ストライク・ザ・ブレイヴ   作:黒丸助

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息抜き感覚で作っちゃいました。




聖者の右腕
episode 01


たった一つの願いの為に闘い続け、

 

 

 

 

 

 

そして、圧倒的で理不尽なまでの悪意によって、

 

 

 

 

 

 

俺は…………すべてを失った。

 

 

 

 

 

 

闘いの果てに心を通わせた仲間たちも、

 

 

 

 

護りたかった…たった1人の■■■■も、

 

 

 

 

ナニもかも俺の掌からこぼれ落ちた。

 

 

 

 

「………俺は……………地獄にいる…」

 

 

幼い俺は、漆黒の大鎌を取りこぼし、

“仲間たちであった肉塊”の上で絶望の淵へと叩き落とされていく。

 

 

 

 

たった一つの願いを叶えたかっただけなのに、その願いを叶えるどころか全てを奪われた少年は、復讐の業火を胸に秘め、闇へと消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

 

 

“絃神島”──太平洋のど真ん中、

東京の南方海上三百三十キロ付近に浮かぶ人工島。ギガフロートと呼ばれる超大型浮体構造物を連結して造られた完全な人工の都市。総面積は約八十平方キロメートル。総人口は約五十六万人。

暖流の影響を受け、気候は穏やかで、冬でも平均二十度を超えるため、絃神島はいわゆる常夏の島。

学究都市である絃神市は、製薬、精密機械、ハイテク素材産業などの、大企業や有名大学の研究機関がひしめき合っている。

加えて、この島は少々特殊なところもある。

 

“魔族特区”

それがこの絃神市のもう一つの名。

獣人、精霊、半妖半魔、人工生命体、そして吸血鬼……この島にはそれらの人類によって数を減らした魔族たちの存在が公認され、保護されている。

一部の通常の街と異なることがあるものの、そんな街でも彼らの口からは、たわいもない噂を語る。

 

その一つが、“第四真祖”──不死にして不滅の存在。

 

一切の血族同胞を持たず、支配を望まず、災厄の化身たる十二体の眷獣を従える世界の理から外れた冷酷非常な吸血鬼。

 

 

もう一つの噂は、第四真祖よりも認知度は低い上に多くは広まってはいない。その存在は突然になって現れたのだが、その実態、その目的、その存在理由が不明とされる謎の多き吸血鬼。その実力は真祖をも超え、一体一体が星々の加護を受けながら災禍の力を持つ十三の眷獣を従える最悪最強の吸血鬼。

神々が持つ神格を持ちながら、総てを無に返し、敵対する者達を絶望の淵へと叩き落とす正に“意志を持った災害”。

 

真祖でありながら、真祖ではなく、

 

神格を持ちながら、神ですらなく、

 

故に人々は、その存在をこう称する

 

 

 

星獣たちの主————光導の顕主(ゾディアス・ノート)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八月最後の月曜日。天気は快晴。

 

 

少々赤みが加わり始める空の下、猛烈な陽射しが窓の外から射し込む中で1人の少年はグッタリしていた。

 

 

「あ゛ぁ……暑い…焦げる…灰になるぅ…」

「確かに、今日の暑さはキツいな〜」

 

午後のファミレスの窓際のテーブルにぐったりと突っ伏しているのが、噂の第四真祖こと(あかつき) 古城(こじょう)である。そんな彼の嘆きに同意するのは、ドリンクバーで汲んできたアイスコーヒーをちびちびと飲んでいるのが、彼の友人である夜叉神(やさがみ) 零樹(れいき)

古城は制服姿の高校生の上から羽織ったパーカーを除けば特徴というべきものは特にないどこにでもいる高校生ではあるが、パーカーから覗くやや色素の薄い髪の毛が少々目立つくらいしか特質した所はない。

対する零樹は、少々ボサボサな髪をし黒髪黒目といって古城以上に特徴はなく、眠たげな瞳が少々死んでいる所以外は普通の少年である。

 

「今、何時だ?」

 

そして、殺人的とも言える日差しをヤラレている古城の呟きを聞き取ったのは隣にいる零樹以外の友人だった。

 

「もうすぐ四時よ。後三分二十二秒」

「……なんで俺はこんな大量に追試受けなきゃならねーんだろうな」

 

古城の机の上には山積みになっている教科書の数々。古城が追試を命じされたのは、英語と数学二科目ずつを含む合計九科目。プラス、体育実技のハーフマラソン。それは総てを夏休み最後の三日間で処理するという羽目にあっている。

 

「————ってか、この追試の出題範囲ってコレ!広すぎだろ!こんなのまだ授業でやってねーぞ。うちの教師たちは俺に恨みでもあんのか!!」

 

古城の叫びを友人である真正面にいる男子と女子は呆れている。

 

「いや……そりゃ、あるわな。恨み」

 

そう答えたのは短髪をツンツンに逆立てて、ヘッドフォンを首に掛けた男子生徒———矢瀬基樹。

 

「あんだけ毎日毎日、平然とサボられたらねェ。舐められているって思うわよね。フツー……おまけに夏休み前のテストも無断欠席だしィ?」

 

そして、その横に座りながら爪を手入れなどをする華やかな髪型と、校則ギリギリまで飾り立てた女子生徒—————藍羽浅葱が笑っていってくる。

 

「……だから、あれは不可抗力なんだって。いろいろ事情があったんだよ。だいたい今の俺の体質に朝一はつらいって、あれほど言ってんのにあの担任は……」

「俺はある程度の出席日数は取っているし、成績の方も問題ないからな」

「だとしても、授業中に寝るのは止めた方がいいわよ。一部の教師は零樹のこと敵視しているし」

 

「仕方ないだろ。ウチの横暴な家主の際で、関係ない書類整理とか深夜にやらされている身だぞ、俺は。よって、この寝坊助と違って正当な理由がある」

 

零樹はある人の家に居候しているのだが、同居人である家主は事あるごとに彼をこき使うため睡眠時間をゴリゴリに減らされてしまうのだ。加えて、零樹は家事も行なっているので遅寝早起きなのである。

 

「……理不尽だ。俺は朝は起きれないっていう体質だって言ったのに……」

「朝起きれないとか……随分自堕落した生活だな」

 

余計なことを口走る古城を零樹は睨むのだが、本人は視線に気づき慌てて飲み物を飲む形で逃げる。ちなみに、零樹は古城が第四真祖であることを知っている数少ない人物の内の1人でもある。

 

「体質ってなによ?古城って花粉症かなんかだっけ?」

 

浅葱が不思議そうな指摘に古城が唇を歪め、密かに零樹は古城の足を踏みつける形で注意する。

 

「イッヅ!つ、つまり夜型っているか、朝起きるのが苦手っつうか」

「それって体質の問題?吸血鬼でもあるまいし」

 

「だよな……はは」

 

実を言うと古城は零樹の事は吸血鬼でありながら、攻魔師であること以外は知らない。古城自身は色々謎が多いことには薄々気づいているが友人として接してくれる零樹を信じ、彼の方から話してくれることを待つことにしている。

 

時は流れ、零樹の代金を立て替えて貰った古城は、先ほどから全く日差しの強さが弱まらないことに嘆く。

 

「──にしても、この暑いのだけは勘弁してくんねぇかな、くそっ」

「激しく同意するよ」

 

パーカーのフードを目深に被って、陽射しを遮る古城は、暑さのせいで普段以上に眼が死んでいく零樹に同情と心配ゆえに労りの言葉を述べる。

 

「その…いつも以上に眼どころか表情まで死んでねぇーか。零樹もなんか被りゃいいじゃねぇか?」

「まぁ……そうだんだけど。お前とキャラが被るし、フードなんて被ると俺のクセ毛が静電気でエライことになる」

 

「はは、確かにコレ以上にボサボサになるとアフロにでもなりそうだわな」

 

ファミレスから古城と零樹の自宅までは、市内を走るモノレールで十五分ほどの距離なのだが、古城の残り少ない金を消費しないために歩くという選択肢を選んだ。じりじりと肌を焦がす夕日を浴びながら、海沿いのショッピングモールを歩いている中で、何気ない仕草で背後を確認する。

 

「尾けられてる……んだよな?」

「バレバレだがな」

 

二人から十五メートルほど離れた後方を、一人の少女が歩いている。ファミレスから出た時に見かけた、ベースギターのギターケースを背負った年若い少女。加えて、彼女の制服は先ほどまで一緒にいた浅葱のものと似ているが彩海学園の女子の制服である。襟元がネクタイではなくリボンになっているという事は、中等部の生徒ということで間違いない。

 

彼女の目的はわからない上に古城と零樹のどちらかを尾行しているならば、どちらかの正体を知っていることになる。それがどちらもなら最悪の状況になる。

 

「……凪沙の知り合いか?」

 

古城の言葉のすぐ隣にいる零樹に確認を取るのだが、

 

 

「………………………」

 

返事がない。

不審に思った古城は零樹に視線を戻すが、

 

「…………おい、零樹聴いてぇ…いねぇ!!アイツ逃げやがったなぁ!!」

 

 

零樹の姿は何処になく、影すらなくなっていたのだ。

そう、古城の言う通り零樹は彼が少女に視線を向けた後に一瞬の隙を突いて物陰に逃げたのだ。

 

 

 

♪♪♪〜♪

メール着信音が聞こえ、イライラした表情をしたまま古城はそのメールを開ける。

 

 

 

『零樹

 Re:メンドクサイからニゲル☆

 

 ガンバって彼女の正体を掴んでみてね♪

 ちなみに俺はもう分かっていまー(=^▽^)bース‼︎

 ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

 シェイク♪シェイク♪』

 

「あの野郎!!分かってんなら教えろよ!!あと、メールの時だけテンション高くすんな!コェーヨ!!」

 

 

ここにはもう居ない友人の代わりとして携帯の画面に向かってツッコミを入れるのだが、側から見ると突然1人で叫ぶ変人にしか見えないため通行人から変なモノを見るような視線を古城は受ける。視線に耐えれなくなった古城は赤面のまま早足でその場に後にし、追手の少女から逃れるためためゲーセンへ向かう。

 

そんな時に先程同様に零樹からメールが届く。

 

『零樹

 Re:通行人に変な目で見られたネ☆

 

 マァマァ♪(´ε` )

 そう言わずに気楽にやろーZE♪

 ちなみに俺は離れた所でお前たちを見ているヨ☆

 探してみね(*´ω`*)』

 

「……………もうツッコミまねぇーぞ」

 

うんざりした顔をして携帯をポケットにしまいこみ、古城はゲーセンの中へと入っていく。後に、罪悪感から出てしまうことになるのだがそちらは次のお話で。

 

 

 

 

場所は変わり、とあるビルの屋上。

その上にて、古城と彼を尾行する少女を遠目から観察している零樹は携帯である人と話をしていた。

 

「如何やら獅子王機関の連中も動き出したようだぞ」

『チッ、お前は兎も角として暁のバカは未だに自衛も出来んから色々と面倒なことになりそうだ』

 

「それに恐らくだが、あの尾行の下手さからして恐らくは獅子王機関はあの子を古城への撒き餌もしくは首輪にするつもりだな………あのクソどもなら…やれ世界のためだ、平和のためだと御大層な詭弁でことを進める気だろうな。ただでさえ、俺はこの島に引き籠るために力を封印したのにな」

『連中も連中でいつの日か、力を取り戻したお前への対抗手段として暁を使うつもりだろう。ただでさえ、お前とヤツらは犬猿の仲だからな…せいぜいヤツらの安い手にお前も引っかかるなよ』

 

「りょうかい…気をつけておくよ、那月」

 

自身の保護者でもある通話相手である南宮(みなみや) 那月(なつき)の刺を含む物言いに呆れつつも、いつも自分の身を案じてくれる彼女に内心感謝しながら通話を切る。

 

そして、古城の後を追うように困惑げにゲーセンの前で立ち往生している少女———姫柊(ひめらぎ) 雪菜(ゆきな)に対し、零樹は何処か悲痛な視線を向ける。

 

 

「………お前だけは…この島に来てほしくなかったよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………………………………雪菜」




いかがだったでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです。
それでは次回もお楽しみくださいませ。

ちなみに主人公のイメージキャラはコードブレイカーの弁当くんです。分からない方は是非検索して見てみて下さい。
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