個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

17 / 30
いつも感想ありがとうございます!大変励みになります…!
感想返しは全部出来ていなくて申し訳ないですが、
全ての感想に目を通させていただいてます!

2020/04/29
トゥワイスの個性『2倍』で複製した人の記憶が
複製元にまで引き継がれていたので一部文章を改定。


第16話 侵入しましょう!

 住宅街の一角を大きく占領する巨大建築物。

 それは入り口こそ和風然とした門になっているものの、敷地内はまるで異なった洋風建築であり、ちぐはぐさがどこか物々しさを醸し出している。

 

 そう、この建築物こそ今まさに世間を騒がせている死穢八斎會の本部にほかならない。

 

 日夜報道されるニュースで警察から(にら)まれ、そしてその実態から(いぶか)しまれたその家に、今や住民らは"ほとんど"から"滅多に"近寄らなくなり、本部から誰かが現れると一目散に逃げていくくらいには恐れられていた。

 

 そして、そのお屋敷の内部。

 若頭の徹底主義からまるで迷路のように入り組んだ屋敷の中の一角。

 そこには協力体制となり、一時的に組に加入する事になった敵連合の一員が待機していた。

 

「……だぁぁ、あのさ。あのさ、ここでいつまでだらだらしてりゃいい訳?」

 

「マス君。もうちょっと辛抱しなさいな、とは言え暇なのは間違いないのだけど」

 

「俺はもうすぐ出番が来ると思ってるね! 初陣がこんなちんけな所だって思うと寂しいけどな! 毛ほども寂しくねえよ!」

 

「……」

 

 派遣された敵連合のメンバーは4人。

 

 大型ソファをまるまる一つ占領する快楽殺人鬼の『マスキュラー』。

 壁に背をもたれかけさせたサングラスでオネエ言葉の『マグネ』。

 回転椅子に座りながら暇そうに回転させ続ける全身赤黒タイツの『トゥワイス』。

 そして手頃な机に座り込んでぼーっと宙を眺めるのは、腕や足、そして片目を覆う包帯が痛々しい金髪JK、『トガヒミコ』であった。

 

 しかして折り紙つきの実力を持った彼らに下された最初の命は『命令あるまで屋敷内で待機』という、暴れん坊の彼らにはいささかどころか、かなり退屈な内容であり、全員が暇を持て余していたのだった。

 

「ここに来てやったことつったらさぁ、お茶飲んでだらってしてるだけじゃねえか。そう言うのは俺得意じゃねえんだよなぁ、クソつまんねえ。あー殴りてえ」

 

「喧嘩っぱやい奴だよお前! 乱波(らっぱ)とか言う喧嘩馬鹿とやりあってきたらどうだ!? いや、やめとけよ面倒だから!」

 

「おぉ、そいつぁいいな! あいつは中々やれそうだったからな。よし喧嘩売ってきて――」

 

「やめなさいな、怒られるわよ。……でも退屈なのは事実なのよね。弔君も思い切りはいいけれども、こんな協力なんてしちゃって本当に意味あるのかしら……?」

 

 彼らがこうして死穢八斎會に臨時で属している理由は治崎と死柄木、両トップによる話し合いの結果であった。

 一時期は八斎會側が一方的に敵連合を怪しみ、かつ実際に報復行為に至っていたのだが、今回のジェントル・クリミナルによる動画での宣戦布告から完全に誤解であるという事が判明。八斎會側は特にごねる事もなく敵連合への全面的な謝意を表明した。

 加えて例の動画によって連日の警察及びヒーローからの突き上げや関連施設への攻撃激しく、弱りきった彼らは、敵連合へと協力を要請していたのだった。

 

 敵連合も一方的に被害を受けていた手前、素直にハイと(うなず)けはしなかったものの、このニ組織をかき回した謎の集団に腹立たしさを覚えていた死柄木は条件付きで了承。一時的に八斎會と敵連合は共闘関係に相成ったのだった。

 

「……」

 

「おいおい、オーイ。トガちゃん?」

 

「……んぅ? どうしたんですか(ジン)君」

 

「いや、なんつーか。()()()()()()()()()()()()、もうちょっと休んでてもいいんじゃねえか!?」

 

「あはは、大丈夫ですよ。ちょっとぼーっとしてました」

 

「でもトゥワイスの言う通りよ? トガちゃん、貴方一応動けるようになっただけなのに……別にやられちゃったからって思いつめちゃ駄目よ、あれは貴方の責任なんかじゃないわ。弔君は無理矢理メンバーにねじこんだけど、もしも無理だったら」

 

 マグネが心底心配そうにトガに語りかけるが、トガはううんと首を振る。

 

「大丈夫です。それに私も望む所なので平気です、ちゃんと出来るJKである事を今回ので弔君に見せつけつるつもりですから」

 

「ハッ、お前をボッコボコにした奴か。そいつは殴りがいがある奴なのかァ?」

 

「少なくともマス君だと当てる事も難しいんじゃないでしょうか」

 

「あ? オイオイオイ、口の聞き方に気をつけろクソガキ。俺をお前見てぇな雑魚と一緒にすんじゃねえぞ。一方的にノされるなんて恥晒しな事しやがってよぉ……」

 

「……筋肉だけじゃ、あの人はなんともなりませんよ? 気付いたら殺されてるのがオチだと思いますが」

 

「マスキュラー! トガちゃん!」

 

 常に誰かをぶちのめしたくて仕方がないマスキュラーと、一瞬で機嫌の悪くなったトガヒミコの間に剣呑な雰囲気が立ち込めるが、マグネの取りなしにより何とか霧散する。

 

 部屋の空気が更に悪くなったところで、トガは空気を吸ってくると待機部屋を後にし、屋敷内を散策し始める。

 ……とは言え、徹底主義の死穢八斎會である。散策と言えど移動出来るルートは限定されているのだが。

 

「……はぁ」

 

 ひたひたと当てもなく屋敷内を歩くトガから、無意識に溜息が漏れた。

 罵倒されたからか、それとも自らの実力不足を嘆いているのか、または本格デビュー前にやられてしまった無様な自分を恥じらっているのか。

 

 正解はどれも違う。

 

 彼女――トガは()()()()()いた。

 

 あの二人組(リュニとクラスレ)に出会い、やられてからずっと、二人組の事を考え続けていた。

 治療中も。

 組織としての活動中も。

 そしてこの死穢八斎會に派遣されてからもずっとずっと。

 

 あの礼儀正しい小さな娘も。容赦なく私をボコボコにしたあの娘も。その両方ともボロボロにしたくて、血だらけにしたくて、そして血が吸いたくて、仕方がなかった。

 本音を言えば治ったそばからあの二人の下に行きたかった。行って、この胸の内で(くすぶ)る衝動を解放したかった。だけど折角敵連合の仲間入りしたのに真っ先にやられてしまった手前、体裁を整えるため仕方なく弔に従う事を選んでいた。

 

(……あの娘達に会えないのはとっても残念です……早く、早くこのお仕事も終わらないかなぁ)

 

 トガは思考に(ふけ)りながら手慰みにナイフをぽんぽん、と軽妙にジャグリングし、フローリングされた通路をふらふらと歩いてゆくのだが――、

 

「あれ……?」

 

 ――その通路の先で、誰かが倒れているのを見つけてしまう。

 

「あれれ、どうしたんですかー。おねむですかー?」

 

 うつ伏せで倒れたその誰かは、恐らく組員なのだろう。

 しかして問いかけに答えはない事から殺されている可能性が高いと判断したトガはその手のナイフを展開する。

 明かりを反射して鈍色にきらめくナイフを片手に周りを調べれば、通路の先には丁度半開きの扉が見えており、その中からは明かりが漏れているようだが……呼びかけをしても返答はない、となるともう。答えは一つだ。

 

「――♪」

 

 トガは猛然と扉へとダッシュしていた。

 ナイフを持って一気に部屋の中に飛び込み、そして部屋に居るであろう不逞(ふてい)の輩を切り刻もうと考えた。

 丁度悶々としていたのだ。どんな侵入者か知らないけれど、()()()()して()()()()して暇潰しに遊んじゃおう――なんて考えた所で、

 

「はれ?」

 

 その部屋の中、恐らく組員の詰め所と思われる場所で自身以外が全員倒れ込んでるのを見て、素っ頓狂な声を上げざるを得なかった。

 何度見渡してもそこには襲撃者らしき影はなく、ただ沈黙が部屋を満たしているだけ。

 

 まさか……既に襲撃は終わった後? 

 もうここに侵入者はいないのか?

 

 そう考えた瞬間、トガの口から大きな大きなため息が出た。

 全身を貫く脱力感。興ざめしたトガはだらんと両腕を下げ、つまらないとばかりに倒れている組員を調べようとして、

 

「あはッ、やっぱりっ!」

 

「ッ!」

 

 突如背後から振り下ろされた攻撃を後ろに回した腕で迎撃! そして猫のようにその場を跳躍したトガは、下手人を確認し――更にその表情を大きく歪ませた。

 

「クラスレちゃんっ!? クラスレちゃんじゃないですかっ、覚えてますかトガですっ、こんなところで会えるなんて本当に素敵ですっ!」

 

「……」

 

 下手人はなんと、恋焦がれていた内の一人。クラウンスレイヤーであった。

 トガの鬱屈した感情は彼女と出会えた瞬間に全て喜びに塗りつぶされ、爛々と目を輝かせて再開を喜んでいる。

 当然ながらお相手はそんな彼女の狂気とも言える表情を見て不快そうに眉を(しか)めているが、そんな事お構いなしにトガは話しかけ続ける。

 

「こんな所に忍び込んでるなんて思ってもいませんでした、私も最初は何でこんな所に来なきゃ、って思ってたんですけど今では弔君に感謝してます、クラスレちゃんに会えたんですから!」

 

「……」

 

「今日はどういった用件でここに侵入しに来たんですか? あれ、そう言えばリュニちゃんはどこに居るんですか? お一人なんですか? もしもリュニちゃんが居るのなら私は是非とも会ってみたいのですが」

 

「……」

 

「だんまりは悲しいです! この前は全然話せなかったので今日こそ一杯話し合っ」

 

 気付けば、トガはその喉を切り裂かれていた。

 瞬きした瞬間に間合いを0距離まで詰め、抵抗する隙も与えず致命傷を与える、まさしく凄腕の暗殺術。切られたという感触すら与えなかった彼女は、直後に驚愕に目を見開くトガの心臓を細身のナイフで貫いていた。

 

 容赦のない研ぎ澄まされた必死の攻撃。

 如何に個性のある悪人であろうともこの攻撃には倒れ込むしかない――筈だった。

 

「あ、ごぼ……やっばりクラスレちゃんっで、強い゛んです、ね……♫」

 

「……!?」

 

 クラウンスレイヤーは今度こそ驚いた。

 将来的に絶対に障害になるであろうこの殺人鬼を命に背いてでも殺した、筈だった。

 だというのに今しがた殺した相手はまるで泥で出来ていたかのようにその輪郭が崩れ、瞬く間に粘性のある液体として床に広がってしまうだけだったのだから。

 

 殺害に失敗、そして存在がバレてしまった事を悟ったクラウンスレイヤーはすぐ様脱出を決意。今まで調査していた屋敷で得た資料を片手に、その場を音もなく去るのだった。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「……あぁ? オイオイ! 不味い事になってるぞ、別に不味くもねえけどさ!」

 

「あらトゥワイス一体どうしたっていうのよ? 血相変えちゃって」

 

「どうしたもこうしたもねえよ、複製した筈のトガちゃんが消えちまってんだ! いや消えてねえよ!」

 

 そう、クラウンスレイヤーにやられたのは複製体であった。

 不幸中の幸いか、トガだけは大怪我をしてても何としてでも暴れたいという彼女の願いを叶えるために複製体での参戦を果たしていたのだ。

 

「あぁん? 複製が消えた? 素体が病弱過ぎてお陀仏しちまったのかァ?」

 

「トガちゃんの複製が消えた――貴方が消したんじゃなくて?」

 

「確かに任意で消すことぐらいはできるが、今ここで消したりするような真似はしねえよ! つまりこういう事だ!」

 

 マグネは薄々事の真相に勘付いてはいたものの、あえてトゥワイスの言葉を待つ。

 そしてその言葉はやはり彼が思い浮かんだ通りの物であった。

 

 

「――侵入者だろ! この組にもうヒーローかなにかが忍び込んでんだよ!」

 

 

 ほどなくして彼らは荒らされた部屋と、倒れた組員を発見。

 敵連合の報告から死穢八斎會本邸はまるで火がついたかのように大騒ぎになるのであった。

 




なんと林間学校がないのでトガちゃんがデク君に恋してないという事態が…!
コレは由々しき事態だぞ…!原作がもう音を立てて壊れ続けていく…!

感想・評価お待ちしております。


《レユニオン図鑑》
・_(:3」∠)_

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

  • 丁度いい感じ
  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
  • むしろ主人公目線だけでいい¥
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。