個性『レユニオン』な転生少女   作:なめろう

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ガバ交渉タイム。
書くの楽しくて書き溜めが止まらん止まらん。


第8話 交渉しましょう!

「さぁラブラバ、撮っているかい……!」

 

「ばっちりよジェントル……!」

 

 某日早朝。郊外のとある人気のない公園にて。

 とある動画投稿者の二人組。ジェントルとラブラバは公園内部の茂みに隠れていた。

 

 ジェントルとラブラバ――彼らは犯罪行為を行っては一部始終を撮影。その内容をJストアという動画サイトに投稿し続けている偏屈なコンビであった。

 

 ジェントルは挑発、戦闘、逃走と主に実行犯として。

 相棒のラブラバは動画撮影、そしてハッキングで彼をサポートするという役割分担をしている。

 

 彼らの目的は何か? 金か? 社会への復讐か? いや違う。

 彼は自らを義賊とのたまい、社会に警鐘を鳴らす事を目的としているのだ! 

 ……と言えば聞こえはいいが、実態はただ世間から注目されたいという虚栄心が大半である。

 

 そんな彼らが本日ここに来たのは、彼らの動画に書き込まれたとあるコメント、その真偽を探りに来たのだ。

 

『いつも動画を拝見させて頂いております。唐突ですがお二人にお願いがあります。

 もしもこのお願いを聞いて頂ければ現金100万円を差し上げます。

 詳しい話はこのメアドから。 [email protected]

 

 怪しい。あまりにも怪しいコメントだった。

 当然その真偽を調べようとするスーパーハカーなラブラバ。

 彼女はハッキングのプロであり、過去には警察庁のネットワークに侵入した実績もある凄腕だ。

 しかして彼女の調査で下手人は都内のネットカフェからコメントを投稿した事は分かったが、それ以上の情報は掴めなかった。

 

 ガセの可能性は非常に高い。

 だがジェントルはラブラバをして調べられない相手であるという事に非常に興味を誘った。

 故に、コメントに従ってみようとしたのだ。(ぶっちゃけ動画映えもしそうなので)

 

 その後、そのコメントの主とメールをやり取りして指定された場所がこの公園だった。

 指定時刻は早朝5時。公園中央のヒーローオブジェ前でとの事。

 願いについては現場で実際に伝えるそうだ。

 

 なので二人は、まずはその相手が実は警察や悪の手先の罠でないか探るため、約束の時刻より数時間早めに現地で待機、監視を続けていた。

 

「……あれが、その子達かい?」

 

「め、メールの通りだとしたら……そのようねジェントル」

 

 意外にも、定刻10分前に現れたのは警察とも悪とも思えない二人組だった。

 一人は年端もいかない子供だ。長い銀髪を後ろでまとめたお姫様のような可憐な幼女。

 もう一人は顔の半分をフードで隠した、パンクファッションの少女だ。

 幼女はそわそわと辺りを見回し、少女は銅像にもたれながら退屈そうにその場に佇む。

 

「……他には誰かいるかい?」

 

「いなさそうね……そろそろランニングする人が通りかかりそう、話をするなら早くした方がいいわジェントル!」

 

「確かに!」

 

 そうと決まればとジェントルとラブラバは颯爽(さっそう)と草葉の陰から飛び出し、二人へと向かう。

 コメントの主と思える二人組のうち、幼女が輝かしい笑顔を見せ、少女は胡散臭そうな目を向けるのが非常に対称的だった。

 

「やぁお嬢さん方、早朝からご機嫌麗しゅう! 君達が私達の動画にコメントをくれた子かい!?」

 

「あっ、初めましてジェントルさん。あの、そうです。私がコメントをしました」

 

「……えっ、ほ、本当に君がかい? 嘘ではなく?」

 

「はい、私がです」

 

「……」

「……」

 

 ジェントルとラブラバは顔を見合わせてしまう。

 どうやらコメントをしたのは目の前の可憐な幼女のようだったが……この子の見た目とあのコメント内容があまりにも釣り合っていない。

 正直失礼だが、今も沈黙を続ける隣の少女がしたと言った方が遥かに説得力がある。

 

「ご、ごほごほんっ失礼。にわかには信じられなくてね……それで、そうだな。君のような可憐な子がどうしてあのようなコメントを?」

 

「むっ、ジェントル……!」

 

「勿論ラブラバ、君も同じくらい可憐さ!」

 

「あはは……えっとありがとうございます? それはですね、ジェントルさんの主義といいますか、スタイルを見ていまして。その在り方に一部共感出来る所があって、この人なら信頼出来る、と言う思いがあって……それで、不躾(ぶしつけ)ですけどもお願いを」

 

「お、おぉ……おぉぉおぉっ! 聞いたかねラブラバ!? 嬉しい、ここ数年であまりにも嬉しい言葉だぞ! とうとう私にも賛同者が!」

 

「やったわねジェントル! 今までの苦労が報われるようだわ!」

 

 二人は涙を流して抱きしめあう。

 苦節3年以上、体を張り続けてもろくな評価も受けてこなかった。

 そんな彼らを肯定する声はすぅっと体を浸透していく気分だろう。

 

「それで、肝心のお願いなんですが――」

 

「おぉ、おぉ! すまなかった、そうだったお願いだったね。しかしその前に念頭に置いて欲しいのは……我々も義賊だとは言え出来る事と出来ない事がある。内容によっては叶えられないという事を了承して頂きたい」

 

「勿論ですジェントル。私も無理強いはしないつもりです……元より、このお願いはかなり無茶な話になりますので」

 

「無茶か、そう言われるといち動画投稿者として……ッ! ごほん、義賊として心疼くね。それで、その内容とは……?」

 

「……では端的に言います。ジェントルさん、ラブラバさん。私達を(かくま)って頂けませんか?」

 

「「…………へ?」」

 

 ジェントル、ラブラバの両名はその願いを聞いて思考を止めざるを得なかった。

 

 

 

 § § §

 

 

 

 おはヒロアカ! 転生少女リュニちゃんだよ!

 今日は隠れ蓑候補の犯罪系Jチューバー、ジェントルさんに凸交渉しに来ています!

 

 彼らを選んだ理由は前にもちらっと言ったかもですが……。

 

 ・ショボいとは言え犯罪行為を3年間も行って、かつそれを動画に収めてアップし続けているのに一度も捕まっていない。

 ・相棒のラブラバさんが警察すら(あざむ)くスーパーハッカー。

 ・ジェントル自体に割と体術の心得があって、逃げる技術に長けている。

 

 こういう所が中々見どころがあるため、是非とも匿わせて頂きたいと考えております。

 まあデメリットとして頻繁にメディア露出していくので、私を匿った事がバレるかもって所ですが……そこはまあ交渉次第で。

 

 あ、待っていたら二人が現れた。

 とは言えクラスレちゃんがすでに公園で待機してた二人を把握してたけどね。

 そこに居るんでしょう、出てきて下さい見たいな強キャラムーブは(つつし)みます。私は頼む側なので。

 

「やぁお嬢さん方、早朝からご機嫌麗しゅう! 君達が私達の動画にコメントをくれた子かい!?」

 

 ……うわっ、わー! リアルラブラバちゃん可愛い!

 ちっこい! ちっこいのにおっぱい大きい! 凄い抱きしめたい!

 あっジェントルは見た目どおりジェントル感あんまないけど、そっちもデザイン悪くないよ。うん。

 

 こほん。えぇそうですと真面目に答えたら、直後に二人共びっくり仰天してた。

 いや、まあそりゃそうだよね。

 こんな幼女がお願い聞いてくれたら100万あげますとか詐欺みたいなコメント出すんだから。

 

 それで一応コメントを出した経緯と、なんとなく動画のことを褒めてあげたら凄い感動してくれた。

 ネカフェで動画一覧見た限り良評価なんて1個もなかったもんね……それでも3年間投稿続けられるって逆に凄いよジェントル。

 歩みを間違えていなかったら順当にヒーローになれてただろうに……ほろり。

 

 さぁて、実際に願いについてお話してみたんだが……またまた理解が出来ないって顔をしてるね。

 うん、話せば長くなるんだが聞いてくれるかな?

 真実を全て語れないので納得出来そうなカバーストーリーを用意しましたので。

 あと出来るなら動画止めて貰っていいですかね。()()()()()メディア露出NGなんです私!

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「……なるほど。なるほど、そういう事か。君は孤児で身寄りがなくて不治の病の持ち主。そして悪い奴に人身売買の商品として扱われていたと」

 

「それで悪い連中が貴方を売り飛ばそうとした所、命からがら逃げ出して……」

 

「思えば最初からヒーローや警察に頼るべきだったが……当時は誰も彼も信じられない状態だった。そして最悪な事にリュニの奴はある時、偶然にも悪い奴らに捕まりそうだったんで()()正当防衛でのしてしまってな」

 

 クラスレちゃんも芝居につきあってくれている。

 若干棒読み感があるのは如何ともし難いが、今の所二人は信じてくれてるようだ。

 

「そして仕方ないとは言え彼らの資金を奪ってしまった。宿無しだから、当面の安泰な生活をするために……!」

 

「それでますます敵の追求は厳しくなって、その度に報復する日々。最早ヒーローに頼る事も出来なくなったと……」

 

「リュニちゃん……貴方、大変だったのね……!」

 

 ふあぁぁラブラバちゃんにハグされたぁぁしゅきぃぃぃ。

 そうなんです。そうなんですよお二方。ご理解頂けましたか私の苦境。

 本当は私もヤクザとは揉めたくなかったんです。

 でも生活のために仕方なく、えぇ仕方なくやり返して……。

 

「……事情は分かった。それで君は我々に匿って欲しいと言うのだね」

 

 そうです。そうなんです! 3年間以上メディア露出した上で捕まっていないその手腕、是非とも恩恵に預かりたいんです! 

 勿論それに見合う対価は用意していますよ! ヤーさんから奪……貰ったお金ですけどね!

 

「失礼ですがお二人の収入源は不明にしろ、かなり厳しい物ではと思っています。この話を受けて頂ければ十二分な金銭のサポートを行える自信があります」

 

「確かに……我々の懐も苦しい。臨時の収入があるのは助かる話だ。だが」

 

 ……そうなんですよねー、察している通りデメリットも当然ながらあるんですよねー。

 

「君達を匿う、という事はその悪い奴に目を付けられるという事」

 

「加えて、貴方の……その不治の病に感染する可能性があるという事ね」

 

「……感染に関して補足だが、感染する可能性というのはかなり低いと見ている。空気感染はしないし、それこそ長期的な濃厚接触をしない限りはな。ただし、その感染率は0ではない。どうだ。受けるか?」

 

「……」

「……ジェントル」

 

 うーんそりゃあ躊躇するよね。

 メリットに対してデメリットがねぇ……感染リスク+悪い奴に追われるってのがね、でかい。

 

 まあなので、本当無理強いはしません。

 もしも無理だったらこの話は全て忘れていただいて、あと迷惑料としてこの百万を受け取って下さい。……あ、悪のお金だから取りたくないですかね? ごもっともですハイ。

 

「一応言っておくが、我々が追われているのは死穢八斎會と言うヤクザだ」

 

「……!?」

「……じぇ、ジェントル!? 広域指定(ヴィラン)団体の超大物よジェントル!?」

 

 クラスレちゃん今その追い打ち居る?????

 そのマイナス要素の発表は後でバラす感じでいいじゃんッ!!

 っあー、この反応、多分駄目そうだなぁ……。

 一番目があると思ったけど、やっぱりね……。今回はすっぱり諦めて次の候補を……。

 

「――分かった。条件はそれだけかい?」

 

「ジェントル! 受け入れるの!?」

 

「ほ、本当に……ッ!?」

 

 マジで!? 受け入れてくれるんですかい!?

 あ、で、でしたら身バレしたくないのでお二人の動画には共演NGでもいいですか?

 

「勿論いいとも! ただね、その代わりと言っては何だが……君を襲ったという死穢八斎會の情報。それを貰えないかな」

 

「!? え、あ……はい。別にいいですが」

 

 まあそんな情報別に持ってても仕方ないので全部あげますけど……何をするんです?

 

「……!? ジェントル、貴方まさか……!」

 

「そう、そのまさかさラブラバ! 今回の二人の話はまさしく我々にとって渡りに船! 確かにこの話に手を出した結果苦境に立たされるかもしれない、ただ! 彼女のネタがあれば我々は、大きく躍進出来る! 我々の勇姿を世間に、刻みつける事ができる!」

 

「ジェントル……じゃあ、やるのね! 相手がヤクザとしても貴方は引かないのね!?」

 

「そうともさ! 勿論そのためにはラブラバ、君という大切な大切な助手の力が必要だ……手伝ってくれるかい、二人の……いや、更に彼女たち二人を含めて4人の未来のために!」

 

「~~~~ッ、勿論よジェントル! 愛しているわ! 貴方のためなら私、どれだけでも頑張ってしまうから!」

 

「おぉラブラバよ!」

 

「え、えぇ~~……」

 

 あー。うん、マジ。 マジですか。まさか死穢八斎會を動画でイジるんすか。

 いや、まあいいけどね。うん。でもその代わりちゃんと私匿ってね?

 えっと、聞いてる? あのもしもーし。抱き合ってないでもしもーし。

 

「……」

 

 あっ、く、クラスレちゃんの目が痛い! 痛いよう!

 いやほら彼らって本当地味に優秀なんだよ、ちょっと突飛な行動が目立つだけで……いや本当だってば! ね!? 信じて!?

 

「……馬鹿が」

 

 うわあああぁぁああぁん!! クラスレちゃんが馬鹿っていったー!




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《レユニオン図鑑》
・今日もお休みです。こいつ結構休み多いな。

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  • 少し切り替えが多いのでは?
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