個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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THE・難産パート3。
できるなら会話だらけにしたいなぁ。

なな、なんとなんと!
光栄な事にあまてるさんからファンアートをいただきました…!

メスガキ服リュニちゃん
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暴徒君&リュニちゃん
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使い走り暴徒君
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作品を書いていてこんなにも嬉しい事はありません…!
本当にありがとうございますあまてるさん!
メチャクチャモチベ上がりまくりです、これからも頑張って書きますよー!


第22話 追いかけましょう!

 警察とヒーローらによる死穢八斎會への追い込みは、例の二人組による動画投稿を切っ掛けに苛烈を極めた。

 かつては大樹と例えられるほどの強力な組織力と支配力を持っていた死穢八斎會は、今となっては既に崩壊秒読みの段階まで来ていると言ってもよかった。

 

 組長への重く深い恩義を持つ治崎も一時はどうにかして傾いた組を存続させようと必死になっていたが、現状を覆す事は出来ないと認めざるを得ず。一旦は組を分解し、新たに立て直すしかないと判断していた。

 

 故に、治崎はここ一週間、ヒーローや警察らの引っ切り無しの追求をのらりくらりと(かわ)しては、逃走準備を着々と進めていたのだった。

 かき集めるだけかき集めたありったけの金。武器。クスリ。そして開発中の個性抹消薬の資料、データ――逃走に必要な物をまとめ、時に跡形なく証拠を消すと言った作業と並行して、本部逃走経路の確保に、逃走後の活動拠点の用意など、終わりの見えない作業に追われる日々。

 

 今までも多忙な日々を過ごしていたが、ここ近日はまさしく休む暇もないと言ってもよく、腹心でもあるクロノスに柄でもなく心配されるという事もあったが、その準備もいよいよ以って最終段階である。

 

 準備に先立って一番重要だったのは、敵連合との交渉だった。

 

 つい先日、治崎は敵連合トップである死柄木と改めて顔を合わせ、今までの誤解を解くと共に謝意を示し、敵連合に協力を願った。

 例の仮面集団に、お互いに潰し合うように仕向けられたというのは二人の共通認識であったため、話はトントン拍子で進んだが、勿論協力に際した条件は安くはなかった。

 少なくない量の金品や、作成中の薬の情報提供。そして有事の際には敵連合のメンバーとして行動して貰うという命令権などなど――それは実質的な敵連合への吸収と同じであり、あまりの悪条件に治崎も声を荒げて抗議したが、既に尻に火が着いた身である以上他に道はなく、渋々頷く他なかった。

 

(従うのは最初の内だけだ……今に見ていろ……! まずは、戦略的撤退だ。力を蓄えて例の二人組みも邪魔した組織も潰してから、内部から食い尽くして新しい八斎會を作り直してやる……!)

 

 逆境を怒りに変え、復讐に燃える治崎。彼が一週間以上、ほとんど不眠不休で動き続けられたのもそういった激情に支配されていたからかもしれない。

 

 だが経緯はどうあれ協力を結べた治崎は敵連合のメンバーを借り受ける事に成功。

 逃走の際の護衛や露払いを彼らにお願いし、逃走をより万全に近づけて。後は腹心にのみ伝えた、来たる2日後の決行日を待つのみとなっていたのだが――、

 

「……? なんだ」

 

 治崎は不意に胸騒ぎを覚えた。

 時は深夜1時半頃。秘密裏に改築した地下2F、そのとある部屋でひたすらに終わることのない逃走準備を行い続け、重さを感じる(まぶた)を指で揉んでいた時だった。

 立て続けに感じる微量な振動。机に乗せていたグラス、その中のお茶が小さく振動するのを見て、治崎の中で違和感が膨れ上がる。

 

 そしてまさか、と思い監視カメラ越しの映像をモニタに映した直後、治崎はその嫌な予感が当たったことを悟ってしまう。

 

「ヒーロー共、だと……!? 馬鹿な、早すぎる!」 

 

 なんと屋敷の外周、庭、室内と言った複数の監視画像のどれもこれもに警察やヒーローらの姿が映されているではないか。

 確かに家宅捜査まで秒読み段階ではあったものの、献金やトカゲの尻尾切りを繰り返してどうにかこうにか捜査の手を遅らせてはおり、警察内通者からのリークでは家宅捜査の実行は5日後の筈であった。

 

 だというのに現実では今まさに襲撃が行われている。

 しかも捜査令状の提示もない強制捜査である、一体何がどうしてこうなったと治崎は叫びだしたくなった。

 

「クロノス! 音本、いるのか!?」

 

 部屋を飛び出した治崎は怒鳴りあげて呼びかければ、二人も異変に気付いたのだろう「若頭!」と声を張り上げて近づいてくる。

 

「すいやせん若頭、完全に油断していました……! ヒーロー共が警察率いてここに……!」

 

「そんな事分かっている、奴らは今どこまで侵入している!?」

 

「それが奴らの大部分は今1Fにいるんですが、一部の面子は既に地下に侵入していやす!」

 

「やはり先日の侵入者騒ぎはこの強制捜査の前段階だったのか……」

 

 数日前の事、厳重な警戒をしていた筈の組に侵入者が現れたという話があった。

 待機していた組員が何十名と倒れ、敵連合のガキが相手をして、その複製が殺されたという話があったが、さしたる被害らしい被害はなかったと思っていたが――(何故か壊理がお気に入りのおもちゃがなくなったと騒いでいた)どうやら奴らはどうしてもこの組を徹底的に潰したいらしい。

 

「クソが……いいか、一刻の猶予もない。幹部らへ報告して徹底抗戦を命じろ! 俺らは幹部が抵抗している間に荷物をまとめ、壊理を連れて逃げるぞ。敵連合の連中も叩き起こせ! いいな!?」

 

 二人の返事を聞かずに治崎は壊理の眠る部屋へと急いでいく。

 通路を疾走し、乱暴にドアを開け放ち。そして、呑気に眠っていた少女を叩き起こした。

 

「ど、どうしたの……?」

 

「壊理。さぁ逃げるぞ、ここに()()()()が入り込んできた」

 

「……」

 

「大丈夫だ、勿論お前は絶対に守って見せる。しばらく色々な場所に行かなければならないが……辛抱しろよ」

 

 いつもよりも剣呑な雰囲気を見せる治崎に気圧されてか、壊理は黙って治崎の目を見つめるばかり。そんな壊理を治崎は抱えると、逃走場所――地下に秘密裏に作り上げた、地上へと繋がる道へと急ぐ。

 この道は侵入者が現れてから入中に急遽(きゅうきょ)作らせた新しい道だが、その作りは突貫工事のためどこか崩れそうな雰囲気があった。

 

 地上へ向かう急ごしらえの道を歩く度にぽろぽろと足元で地面が崩れるのが分かる。

 まるでこの先に待ち受けている未来が不安定であるかと示唆しているようで、治崎は不快さを隠す事ができない。

 

「畜生、畜生、畜生、畜生……ッ!」

 

 肌に浮かぶ蕁麻疹を、心中を満たす怒りにかまけて血が出るほど掻き(むし)る治崎。

 腕の中の壊理はそんな治崎を恐れた目で見ることしか出来ずにただしがみつくばかり。

 

 そして治崎が通路先の階段に脚をかけた直後。

 原因不明の衝撃と爆発音が地下いっぱいに広がるのだった。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「ぐっ……!?」

「……やはり来たか、入中常居(ミミック)!」

 

 一方で八斎會本部の建物に侵入し、地下への道を突き進むエンデヴァーら一行。

 しかしながら警戒しながらも迅速に進む彼らの進行方向で、その道が、壁が、まるでそれが意思を持った軟体生物であるかのようにうねり出し、進路を塞いだ!

 

 八斎會幹部、入中の個性『擬態』の仕業なのは間違いなかった。

 この個性は物に入り込み、物体を自由自在に操るという物であり、恐らく入中はヒーローらを待ち構えていたのだろう。

 

 当然ながら入中が妨害してくることを予測していたヒーローらであったが、彼らに出来る事は限られている。

 

 塞がれた壁を破壊し、ただ先へと進むばかり。

 

 イレイザーに入中を目視させる事ができれば苦労はしないが、肝心の入中は壁の奥に埋まっているのか確認できず、その行動を妨害する事は出来なかった。

 

「サー! 自分が先行します!」

 

「ミリオ、気を付けろ。奴らはきっと私達の知らない逃走経路を作っている筈。絶対に逃がすな」

 

「はい!」

 

 その場に同行していた通形(とおがた)ミリオ、ヒーロー名『ルミリオン』は個性『透過』の持ち主であり、如何に進路が塞がれようとも意に介さず通過。先へと進んでいく。

 

 遅れてグラントリノ及びエンデヴァーの攻撃が壁を破壊して後を追うものの、破壊した矢先に縦横無尽に通路が狭まるため、思うように移動する事は出来ていなかった。

 

(頭に叩き込んだMAPだとこの先に階段がある! 今は地下1F、ターゲットは恐らく3F! 混乱している今がチャンス、早く捕まえていかないと……!)

 

 個性を併用してぐんぐんと加速し、まず地下2F目指して階段を飛ばし気味に進むミリオ。

 不意打ち気味な強制捜査で組員らの隙を突くことは出来たが、既に数分が立った今、事態は知れ渡っているであろう。恐らくここから抵抗は増えていく筈。最大限の警戒で周りに目を配らせていく。

 

 しかし、2Fに降り立った瞬間――彼の足元がぐらり、と揺らいだ。

 まるで地面をひっくり返されているような感覚。よもや入中が先行する自分の方を襲ったのか、と一瞬考えを巡らせたのだがどうにもおかしい。

 視界は揺れるが地面に変異は見られず。局所的な地震に襲われているような錯覚を覚えたミリオは壁に手をついて体を支えてから、ようやくそれが自らの平衡感覚の異常だと認識した。

 

「ウィィィ。きたきたァ、敵がァ、きたっ、きたぞぉ」

 

「オイオイオイッ、ヒィィック、一人だぁと、舐めてんのかぁ? それともぉッ?」

 

 ミリオは急速に揺らぐ視界を何とかまとめながら、音の発生源を見上げる。するとそこには通路の配管にぶら下がるペストマスクをつけた謎の男が二人いた。この現象は果たして二人組の仕業なのか?

 

「お、ぇ、おぇっぷ、お、おぉぉろろろろろぉぉぉ……!」

 

 ……いや、もう一人居た。天井ではなく通路の先。

 赤と黒の全身スーツを身にまとい、自らのマスクをめくって何度もえずく男が。

 彼は酩酊感に耐えきれないのか地面に手をついて盛大に戻していた。

 

()()()()()()()()()さぁっ、なんかいつもより、酔いがひぃっく、回ってぇ!」

 

「こーりゃ楽しい、わぁっ、あぁぁー天井でさえ揺れてやがるぞぉぉ~~っ」

 

(こいつ、酒木(さかき)泥泥(でいどろ)か……! 個性は確か『泥酔』……! 周りを強制的に酔わせるっていう厄介な奴だが、何で二人いるんだ……!?)

 

 ミリオは揺らつく視界の中で必死に考えをまとめあげようとするが、誰かに地面ごと振り回されているかのような感覚は止まらず、既にその酩酊は壁に手をつく事もままならない程になっていた。

 恐らくは奴の個性が同時に発動されているせいであり、そして二人に増えた原因はひっきり無しに吐き続けるあの赤黒マスクの男に違いはなかった。

 

「お、お前の個性っ、中々イカしてんな……っ、最悪、だぜっ……! お、うぅっぷ……」

 

「お前、ひっく酒に弱いのかァ!?」

「酒は飲んでもぉ~~、飲まれるなぁ、だぞォトゥワイスよぅ!!」

 

「お、大声で怒鳴るなクソがぁぁ!! 何で個性が無差別なんだよ畜生~~、うぉ、ぇ、おぼろろろろ……!!」

 

 赤黒マスクは天井にしがみつく酒木に文句を言っては吐く事を繰り返しており、彼もまた個性の影響を受けているのに違いはなかった。

 

(このままではまずい、早く立ち直らないと……!) 

 

 あの男のように倒れ込みそうなのを驚異的な精神力で四肢に命令を出し立ち上がったミリオ。その行動が明暗を分けた。

 飛んできたナイフを虚ろな判断で何とか認識したミリオは、奇跡的にそれを自らの個性で避けることが出来た。あわせて12個のナイフが通路に硬質的な音を立てて背後の床で跳ねる。

 

「あぁ~~ッ!? お前何で攻撃当たんねぇんだぁ!?」

 

「ひぃぃっく、おめぇ、酔ってんのかよぉ、下手くそがァ!!」

 

「お前こそ外してんじゃねえかばぁああぁぁか!」

 

 ミリオを置いてお互いに罵り合う酒木達、その行為は普段なら致命的な隙の筈であるが、今のミリオではその隙をつく事すら叶わない。

 

(ま、まずい。これは、このままではやられてしまうぞ……!)

 

 

 ――未だ、死穢八斎會攻略作戦は始まったばかりだった。




個人的に厄介だと思うトゥワイスの組み合わせ。
W酩酊コンボで敵は倒れる!(尚範囲内に居ると味方も倒れる)

感想・評価お待ちしております。


《レユニオン図鑑》
・現在シエスタにてライブを楽しんでおります。

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