個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

16 / 30
第15話 口先には注意しましょう!

「……そう言えばエリちゃんはまだ死穢八斎會に……あっ」

 

 私とジェントルとリュニちゃんの三人で、私達が作った動画を見て振り返っている途中。ふと、リュニちゃんの呟きが漏れた。

 

 エリちゃんという聞き慣れない名前。

 そして続いた『死穢八斎會に』という言葉。

 更に更に本人のしまった、という表情を見て、私は疑念を抱く。

 

 もしかして……リュニちゃんのお友達は、まだ死穢八斎會に囚われて……!?

 

「リュニ君……その話、何故黙っていた」

 

「う、えっと……あの……………その今のは、何でも……」

 

 リュニちゃんは(あわ)てていた。

 言葉にならないうめき声をあげながら顔を左右に振っている。

 恐らくだが、彼女の中には拭いきれぬ罪悪感があったのだろう。

 人身売買された中で、自分だけ助かってしまったという安堵感。そして強大過ぎる組織への恐怖心から、きっと見ないように心の中で(ふた)をし続けていたのだ。

 

「リュニちゃん……!」

 

 彼女の心を思うと私は居た(たま)れなくなって……つい抱きしめてしまう。

 辛かっただろう。苦しかっただろう。

 きっと彼女は私達にもお願いしようとした筈だ。

 それでもずっと我慢してこらえていたのは……その余りにも強大過ぎる組織力に私達が太刀打ち出来ない事を見越してなのだろう。いらぬ心配をかけぬように、彼女は秘め続けていたのだ!

 

 余計な気苦労をさせてしまった……!

 それもこれも、私達が弱いばかりに……!

 

「……ジェントル。私は」

 

「みなまで言うな、ラブラバ。こんな話を聞いて私とて黙っていられないさ」

 

「ふ、二人共っ、でも多分もしかしたらえ、エリちゃんだってもう助かってるかもだから……! ね? わ、私は全然平気だから……っ」

 

「リュニちゃん」

「リュニ君」

 

「……」

 

 必死に私らに何でも無いと言い聞かせようとするリュニちゃんを二人で見つめると、彼女の双眸(そうぼう)がじわりと滲み出す。

 大丈夫よ、もう、何も言わなくてもいい。

 絶対に。どんな事があっても友達まで助け出して見せるから……! と安心させるように強く抱きしめると、やがて胸の中で嗚咽(おえつ)が漏れ出し始めていた。

 

「……前以上に綿密な計画を立てないとだな」

 

「えぇジェントル。一世一代の大勝負になるわねきっと……」

 

「だが、やり遂げれば我々は真に英雄と呼ばれるだろうさ。何が何でも成し遂げるぞ、リュニ君のためにも、エリちゃんとやらの為にも……!」

 

 

 

 § § §

 

 

 

 おはヒロアカー! 転生少女ー! リュニちゃんですー!

 本日はー! 手ひどくー! やらかしましたのでー! ご報告させていただきますぅー!

 

 いや、切っ掛けは二人の死穢八斎會弄り動画を見てた時なんですよ。

 死穢八斎會弱体化に引き続き、起きる筈の林間学校襲撃事件が起こらないといった原作ブレイクが進んでいる中で、個性抹消薬の材料として扱われていた壊理ちゃんってどうなるんだろうと思ってたんですよ。

 その心配がまさか口に出てしまっていたとは思ってませんでした。(震え声)

 

「えり、ちゃん……? まさかリュニちゃんのお友達が人身売買の対象に……!?」

 

 焦りました。マジ焦りました。

 いや違うんですよまずその子はお友達なんかじゃありませんし人身売買というか組の財源になる悲劇のヒロインっていうか……! 出所不明の情報源がぽろりと出ただけでですね!

 だから本当に何でも無いんですよー! といった風に全力でぶんぶんと顔を振ってたんですが……駄目でした。

 

「リュニ君……その話、何故黙っていた」

 

 黙っていたも何も忘れていたんです! これは本気で!

 死穢八斎會ってそう言えばあの子居たなー的な独り言だったんです! 他意はないよ!?

 と、ジェントルもラブラバもどっちも問い詰めてきたので、何と答えたものかと本気で焦ってたんですが、すると唐突に私を包む暖かな何かが。

 

「リュニちゃん……!」

 

 あれー、私何で一転してラブラバちゃんに抱きしめられて……。

 いや嬉しいんですけど、一体どういう事……?

 何かすごい決意籠もった目とかしてらっしゃりますが、まさか。まさか違いますよね? あの、ちょっと?

 

「……ジェントル。私は」

 

「みなまで言うな、ラブラバ。こんな話を聞いて私とて黙っていられないさ」

 

 あーあーヤバイヤバイヤバイ! 死穢八斎會突撃フラグたってます!

 そのフラグいらないって、もうちょっと待とう、ね!?

 そうしたらきっとサーとかルミオとかがぷちっと潰して救出してくれるだろうから!

 

「リュニちゃん」

「リュニ君」

 

 わ、私のためを思うならそこは放置って感じで、駄目?

 いや、えりちゃんは可哀想だと思うけど他所の子だしそんな、余計なリスクとかは、ほ、ほらぁ……うぅぅぅあぁぁぁー~~~……! 何その二人の決意固そうな目~~……! 駄目だこれ、(ひるがえ)らない感じがするぅぅぅ……! 私の、安全な生活……安全な生活があぁぁ……!

 

「……前以上に綿密な計画を立てないとだな」

 

「えぇジェントル。一世一代の大勝負になるわねきっと……」

 

「だが、やり遂げれば我々は真に英雄と呼ばれるだろうさ。何が何でも成し遂げるぞ、リュニ君のためにも、エリちゃんとやらの為にも……!」

 

 わかったよもぉぉぉぉ~~好きにしろよぉぉぉ~~~!

 こうなったらもう総戦力でぶっ潰してやるよ畜生~~~~っ!

 

 

 

 ……はい、という事で大変取り乱しましたが、お二人のお気持ちが悪い方向に進んだ上、説得も駄目そうだったのでもう開き直って死穢八斎會ぶっ潰す方向で行ってやろうという感じです。

 

「こうなったら私も全力で個性使う……文句は言わせないから」

 

「分かったわリュニちゃん、貴方の気持ちも分かるわ。一緒に頑張りましょう」

 

 言ったな? 

 二人の活躍がなくなるくらいにやってやるから覚悟しとけよ……。

 

 とりま、まずは今現在の壊理ちゃんがどこにいるかを探る所からですね。

 原作では本拠地にいたそうですが、恐らく現在も本拠地にいる可能性が大です。

 押収したブツの中には個性を消す薬もあったので、現在も壊理ちゃん材料にせっせとお薬量産してるのは間違いないので、何事もなければ本拠地にいるのではないでしょうか。

 

「多分ね、壊理ちゃんは大きなお屋敷に居ると思う……私も昔そこにいて『あの子は特別だって』組長さんが言ってたのを聞いたの。専用のお部屋があるんだって」

 

「大きなお屋敷……本部だろうな。あの大屋敷に匿われてるのか」

 

「あれだけ広大だと探すのも大変そうね……」

 

 ぶっちゃけ中も迷路みたいになるからねー。

 ガチで探すの大変かもだよ。

 

 次に考えるのは戦力です。

 これは実際あんまり心配していません。

 私の個性があれば小隊どころか師団レベルでの兵隊を用意できますし。とてとての(とてもとても強い)幹部さんもいます。ぶっちゃけ如何用にも料理出来ます。ただ問題になるのは不測の事態が発生した場合です。

 

 遠隔自律制御出来る私の個性、私がこの拠点から離れず、個性だけ本部に突入させるのが一番望ましい運用になるのですが、もし万が一派遣させた個性がやられた場合、またこの拠点から兵隊を再派遣させる必要があります。そう、遠隔召喚が出来ないんですよねー。

 

 あらかじめ多めに派遣すればいいのでは? と思いますが、本部長のミミックさんが壁を操って分断させる事に長けている以上、大多数で押し入っても分断されたりで無駄死にしたりロクに活躍出来ない可能性が大。それなら幹部連中と後はサルカズ傭兵部隊とか少数精鋭を派遣させるのが効率的かなと。

 正直彼らを派遣すれば制圧出来なくはないかなって感じなんですが、若頭のなー、オーバーホールっていうチート個性があるとなー、接触=死だからなー。

 万が一を考えて現地で即リスポン出来るように、私も現場に(おもむ)いた方がより効率的だし確実……その代わり危険度は大なんだけどね!

 

「……もしも突入する時は私の個性を盾とか囮代わりにしてね? あと、えっと、出来るなら私も本拠地に一緒に」

 

「「駄目」よ」

 

「あうぅ……」

 

 ですよねー。いや、正しいと思うよ。

 思うんだけど現地に居たほうが色々とやりやすいと思うんですよ!

 コレは追々二人を説得するとしよう。

 

 あと一番気になってるのは私の感染症だ。

 今まで考えないように考えないようにって思ってたんだけど、毎度お風呂場で確認するに、やっぱり最初に比べておへその鉱石が広がって……広がって、ないんだよなぁ……。ちっちゃなほくろ程度の大きさから変わってない。

 予想以上に症状が広がるのが遅いと思うべきか、実は内部で感染が広がってると見るべきか……なんでさえ、今回の戦闘で精鋭を多数召喚すると一気に感染広がる可能性があるのかも。

 何とか精鋭部隊は出来る限り少数にしたいね。何かいい方法ないかな……。

 

 で、最後に考えるのが、もしも死穢八斎會の本部に壊理ちゃんが居るとした場合。あのからくりめいた複雑MAP、如何にして攻略するのかって所だ。

 これは原作だとサーが直接未来を見て何か探ったとか言ってたけど、こっちにサーなんていない。

 そうなると手探りで見つけるしかないという辛い道のりが待ってる。最悪たどり着けないかもしれない。

 

「……あとね。屋敷の中はなんだか迷路みたいだった。変な所に扉があったり、階段があったり」

 

「ますます怪しいな……やはりそれだけ非合法的な事をしているという訳か」

 

「屋敷の見取り図があるか、少し探って見るわね」

 

 多分探ってもそうそう見つからない気がするけど、うーんどうするべきか……あ、そうか。こういう時こそクラウンスレイヤーさんだ!

 本部に侵入してもらって何とか道を調査して貰おう!

 ついでに壊理ちゃんが居たら確保して貰えれば問題なくね? 壊理ちゃんは助かる。私達は本部に凸る必要がなくなる。ハッピーハッピーやんけ!

 

「あの、私の個性でも探るのに長けている子がいるから、それで探ってみるね」

 

「おぉ、それは助かるな!」

 

 という訳で、私達は壊理ちゃん救出作戦と死穢八斎會ぶっ潰し作戦をもくもくと考え始めるのでした。

 目指せ安寧(あんねい)。目指せ平和な世界! 早く監視なくだらだらーっと過ごせる日々が来ますように!




個性ですが、完全にデメリットがない訳ではありません。(ネタバレ)

感想・評価お待ちしております。

《レユニオン図鑑》
・オヤスミマンです。

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

  • 丁度いい感じ
  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
  • むしろ主人公目線だけでいい¥
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。