お久しぶりです!
鬼滅にハマりつつも執筆作業は進めていました!
ようやく納得の行く形で纏められましたので更新します。
オシアナス・グレイブの船内に設置されているホールに零樹、古城、雪菜と紗矢華はヴァトラーに案内され、中央のテーブルを囲むように腰を下ろしていた。腰を下ろしたヴァトラーはワインを持ち、対面に古城、雪菜、紗矢華、零樹は立つ
「さっきの気配は、
「……アンタ…
古城は、先ほど攻撃を仕掛けてきた張本人であるヴァトラーを困惑の表情を浮かべるものの鋭く睨みつけるが、ヴァトラーはそんな視線を心地よく想うかのように爽やかな笑みを浮かべる。ヴァトラーの見た目は、二十代前半の青年だが、その本性は永い年月を生きてきた旧き世代の吸血鬼の1人であるため古城の知らない第四真租の眷獣の知識を持っていても不思議はない。
「
「黙れ、変態クサれ蛇」
「釣れないネェ〜。あんなにも僕と君は燃え上がったじゃないカ。あと、君に蛇扱いされたくはないネ」
「うるせぇ、土に帰れか、キイのところで引き込もれ。後、あの時物理的に燃えていたのは、お前と周囲だけだ。俺は物理的にも精神的にも燃えていない。過去を偽装するな、ドブ男」
古城の霊媒と思しき人物へ視線を送ろうとした所で、正面の零樹から凄まじい殺気を受け、ヴァトラーはより一層口上を上げ、獰猛な笑みを浮かべ始める。唯ならぬ空気を出すヴァトラーと零樹の関係を疑問に思う古城であったが、アヴローラという先代の第四真祖に関する言葉が、自身の頭を痛みで歪ませる。
「おい……あんたとアヴローラ……どういう関係なんだ?」
古城は頭痛に耐えながら、ヴァトラーに問いかける。対するヴァトラーは芝居がかった仕草で胸に手を当て、懐かしげに眼を細めながら語り出す。
「最初に言わなかったっけ? 僕は彼女を愛しているんダ。永遠の愛を誓ったんダヨ。要は、血が強ければいいのさ。 だから僕は、彼女の血を受け継いだ君に愛を捧げよう!」
「待て待て待てっ、なんでそうなる!? それに、オレは男だ!」
「そうか、なら話は早い。古城はくれてやるから帰れ。キイのクソジジィにも余計なちょっかいを出しにくるなと伝えろ」
「ふふふっ、相変わらずウチの爺さんに対してもその言い方……君はいつでも僕を惚れ直させてくれるヨ。それに愛しい君から愛の贈り物なら僕は喜んで古城をモラおう♡」
「ふざけんなよ、零樹!!なに、ダチを売ろうとしてんだよ!!あと、お前も両手を広げてにじり寄って来んな!!」
「そうですよ、夜叉神先輩!何を考えているんですか!」
「(暁古城がアルデアル公の下へ来れば、必然的に監視役の雪菜アルデアル公の下つまりは私と一緒にいられる!!……素晴らしいッ!!)」
「別に良くね、古城の命1つで俺の平穏が保たれるのなら……俺は喜んで古城を差し出す!!」
古城を生贄として差し出そうとする零樹に古城と雪菜は抗議の声を上げ、紗矢華は1人で妄想に耽っており、ヴァトラーは嬉しそうにする。場は完全に混沌と化している。
立ち上がって両手を広げて近づいてくるヴァトラーから身の危険を感じた古城はすぐさま後方へ跳び、割りと最低な事を口走る零樹へ怒鳴る。
「ざけんな!あと、あんま余計な事言うな!話が進まねぇーだろ!!」
「ちっ、めんどくせぇ吸血鬼どもだ。ったく、おいヴァトラー、さっさと俺達を呼んだ要件を言え。そして、灰になれ」
零樹の言葉を受け、残念そうにヴァトラーはまるで降参するかのように両手をを上げ、わざとらしい溜め息を吐く。
「はぁ、僕は愛しの第四真租と愛を語ろうとしているのに、僕の零樹は即急すぎるナ。ま、そんなキミもイイけどネェ♡」
「黙れ。それ以上くだらない事を言ってみろ。お前の指を変な方向に折り曲げてケツに突っ込んでやる」
「ふふふ、僕としては、今の君との
「だれがオマエなんかと」
だが、次のヴァトラーの言葉で場の空気が一変する。
「マザー・コア」
「なっ!?」
はじめて聴いた単語に古城たちは首を傾けるが、ただ1人———
「貴様ァ!何処でソレを知った!!今すぐ答えろ!!!」
「さぁ、長生きしている僕は忘れやすくてね。割らせてみるかい?」
「「「ッ?!」」」
ヴァトラーの言葉によって先程とは天と地ほどの差を感じさせる殺気を零樹は発してしまう。零樹の殺気を直接当てられていないにも関わらず、古城と雪菜と紗矢華の3人はまるで自分の体重が何倍にも増大したかの様な感覚を覚える程に重圧を受ける。対するヴァトラーは、直接殺気を受けているにも関わらず冷や汗1つ流す事なく、先程よりも好戦的で挑発的な笑みを深く浮かべる。
「ふふふ、やっぱり君は
「
先程の激情が消えた零樹は絶対零度と思わせる程に冷たい表情を浮かべると、彼の影から毒々しい紫色の瞳を持った漆黒の蛇が幾つも出現する。そして、零樹は虚空から漆黒の刀を召喚し臨戦態勢へと入る。古城達は急いで止めなければと思うが、零樹の殺気の重圧によって動く事がままならない。
「フッハハハハ!!いいね!!最高だよ!零樹!」
対するヴァトラーは、古城達に挨拶がわりとして放った眷獣とは異なる途轍もない魔力を纏った金色の蛇を召喚する。今まさに、絃神島を破壊しかねない2つのチカラがぶつかり合うと、その場にいた誰もがそう思った。
「いい加減にしなさい、零樹」
「っ!?霧葉か…」
が、しかしヴァトラーと零樹の間に1つの影が割って入った。
影の正体は、三叉の槍を持った胸元が薄い生地で隠された漆黒のドレスを来た美少女であった。槍の鋒を向けてくる少女の顔を見た零樹は一瞬だけ驚くものの直ぐに冷静さを取り戻したのか、黒い蛇と刀を戻し殺気を解いた。
「悪かった。流石に
「貴方の楔であるのが、太史局から遣わされた監視役としての私の役目よ。まぁ今回は珍しく素直だから大目に見てあげる」
「「太史局っ?!」」
「誰だ?」
「やれやれ妓崎嬢のおかげで、零樹の殺気も無くなっちゃったカ。余興はお開きだね」
三叉の槍を持った少女———
「おやおや、パートナーの私がお花を摘みに行っている間にお二人で盛り上がらないでくれますか?」
そんな殺伐と空気が一変したのを見計らったかのように、ピエロを思わせる奇妙な白いスーツやマントを着た怪しい雰囲気を全身に漂わせる色白の中年男性が新たにデッキに上がってきた。
「あら、ソレはごめんなさい。零樹がアルデアル公にキレるから監視役である私が止めないとね。そこにいる獅子王機関の子達じゃ無理だから尚更ね」
「確かに
「ソレは申し訳ない事をしたね、ストラウス卿。愛しい零樹があんまりにも熱烈だからツイね」
「…お前はもう喋るな。アクア・エリシオンを完全に解放したからこの島に来るとは思っていたが、霧葉と同伴してくるとはな。天王星———デルエス・ストラウス…全く、相変わらず人を白けさせる格好だな。後、おっさんの癖に花摘みにとか言うな。男性の場合は雉撃ちだ」
ヴァトラーの悪びれる様子にない態度に深々とため息を吐く零樹は、意味深な笑みを送ってくるデルエスに容赦ない返しをする。
「な、なぁ零樹。この人たちは誰なんだ?全く話に付いて行けないんだが」
「そうですね。太史局からの監視役が居たなんて初耳ですよ、夜叉神先輩」
「まぁ零樹からすれば私との関係は、そうそう人に明かせないものね。はじめまして、姫柊雪菜さん、煌坂紗矢華さん、そして第四真祖暁古城。私は、獅子王機関とは別の太史局という組織の剣巫であり、零樹の監視役よ。以後お見知りおきを」
「誤解を与えかねない言い方をするな。コイツは、俺と獅子王機関が死ぬほど仲が嫌悪だから太史局って言う政府の国家公安委員会内に設置された特務機関だ。まぁ、コッチは人為的な魔導災害より自然よりの方だが、俺の存在的には自然よりと言えば自然よりだから都合が良いんだよ」
古城達の視線を背中に受けた零樹はどうにかしろと言わんばかりの視線をデルエスと霧葉へと送る。すると、霧葉はワザとらしく零樹と腕をくみながら好戦的な笑みを雪菜と紗矢華へと送りつつ、古城にもわかるように丁寧に自己紹介を行った。霧葉に腕を組まれているにも関わらず顔色一つ変えない零樹は、彼女の補足説明を行った。そして、霧葉の後を続くようにデルエスはワザとらしくマントを大袈裟に翻し、帽子を持った右手を自分の胸部へと持って行き、平伏した姿勢で古城達へと自己紹介を行う。
「はじめまして、第四真祖を継承せし暁古城殿。私は、先代の
「先代!?」
「
「あくまで先代の話だ。俺とは敵対関係だから気を許すなよ」
「さて余興と自己紹介も終わったことだし、場所を移そうかナ」
「アルデアル公、アレを余興で済まさないで下さい。心臓に悪いです」
パンと両手をワザとらしく叩き、古城達に手招きをするヴァトラーにげっそりとした表情で紗矢華はツッコミを入れるのであった。
のちに、古城はヴァトラーが言った言葉の本当の意味を知る事となる。
だがソレは、
はやくミラージュの3話目が見たいです。
ガレットとリインとの対面が待ち遠しいです。だって、白の王と緑の姫いえ、百瀬兄妹の声と一緒ですからね。
ちなみに、オリキャラであるデルエスのイメージキャラは、青エクのメフェスト理事長です。