ストライク・ザ・ブレイヴ   作:黒丸助

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ふとバトスピを見返して思いました。
百瀬兄妹が切なすぎる……………泣いた。


episode 05

古城が雪菜たちの戦闘に乱入する少し前。

零樹はマシンビルダーの最高速度で向かっていると、突然の殺気を感じ取り急停止する。そして、懐から拳銃を取り出し殺気を向けてきた相手に銃口を向ける。

 

「無防備の相手に拳銃とは。随分と臆病になりましたね、夜叉神零樹いえ、こう呼べばよろしいのでしょうか————?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———光導の顕主(ゾディアス・ノート)?」

 

 

向けらている銃口に対し、相手は全く慌てることなどせず静かに佇む。その相手の姿を確認した零樹は、憤怒の形相でその相手を睨みつける。

 

「何のようだ?俺は忙しいんだ。お前たちが送り込んで来たあの娘や、飼い慣らそうとしている第四真祖(あのバカ)のフォローに行かないといけないんだよ」

「おやおや、随分とあの2人に肩入れしていますね。かつて、黄昏(たそがれ)祭儀(さいぎ)において、何人もの同胞を手にかけた貴方とは思えないほどに」

 

「…………おい、いい加減にしろよ。偽善者が!貴様らが、あの殺し合い(・・・・・・)について、とやかく言う資格などない!」

「そうですね。貴方に対して、我々は引け目はあります。しかし、貴方自身も私達へとやかく言う資格などはないことを忘れていませんか?」

 

怒りにかられ始める零樹はマシンビルダーをしまい、今使える己の魔力を解放したことで瞳は真紅に染まる。そして、零樹の背後には半透明の蒼白の巨人が顕現しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「俺と本気で殺し合いたいようだな————静寂破り(ペーパーノイズ)!!」

 

 

眼前から漏れ出る魔力の余波をまるでそよ風の様に静寂破り(ペーパーノイズ)————緋稲(ひいな ) 古詠(こよみ)は受け流す。

 

常人では計り知れない猛烈な2人の殺気が空間を支配するのだが、2つの巨大な衝突するのを感じ取る。

 

「この魔力……古城か!?ったく、本当に首突っ込みやがったな!」

「さて、お急ぎのようですし。そろそろ私はお暇しましょうか」

 

「お前……一体何が目的だ?」

「我々———獅子王機関の目的はこの世界を存続させることです。そして、今晩は、貴方がこの世界のためにも死すべき命(・・・・・)であることを改めて理解してもらうために警告しに来ただけです」

 

そう言って静寂破り(ペーパーノイズ)は零樹に背を向けて、夜の街へと消えていく。

 

「………お前たちが俺をこんなにした癖によく言えるな。所詮はお前たちも、俺からたった一人の家族(・・・・・・・・)を奪ったあの男と同じだ」

 

吐き捨てる様に、零樹もまた戦闘が行われている現場へと急ぐのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場所は代わり雪菜たちのいる現場では突然、現れた古城が、

 

「おおおおおおぉ!!」

 

強く握りしめた拳で、巨大な腕の形の眷獣を殴りつけていた。

雪菜へ向かっていた虹色に輝く眷獣の左腕が、勢いよく吹き飛んだことで彼女へその攻撃が当たることはなかった。そして、眷獣の宿主であるアスタルテもまた、その衝撃に転倒し雪菜と戦ってた右腕が消滅する。

 

「なっ……」

 

そのあまりにもデタラメな光景を雪菜は呆然と眺めるしかなかった。

 

「なにをやってるんですか、先輩!? こんなところで!?」

 

どうにか気を取り直して、雪菜は訊くのだが、古城は彼女への怒りを隠そうともせずに、

 

「それはこっちの台詞だ、姫柊!このバカ!」

「バ、バカ!?」

 

怒鳴り散らす。

 

「様子を見に行くだけじゃなかったのかよ。なんでお前が戦ってんだ!」

「うっ、それは──」

 

古城の正論に対し、雪菜が物言いたげに口ごもってしまう。しかし、古城は詳しくは理解せずとも現場を確認する限りいろいろとあったことは理解する。

 

古城は空を飛べないし、零樹の様に空間転移魔法などももちろん使えない。いくら吸血鬼になったことで身体能力が飛躍したとは言え、二基の人工島を連結する長さ16kmの連絡橋を、全力疾走は流石に疲労は隠せない。

そして、古城がたどり着いた時には、襲われていた吸血鬼の男の眷獣はすでに倒れ、雪菜は謎の男と戦闘の真っ最中であった。

 

「で……結局、こいつらはなんなんだ?」

「わかりません。あの男は、自らをロタリンギアの殲教師だそうですが……」

 

武器を失った法衣の男———オイスタッハを睨んでいると、雪菜が答える。

 

「ロタリンギア? なんでヨーロッパからわざわざやってきて暴れてるんだ、あいつは?」

「先輩、気をつけてください。彼らは、まだ……」

 

雪菜の警告の前にケープコートの少女———アスタルテが立ち上がる。加えて、その背中には虹色の眷獣が実体化したままだ。

 

「先ほどの魔力……貴方はただの吸血鬼ではありませんね。貴族(ノーブルズ)と同等かそれ以上……しかし、古の神々が持つ神聖さはないとなれば、もしや第四真祖の噂は真実ですか?」

 

僅かな時間でオイスタッハは古城の正体を察知し、破壊された戦斧を投げ捨てる。そして、オイスタッハをかばうように、アスタルテは前に出る。

 

再起動(リスタート)完了(レディ)命令を続行せよ(リエクスキュート)、“薔薇の指先(ロドダクテュロス)”」

 

「やめろ、俺はべつにあんたたちと戦うつもりは──」

「待ちなさい、アスタルテ。今はまだ、真祖と戦う時期ではありません!」

 

焦りを露わにする古城とオイスタッハが、同時に叫ぶ。

しかし、すでに宿主の命令を受諾してしまった眷獣は止まらず、虹色の鉤爪を鈍く煌めかせ、古城を狙う。

 

「先輩、下がってください!」

 

槍を構えた雪菜が、古城を突き飛ばし、飛び出す。

だが、その動きを予知していたようにもう一本の腕が少女の足元から、放たれた。地面をえぐるように飛来した右腕に反応が遅れる。

 

「姫柊!」

 

今度は古城が咄嗟に雪菜を突き飛ばす。その結果、雪菜は為す術もない吹き飛ばされる。目標を見失った右腕が眼下から、そして左腕が頭上から古城を襲う。

 

「せ、先輩っ!? なんてことを!?」

 

なんとか受け身をとった雪菜が、体勢を立て直す。

 

「ぐっ……!」

 

拳を握り古城はかろうじて迎撃をするのだが、それは右腕の話である。迫りくる頭上からの攻撃を避けきれず、古城にその鋭き拳が直撃する。

 

「しまっ!?」

「ったく、夜遊びも大概しろや!」

 

と思われたが、古城へ迫りくる左腕と彼の間に横入りをする者が現れた。

 

それは彼の友である夜叉神 零樹であった。

ギリギリのところで漸く到着した零樹は古城と、彼に迫りくる左腕との間に滑り込む様に割って入る。そして、吸血鬼としての魔力を右脚に集約させ、見事アスタルテの攻撃を相殺してみせたのだ。

 

「れ、零樹!?何でここに!?」

「何でもクソもあるかよ。こんだけドンぱち魔力を衝突させてたら、嫌でもトラブル発生なことぐらい察知するわ、クソ虫め!」

 

「何で露骨に俺を罵るんだよ!?」

「っるせぇ!!ハゲ!シネ!!」

 

理不尽だぁ……と肩を落とす古城を背にし、虚空から刀を取り出した零樹は切っ先をオイスタッハへと向ける。

 

「……アスタルテの攻撃を相殺するほどの魔力と、それを操る技能……何者ですか?」

「人に尋ねるときは自分から名乗れって、母親に言われなかったか?」

 

「…いいでしょう。私はロタリンギア殲教師、ルードルフ・オイスタッハです。さぁ、貴方も名乗りなさい!」

「真面目なやつだな……俺の名は、零樹。夜叉神零樹、そこいらの吸血鬼よりはそこそこ強い吸血鬼兼、この島の攻魔師だ」

 

零樹のわざとらしい返答を不快に感じたオイスタッハは、眼差しを鋭くし、殺気をより一層張り巡らせる。

 

「吸血鬼如きが攻魔師を名乗るとは不快な。やりなさい、アスタルテ!」

命令受諾(アクセプト)執行せよ(リエクスキュート)、“薔薇の指先(ロドダクテュロス)”」

 

アスタルテは先程まで消していた虹色に輝く左右の腕を再び実体化させ、零樹の頭上目掛けて腕を振り下ろした。

 

「無駄だ」

 

迫りくる左右の腕に対し、慌てることなく漆黒に染まっている刃を振るう。すると、斬り付けられたアスタルテの眷獣である左右の腕は、突然一瞬に氷塊と化してしまった。

 

「っ!?」

「一瞬にして薔薇の指先(ロドダクテュロス)を凍らさせただと!?」

「お前たちが、魔力喰いの襲撃犯なら、俺の魔力を喰う前に凍らせてしまえば喰われる恐れはない」

 

明らかにレベルの違う零樹の一方的な闘いに古城と雪菜は目を見開くほど驚きを露わにする。

 

 

「そこにいる第四真祖とは比べられないほどの洗練された技能……この島に潜伏している吸血鬼の中でコレ程の芸当ができるのは、たった一人」

「………………」

 

「ここは引くしか手はありませんね。今のアスタルテ(・・・・・・・)では部が悪すぎます。撤退です!アスタルテ!」

命令受諾(アクセプト)

 

零樹の正体を看破したオイスタッハは、即刻離脱の準備をするため懐から閃光玉を取り出し、古城、雪菜、零樹の視界を一瞬の間に光を覆い隠してしまう。その一瞬の隙を突き、オイスタッハとアスタルテは撤退していく。

 

「(チッ、逃げられたか。こんな所で俺の眷獣を完全に解き放てば、真祖だけじゃなく、三王星の奴ら(・・・・・・)に見つかることになる。そうなってしまえば、監獄の那月にも被害が……)」

 

オイスタッハ達が撤退したおかげで、眷獣を完全に解放せずに済んだことを零樹が安堵していると、雪菜と古城がおずおずと彼へ歩み寄ってくる。

 

「夜叉神先輩、その、ありがとうございました。助けてくれて」

「ありがとうな、零樹。お前がいなかったら……俺はきっと暴走してたと思う」

「だったら、余計な事にコレ以上首を突っ込むな。古城も眷獣が使えない以上、戦闘は避けろってアレほど言っただろ!!」

 

「うっ、そ、それはアレが…」

「雪菜も雪菜だ!!お前の役目はあくまで、第四真祖の監視だ!このアホが余計なことして暴走させない様に見張らないと意味ないだろ!」

「は、はい。ごもっともです…でも、私は攻魔師として見捨てることは」

 

「その際で、お前が死んだら意味がないだろ!!」

 

普段の零樹とは比べられないほどに感情を露わにしていることに古城は驚き、雪菜は何故零樹がここまで怒りを露わにしている真意を測り兼ねているため困惑する。

 

「……すまん二人とも、言い過ぎた。お前たちがいなかったら被害がもっと拡大していた。後から、遅れて来て怒鳴って、すまない」

「いや、俺の方もこそ、ちょっと注意不足だったわ」

「私の方こそすみませんでした。好戦に入るよりも怪我人の安全と撤退を優先にするべきでした」

 

落ち着きを取り戻した零樹は、表情に影を落としたように謝罪し、怪我人である長身の吸血鬼の男性の容態を確認していく。

 

「後のことは俺がやっておくから、二人は真っ直ぐ家に戻れ。このまま、ここに留まっていると色々面倒なことになる。特に古城は」

「そうですね。後は夜叉神先輩にお任せてして、行きましょう先輩」

「お、おう。すまん、零樹。その人のこと頼むぞ」

 

さっさと行けと零樹は二人に背を向けながら、怪我人の手当てを施していくのであった。しばらくして、零樹の保護者である那月の他に、警備隊、救急隊などに怪我人を預け、零樹はそのまま後のことを任せて、自宅へ戻るのであった。因みに、オイスタッハ達の捜査に零樹は参加しようとしたのだが、那月に帰れと蹴り飛ばされてしまったのは余談である。




もうそろそろ零樹の眷獣改め12宮Xレアのスピリットを出したい!


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