規格外な教祖様と究極の自由人も異世界から来るそうですよ? 作:凡人EX
それでも無謀にも挑戦した凡人の作品です。
晴天の中に映える豪奢な館。その大広間では、多数の人間が一人の少年に跪いていた。
老若男女問わず、その者達は白いローブを纏っており、何か祈っているようにも見える。
と、先頭で祈っていた、虹色に輝く神々しい白髪に深い蒼の瞳を持つ少年が、立ち上がって振り返り、両手を広げる。心から楽しそうな笑顔を作り、高らかに告げる。
「人よ!! 人として生きるものよ!! 我らが神は全てを楽しむ!! 故に、我らも命を楽しむべきであろう!! 」
「人よ!! 我が愛する人々よ!! 快楽を楽しめ!! 苦難を楽しめ!! 自由を楽しめ!! 恐怖を楽しめ!! 我らが神はそれを望む!! 神は、全てを楽しむ者にこそ資格を与えるのだ!! 」
昼過ぎ頃、館の廊下を歩く少年。そこにお付らしい老人がすれ違う。
「お疲れ様でした、神夜様」
「おや、爺やじゃないか。体は大丈夫なのかい? 」
「ええ、お陰様で。私めに神が施してくださったようでございます」
「ああ、それはいい。病を楽しむこともまた我らが神の望むことだよ」
「はい、常に全霊で楽しまさせて頂いております」
万象悦楽教。
神は、命ある物を楽しませるために世界を創り、そして楽しむ様子を見て神自身も楽しむ。
故に、命ある物は全てを楽しむ必要がある。途中が苦しかろうと、最後に楽しければ良しという信条を持つ。
ただし、他人の楽しみを奪うことは神に背く事となるなど、色々な制約があるがしかし、万象悦楽教が世に出てから世界が平和になったことに変わりがない。
そして、その創設者たる彼は、豪奢な館を建て、そこを中心に活動している。
「ところで教祖様、お手紙が届けられていました。お読みになられますか?」
「勿論だとも! 悩める命からの相談かもしれないからね 」
「左様ですか。では……こちらになります」
こういって爺やが差し出したのは、一通の封書。彼の名前があるだけで、差出人の名はない。が、気にせず受け取る。
「ありがとう……爺や、どうやら僕は呼ばれているらしいね」
「と、申しますと? 」
急に自身が呼ばれているという少年。そんな彼の言葉の意図が汲み取れず、聞き返す爺やに、神夜は朗らかに笑う。
「ハハハ、まあ、僕はしばらくいなくなるということさ。清吾君に全てを託すと伝えておいてくれ」
「……なるほど、そういう事ですか。承知しました。お気をつけくださいませ」
「勿論だとも。……あぁ、我らが旅路の先に、神の加護がありますよう」
そうして神夜は、穏やかな笑みを浮かべて封を切る。
海王星付近。本来はありえない物が浮かんでいる。
(……クッソ寂しい上にクッソ寒い)
宇宙服も着ず、しかしただの肉塊というわけでもなく。ただただ人間が浮いていた。
(誰にも言わずにこんな所来るもんじゃないな……言ったところで追いかけるなんか無理か)
星から星への旅行が簡単……どころか他の惑星へ移住することが容易になったとはいえ、流石に生身で海王星までやってきた者は、彼の知る限りではいない。
(しかし、意外と持つもんだな。一週間ぐらいで終わるかと思ってたが……)
黒い髪に金の瞳、“I am freedom”と書かれた白いTシャツと短パン、少しボロいマントという身なりをしている少年、
(いい加減暇になってきたな。浮いてる物でサッカーとか野球とかしてたけど、流石に限界だな……身体はまだまだ持ちそうなのが我ながら恐ろしい)
その場でクルクル回転する唯斗。宇宙遊泳も慣れたものである。
この少年、産まれた頃から言葉を発し、空を飛び、壁をすり抜け、火山に潜っては氷山に埋まり、深海で宝を探したり。
つまりは気の赴くままにやりたい放題していたのだが、地球にてやれる事をやり尽くして宇宙に飛び出した。
が、宇宙もまた遊び尽くし、今度こそやることが無くなったようだ。
(……ん?)
ふと、錐揉み回転を止めた唯斗。自分以外の異物が宇宙空間に浮かんでいるのを見つけたからだ。
(何だこりゃ、お手紙ですか?)
手に取ってみると、彼の名前が書いてある封書だった。
(……え? 何? アイツら遂に物理的距離をガン無視して手紙を出す技術でも確立したのか? その頭もっと別のところで使えよ)
などと心の中では毒づいているが、その顔はどこか嬉しそうだった。
(まあ、誰が送ってきたとかそんなのはどうでもいい。問題は俺が楽しいかどうかだよなぁ!!)
どっこい一転ものすごく獰猛な笑みを浮かべ、封を切る。
悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの“箱庭”に来られたし
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