個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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あれ…これって何の作品だろう…。


第12話 制裁を加えましょう!

 時は深夜2時――ジェントルらが死穢八斎會への宣戦布告動画を投稿する直前。

 人気のない工事現場にジェントル及びラブラバは訪れていた。

 

 散歩か? 訓練か? いやいや違う。

 彼らは宣言した通り今まさに死穢八斎會に制裁を加えようとしていた。

 宣戦布告後に動いては警戒されてしまうと見て、あえて投稿前、油断している所を彼らは狙っているのだ。

 

「さぁラブラバ、覚悟はいいかい?」

 

「……すぅ、はぁ……すぅ……ご、ごめんなさいジェントル、少しだけ待って……」

 

「勿論さ。……緊張しているね、今まで以上の大仕事に」

 

「えぇ……正直な話、今にも倒れてしまいそうなくらいには緊張しているわ」

 

 工事中のビルの骨組みの上に立つ二人。

 ジェントルはラブラバの背中をさすって落ち着かせようとし、ラブラバは信頼を預けるジェントルの隣で数回大きく吸っては自身の頬を叩いて無理やり気合を注入させた。

 

「ごめんなさい。もう大丈夫よ」

 

「よろしいラブラバ。白状すれば自分も緊張しすぎていて胸が痛いくらいだ。これまで数え切れないくらいに活躍してきた我々だが……今回は規模が違う」

 

「死穢八斎會……指定敵団体。これまでにない敵――」

 

「我々はその存在を知りながらもあえて目を向けていなかった、いや避けていたと言ってもいい。社会の闇、その本質とも言える存在に怖気づいていた……故に今日は記念すべき日となるだろう」

 

 ジェントルはいつものように持参したティーポットを掲げ、それをあえて高い位置から右手のコップに注ぐ。

 勿論強風に煽られた紅茶はびちゃびちゃとあたりに飛散していくのだが……半分程紅茶を注ぐことが出来た所で、彼は一気にそれを飲み干す。

 

「ジェントル、行くのよね。本当に行ってしまうのよね……!」

 

「あぁ勿論だとも、これは我々のため、リュニ君のため……ひいては脅かされ続ける市民のため! ジェントル・クリミナルは今日まさに伝説の一歩を踏み出すのだ!」

 

「キャー! ジェントル、それなら私ラブラバもついていくわ! 貴方の伝説の一助になるように、どこまでもサポートするわ!」

 

 興奮を抑えきれないラブラバにアルカイックスマイルを見せたジェントル。

 そして丁度、()()()()()()()()指定時刻に深夜の工事現場に到着した二台のバンと一台の黒塗りの車を見て二人(うなず)くと、ラブラバは宣戦布告動画を遠隔投稿。と、同時に片手にビデオカメラを抱えて撮影準備を完了させる。

 一方のジェントルはそんなラブラバを腕に抱えて個性を使用。足元の鉄骨を一気にたわませると――今まさに地上で取引を行おうとしていた怪しげな集団めがけて飛び込んだ!

 

 

「『トリガー』100個、注文通り用意した。金は用意しているな?」

 

「勿論だとも。しかしお宅も大変だな、何やら店を潰し回されてるんだって?」

 

「……余計な話は抜きだ、さっさと金を」

 

 

「おっと、私はその余計な話の続きが是非とも聞きたいがね!」

 

 

「な、ぐ、がぁッ!?」

 

 彼らのすぐ傍! 勢いをつけて地面に着地したジェントルらは個性を用いて衝撃を吸収。そして反射の角度を変える事により勢いを乗せて取引中の相手を一人、足蹴にして吹き飛ばした!

 

「なっ、テメェ! 何者だコラ!?」

 

「しっかり捕まっていてくれたまえラブラバ、少し揺れるよ!」

 

「勿論よジェントル!」

 

 突如の襲撃に一斉に銃器や刃物を取り出すヤクザ達。

 しかしながらジェントルは彼ら相手に止まる事なく、個性を使用して跳躍と反射を繰り返し姿を掴ませない。それどころか勢いを殺さずに次々にヤクザ達を蹴りで吹き飛ばしていく。

 

「心無い獣に慈悲は持ち合わせていないのでね! すまないが最初から全力で制圧させていただく!」

 

 反射。攻撃。反転。蹴撃。反発。拳撃。

 さながらピンボールのように高速で跳ね回るジェントルにヤクザ達は反撃すら出来ず。

 瞬く間にその場に居た6名のうち5名をのして、ようやくジェントルはその動きを止めた。

 

「ひ、ひぃっ、何だよ……何だよお前ぇ……!」

 

「おっと、やはりまだまだ私の知名度は足りていないようだな……では自己紹介しよう。私の名はジェントル・クリミナル。死穢八斎會という獣の集団に制裁を加えに来た者だよ!」

 

「格好いいわジェントル!」

 

 ビシっと背筋を立ててポーズを見せるジェントル。

 ヤクザは薬の入ったケースを抱え、その手に持った刀で威嚇しようとしているが、ジェントルに気圧されているのか攻撃に出られない。

 

「君達が今取引しようとしていたのは……個性暴走薬の『トリガー』だね? 違法薬物として知られている危険性のあるモノだ。悪いがそれはこちらで処分させて貰う。さぁ、大人しく渡し給え」

 

「う、うぅ……」

 

 車からのハイビームだけが唯一の光源の中、コツ、コツと一歩。また一歩と歩みを進めるジェントル。彼に刃物に怖じ気ついている様子は感じられない。

 男はなすすべなく戦闘不能に追い込まれた周りの仲間を見て(うめ)き声をあげたが、いきなり大声をあげたかと思えばナイフを持って突進してきた! イチかバチかで刺すつもりのようだ!

 

「う、うらあぁああぁああぁ―――!! ――ぁ?」

 

「人の忠告には耳を傾けるべきだよ」

 

 ――が、ジェントルにぶつかる直前、見えない巨大な幕に絡め取られた男は体重を乗せた一撃の分だけ後ろに吹き飛ばされ尻もちを突き。直後飛び込んだジェントルのローキックが彼の頭部を蹴り上げれば、記憶ごと吹き飛ばされてしまうのだった。

 

「やったわねジェントル! 制圧完了よ!」

 

「はっはっは、最初はどうなるかヒヤヒヤしたものだが、やってみればどうって事はないな! ではラブラバよ、この違法なお金と薬物を回収してすぐにこの場を去ろう!」

 

 カメラを回すラブラバに満面のどや顔でピースサインを送るジェントル。

 そして男とともに吹き飛ばされたケースを回収しようとした矢先、

 

「っ!? ジェントル、危ないわ!」

 

「むっ!?」

 

 闇を引き裂いて現れたペストマスクをつけた巨漢が、いきなりジェントルに殴りかかっていた!

 ジェントルはラブラバの忠告から間一髪それを避ける事が出来たが、拳による避けた場所に出来たクレーターはあまりにも大きい、当たればただでは済まなかっただろう。

 

「なぁんなんですかぁ、仕事の邪魔をしてぇ!」

 

「……君は、鉄砲玉八斎衆のリストにあったな……! 活瓶(かつかめ)力也(りきや)――! 個性は『活力吸収』だったか!」

 

 平均的な成人男性の二倍以上の身長、はちきれんばかりの筋肉で包まれた体にその巨腕、その威容の持ち主はジェントルという敵に破壊を披露せんと、再度腕を振りかぶっていた!

 無論ジェントルもただではやられない。追加で展開した空気の膜を盾代わりに攻撃を無効化どころか、そのまま反発させようとするが、

 

「はっはァ! 何か殴りにくい物があるなァ!」

 

「ぐっ!?」

 

「ジェントル!?」

 

 一瞬だけ抵抗を受けたような挙動はあったが、強力すぎる威力を前に空気の膜1枚では防ぎ切れず、そのまま膜ごと地面を殴り抜く始末。ジェントルは直ちに距離を取る。

 一撃一撃もさることながら、個性からアイツに触れる事=活力を奪われるという事は明白。一撃を貰う事も当然だが、迂闊に近寄って触れられてしまうだけでも詰みに追い込まれてしまう。それだけは避けねばならなかった。

 

「ジェントル……撤退すべきよ、幹部がいるというのなら話は別。また別の機会を狙いましょう」

 

「……」

 

 本来の計画では取引場所に先回りして、取引物だけ奪って逃げる予定だったが、そのケースを守るようにして立つ活瓶が邪魔で奪えそうにない、

 事前に話し合った通り、幹部が現れた時点で撤退するのが正しいのだろう。

 

 しかし、ジェントルは考えていた。

 『まだ私達は何も為していない』

 

 何もせずに撤退が出来るかといえば、否。断固否である。

 二人で決死の誓いを立てたのだ、第一歩目から躓くわけにはいかないと、ジェントルは決意を胸に燃やす。

 

「撤退はしない」

 

「ジェントル!」

 

「我々の覚悟は……リュニ君に見せた覚悟はそんなに安い物ではない! この一歩目から無駄にしては、我々はまた逃げだす事になる! だから、ラブラバ……頼む!」

 

「っ……!」

 

 目の前に立ち塞がる強大な敵相手に、いや真なる民衆の敵に本気で立ち向かおうとするジェントルの表情を見て、ラブラバも一瞬迷った。

 リスクを取るべきではない、慎重に物事は進めてこそ計画はなされる……だというのに、自分の心は彼の気持ちに応えるべきだと全力で脈動している!

 迷いがあった。葛藤もあった。だけど、ラブラバは結局、彼に従うことを選んでいた!

 

「――分かったわ、ジェントル。"愛しているわ"!」

 

「ありがとう。ラブラバ――私もさ」

 

 ラブラバが慕情を祈るようにジェントルに伝えれば、ジェントルの体に今までにない活力が(みなぎ)りだす。深夜の工事現場で、動機こそ不純だが真に人の役に立とうとし始めた男が、今まさに全力を出そうとしていた!

 

「あーあーあー、何見せつけてくれてんの。うろちょろしてないでさぁ……さっさとぶっ潰れてくれねえかぁ!?」

 

「申し訳ないが、我々には使命がある。ラブラバ、このシーンは今後の奴らへの戒めのため、ノーカットだ!」

 

「勿論よ、気を付けてジェントル!」

 

 再度大きく右拳を振りかぶった活瓶、相手は何かしら衝撃を吸収反発させる個性だが、こちらの力の方が強いと考え、小細工なくジェントルへ振り下ろす。

 当然ジェントル、先の威力を知っているのか余裕を以って避けるが、続けて放たれた左拳が更に振り下ろされ、またも避ける。

 

 攻撃する、避ける。攻撃する。避ける。攻撃する。避ける。

 

 その巨体から繰り出される暴風雨のような拳撃は工事現場の基礎や鉄骨を吹き飛ばし、瞬く間に周りが更地へと変わっていく。やはり反撃は厳しいのか、ラブラバが固唾を飲んで見守る中、ジェントルはその間何一つ反撃することが出来ずにただ避け続けるだけであった。

 

「どうしたぁ、大口叩いといてソレで終わりですかぁ!?」

 

「……」

 

「返答する余裕もないとか、エンターティナー失格だぁな! 死ねっ!」 

 

 そして工事現場の隅まで追い込まれたジェントルに直撃コースの拳がついに放たれる! 左右後を壁に挟まれたジェントルはついに避ける事もできずに地面すら抉る凶悪な一撃を受けてしまうのだが……!

 

「失礼した。今まで黙っていたのは……丁度いいタイミングを探っていたためさ!」

 

 攻撃を受けたのはその体ではない! 

 

 あらかじめて展開した空気の膜3枚で受け止めていた!

 ラブラバの力で普段よりも数倍に跳ね上がった個性は、破壊をもたらす男の攻撃を完全に抑え込み、そして拳の威力以上の反発力で吹き飛ばしていた!

 

「お、おぉっ!?」

 

「彼女の愛を受けた私は無敵! 悪いがここからは私の独壇場だ!」

 

 たたらを踏むどころか反発が強すぎて巨体が浮いてしまう活瓶。そんな活瓶に、ジェントルは既に追撃を始めている!

 あらかじめ発動していた個性で、倒れ込むであろう地面の弾性を跳ね上げさせており、狙ったようにその場に倒れ込んだ活瓶はとうとう完全に宙に浮かびあがる!

 

「君は非常にガタイがいい、だからこの攻撃もきっと耐えれる事だろう……!」

 

 そして空中に投げ出された活瓶を更にジェントルが先回りすれば、宙空に重ねて発動した個性がより高く高く、彼の体をまるでロケットのように打ち上げていく!

 

「う、あっ、あぁぁああぁっ!? 何しやがんだテメェェェェ――!?」

 

「空中散歩さ! そして君は、今宵一筋のお星様となる!」

 

 高く。高く。高く。高く高く高く――!

 近くの5階建てのビルよりも遥かに高く打ち上がった活瓶の上昇は一向に止まる様子がない。

 既に20mを超え、30mを超えたその高度。活瓶は藻掻こうにも、空中では何も掴めず空をただ掴むのみ! 飛ばされている本人はまるで空に落ちていくかと思う程の錯覚を覚えていた!

 

 だがその上昇の行き着く終着点は、既に用意されていた。

 

「無作法、誠にお詫びする。願わくばキミが生きている事を祈るよ――さらばだ!」

 

「お、おぉぉぉ、おぉぉぉぉぉ~~~~ッ?!?!?!?!」

 

 夜空に浮かぶ巨大な満月、そしてその満月を背にしたジェントルが新たに展開した最後の空気の膜、それは勢いを乗せて上昇する活瓶の体を見事に包み込み、そして来た時以上の速度で地面へと落としていく!

 まるで流星を思わせる速度で落下していった活瓶は、抵抗も出来ずに急速で地面に落下してゆき――衝突! おおよそ人から出たとは思えない衝撃音とクレーターを地面に作り上げていた。

 

 

「――見ていてくれたかラブラバ! これが私の、いや私達の偉業の、記念スべき第一歩だ!」

 

 

 そして、音もなく隣に着地したジェントルは、勝利の宣言をラブラバに見せつけ、ラブラバはやり遂げた男に涙を流しながら頷いたのだった。




なんだかんだで修羅場くぐったデクとやり合えるくらいにはジェントル実力あるからね。
彼は普通に強いと思う。個性も応用利くものだしね。
ラブラバがいれば実力10倍!

あと誤字報告いつも本当助かってます……!
悪連合じゃなくて敵連合やんけ! ひぃぃぃ、全部直さないと…。

感想・評価お待ちしております。

《レユニオン図鑑》
・今日は有給を頂いております。

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

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  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
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