個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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今流行りの人気要素を取り入れて省エネ執筆して勢いだけで書き上げた作品です。
みんな! アークナイツはいいぞ!

2020.04,13:主人公の台詞追加。


ぷろろーぐ 病院から脱走しましょう!

「この子の、この子の症状は一体……?」

 

 某月某所某大学病院。

 路地裏で意識を失って倒れていたという、とある少女が深夜に運び込まれた。

 小学生初等部の平均的な背丈。透き通るように輝く、全身より長い銀髪に見目麗しい顔をしたその少女は、目立った外傷もないのに眠り続けており、医師は当初ただの栄養失調だろうと高をくくっていたが……念の為精密検査を行った所、驚く羽目になった。

 

 なんと、少女から未知のウイルスが発見されたのだ。

 

 既存のどの病気とも当てはまらない遺伝子パターン。

 体内で遅々とはしているが着々と増え、体質を作り変えていく症状。

 よくよく彼女を観察してみると、その下腹部には小さいが真っ黒な鉱石と思える物が生えていた。

 

 恐らくは異形系の個性の発現中なのだろう。

 世間一般的に個性の発現は4歳までに起こると言われているが、後天的に個性を取得するケースも稀に報告されている。

 

 今までありとあらゆる研究がなされてきた個性。

 しかして個性の発現メカニズムがはっきりと解明されてはいない。

 だがこの少女のウイルスがもしも『個性』の原因であるとすれば。

 これは『個性』のメカニズムを紐解く重大な鍵になるのではないのか?

 

 そこまで考えた医師は色めきたった。

 彼女を更に調べ、研究を進めれば……自分は医学界でもトップの立場になれるのでは。

 そういった欲が彼の心の中でむくむくと芽生えてたのだ。

 

「……そうと決まれば、彼女をしばらく缶詰にしないといけないな」

 

 思い立ったが吉日。医師はすやすやと眠り続ける少女を囲い始めた。

 幸いな事に彼女は身元不明の、いわゆる孤児。

 個性社会になった今ではよく見る社会不適合者(ドロップアウト)なら何も問題はないだろう。

 彼は嬉々として治療と見せかけた研究を行っていった。

 

 病院に運び込んで3日目になって、少女が目覚めた。

 医師は虚実を織り交ぜ、少女に長期入院が必要であるという事を伝えた。

 身寄りもお金もないのに治療を受ける事なんて出来ないと慌てる、常識的な一面を持つ少女だったが病気なんだから気にする必要はないよ、と優しく説き伏せて少女はソレを了承した。

 

 病院に運び込んで5日目。少女の検査が続く。

 (鉱石の発露以外)身体的に異常はないが、嘘の病状が進行していると伝え、医師はこれみよがしに様々な検査を行っている。

 血液検査だけに留まらない、ありとあらゆる検査。

 若干非合法な検査も行って未知のウイルスを丸裸にしていく試みが行われた。

 少女は苦痛に耐えながらも従順に指示に従っている。

 

 病院に運び込んで9日目。

 少女の検査は終わらない。

 検査の範囲内で(へそ)下に出来ていた鉱石がnm(ナノメートル)単位ではあるがじわじわと範囲を広げ始めている事を確認した。

 やはりこれは個性の発現を促すウイルスなのだろう。

 医師は研究に更にのめり込み始めている。

 しかし、この頃から少女が反抗的になって退院を欲するようになってきた。

 

 病院に運び込んで12日目。

 少女は最早退院することしか考えていないようだ。

 口を開けば「もう結構です」「早くここから出してください」。

 検査は確かに多いが、身寄りもない彼女に住処を与え、かつ三食ご飯がついてくる待遇を与えている。医師は十分な対価を与えてやってると思っているので少女の発言が理解が出来ない。

 コレは医学の進歩に必要な事なのだ。我慢して貰わなければ。

 そして、退院を望む少女に業を煮やした医師はとうとうベッドに彼女を(くく)り付けた。

 

 病院に運び込んで13日目。

 彼女が病院から脱走した。

 鍵付きの拘束用のベッドで縛り付けた矢先の事だった。

 そのベッドは粉々に破壊されており、周りには鉱石のクズと思える破片が散乱していた。

 恐らくは発展途中の個性を使って逃げたのだろう。

 まだ十分な検査が出来ていない医師は、脱走した少女を人知れず、かつ非合法に探し出す事にした。

 彼には約束された未来をもたらす道具を手放すという選択肢は、もうなかったのだ。

 

 ――彼が研究しているそのウイルスが、世界に破滅を(もたら)す物と気付く事もなく。 

 

 

 § § § 

 

 

 廃墟のビルからおはこんばんわ&初めまして!

 起きてたらヒロアカ世界だった少女です。

 祝☆リアル転生☆ イエーイ☆

 ……って喜ぶ事も出来ない詰み状態に涙が止まりません。

 

 目が覚めたと思ったら怒涛の展開の連続ですよ。

 これにはロクに言葉を発する事もできなかったよ。

 

「何、この状況……」

 

 まず自分の体が銀髪ロングの幼女化している事に気付くでしょ。

 それで身寄りがない事を伝えられるでしょ。

 最後にお前病気かもだから検査のため長期入院ねって言われるじゃん。

 オイオイ、どういう状況だよマジでってなった。

 

 何分前世の記憶はおぼろげながらあるもんだけど、その前世と今の俺……いや、私の体には隔たりがありすぎる。

 起きたら幼女でしたなんて信じて貰える訳もなし。

 もういっそ流されるがままに入院しようとしてたら、追加の驚きポイントがやってきた。

 

 そう、この世界がヒロアカ世界であるって事。

 

 気付いたのは医者にしれっと「キミ、個性はあるのかい?」って言われた時の事。

 へ、何? 私今からアイドルのプロデュースでもされるのかって思ってたら、医者がなにもない空中から消毒液を取り出して驚いた。

 手品なんかじゃない、人それぞれに持つ『個性』っていう超能力。うん、ヒロアカじゃんかよー!

 

 わーい、転生世界ら~☆ って頭真っ白にしながらどう答えようか迷ってたら「キミのおへそに鉱石が出始めてる。もしかしたら異形系の個性が今発現してるのかもね?」って言われたので、すん……ってなった。

 折角転生特典で『銀髪幼女』ってステータス貰えたのに、最終的には異形系になるのか……全身鉱石人間ってなんかやだなぁ。強そうだけど。

 

 んでまあ大人しく入院生活していったんですよ。

 味のうっすい病院食食べて。軽い運動して。血液検査して。

 時々すっぽんぽんにされてなんかレントゲンやら検尿やらスキャンやら……。

 まあ毎日調べること調べること。

 俺……いや私ってどんだけヤバイ病気なの?ってなるよねそりゃ。

 

 お医者さんに聞いてもなんか小難しい病気名と病状だけ言われてちょっとはぐらかされた感ある。まあなんよかんよヤバイ物らしいんだけど、なんかなぁ……。

 

 それで、何日か経った後。消灯時間の早い病院で暇をつぶすために私の個性って本当に異形系なのかなーって思って、なんかでろーって試してみたら。マジで出た。

 

 超でっかいボタ餅みたいな形した、

 トゲトゲしてる鉱石の生物が。

 

 心底驚いた。

 所々黄色いその謎生物は目的もなくうねうねと這いずり回ってるけど、謎生物が出せた事よりもその正体を知っているからこそ驚いていた。

 

「――『オリジムシ』だコレ!」

 

 オリジムシとは、TD(タワーディフェンス)ゲーム『アークナイツ』に存在する敵キャラの事だ。

 この生物はゲーム上では雑魚敵として遭遇する、マリオで言わばクリボーみたいな存在。

 そして、そしてこれの最たる特徴というのが……………。

 

 『鉱石病(オリパシー)』と呼ばれる感染症にかかっている事。

 この病気、ゲーム内で治療不可能な致死率100%の厄介な物で。

 しかも動物だけでなく多種多様な種族(勿論人間)にも感染するのである。

 

 その事から推察するにこのへその鉱石も、そして病院が躍起になって私を調べてる理由も、多分異形系とかじゃなくて『鉱石病』に感染している事の証左であることに違いないと考えられた。勿論私は泣いた。

 

 ヒロアカ世界に鉱石病なんて存在しないというのに、私という存在が唯一の感染源とか泣ける。

 っていうかそこそこ技術発展したっぽいアークナイツ世界ですら治癒方法分かってないのに、ヒロアカ世界でも早々に見つかるとは思えない。

 長期滞在はパンデミックの元では……? ヤバイ! 早く退院しないと! この病院が鉱石病患者まみれになっちまうーっ!

 

 とりあえず出てきたオリジムシは頑張って念じたら跡形もなく消えてくれたので(便利)、私は翌朝どのようにして医者にこの事実を伝えればいいか迷ったが、この事実も前世知識でしかないという前提を踏まえると信じてもらえる可能性は0%。私は二回むせび泣いた。

 

 もうこうなると早く退院させてもらうしか道はない……!

 折角助けてくださったお医者様のためにも……!

 

「あ、あの……もうそろそろ退院させてもらっても良いですか?」

 

「その、これ以上タダで診て貰う訳には……後は自然治癒出来ますので……!」

 

「あー治ってます! 治ってますよコレ、今日は絶好の退院日和だなー!」

 

 で、毎日毎日退院させてくれるようにお願いしたのだけど、一向に話を聞いてくれない。それどころか何故か拘束ベッドにくくりつけられる羽目になった。えぇ……(困惑)

 

 お医者様の治療精神は素晴らしいがマジでこれ感染増えちゃうから駄目だって!

 なので私は最終手段として夜中、気付かれぬようにオリジムシを召喚。勢い余って3匹くらい出してしまって、そいつらに何とか拘束ベッドを壊すようにお願いしたら、マジで容赦なくベッドが壊れて尻もちをつく羽目になった。やだ……この芋虫力結構強いのね、雑魚キャラ侮りがたし。

 

 

 そして窓から患者衣のみで脱走! 

 すまねえお医者様、オラ逃げるだ……! 

 書き残しも何も出来ずにすまねえお医者様……!

 

「オリジムシ達よ、私と共に"ぱらいそ"さ行くだ――!」

 

 ……と、薄汚れた路地裏に飛び込んで今に至る。

 

 結論:現状が詰みすぎてて草すら生えない。

 

 お金がない、食料ない、身寄りもなければ住むとこない。

 土地勘ない、名前もない。頼りになるのはオリジムシ。

 オラこんな転生嫌だ。オラこんな転生嫌だ。

 

 ……まあ、嘆いていた所で仕方がない。現状把握も終えたしとりあえず寝る事にした。

 廃墟ビルに偶然落ちていたボロマットとダンボールを何処からか拾ってきて簡易ベッド完成。

 クソ惨めで草。もう涙は枯れ果てましたよ。とほほ。

 

「……あ、でもダンボールって思った以上に温かいんだね……新発見」




感想・評価お待ちしております。


《レユニオン図鑑》
・『オリジムシ』:
 巨大な鉱石に棘が生えてるようにしか見えない感染生物。
 のっそのっそ這い回って、のっそのっそ攻撃する。
 原作アークナイツでは腐る程出てくる雑魚敵。
 感染源である原石を体に埋め込んでるとかいないとか。

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

  • 丁度いい感じ
  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
  • むしろ主人公目線だけでいい¥
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