個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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ここからが本番になります。


第24話 仲間を救いに行きましょう!

『侵入成功』

 

 よしよし、みんな頑張ってくれよ……。

 

『八斎會幹部と遭遇。無力化に成功。乱発と壁慈だ』

 

 おぉ、順調順調。

 地下3Fに居たのはあれかな、幹部は重要施設付近に固められていたのかな。

 

『ターゲットの部屋と思われる場所を発見。ターゲットは確認できず。逃げてからまだ間もないようだ』

 

 壊理chang連れ去られてらぁ……いや、まだ遠くに逃げてないならイケるな。

 オバホさんは攻撃力はピカイチだけど移動速度は並だかんね。

 多分クラスレちゃんが居るなら何とか辿りつけるっしょ。

 

『敵連合メンバーと遭遇。敵は血狂い、及びマグネ。これより交戦に入る』

 

 げぇぇーッ、ここで遭遇かぁ……!

 まあそりゃ妨害の1つや2つ覚悟してきたけど、マスキュラーはヤバそう。

 彼は実力派折り紙付きだけど戦闘を楽しもうとするきらいがあるから、何とか調子に乗ってる所をぶちのめしていってもらいたい所だ……。

 

 

 ……あ。遅れてすみませんおはヒロアカ! 転生少女リュニちゃんだよ!

 

 

 現在は家で無線機片手にコーヒー飲みながら固唾を飲んで突入メンバーの無事を祈っている所です。

 地上ではヒーローと警察が乱痴気騒ぎ、地下では我々が首魁を追い詰めようと侵攻中。うーん、カオスもカオス。

 幹部も順調に倒していっているので後は壊理ちゃんを回収して、オバホを倒せれば文句はないんだけど……今更ながら懸念があるとすれば、オバホと壊理ちゃんがこのまま逃げ切ってしまうケースである。これが怖い。

 

 敵連合の強みは神出鬼没であるという点。

 そして彼らが神出鬼没でいられる理由は『黒霧』という存在にある。

 

 もしも黒霧さんが事前にワープゲートとか開通させていたらば、折角侵入したのに骨折り損になりかねない。これは大分まずい。

 一応不意打ち侵入の筈だし、たしかあのワープって正確な座標位置特定が必要だから地下には開通してないと信じたいんだけど……あ、敵連合との戦い大丈夫かな? 負傷者出てないかな……? 報告はよ! 報告はよ!

 

『――血狂いおよびマグネの無力化に成功。損傷は軽微』

 

 いょぉぉーしよしよしよしよしよし!!

 なんて良い子達なんだ、ご褒美に角砂糖をやろう! 5個がいいか!? え? いらない!? そうだよね! 

 ではではそのまま追跡を続けてしまいましょう。もしもオバホ達が居なかったら即時撤退でOK! 無理しても良いことなんてないかんね!

 

『了解。クラウンスレイヤーを追跡に出した』

 

 クラスレちゃんがんばえー!

 よしよし、やっぱり今回の作戦は上手く行きそうだな……これは帰ってきたみんなを労うためにも、何かご飯とか用意しておこうかな。

 背が低いという致命的な問題があって作れる物も限られるけど、冷凍物でいいから用意……何か庶民的過ぎるな。いやいや、ここはやっぱりジェントル達大好きな紅茶と、うんと甘いクッキーとか!

 

「よし……そうとなると善は急げだ」

 

 待機してる時間が勿体ない、私に出来る事はしておかねばと準備開始。

 まずはポットに水を入れてお湯を沸かしておこう。

 あとはお茶菓子を探していって……。

 

『クラウンスレイヤーがオーバーホールらを捕捉した。一人はターゲットを抱えている』

 

 おぉ、良かった……もう逃げ終わってたかとヒヤヒヤしてたけどついに見つけたか……ここからが本番だね。

 

「分かった、他メンバーが合流するまで足止めをお願い。絶対にオーバーホールの手には触れないように!」

 

『了解』

 

 クラスレちゃんは単独でもかなり強いし、瞬間移動の力が大分チートだ。

 幾らオーバーホールでもそのスピードの前では逃げられるとは思えない。

 ただ怖いのはなー原作でもあった『壊理ちゃんが分解されてもいいのぉ? 俺の力があれば戻せるけどぉ、俺に逆らったら分解したまま戻してあげないよぉ』って言う悪人ムーブ。あとは腹心である音本やクロノスの妨害かなー。

 個性抹消の弾丸がそもそも彼女に当たるかは不明だけど、個性で作ったレユニオンにその攻撃があたったらどうなるんだろう……やっぱ消えちゃうのかな。

 

『本隊が合流。交戦に入る』

 

「っと……分かった。気を付けてね。取り巻きをまず優先的に除外。後ジェントル達は壊理ちゃんの確保に全力を尽くして、交戦はしないように伝えておいて!」

 

 佳境。佳境だねコレは。

 うー呑気にお茶菓子用意するだけってのが非常にもどかしい。

 やることがないのはそうだけど、こんなにみんなが頑張っている中家でじっとしてるのも……!

 何か母親が始めてのおつかいを子供に任せる気分というか、不安でもぞもぞして仕方がない……!

 

 お湯を沸かしながらも机の上の無線機をちら見しまくってしまう。

 交戦に入ると言って既に3分。反応は今のところ無い。

 

 うー。無線機反応しろ無線機反応しろ。

 オバホ倒したって言え、壊理ちゃん確保したって言え。

 みんな無事だって言ってくれ言ってくれぇぇぇ。

 

 

 ……あ。お湯湧いた。

 

 

 よぉし……まずは落ち着こう。落ち着かないとだね。

 とりあえず落ち着くためにも先にお茶を飲んで気分を和ませよう。

 

 今頑張ってる皆よりテンパってどうするんだって話だしね、みんなごめん。先にちょっと休ませて――「げほっ」、やっべむせた。お茶飲んですらいないにテンパりすぎ。ほらー手が真っ赤になっちゃって、

 

 

「――え?」

 

 

 手が、真っ赤だ。

 あれ、なんだろうコレ。血? いや、誰の血? 私の血?

 メチャクチャ出てるんだけど。「げほっ、げほっ、げほっ!」ヤバイ、止まらない、台所が赤くなる。なんだコレ、どうしたっていうんだ。いきなり、お腹も痛くなってきた……! 何、これ、どうして。なんで。

 

 震える手で自分のお腹をめくって見たら、前まではほくろ程度だったおへその鉱石が、一気に10円玉レベルまで広がってた、こ、ここに来て感染拡大。どうして?

 

『――! ――ルカズ術師が、やられた! 繰り返すサルカズ術師がやられた!』

 

 無線機がさっきと打って変わって五月蝿いくらいに叫んでいるのが聞こえる。

 誰かが、やられた? まじかよ、ここまで来て順調だったのにどうして、ぅ、がふっ!

 

『観測隊A4! 死穢八斎會本邸で土煙があがった!』

『観測隊A1。コチラも同じく観測した、ヒーロー、警察らが混乱している様が見える』

『観測隊A6。住宅街の一部が陥没した。繰り返す、住宅街の一部が陥没した』

 

『聞いて――ザッ――いてる!? オーバーホールが暴走中よ! ()()()を自分に打ってから、周りを巻き込んでどんどん巨大化しているわ! ヴェンデッタもやられたし、ジェントルも負傷した!』

 

 ま、ずい。まずいまずいまずい。

 何だよそれ、本当ヒロアカ世界って、畜生。チートが多い……!

 オバホのやろう、個性暴走薬を打ったのか……! 原作にないことしやがってよぉ……!

 

「撤退、撤退して……っ! みんなを連れて撤退を……!」

 

『何とかヒーローとかになすりつけて見ようと思うけど狙いはずーっとこっちに釘付けで、避けるので精一杯よ……! それよりも聞いてリュニ』

 

 Wさんの声を倒れ込んだ床の上で聞く私。

 テーブルの上の無線機に、弱々しい私の声は残念ながら聞こえていないのか……!

 く、そ。畜生、早く、早く、テーブルの下まで。

 お腹が千切れそうな程痛いし、口の中が鉄っぽくて気持ち悪い……!

 

『アイツからアーツ*1の気配がするわ――いや、ううん。あいつは()()()()使()()()()! この地域にアーツ適正者は居なかったんじゃないの!?』

 

 アーツ、何か懐かしい言葉だな、ってそんな……どういう事?

 アーツってあのアーツ……? 何で原作キャラがそれを使ってるの?

 そんなの、そんなの、私が聞きたいくらいだ……!

 

『いい加減反応して! どうするつもり!?』

 

「て、撤退、撤退して……! いいから撤退!」

 

『貴方その声、一体……』

 

「なんでもっ、ない、からっ……! 撤退が難しいなら、こっちから迎え、に行く……!」

 

『迎えに行くってそんなの』

 

「いいからっ、交戦を避けてジェントル達を連れて撤退っ、急いでよっ!」

 

 何がなんだかわかんないけど、もうなりふりかまってられない。

 ジェントルを、皆を助ける。お腹の痛みなんてどうでもいい。

 彼らをなくすなんて今更もう考えられないんだから……!

 

「タルラ……ッ!」

 

「……指導者よ。大層な姿だな」

 

 歯を食いしばりながら私は彼女を召喚する。

 顕現(けんげん)したのはどこか貴族然としたエプロンドレスを身に纏い、その手に長剣をぶら下げた、頭部の銀髪と二本の龍角が美しい長身の女性――レユニオンのリーダーである、タルラ。

 ゲーム本編ではまだ謎の存在として、シルエット程度しか公表されてない彼女。

 レユニオン・ムーブメントそのものを引き起こした故、扱いづらそうと敬遠していたが、そんなの知るか。もう関係あるもんか。

 

「私をっ、私を死穢八斎會本邸まで、連れていきなさい。そして、オーバーホールを討伐するの……!」

 

「――」

 

「出来ないなんて、言わせない。私の命令を聞いて――仲間の命を、救えッ!」

 

「――承知した」

 

 タルラは意外にも素直に動けない私を抱えると、窓枠から私ごと颯爽と夜の街へと飛び出していく。

 道を走り、家を飛び越え。まるで一陣の風になったかのように疾走する。

 宵闇に紛れた私達は、恐らくその速さもあって誰からも気付かれる事は出来ないだろう、いや、夜でなくても難しいだろう。

 私はそんなタルラの胸元で抱えられながら襲いかかる腹痛と込み上がる血痰を抑え続けていた。

 

 

 

 待っててよジェントル達、絶対に今助けに行くから。

 

 

 

 

*1
源石術(オリジニウムアーツ)の事。アークナイツ世界では感染症の元であり、力の元でもある源石を使った技術。物質の形や性質を変化させるという原石の持つ特性から不可思議な攻撃を可能とする。




ちなみに死穢八斎會編は既に書き終えてます。

感想・評価お待ちしております。

《レユニオン図鑑》
・『タルラ』:
 虐げられ続ける鉱石病感染者の解放を目指す、レユニオン・ムーブメントの火付け役であり、彼らを束ねるカリスマ的リーダー。
 その戦闘力や過去の経緯は不明な部分が多いが、
 「生ける怪物」と評されるほどの戦闘力を誇る。

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

  • 丁度いい感じ
  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
  • むしろ主人公目線だけでいい¥
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