個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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混沌。更に難産になったな!(白目)


第25話 合流しましょう!

「大丈夫かミリオ」

 

「はぁ、はぁ……す、すみませんサー……助かりました」

 

 八斎會本邸地下二階。

 地下1Fで進路を阻まれ続けていたヒーロー本隊は、先行していたルミリオンと無事に合流出来ていた。

 

 散々妨害し続けてきた本部長である入中常居は既に確保済み。

 サーの未来予知で先を打ち、イレイザーの『抹消』で個性を使えなくし、エンデヴァーやグラントリノらのパワーとテクニックを前にすれば大きく苦戦することなど、ありえる筈もなかった。

 

「ヒィィック……ヒック」

「おぇ……うぷ……ぼぉぉ……」

 

「酒木泥泥――個性は『泥酔』か」

 

「こっちは分倍河原(ぶばいがわら)(じん)、個性は『二倍』。ふん、個性頼りの俗物め、容易い」

 

 そしてそれはルミリオンが苦戦していた泥泥とトゥワイスも同じであった。

 ヒーロー本隊が到着するまで酩酊感と戦い続け、彼ら相手に粘り続けたルミリオン。

 二人の極悪な個性の組み合わせで如何な彼とて敗北は必須であったが、合流したイレイザーの力は凄まじかった。

 

 さしもの二人も、個性がなければただの重度の酔っ払いである。彼らは遅れたヒーローらに瞬く間に鎮圧されていた。

 

「周りを酔わせる能力の重ねがけか」

 

「平衡感覚を失わせるだけの個性だろう。血中のアルコール濃度を上げる訳ではないから時間が空けば回復する、貴様はそこで待機しておけ」

 

「無様な姿を見せてしまいすみません、ですがまだ俺は――」

 

「くどいぞ。足手まといは要らないと言ってるんだ」

 

 未だ酩酊感が抜けきらず、足元も覚束ないルミリオンに対してエンデヴァーから叱責が飛ぶ。

 時間があれば回復は出来るだろうが今は時間が勝負の作戦、とてもではないが回復を待つ時間はないのもまた当前であった。

 ルミリオンは折角ナイトアイによって本件に強く推薦されたというのに、活躍出来ない自らの失態に歯噛みする他なかった。

 

「ミリオ。悔しいと思うが仕様のない話だ、回復したら合流しよう」

 

「――すみません、そうします。皆さんどうかお気をつけて!」

 

 しかし自らの悔しい気持ちと今回の作戦は別である。

 ルミリオンは特にごねることなく彼らを見送る事を決め、エンデヴァー等は彼を置いて先へと進む。

 

「アイツ、中々いい若造だなナイトアイ。やられたっていうのに奴の目には無鉄砲な怒りもない。ただただ役割を果たそうとする気概が見て取れた」

 

「……えぇ。アイツはいずれNo.1ヒーローになるであろう期待の新人ですよ」

 

 グラントリノが移動中にナイトアイに話しかけ、ナイトアイは臆面もなくそう答える。

 すると先導していたエンデヴァーがハッ!と大きく鼻で笑った。

 

「ナイトアイ! それは貴様が見た"未来"がそう言ってるのか!?」

 

「未来? 馬鹿な事を言わないで下さい、これは彼を近くで見てきた私の予測に過ぎません――散々失敗を繰り返しても折れなかったアイツに寄せる私の期待が重いだけですよ、あいつはきっと私の期待に応える」

 

「……」

 

「愚かな奴め、オールマイトやこの私を差し置いてトップになろうなど! だが、その意気は良し!」

 

 作戦行動中だというに、一瞬だけ静かな笑いが漏れる。

 オールマイト弱体化の話こそ一部の人間にしか漏れていないが、優秀な後進が出てくる事はベテランヒーローらにとっても嬉しい事であった。

 

 そうして誰一人足を止める事なく、地下に待つであろう八斎會若頭、治崎廻を探す一行であったが。

 

「――ぅわっ! マジで来やがった、来やがったぞ!」

「畜生、脚を止めろって、こんなにヒーローてんこもりだと足止めも何も……!」

「……」

 

「ちっ、邪魔だ貴様ら!」

 

「怪我ァしたくないなら大人しくした方が身のためだぞ!」

 

窃野(せつの)トウヤ、宝生(ほうじょう)(ゆう)多部(たべ)空満(そらみつ)――後は有象無象ですね。イレイザー」

 

「了解」

 

 長い通路の左右に無数ある扉が次々と開き、組員らがなだれ込むようにコチラを襲ってくる。

 中には鉄砲玉八斎衆の姿も見えたが、やはりイレイザーの個性を前には無力。しかし向こうもそれが分かっているのか多数の組員は拳銃を構えている。

 

 だが、今更拳銃に怯むようなヒーローなど、この場に居よう筈もなかった。

 

「気ィつけろ、個性を一時的に無くす弾頭が入ってる可能性がある!」

 

「言われずとも分かっている!」

 

 エンデヴァーの全身からほとばしる炎!

 それが目の前で群れる組員らを炙り、火だるまにこそならないが熱気を前に怯え、倒れる存在が続出。と、そこへ床から壁へ、壁から床へと跳ね回るピンボールのように四次元的に飛び込んでいったグラントリノが、その小柄な体で瞬く間に拳銃を叩き落し、組員らを昏倒させ、ナイトアイが小さいながらも5kgの重さを誇る押印で同じく攻撃、イレイザーも首の強化繊維を巧みに使って狼藉を働く組員らを絡め取り、拘束し、叩き伏せてゆく。

 

 トッププロヒーローらにとってこの様な抵抗は無いも同じと言っても良く、瞬く間に通路に気絶した組員らが山のように積まれていくのだが――そこで異変が起こった。

 

「ふっ! ――とぉ、なんだこの揺れは?」

 

 通路全体が揺さぶられている。

 地下突入直後にも建造物全体を揺らす程の衝撃があったのだが、同じ原因なのだろうか?

 

「……入中の奴は既に捕まえた筈だが、一体何が起こっている」

 

「分からない。だが揺れの原因は地下からのようだな」

 

「地下3Fか。もしかすると、治崎の奴が何かをしているのか――いや、待て。何か来るぞ」

 

 先程は(わず)かだった筈の揺れが収まらない。

 通路全体が徐々に脈動し、奥の方から壁や床に亀裂が入り始める。

 ぱらぱらと舞い落ちる細かな天井の破片もあり、一行は警戒心を最大限まで引き上げざるを得ない!

 

「総員退避――!」

 

 そしてエンデヴァーが叫び、プロヒーローらが一気に通路を戻った直後。彼が先程まで居た場所が倒れた組員ごと粉砕され、そして大きな穴が出来上がる!

 地下だけでなく地上まで続く崩壊の痕、その奥からは血のように赤黒い巨大な何かが見えていた――!

 

「な、んだコレは……!」

 

「ちっ、聞こえるか直政。よく分からんが地下3Fで何かが起きた! 地上まで巻き込んでねえか!?」

 

『今まさしく驚いているところだ――! どうすればいい!?』

 

「決まってる、本邸から全員退避だ……! 建物ごと崩れる可能性もある!」

 

 グラントリノが警部に連絡する間も崩壊の勢いは止まらない。

 破壊の足跡は引き下がった退路にまで伸びようとしており、ヒーローらは下がる他ない。

 恐らくはこれも個性が引き起こしたのだとは考えるが、こんなに凶悪な個性があるのか!?

 

「イレイザー!」

 

「やっている! だが、一瞬勢いが消えるだけで止まる気配がない!」

 

 イレイザーが必死に目を凝らして個性を消そうとしても余り効果があるようには見えず。エンデヴァーは埒があかないと全身を真紅の炎に包み込み、その手の平から鉄すら溶かす高温の炎を放射! 建物を食らいつくさんとする謎の存在へと攻撃していく!

 

「……!? アイツらは、誰だ」

 

 ナイトアイは彼らの背後から状況を見守っていたが、ふとその時何かを発見する。

 地下3Fから地上までぶち抜く巨大な穴ぼこが出来た結果、階下で謎の物体相手に奮戦する集団が見えたのだ。

 

「あれは――ジェントルにラブラバか! 他の奴らは見たことがないが」

 

「あぁん!? 何で銭湯のときの嬢ちゃんが……!」

 

 他のヒーローらも見てしまう。

 

 右肩と腹部を血で真っ赤に染め上げてラブラバを抱えて必死に逃げ惑うジェントル。

 爆薬を投擲して戦うWや、まるで分身しているかのようにナイフで切りつけるクラウンスレイヤー。

 そして襲い来る触手をひたすら切り伏せるヴェンデッタに彼らを回復し続けるメフィストの姿を。

 

 そして何よりも、そんな彼ら相手に執拗に襲いかかる10本、いや20本、いや数え切れない程の長い腕を持った、赤黒く脈動する肉体を持つ、()()()()()()を!

 遠目に見てもジェントルらはその化け物相手に善戦出来ているようには見えておらず、むしろ防戦一方なのは自明であった。

 

 襲いかかる腕を斬り伏せても爆発させても。

 ダメージを与えた傍から回復してゆき、最早キリがないと言った所か。

 

「ちっ、今は敵も味方もねえ。あの化け物を倒す他ないぞ!」

 

 驚くのは後だ、と誰よりも早く平静を取り戻したグラントリノが壁を蹴って地下3Fへと向かい、残りのヒーローらも同じく階下へ降り立つ、あるいは空中から攻撃を開始し始める。

 

「ジェントル・クリミナル!」

 

「っ、ヒーロー諸君か……! ず、随分と速い到着、だなッ……!」

 

「よう嬢ちゃん! どうしたってこんな所にいやがんだ!?」

 

「あらお爺ちゃん、また出会ったわね。今度はボケてないのかしら!」

 

 軽口もそこそこに。新たに出現した敵を認めた化け物が巨大かつ長い腕を鞭のようにしならせて次々にヒーローを捕えんとする!

 当然易易と捕まる彼らではないが、攻撃を外した腕が地面や机と言った物体に触れると、触れた先から崩壊が始まっていくではないか。

 

「――っ、はぁっ、はぁ、君たちが現れたのなら、すぐにでもっ、逃げたい所だがッ!」

 

「ジェントル、もう喋らないで! 貴方の、貴方の傷が……!」

 

「その傷……! おおよその予想はついているが、アイツの正体はまさか……」

 

「治崎よ! 死穢八斎會の若頭の! アイツ、私達が追い詰めた所で変な薬を自分に打って、それから暴走しちゃったのかあんな事に――!」

 

 事情を聞いたイレイザーはやはり、と内心でうなずく。

 手で触れた相手を分解する動きは事前情報通り。再構成してないようだが、そんな芸当が出来るのは死穢八斎會では若頭しかいない。

 そして変な薬と聞いて思い浮かんだのは個性暴走薬(トリガー)であるが、あの薬にここまで醜く変貌させる力があるのかと言えば、それは疑問であった。

 

「本来で言えば君達を捕まえたい所だが、まずはここから離れて救助を求めろ。その傷は、命に関わる」

 

「承知の上だ……! だがね、我々はッ、まずはこれをどうにかせねばならない……!」

 

「っ、でもジェントルこんな状況になったら……! もう術師さんも……! それに貴方だって!」

 

「未だ壊理君は、あの子は治崎に囚われている! 助けねばならない!」

 

「要救助者があそこにいるのか!?」

 

 イレイザーは今度こそ驚愕した。

 どうやらジェントルが言うには、あのおどろおどろしくも醜く変貌した巨体のどこかに、壊理ちゃんと呼ばれる少女が取り込まれてしまっているらしい。

 

 話している間も攻撃を避け、どうにか同じ地点に着地したイレイザーとジェントル・ラブラバの両名だったが、瞬く間に次の攻撃が襲いかかり、イレイザーが個性を抹消をして腕そのものの能力無効化、ジェントルもまた個性を用いて飛来する瓦礫の何個かを弾丸として射出。腕へとダメージを与えていく。

 

 だが避けても、防いでもキリがない。

 

 イレイザーも、ナイトアイも、エンデヴァーも。

 Wも、クラウンスレイヤーも、ヴェンデッタも、メフィストも。

 全員が全員防戦に回ってしまう。

 攻撃を与えても与えた傍から分解、そして再構成していくのだ。ダメージを与えられている気がしない。

 そればかりでなく、攻撃するたびに周りの物体や、気絶した組員などを取り込んでどんどん巨大化してゆき、攻略難易度は跳ね上がるばかり。これでは埒があかないし、いずれ均衡が崩されるのは自明の理であった。

 

 そしてついに。

 

「!?」

 

 今まで自慢の剣技で触手の群れを捌き続けていたヴェンデッタだったが、ここで埒外の事が起きた。

 物理一辺倒で触れる事でダメージを与えてきたオーバーホールの腕。その掌の先から光が溢れたと思えば、光線としてヴェンデッタを襲ったのだ。

 流石に度肝を抜かれたヴェンデッタ、何とか攻撃を避けることは出来たが体勢を崩してしまい――直後、腕の一部が彼の腹部に触れ、腹部が半ばから吹き飛んだ。

 

「がぁあッ!?」

 

「――ちっ!」

 

 メフィストはやられたヴェンデッタを守ろうとはせず、一息に彼から離れ、ヴェンデッタは剣を取り落した直後複数の腕の群れに取り込まれてこの世から跡形もなく消え去った。

 

「何だよそれ、アイツ。あれも個性だって言うのか? どう見たって()()()じゃないか!?」

 

 メフィストの叫びの意味は、この場ではWやクラウンスレイヤーを除いて分かる存在は居ない。故にことの重大さが分かるのも彼らだけ。

 近接一辺倒だった攻撃手段に遠距離が増えた事でさらなる形勢の悪化を見たヒーロー等とジェントルは、先の見えない戦いに冷や汗を流すしかない。

 

 

GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARRR―――!!!!

 

 

 深夜の住宅街に、意識を失った治崎の悲痛な程の叫び声が、大きく響き渡った――!




R.I.P. サルカズ術師。
R.I.P. ヴェンデッタ。

入中、酒木戦闘シーンは大した見所さんはないのでカットだ。(無慈悲)

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《レユニオン図鑑》
・お葬式に出かけております。

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