鎮守府の至る所をライブ中継で覗き見できるなんて、便利な世の中になりましたねえ。

 時刻は現在マルヒトマルマル、司令官が睦月型の子達に文字通り海上を引き摺り回されてから4時間が経ってますがさすがに解放されたでしょう。

 

「さーてと、司令官の現在地は……お、執務室にいるじゃあないですか」

 

 パソコンの画面を執務室の映像に切り替え……

ってうわあ、ずぶ濡れになった上着とズボンを部屋干ししてパンツ一丁で机に向かってるよこの人……。

 

『ブエックショイ! ……ぶるる、やっぱこの時季にパンイチはキツイなあ。でもこの書類を明日までに片付けないとまた叢雲にどやされるし、眠気覚ましには丁度いいか』

 

 それで風邪引いたらどうするんですか、全くこの人は……

 

 私が……もとい艦隊のみんなが心配するでしょうに。

 

 にしても服を着てると分からないですけど見かけによらず結構いい身体してますねこの人。

 

《半裸で執務室に蠢く変態司令官》

 

 ってタイトルの記事を書こうかと思いましたけど、このショットはみんなの目には毒なので青葉の秘蔵写真としてしまっておきましょう。

 

 他にもっとスキャンダラスな絵面は……

 

『ガタガタ……ガタガタ……』

 

 えっ、何? 窓を叩く音? カメラの死角になってるけど、外に誰かいるんですか? そこ三階ですよ。

 

『のび……君……久し……だね』

 

 よく聞き取れないけど司令官の声じゃない……! やっぱり執務室の外に誰かいるんだ……まさか敵!? 

 

『き、君は……バンホーじゃないか!』

 

 司令官の知り合い? とにかくもっとカメラを寄せて──

 

 

 

 ──────ブツン──────

 

 

 

 突然カメラの映像が途切れた!? 

 

「ちょっと!? 肝心なところでなんで切れるんですか! もう、高いお金出してメンテも月一でやってるって言うのに〜!!」

 

 司令官! 司令官は大丈夫なの!? 盗聴器は生きてるけど部屋の中は今どうなって……

 

『いや〜、久しぶりだね。子供の時以来か。懐かしいなあ』

 

 どうやら切羽詰まった雰囲気ではないですね……司令官の昔馴染みみたいですが。

 

『なんでパンツ一枚なのかって? それはきかないでくれ……

 

にしてもどうして急に僕のところへ? 

 

 え? どこでもホールを登って来たらここに? 

 

 へ、へぇ〜……あの穴、バンホーの私有地に繋がってたんだぁ……

 

 つまりコロラドのあれが全部君の庭に……

 

 え!? 最悪国際問題!? ま、待ってくれ! 悪気は無かったんだ! 

 

 え? 今回は僕らの友情に免じて? そうだよねえ〜、僕と君の仲だもの……

 

 え? 代わりに一発殴らせろって……まあ、うん。今回はこっちに非があるんだし、それで済むなら越したことはないよね……

 

 じゃあ心の準備が出来るまでお茶でも……待って! せめてビンタにして──

 

 痛ったあああああああ!!!!!』

 

 あ、今殴られましたね。でも命のやり取りをしてるわけではなさそうです。

 

『痛たた……とりあえずこれでチャラってことだね…。

じゃあ改めて、久しぶりだねバンホー。ローは元気にしてる? せっかく来たんだし君の身の周りや故郷の話を聞かせてよ。

 

 あっ、ちょっと待ってね────ブツン』

 

 あ、あれ? 何も聞こえなくなった。盗聴器まで故障なんてこんな偶然……

 

「まさか司令官が切った……!?」

 

 そうですよ、普段は故障することなんてまず無いのにこんな都合よくしかもカメラとマイクの両方が壊れるなんて有り得ない! 

 だとしたら答えは司令官がとっくにその存在に気づいてて電源を切ったとしか考えられません。

 

「司令官いつから気づいて……いえ、それよりも重要なのは、司令官がそこまでするなんて何故?」

 

 いつも青葉にスクープとか撮られ放題で隙だらけのくせに今回に限って何故? 

 この前なんてうちの鎮守府に視察に来た大将が司令官に『金をやるから慰みモノに使える艦娘をいくつか寄越せ』なんて迫ってきたら、執務室でその大将をボコボコにしたスキャンダルがありましたけど、その時すらカメラや盗聴器は全くいじらなかったのに……

 まあ、その大将は後で青葉が脅しをかけて口封じしておいたので外部に漏らすことはないでしょうけど。

 

 つまり、それ以上にもっと……絶対に知られたくない密会。

 

 と、なれば青葉の取る行動はたった一つ……

 

 

「ヒャッハーーー!!! 特大スクープが目の前ですぜえ!!!」

 

 

 こんな特ダネ私のジャーナリズムが放っておける訳ないじゃないですか! 

 一見ヌケサクだけど、謎に包まれた所がある司令官の秘密を握るチャンスでもあります。

 

 ここからなら執務室までそう遠くない。急げばまだ間に合う────

 

『グルル…………』

 

「!?」

 

 なに……? 今窓の方から唸り声が……

 何か大きな動物がいるような気配がする……

 怖いけど、カーテンを開けて確かめないと……。

 

「ヒィッ!?」

 

『ガヴ!?』

 

 こ、これは!? 

 爬虫類のような質感の肌、長い尻尾と屈強な後ろ脚の二足歩行、図鑑でしか見ることは出来ないすでに地球上から絶滅したと言われてる太古の生物────恐竜!? 

 

「あ、あ……」カシャ

 

 悲鳴を上げたり何故ここに恐竜がという思考が働くより先に、シャッターを切っていたのはさすが青葉と自画自讃すべきとこでしょうか。

 

『!! グエェーーー!!!』

 

 フラッシュに驚いたのか、恐竜──確かあれはオルニトミムスという種だったでしょうか、雄叫びを上げてどっか行っちゃいました。

 

「ふあぁ……ビックリしたぁ……」

 

 こんな急展開誰が予想できますか。一体あの恐竜は何だったのでしょう。

 

「まさか、あれも司令官が!?」

 

 ありえない話では無いです。とにかく今は執務室に向かわなければ。

 

 

 

 ===================================

 

 

 

「司令官! 洗いざらいキッチリ話して貰いますよ!」バン

 

「キャーッ! 青葉さんのエッチ!」

 

「エッチって、自分からパンイチになったんでしょうが!!」

 

「もう、ノックくらいしてよ。着替える時間も無いじゃないか」

 

「そんなことより司令官、ここで……話してた人がいなくなってますね」

 

「人? この部屋には僕一人しかいなかったよ」

 

「誤魔化そうとしても無駄です。それにこの恐竜は何なんですか!」

 

「へえ、よく出来た合成写真だね。本物そっくりだ」

 

「……なるほど、あくまでシラを切るおつもりですか。では、こちらにも考えがあります」

 

「???」

 

「今ここで大声で人を呼びます」

 

「えっ!? ちょっと待って! それは……!」

 

「部屋にほぼ全裸の男と艦娘一人……何も起きないはずもなくというのが普通の思考。ここで私が誰かに助けを求めれば、司令官の信用は地の底に落ちます。

 

 最も忠誠を誓ってる朝潮ちゃんも七夕の短冊の裏に『大きくなったら司令官のお嫁さんになりたい』と密かに書いてた択捉ちゃんも、汚物を見るような軽蔑の眼差しをあなたに向けるでしょうねえ」

 

「や、やめてくれーーー!!! あの子達は僕に残されたオアシスなんだーーー!!!」

 

「じゃあ話して貰いましょう! 先程までここにいた人物は誰なのか! その人のこと全てを!」

 

「…………分かったよ、青葉。

 まだ時期が早いと思ってたけど、仕方ない」

 

 机の引き出しから何か……え? 引き出しの板の下にさらにスペースが? 

 青葉それ知りませんでした。

 そして司令官が取り出したのは……花? 

 

「何ですか、その花?」

 

「この花には真実が隠されてる、持ってごらん」

 

「うーん、ただの花みたいですが……ちょっと良い香りがするだけの。

 それより司令官が直接話せばいいじゃないですか!」

 

「何のことについてだっけ?」

 

「何のって、そんなの勿論……あれ? 何でしたっけ?」

 

「その写真の恐竜のことじゃないかな?」

 

「恐竜……? そう! 恐竜、恐竜がいたんですよ! 

 あれ? 恐竜だけだっけ……」

 

「悪いけど僕は知らないなあ。もしかしたら夕張がまた何か道具の実験をしたのかも」

 

「そう…ですか」

 

なんでしょう、この頭の中のパズルから大事なピースを失ったような感覚は…。確かに部屋の窓から恐竜を見たんです。

でも、もっと重大な何かを掴んだような……

 

「……まあいいです。もう遅いし眠くなって来たので青葉は戻ります」

 

「そうだね、お休み」

 

「お休みなさい司令官。ていうか、服来てくださいよ! 古鷹呼びますよ!」

 

「お願い! それだけは止めて!」

 

 全くあの人は、風邪を引いたらどうするんですか……あ、でも結構良い身体してたし写真に撮っておけば良かったなあ

 

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「ごめんね、青葉……まだ、君らに知られる訳にはいかないんだ」

 

 

 

 







ビッグライトの話を作ってる途中で、「なんかもう少しドラえもん要素欲しいな」と思ったので入れてみました。

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