個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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時系列的には現在ステイン逮捕以降、林間学校襲撃前です。
AFOさんは未だに牢獄に囚われておりません。


第11話 宣戦布告をしましょう!

『――昼下がりに起きた暴走車両事件について、警察からの発表で警察、ヒーローへの怪我人が数名出たとの事です。全員命に別状はありませんでしたが、警察とヒーローは共に逃走車両の行方を継続的に追って行くと共に――』

 

 おはヒロアカ、転生少女リュニちゃんだよ……。

 

 何故かお引っ越しから街を巻き込んだカーチェイスへと発展したその日。

 命をかけて引っ越しを手伝ってくれたレユニオンの皆様が無事にジェントルさんの家に到着いたしました。

 

 レユニオンによって次々と部屋に運ばれてくる大量のジェラルミンケースが、部屋の一角をどんどん占領していく様は中々に見ることの出来ない見ごたえある光景だと思いました。まる。

 

「……ね、ねえジェントル」

 

「……なんだいラブラバ」

 

「わ、私達……想像以上に危ないことになってたりしないかしら……?」

 

「……」

 

 うん。疑問系じゃなくて確定で危ないことしてるんですよね。

 これでこのケースの中身が着替えとかお菓子とかおもちゃだったらまだ良かったんだけど……!

 

「……指導者よ、これで全ての物資の移送が終わった」

 

「お、お疲れ様~……えっと、命をかけて運んでくれてありがとうね」

 

「お安い御用だ。また何かあれば呼べ」

 

 私はとりあえずひと仕事を終えてくれた彼らを消しておくと……改めて唖然としている二人に向き直った。んっとね、えっとね……。

 

「……あ、あの。本当にすいませんでした。反省しています……」

 

「は、ハッハッハ! いや君は悪くないさ! 個性の子達が少しイケイケ過ぎただけさ!」

 

「そ、そうよリュニちゃん、貴方は何も悪くないわ! 個性の制御はこれからちゃんとすれば良いだけだもの!」

 

 二人の優しさと全力のフォローが胸に痛い……!

 一介の小悪党ポジだった二人に新たな消えない経歴を残してしまうようで本当心苦しいけど……ま、まあめでたく移送は出来たのでお詫びにこの資材とか自由に使ってください。ハイ。宿代代わりという感じで……。

 

「そ、それは嬉しい申し出だが……いいのかい?」

 

「リュニちゃんが頑張って手に入れた物なのに……」

 

 私は問題ないと首肯をする。

 これらの物がなくても、ここに居させて貰ってのほほん暮らせれば私の目標は果たせてるも同然なので。正直それが数千万円でも億だとしても全然痛くないのだ。

 精々求めるとすれば……温かいベッドに、美味しいご飯くらいですかね。

 

「あぁっ、リュニちゃん大丈夫よ! 私がっ、私が全部提供してあげるわ! 温かいベッドも、美味しいご飯も!」

 

 あぁあぁぁぁーっ、ラブラバさんの抱擁ぅぅぅ、しゅきぃぃぃぃ。

 

「……分かった。そういう事であれば必要に応じて拝借させて貰おう。ありがとうリュニ君。さて、流石にジュラルミンケースを裸のまま置くのもあれだ、整理しようか」

 

「そ、そうねジェントル! 必要に応じて保管する場所も決めて置かないと駄目ね」

 

 前向きに考えてくれて本当に嬉しい……この人達に頼って本当に良かった。

 あぁ整理するなら勿論手伝いますよ、流石に10個以上もあるし手分けした方が良さそうだ。

 

 

 そういう訳で私達3人で引っ越しした物の整理整頓が始まったんだけど……。

 

 

「じぇ、ジェントル……これっ、このケース一杯の現金……! な、何千万あるの……!?」

 

「ラブラバ。それはヤクザが市民から違法で徴収したお金――それだけ悪事を働いていたという証左に違いないのさっ……? お、おぉ……これは、ぱ、手榴弾(パイナップル)……」

 

「ひぃっ!?」

 

「ケース一杯の変な書類……うわ、これ手形とか株券とかだ……」

 

「こ、この明らかなパッケに入った白い薬は……か、覚醒ざ」

 

「むぅ……注射器に謎の液体……い、嫌な予感がするものが非常に多いね……!」

 

 まあ出るわ出るわ。非合法な物のオンパレードです。

 どうあがいても映画の中でしか見れない武器から、単純所持した瞬間お縄になる物、何か怪しげなメモリーカードやら、得体の知れない謎の注射器まで。

 

 世間の闇がこの寂れたアパートの一角に集まっていて、警察が踏み込んだ瞬間我々は終身刑も免れなくなるのではないだろうかってくらいにヤバイ代物だらけでした。ヤーさんヤバイ取引しすぎ!

 

「……ジェントル。世間の闇というのは案外近くにあるものなのね……」

 

「あぁラブラバ。私も今非常にソレを痛感しているところだ……怖いかい?」

 

「えぇ怖いわ……震えてしまいそうなくらい。でもねジェントル、逆にこれらを見て覚悟も出来たわ」

 

「私もだよ。世間には今だ暴かれない闇がある……そして、その闇に脅かされる市民らもいる。今私達はその闇の一端を掴んだ、故にこそ動かねばならない……!」

 

「そうねジェントル……! ジェントルが世間に名を馳せる名士となる為だけでなく、今後リュニちゃんのような子を出させない為にも!」

 

「そうだともそうだとも! 同じ悲しみを味合わせる訳にはいかない! リュニ君という存在と出会えた事、それはまさしく我々にとっての天命だったのだろう……! さぁ明日から忙しくなるぞラブラバ! お互いに死力を尽くして頑張るのだ、愛しているぞ!」

 

「キャー! 私もよジェントル! 愛しているわ!」

 

 わー。頑張れー。ぱちぱちぱちー。

 と、ラブバラちゃんに抱っこされながら二人を眺める私。

 まあでも、本当やるなら気をつけてね。バレないようにしないと危険だよ?

 

「勿論さ。流石に指定敵団体の最大手となれば、綿密な計画を立てた上での行動になる!」

 

「私も腕によりをかけてサポートするわジェントル! まずは入っていた書類とかメモリーカードの確認をするわ!」

 

 いやマジで気をつけてね。二人が居なくなったりするの嫌だから。

 レユニオンも貸すから遠慮なくいいつけてよね。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「はぁ、全くもって頭が痛い……」

 

 死穢八斎會若頭、治崎(ちさき)(かい)――通称オーバーホールは、未だ報道やまぬカーチェイス事件のニュースを眺めながら一人ごちていた。

 

 カーチェイス事件からはや3日経つ……立て続けに起きた縄張り内の店舗襲撃、そしてその襲撃者追跡中に捕まった組員。これらの事後処理に追われた彼は固まった体をほぐそうと大きく伸びをして、椅子にもたれて体から力を抜いた。

 

 襲撃された店舗が普通の飲み屋だけであれば良かった。

 しかし店の中には重要取引のためだけに使われる物もあり、取引材料ごと奪われた事を考えると損失で言えば5億は下らない計算になっている。これは組にとって大打撃だ。

 

 組の収入源のメインはとあるグループから横流しされてきた個性を暴走させる薬『トリガー』。

 最近はこの薬に続けて個性を一時的に無くす薬も開発しているのだが、その開発がまさしく佳境を迎えた所でコレである。溜息をつきたくなるのも仕方がないだろう。

 

「……コイツら、一体何者なんだ?」

 

 映像に残された仮面のグループを眺めて、オーバーホールは思考を連ねる。

 誰も彼もが違う服装をしているように思えるが、どこか統一感のあるこの謎の集団。彼も最初こそ敵連合の仕業だと考えていたが、今回のカーチェイス騒ぎを見るにそれも疑わしい。

 

 ヒーローと警察を撒ける連携力に、攻撃型ドローンを大量に用意出来る組織力はどうもオーバーホールが思う敵連合のイメージとそぐわない。

 

 あいつらは死柄木弔の旗の下に群がる無秩序な屑共に過ぎない。

 こんな軍隊のような真似が果たして出来るのか? いや、出来ないだろう。

 

「俺達を疎ましく思う輩なのは間違いない。が、一体何が目的だ? 俺達からモノだけ奪って新しく旗揚げでもするつもりか?」

 

 ヒーロー殺し『ステイン』の事件以降、彼に感化された悪が多いのは確かだが。そんな崇高な物はコイツらからは感じ取れない。

 店舗襲撃に居合わせた組員からの情報にあった、『指導者』とやらは一体何を考えて行動をしているというのか。

 

若頭(かしら)!」

 

「クロノス、どうした一体」

 

 その時、彼の部屋に若頭補佐のクロノスが飛び込んできた。

 普段冷静さを欠かない彼の慌てた様子は、オーバーホールをして驚かせる物だった。

 

「コレを見てください」

 

「……なんだ、これは。動画?」

 

 そのクロノスが差し出してきたのはスマートフォン。そして見せられたのはJストアという動画サイトの、ある犯罪系Tuberの物であった。

 

「クロノス、お前な……俺はこんな下らない物を見ている暇は……」

 

「いいや。若頭はコレを見る必要があります……!」

 

『――ヒーロー殺しによる真の正義とは何か、という問いかけ。これは我々ヒーロー社会において非常に重要な命題であると私も感じている』

 

 小さな画面の中で、紳士を気取ったとある男が、紅茶でベトベトに汚れたカップ片手に語りかけている。男は芝居がかった口調でその場をくるり、と回ると。もう一度画面越しに問いかけてきた。

 

『では……それに対してヴィランもどうなのだろうか? 真のヒーローが問われるのであれば、真のヴィランも問われる必要があるのだと、私。ジェントル・クリミナルは提唱したい』

 

『哲学的ね! ジェントル!』

 

「……誰だこの馬鹿共は」

 

「3年間コツコツと下らない犯罪行為をしては、ソレを動画にする野郎共です」

 

『悪党が何をしようが悪党? その通りだ、ぐうの根も出まい! しかしだ、悪にも最低限のモラルという物が必要なのだよ。そのモラルすらない存在はヴィランとは言えない――それはただの獣だ!』

 

「……」

 

『私は、とある組織の闇取引の資料を入手した。この資料によれば、ここには人身売買、違法薬物、銃器売買が頻繁に執り行われているという証拠がびっしりと書かれている』

 

『許せないわねジェントル! こんな事をするなんて!』

 

『あぁ全くもって許せないだろう。こんな事は』

 

 動画内のジェントルに合いの手を入れる、相方の声。

 男が掲げた資料が一瞬、動画に写される。その内容こそぼやかされているが、記載されているサイン。それにオーバーホールは非常に見覚えがあった。

 

「おい。おいおいまさか……」

 

「……その、まさかです」

 

『宣言しよう――私、ジェントル・クリミナルは指定敵団体『死穢八斎會』に宣戦布告を行う! モラルをなくした獣に制裁を!』

 

『覚悟しておきなさい、死穢八斎會!』

 

 

「こ、こ、こんのっ、クソッ、クソカス共がァ……ッッ!!」

 

 

 一瞬で沸点を突破したオーバーホールの食いしばった声がクロノスの悲鳴と共に部屋を木霊し、暴走した個性によって机の一部が耐えきれずに消滅した。




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《レユニオン図鑑》
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 再開は未定です。

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