個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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一人称視点でね、かつ主人公の台詞を入れる塩梅がね。よくわからないのです!


第9話 引っ越しをしましょう!

「怪しいガキがいるって情報は本当だろうな?」

 

「勿論ですぜ旦那。あいつ、わけの分からん個性で犬とか石を出して俺をボコボコにして寝床(ヤサ)を奪っていきやしたんです……クソッあのクソガキめ!」

 

「なっさけねえ。大のオトナがたかがガキ一人相手にのされるなんてよぉ」

 

「全くだ。ったく。うちのシマが荒らされたって時にどうしてこんな雑用を……」

 

「ごねるな。俺達はただ上から言われたことをやってればいいんだ」

 

 死穢八斎會の下っ端3人組、彼らは今ガマ蛙のような浮浪者に連れられて薄暗い路地を歩いていた。

 彼らは誰も彼もが浮かない顔ばかりで、皆一様に張り詰めている様子であった。

 それもこれも縄張りである店という店を潰し回った輩の対応に追われ、上から怒鳴られながら様々な場所へと駆け回る多忙な日々を過ごしていたせいだろう。無理もない話である。

 

 ここ5日足らずで潰された店、その数なんと12店舗。

 

 用心棒も居た筈だというのに訳もなく店ごと潰していった謎の仮装集団。

 彼らについて分かっている事はあまりにも少なく、精々が徒党を組んでいるという事、獲物が様々である事、死なない程度に痛めつけ、金品を奪っていくという事、そして『指導者』とやらに従っているという事ぐらい。

 

 面子を何よりも重んじるヤクザとして、やられっ放しという選択肢は見当たらなかった。

 彼らは復讐を誓って、躍起になってその犯人を捜し回している。

 

 ちなみについ先日、(ヴィラン)連合のトップである死柄木からは『その様な事は行っていない、濡れ衣だ』との弁明もあった様だが、組織内ではいまひとつ信じ切られていない。

 何せ彼らは日陰者からの信望を集めているものの、その日陰者のコントロールを出来ていないのだ。信頼性など薄いのも当然の話である。

 

 そんな死穢八斎會の下っ端らの今日のお仕事とは、(くだん)の店潰しの犯人探しではなく、『病院から脱走した少女を捕まえて欲しい』という物。

 金払いが非常に良い仕事のため、有事中でも優先度高めに動き回る必要があったのだった。 

 

「あ。あれです! あのビルです!」

 

「ふぅん、アレがお前の寝床(ヤサ)? 浮浪者の癖して随分とでかい所だな……」

 

「ガキが今もここにいるか分かってんのか?」

 

「い、いえすみません……それは流石に」

 

「ちっ、使えねえな……あ? んだアイツら」

 

 路地裏にそびえ立つ古ぼけた廃ビルにたどり着いた一向だが、その一人が何かに気付いた。

 廃ビル入り口、そこに停められた大型のバンに誰かが何かを荷積みしていたのだ。

 

「オイお前ら、そこで一体何やって……あぁ!? テメ、もしかして仮面集団……!」

 

「――ちっ、こちら行動隊。奴らにバレた、どうぞ」

 

『……即時撤退だ。抗戦は最小限に留めろ』

 

「了解。おい、さっさと出るぞ! その荷物を載せて出発だ!」

 

「待てコラッ、テメェ!?」

 

 その集団は下っ端にまで配られた写真通り、死穢八斎會の店を潰した輩に違いなかった。

 彼らは荷物を後部スペースに放り込び、男自身もバンに飛び乗ると、車は耳障りなエンジン音を立てて路地裏から飛び出していく。

 

「クソがぁ、応援を呼べ!」

 

「畜生――本部、本部聞こえるか! 奴らだ! 仮面の野郎共だ! 黒いバンにのって東通りを逃走してる、応援を寄越せ!」

 

 ヤクザ達は応援を呼びつつも個性で何とか車を足止めしようとするが、間に合わない。

 結局地面にタイヤ痕だけを残して、バンは通りに出て逃げていってしまう。

 

「このまま逃がすと最悪ヒーロー共に捕まっちまうぞ!」

 

「なんとしてもアイツ等を先に捕まえろォ!」

 

「へ、だ、旦那俺はどうすれば……へぶっ!?」

 

「うるせえすっこんでろテメェはよぉ!」

 

 組をコケにした愚か者共を抹殺する、それが彼らの脳内の共通認識。

 狼狽(ろうばい)する蛙男を置いて、ヤクザ達は乗ってきた車の下へと急ぎ戻り、彼らはカーチェイスを敢行するのであった。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「さぁようこそ我々の究極のアジトへ!」

 

「歓迎するわリュニちゃん!」

 

「お、お邪魔しまーす……」

「……」

 

 おはヒロアカ! 転生少女リュニちゃんです!

 今日はなんとなんと、前回の交渉が上手く行ったのでジェントル・クリミナルさん家にお邪魔しに来ています! わーぱちぱちぱち!

 正直二人の愛の巣にお邪魔してしまうのは心苦しいですが、隠れ蓑が見つかって本当に嬉しい限り。

 まあその家が郊外の古びたアパートだったのはちょっと意外だったけど……こんな所住んでてバレたりしないのだろうか?

 

「はっはっは、このアパートは立地が非常に悪くてね!」

 

「裏が墓地で、近くは新幹線が通って五月蝿くて、かつ駅にも街にもかなり離れてるから人なんて滅多に寄り付かないの! しかもヒーローの巡回地域からは地味に外れてるわ!」

 

「だからこそ家賃も非常に安い! そして疑われ辛い!」

 

 加えて安普請で築70年超えだから住民も二人以外いないレベルらしい。う~んクソ物件。

 だがそのクソ物件を活かす二人のガッツに頭が上がりません。

 さてさてお宅拝見のお時間です。クラスレちゃんの後に続けて部屋に入ってみると……おぉ。こじんまりしてるけど十分、十分!

 ビルで野宿するよりかは全然OKです。本当助かる助かるぅ……!

 

「さぁ今日は我々の新メンバーの歓迎祝として特別に素晴らしい紅茶を入れよう。ご存知かな? ゴールドティップスインペリアル! 最高級のその上を行く上物さ!」

 

「私はクッキーを用意するわね!」

 

「あ、すみませんどうも……お構いなくです」

 

 ……いやぁなんか変な感じ。まさか知ってるキャラの家に入れるって……ねぇ。

 クラスレちゃんもこんな経験あったりする? ないよね? 

 

「……私にはリュニの言ってる意味が皆目分からん」

 

 そりゃそうだろうね。いやー落ち着かない落ち着かない。

 普通の家の筈なのに何かきょろきょろ周り見ちゃう……。

 

「――さぁお待たせした、この最高の紅茶を今かららららららら」

 

「うわわわわわわ溢れてる溢れる溢れてる……!」

 

「ジェントル! ジェントル流石にお客様に高い所から紅茶を注ぐのはまずいわ!」

 

「はっはっは! すまない、いつもの癖でね!」

 

「……お前、馬」

 

(クラスレちゃん、今口に出そうとした言葉は絶対にしまい込んでね絶対言っちゃ駄目だからね。これ命令だから)

 

「……ちっ」

 

「? さて、お茶を飲みながらでも良いかな。改めて自己紹介しよう――ジェントル・クリミナル。個性は『弾性』! 触れた者に弾性を付与する能力さ! 天下に名を轟かせる有名人になるのが目標だ!」

 

「私の名前はラブラバ! 個性は『愛』よ! 愛を告げた人を一定時間強化するの! 私はジェントルをサポートして彼を誰よりも有名人にさせるのが目標よ! 動画編集からハッキングまで任せて!」

 

 おぉ~(ぱちぱちぱち)

 ……え? なんで私を見て……あ、次私の番とかそういう奴? はい。 

 え、えーっと……個性、個性名ね……うーん、あれでいいか。

 

「えっと、私の名前はリュニです。個性は『レユニオン』。とある組織を自由に召喚する事が出来ます。目標は静かに暮らすことです。よろしくお願いします」

 

「「……レユニオン?」」

 

「うん、えーっと。実はですね今ここに居るクラスレちゃんも私の個性の産物なんです」

 

 クラスレちゃんぼっしゅーと。そい。

 

「っ、少女が消えた……!?」

 

 そしてサモン・わんわん。

 

「ひぁっ!? い、犬が出てきたわジェントル!? しかも3匹も!?」

 

 続けて暴徒君5人もどどん。

 

「きゃぁっ!?」

「お、おぉぉぉ何だね君達はっ!?」

 

 あっ、ささ流石に人間は驚きますよね消します消します!

 

「……というように、私の命令を聞く自律思考出来る『レユニオン・ムーブメント』と呼ばれた組織の人達を召喚と送還する個性です。呼び出せる限度は……まだ不明ですが、少なくとも50体以上は出せますね」

 

「す、凄い……何という個性だ」

 

「デメリットらしいデメリットもないの……? それとも、この力は貴方が子供ながら鍛えた結果……?」

 

 あ、デメリットか。デメリットはどうしよう……言うべきかなぁ。

 一応感染病の事は伝えてるけど、使う度に病状が深まるって言ったら個性の使用制限してくるかもだし……誤魔化しておこう。

 

「――……うーん……今の所は多分、ないですね。体に不調もないですし」

 

「成程……この目で見ても信じられない、素晴らしい個性だ」

「本当よリュニ。これだけの個性なんてトップヒーローでも持っていないわ……そしてヤクザが貴方の事を探し回る理由もよく分かったわ」

 

 え? ラブラバさ……お、おぉ、うぉぉぉ……っ!

 

「辛かったわね……大丈夫よリュニ。私達がきっと貴方を守って見せるわ……!」

 

 ラブラバさんは私のマンマだったのか??????

 うぅ、同じくらいの身長なのに包容力が違い過ぎるぅぅ。しゅきぃぃ……。

 

「あぁそうさ、そうとも……! これは人身売買に手を染める悪しき死穢八斎會の連中に、何がなんでも鉄槌を下してやらねばいけないな……!」

 

 あ、ジェントルさんも義憤に燃えてくれて嬉しいんだけど、死穢八斎會って割と戦闘力はある方だからあんまりちょっかい掛けすぎないようにして欲しいと思う。そのうち潰れるしね。

 

「さて、そうなると本格的に君はこの家で過ごした方が良いのだが……荷物などがあるなら取りに行く必要がありそうだな。良ければ手伝うが……」

 

「あ、えっとそれはお構いなくです。今私の個性で運ばせているので」

 

「遠隔でも命令を聞いてくれるなんて……すごく便利な個性ね」

 

「あはは。我ながら便利な個性を授けて貰ったとは思っています。もしもお二人が困った時とかは私も個性で手伝いますので、遠慮なく申し付けてくださいね」

 

「リュニ君……君ってやつは、なんて良い子なんだ……!」

 

 お二人にはこれから長い間お世話になるからね。

 今のうちにせっせと媚を売っておかねば……!

 さてさっき通信で聞いた話だと、私の荷物とかはあと10分もしない内にここに着くらしいけど……。

 

「リュニ、非常事態だ」

 

「ッ!?」「わっ!?」

「わぁっ!? 暴徒君!?」

 

 い、いきなり出るのやめてくれない!?

 私出ろって言ってないからね!?

 

「緊急時には仕方ないだろう……端的に言おう。仮住居の場所が死穢八斎會にバレた」

 

 ……まじですか。案外早いな。

 

「むぅ。という事は我々との接触はまさしくギリギリだったという事だね」

 

「危なかったわねリュニちゃん」

 

 うん、まあ遅かれ早かれ気付かれるとは思ってたけどね……でも私はもう移動しているからあんまり非常事態感はないかな。それで、続きは?

 

「廃ビル内の荷物を全て纏めて奪……拝借したバンで移動の直前、ヤクザの構成員に見つかった。抗戦をする事はなかったが応援を呼ばれた状態だ」

 

「うぅ、そうなると荷物全部取られちゃった感? うーん。それはちょっぴり困るかな……」

 

「いや、荷物は無事だ。大型バンで現在も逃走は続けている――ただ」

 

「ただ?」

 

「その逃走だが、ヤクザとヒーローと我々で三つ巴のカーチェイスになっている」

 

「「「……はい?」」」




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《レユニオン図鑑》
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