個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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クラウンスレイヤー好き。
早くプレイアブルになってほしい。
消化器で虐めたりしないから安心して。ね? ね?


第4話 テントを買いに行きましょう!

 簡素なガラス製テーブル。

 その上に乗ったペストマスクをつけた謎の小型な生物。

 それは報告に来た部下の言葉を聞いてぴくり、と反応した。

 

「……うちの店が次々と襲撃されているだと?」

 

「へえ。同地域の店だけで1日ですでに3店舗……店は半壊状態で、客ごとぶちのめされたとか」

 

「クソが。鹿羽組の野郎か? んで、誰が犯人か目処は立ってるんだろうな」

 

「そ、それが」

 

「……何だよ」

 

「わからないんです。どの店でも『謎の仮面集団に襲われた』という情報しか上がってなくて……ガッ!?」

 

「テメェ……掴めてねえのに俺に報告に来やがったのか!? こんのクズが! 俺を怒らせたいのか!? 俺を怒らせたいのかァッ!?」

 

「すみっ、すみませんっ! ひゅみませんっ! 勘弁してくだひゃっ!!」

 

 謎の生物――死穢八斎會の本部長、入中(いりなか)常衣(じょうい)――通称「ミミック」は謎生物を操って報告に来た部下を殴り飛ばし、硝子製の灰皿でドツキ回し初めていた。

 唐突かつ明確な組への挑発行為。

 しかも仮面をつけた集団になすすべなく潰されたなんて話は幾ら何でも笑い草がすぎる。

 ミミックにはそんな事をしでかす相手の算段はついていた。

 長い因縁のある鹿羽組か、戸愚呂組のどちらかのカチコミか。

 あるいは、彼の知らない他のアウトロー集団か。

 

「そう部下を虐めてやるなよ、そいつは本当に知らないんだ」

 

「ふーっ、ふーっ……――クロノス。見学か? それともお前が代わりに殴られにきたのか?」

 

「おー怖い怖い。いや、追加情報を渡しに来ただけさ」

 

 クロノスと呼ばれた男――死穢八斎會若頭補佐の玄野(くろの)(はり)は、荒い息を漏らすミミックに資料を投げ渡す。それは店についていた監視カメラの映像であった。

 

「何だこの仮装集団は。こいつらがやったってのか?」

 

「みたいだね。しかも昼間っからさ、全くもって度胸があるというべきか余程我々を据えかねているのか……」

 

「鹿羽組か?」

 

「一応鹿羽にも戸愚呂にも聞いたさ。しかし返答はNO。どこまで本当かは知らないけどね、俺も個人的にはその2つでもないと考えている」

 

「じゃあ何だっていうんだコイツラは!」

 

 ミミックはがなり立てる。

 元々短気な性格であるミミックだが、相手がクロノスというだけで更にイライラが増しているようだ。

 それもこれもクロノスの事を若頭だけを敬愛する金魚のフンと見ているからであり、彼にとって現組長やひいては自分すらも軽く見ている節がどうにも好きになれなかった。

 

「声のトーンを下げてくれよな、五月蝿いから。ま、俺の見立てでは多分。今流行りの『(ヴィラン)連合』じゃあないかと思ってる」

 

「……なんだその頭の悪い名前は」

 

「ニュースを見てないのかい? 最近になって急速に力をつけてるゴロツキ集団さ。打倒正義の名のもとに社会のクズ共を集めてオールマイトを倒すのが目的の烏合の衆」

 

「ふーっ……そいつらが、どうしたって俺たちを襲う必要がある? 俺達は正義から到底離れているだろうに」

 

「さぁねぇ、大方集まって力を得たと勘違いしたクズ共が、俺達を取り込もうとしてるとか?」

 

 ミミックはクロノスを一層強く睨みつけると、ふん、と鼻息をつき……ようやく血に染まった灰皿を投げ捨てた。

 

「で。どうしますかね。若頭はあんまり気にしてないみたいですが」

 

「はっ、決まってる。俺らのシノギを邪魔するその敵連合とか言う奴にお灸を据えてやらないといけない。分かるな?」

 

「それじゃあ下にはそう伝えておきます。すぐに報復に入るって――おっと、なんです?」

 

「ついでだ、これもやっておけ」

 

「……『病院から脱走した子供を秘密裏に捕まえて欲しい』? へえ、お医者様がわざわざ俺らに依頼ですか。何を企んでいるやら」

 

「医者の考える事なんざ知らねえよ。まあ中々身入りの良い話だから受けておけ」

 

「了解です」

 

 

 

 § § §

 

 

 

 おはヒロアカ! 転生少女だよ!

 小銭稼ぎに悪い人をとっちめるぞー! おー! な前回から、破竹の勢いで死穢八斎會潰しが続いております。

 野宿生活3日目の時点で潰しに潰したお店の数、なんと10店舗。

 

「行くとこま行ってやれって言った手前怒れないけどさぁ……その、もうちょっと手心って奴があっても……」

 

「しかし、コレで資金力はそこそこに上がっただろう?」

 

 暴徒君。確かにそうかもしれない。

 でもね、流石に3日で数千万円集まるとは思ってなかったよ……どうしよう、私一人じゃ使い切れないレベルになってるじゃん! ここまで札があると、「うへへ、札束や~」って気楽に頬ずりなんて出来ないや……。

 

「……これ、結構ヤバイ事してる感ある」

 

「何を今更。我々はもうヤバイ行為に手を染めているんだぞ」

 

 まあうん、そうなんだけどね。うん。分かるよ。分かってるんだよ。

 店を襲うやり口も相手を舐めてかかっていちゃもんつけて、殴りかかってきた所で武力制圧だもんね。完全にやり口がアレだもんね。はぁー。

 

 正直持て余すくらいだけど……でも念願のお金はこれで手に入った。

 

「じゃあコレで次にすることは――!」

 

「何をするつもりだ?」

 

 ふっふっふ、次はですね……聞いて驚いてくださいよ!

 なんと! なんと――――!

 

 

「テントを、買いに行きます!」

 

「……」

 

「あっ、その目はやめろ。やめてくださいお願いします」

 

 だってさ、だってさ。今までボロマットとダンボールしか寝具がないんだぞ!

 季節的に初夏だからいいけどさ、これ冬だったらマジで凍死しててもおかしくないからな!

 なので存分に寝転がれる布団……いや、やっぱりテントかな!

 このビル窓がなくて吹きさらしだからさ、良さげなテントと食料で仮住居を作るんだい!

 

「……それでまた俺が買ってくるのか」

 

「ううん、今度は違うよ。買い物は私が行くの」

 

「!」

 

 だってさ、だってさあれだよ。ここヒロアカ世界だよ? ずっとビルでじーっとしてたけど正直遊……げふん。見て回りたくて仕方がなかったの!

 服もお金も手に入って外出する条件を満たしたなら……やらいでか! ってなるじゃん。分かるよね!?

 と、抑圧された心に癒やしを求めて私は意気揚々と暴徒君に力説したのだけれども……。

 

「駄目だ指導者、それは許可出来ない」

 

 貰ったお言葉は不許可であった。

 なんで! なんでさ!

 

「もう俺達はここで派手な行動を始めている。指導者という存在がバレたら不味い」

 

「え、でも……ほら。私強いよ? めっちゃ召喚するよ? オリジムシとか……」

 

「だが、不意をうたれたら何一つ抵抗出来ない幼女でもあるだろう」

 

「うぐっ……」

 

「そして指導者の個性の仕組みは今の所指導者しか知り得ない。分かるか。これはアドバンテージなんだ。謎めかしておけばおくほど後で役に立つ」

 

 驚く程の正論である。

 いやまあ、ヤーさんにちょっかいかけた時点でリスクがあるのは分かるよ? 

 ひっじょぉぉぉ~~に分かる。だけど、だけどそれでもだね暴徒君……。

 

「私は……それでもおでかけしたいんだ」

 

「駄目だ」

 

「……おでかけ」

 

「駄目だといったら駄目だ」

 

「おでかけしたいおでかけしたい……!」

 

「駄目だと何度言えば」

 

「おでかけしたいの! 私おでかけしたい! おでかけしたいのー!」

 

「(耳を塞いでいる)」

 

「ふぇああああぁあぁああぁーっ! うああぁぁああぁあーーッ!」

 

「五月蝿い騒ぐな。ここがバレるだろうが……はぁ、指導者。なら不意を打たれないような護衛を置け」

 

 えっ、ソレ本当? 出す出す!

 幾らでも出すよ、一個小隊でも一師団でも!

 

「……出すなら最低でも幹部クラスだぞ、いいな?」

 

「はーい!」

 

 もっちろん! うわーそれじゃあ誰だそうかなー。

 ヒロアカ世界であんま目立たなくて、良識ありそうで、何か連れ添って歩いてても補導されない人!

 メフィストは除外だとして、スカルシュレッダー……はマスクごつすぎるし、ファウスト……は何か寡黙すぎるし遠距離攻撃の人だし、フロストノヴァ……うーん、綺麗で良さそうだけどめっちゃ目立つしなぁ。W、も見た目良さそうだけど割と悪戯心あるし、何か好き勝手しそうだし……。

 

 そうなるとやっぱりクラウンスレイヤーさんかな?

 いでよ、クラウンスレイヤーさん。レリース!

 

「……呼んだか。って、おい」

 

「わぁいクラウンスレイヤーさん! 買い物行こう買い物!」

 

「……これは一体どういう事だ」

 

「何でも指導者は直接市井が見たいようでして……」

 

 そういう事、護衛役だからねクラウンスレイヤーさん。

 もう召喚した手前絶対にこの命令は聞いて貰うからね、聞いて貰うまでテコでも離さんぞ!

 

「……本気で言っているのか?」

 

「諦めてください。相当決心は強いようです」

 

 めちゃくちゃ苦い顔されたけど、流石に造物主の事は無碍に出来ないのか聞いてくれました。ぶいぶい。

 え? まず出かける前にその長過ぎる銀髪を纏めろ? 

 でもゴムとかないしなぁって思ってたらクラウンスレイヤーさんが三編みにしてくれました。

 うわー私レユニオンのボスキャラに三編みさせてる……めっちゃ申し訳ない感あるわコレ。でもありがとう!

 

「えっへへへ~お出かけお出かけ~♪」

 

 という事で念願のヒロアカ世界を見て回るぞー! 

 さてビルから降り立ちましたがここって一体どの辺りなのかな。

 雄英高校から近い? 近かったりする?

 

「おい、うろちょろするな。目的地があるならそこに真っ直ぐいけ」

 

 勿論さ、分かってるとも。目的地大事。

 ……しかし、しかしだねクラウンスレイヤーさん。私は今最高にワクワクしてるんだよ、このワクワクをそのままに個性社会というのがどういった物か身を以って体感したいんだ……!

 

「やはり世界を知るためには世界を散歩しなければダメなの、分かるよねクラスレちゃん……!」

 

「クラスレって……はぁ。お前さ、買い物が二の次になっていないか?」

 

「そんな事ないよ。買い物忘れてないよ。でもねこの憧れだけは……誰にも止められないの……!」

 

「……好きにしろ。ヤバイと思ったら即撤退するからな」

 

 よし、言質取った! ありがとクラスレちゃん!

 しかし……いやぁ、本当にワクワクしちゃうねこれ……パッと見現代日本ちっくだけど、わっ、ほらヒーローっぽい人も歩いてるよ! 

 あれとか、あの人とか……わ、ほら! あれとかシンリンヒーローシンリンカムイじゃ!? わぁ、リアルで見れた! リアルで見れたよ!?

 

「……あれがヒーローって奴か」

 

 そうそう。この世界で悪と戦う正義の人!

 いやぁーいいよね、ヒロアカ登場人物はみんなデザインが格好良くて好きなんだ。

 サインとか書いて貰えないかな……って駄目か。書いて貰えるところがそもそもないしなぁ……。私の服とか……?

 

「行くぞ。顔を覚えられる前に」

 

 わ、ちょっと……手を引っ張らないで、あぁん! シンリンカムイー!

 クソ、買い物終わったらまた会いに行くから待っててよー!

 

 

 

 

「――あはッ、カァイイなぁあの子。今日は、あの子にしようかなァ……♫」

 

 




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《レユニオン図鑑》
・『クラウンスレイヤー』:
 レユニオンの幹部の一人。
 潜伏能力が非常に高く、主に後方攪乱や暗殺任務に従事している。
 近距離戦にも長けており、防衛線をかいくぐっての奇襲を得意とする。
 どんな策も彼女には通用しないと言われているが、よくロドスメンバーによって水をぶっかけられたりロープで引きずり回されたり、拳でどつかれたりして最終的に空を飛んだりする可哀想な子でもある。

視点の切り替えの頻度は適切でしたか?

  • 丁度いい感じ
  • 少し切り替えが多いのでは?
  • 切り替え過ぎ
  • むしろ主人公目線だけでいい¥
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