ってな訳で書いてみました。
それでは本編どーぞ!!
1. その戦車、超重量につき
「——————退却してください!!」
西住みほの叫び声。同時に、マウス超重戦車の128ミリ砲が火を噴いた。
ズドォォォォォォォォォォン!!!!
「やーらーれーたー!」
角谷会長が叫ぶ。が、幸にして至近弾。それでも
凄まじい、威力!!
「っ………!でっかいからって良い気にならないでよ!!」
こうしてやるー!!とカモさんチームのルノーB1bisが発砲。主砲、副砲ともに命中するも、あまりに非力。容易く弾き返されてしまった。
そして
ズドォォォォォォォォォォン!!!!
あっさりと、吹っ飛ばされた。仮にも重戦車であるB1ですら、128ミリ砲が直撃すればただでは済まない。それは、大洗側を恐怖させるのに十分過ぎる衝撃だった。
「おのれ、カモさんチームの仇ィ!!」
カバさんチームの三号突撃砲も発砲。が、これも無意味——————っ!マウスはじりじりと進撃し、迫ってくる。
ズドォォォォォォォォォォン!!!!
無念、三突も横倒しになって陥落。風にたなびく白旗が恨めしい…………
「何よ!あんな大きな図体して何がマウスよ!!「残念です〜「無念です〜」」」
「我らの「歴史に「今「幕が降りた……………」」」」
ひっくり返ったB1、三突両車の乗員たちが嘆息する。こんな怪物を、一体どうやって倒せば———————?
と
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!
大爆音が、世界を揺らした。マウスの砲撃か?いや、見た限り発砲していない…………………
なら、これは一体?
「おーほっほっほ!!まだ終わってなどおりませんわ!勇敢なる我が戦友、カバさんチーム、カモさんチームの皆様。そう、このわたくしがいる限り、必ずや大洗の歴史は続くのですわ!!」
隣の角から、悠然と現れた
「さぁ行きますわよ!!クジラさんチーム、『E100』只今参☆上!!ですわ!!!!」
——————マウスと並ぶ、史上最大級の超重戦車だったッッッッ!!
「—————チッ!やはり現れたかE100!!だが所詮お前はマウスの劣化版に過ぎない!!我らこそ原点にして頂点!!跪け
舌打ちし吐き捨てるマウス搭乗員。
「あーっはっはっは!笑止ですわ!マウスなど高々試作車に毛が生えた程度の凡作。E計画の真髄たるわたくしのE100こそが最強にして最高の超重戦車ですのよ!!」
キューポラから顔を出して、華やかに嘲笑うE100車長、天草凪沙。
——————そして、二つの巨獣が
激突する。
…………………何故、大洗にE100がいて、決勝戦にてマウスとぶつかり合っているのか?全ては丁度一年前に遡る……………………
※
戦車道!それは、淑女の嗜み。かつては茶道、華道と並び称された程の伝統と格式のある文化である。が、年々競技人口は減り、今ではマイナーな武道の一つとなってしまった。
…………そして、その“格”を更に下げかねない事件が、第六十二回全国戦車道大会の決勝戦にて
起きてしまった。
『………プ、プラウダ高校の勝利!』
王者黒森峰の敗北————だが、それだけならば良かった。問題は……………
「………………おい、良いのか今の」
「ああ………………なんて言うか、これは…………」
この問いは、試合直後からじわじわと広がり続け、やがて世間を揺るがす大騒動となった。
—————これは勝負事であり、又水中に落ちた所で戦車内は安全なのだから、砲撃を続けたプラウダ側に非などあるはずが無い。
—————しかし、これはあくまでスポーツである。実際の戦争ならともかく、しかもあの豪雨では戦車内が安全とも言い切れない故、直ちに中止するか、少なくとも砲撃するのは控えるべきだった。
……………肯定派と批判派が日々論戦を繰り広げ、マスコミはそれを煽る。そしてその火は、当事者たちにも及びつつあった。
……………が、試合から半月後。日本戦車道連盟及び文科省が声明を発表。“今回の件は大変遺憾ではあるが、しかし試合結果取り消しの妥当性も無い。そのため今後こうした事態に対するガイドライン作成及び各校戦車道チームへの注意喚起をする事で、再発防止に努める事が最適である……………”
この声明により、騒動は次第におさまっていった。確かに、試合無効程の事でも無いだろうと、批判派も一応納得したのだった。………しかしこの素早い収束は、戦車道への関心の薄れが決定的になっている事をも同時に示していたのだった。
……………………だが、それを良しとしない者が、一人いた。
「————————見るに耐えませんわ、このような醜態!」
彼女の名は、天草凪沙。中学三年生で、それまではそこまで戦車道に興味があるわけでもなく、まぁ年に一度高校の全国大会決勝をテレビで見る程度だった。
が、この“事件”でそれは変わった。彼女は思った、なんで醜いスポーツなのだろうか、と。
勝利至上など馬鹿げている。“道”の風上にもおけない!武道とは、その稽古により、己をより優雅に、美しく磨くための“道”でなければならない。それが、凪沙の信条であり、故に『勝利が人道か?』などと言うことで論争になり、挙句飽きたら皆忘れさってしまうなど言語道断だったのだ。
気に入らない………実に、不愉快だ!!彼女はしばらくそれについて考え、そして思い付いた。
—————気に入らないのならば、自分の手で変えれば良い!!
……………かくして彼女は戦車道を始めた。が、ほぼ予備知識無しに飛び込んだため、彼女がまず行ったのは
戦車の、購入だった。悲しむべきか笑うべきか、しかも彼女にはそれが可能なだけの莫大な財力があったのだった……………
※
「一番良い戦車を所望致しますわ!」
大会から数ヶ月後、凪沙は東京のせんしゃ倶楽部本店へと来ていた。少々時間がかかったのは、予想外にも父を説得するのに時間がかかった為だった。
どうも彼は、自らの貴重な
我が父ながらとんでもない奴である。が、もう十年以上の付き合いでもあるし、実の娘でもあるので凪沙は特に気にも留めなかった。早速戦車購入のためせんしゃ倶楽部へと向かった訳なのだが……………
「一番良い、ですか?そうですね………ティーガーとかTー34あたりはお勧めですが」
「ノン、ノン、ノンですわ。だって、それらは皆さまよく使ってらっしゃるではありませんか!わたくしは、ナンバーワンにしてオンリーワンの至高の戦車が欲しいのですわ!」
そんなことを言われても………と店員は苦い顔をする。戦車道に使われる戦車は、多かれ少なかれどの種類のものもどこかで使われている。あのヤークトティーガーやT28駆逐戦車だって、使っている所が無い訳ではないのだ。
と、二人が押し問答を続けていると、そこにもう一人の店員がやって来る。彼は話を聞いていたようで、ひそひそと最初の店員に耳打ちした。
「……………丁度良いじゃないか、
「………?!いやでも………
「バーカ、レンタル料なんぞ二束三文だよ。それに見たところすんごい良家の御令嬢だ、おそらく金はある。売れるんならそれに越した事はないだろ?………第一マウス買ってる時点で黒森峰もキャパオーバーさ」
しばしゴニョゴニョと密談していた二人。凪沙はそれを訝しげに見ていたが、やがて後からやってきた店員がにっこりと振り向いた。
「いやーどうもすいませんね、お見苦しい所をお見せして。………まぁその代わり、って言ってはアレですが、お客さんの御要望ぴったりの最強戦車、ありますよ?」
それを聞くや、目を輝かせカウンターから背を乗り出す凪沙。
「本当ですの?!是非、拝見させて頂いてもよくって?」
すると、店員は笑みを更に深くしてお辞儀した。
「ええ………それでは御案内いたしましょう———————」
※
ついて行った先は、店舗地下にある巨大ガレージだった。
「通常車輌は地上に置いているんですが、特殊なやつ………例えば最近流行りのタンカスロンだとか、趣味用の改造キットなんかは地下に置いているんですよ」
道中、店員は説明するように話す。それを聞いていた凪沙は、釘を刺すようにして言った。
「………………一応言っておきますが、わたくしは“戦車道で使える戦車”が欲しいんですわよ?違法品は御免被りますわ」
「無論分かっていますとも。…………さぁ、こちらです」
と、ガレージ最奥のシャッターの前にたどり着く。ボタンを押し、シャッターが開いたその先には—————————
巨大な怪物が、鎮座していた。
「………………こ、これは………」
そのあまりの巨大さに、思わず呟く凪沙。すると、
「E100超重戦車、という名です」
戦車の影から現れた一人の老翁。彼は、そう言って凪沙に手を伸ばした。
「こいつの整備をしとる、伊能興成と申します。よろしく」
「え、ええ。こちらこそよろしくお願い致しますわ。…………E100?その発音は………ドイツの戦車ですの?」
おずおずと握手しながら、凪沙は尋ねる。それに頷き、伊能は説明を続ける。
「そうです。大戦末期にナチスドイツが作り上げた、ドイツ戦車技術の結晶。それが、こいつです」
「なるほど……………では、この戦車は世界でオンリーワンなのですの?」
「………ええ、大方の戦車はどれも戦後に生産された模造品ですが、こいつは違います。車体は戦中に作られたオリジナル品で、砲塔も当時の技術者達に頼んで作った、まぁオリジナルと言って良いモンです。そしてこいつ以外には、世界広しと言えどE100は他に有りませんよ」
曰く、戦車道で使われる戦車はその殆どが戦後に、戦車道用に再生産された模造品であり、それはあのマウス超重戦車(極めて少数ではあるが)とて例外ではない。が、このE100だけは違う。
再生産には、実車か設計図が必要なのである。そしてドイツや日本の戦車の多くは実車が現在まで保存されておらず、設計図も散逸している。それらの戦車は、例え再生産したとしてもその設計は殆ど想像により補われた物であるため、レギュレーション違反として戦車道協会からストップがかけられてしまうのだ。
そしてE100も、かつては同様に“実車も設計図も残っていない計画戦車”と思われており、故に再生産の対象となる事はなかった。………が
近年、唯一戦中に作られたE100の車台が、イギリスの片田舎で発見されたのだ。確かに資料では、一台のみ生産されたと記されていたが、しかしそれは米英軍の手でスクラップにされたと考えられていたのだ。
見つかった車台はほぼ完全な状態で保存されており、早速戦車道関係者の手で再生産が試みられた、のだが………………
流石に車台だけではなぁ………と早々にサジを投げられてしまう。この頃ほぼ同時に、ロシアのクビンカ戦車博物館でマウスの完全な実車——こちらは砲塔も付いていて、しかも実際に稼働する!——が発見されたこともあり、E100への関心は薄れていった。
—————しかし!それでもなお諦めない者がいた!!極東は日本の大手戦車販売店『せんしゃ倶楽部』の整備士、伊能興成はなんとかしてこの伝説の超重戦車を動かしたかった。それが戦っているところを見たかった!故に彼は、たった一人で奮闘する。
協会に掛け合い、世界中を駆け巡り、幾度もの交渉を重ね—————
約四半世紀の時を経て、ついに彼は協会にE100の再生産許可を認めさせた。決め手となったのは、彼の同志となったベラルーシの某ゲーム会社が発見した、クルップ社が作成した砲塔設計図。これが、正真正銘戦中に作られたものであると認定されたのだった!
………が、そこで一つ条件が付けられた。まず、例の車台を完成させ、それを実験的に運用せよ、というものだ。そのため彼はイギリスから購入した車台に、試行錯誤を繰り返して作り上げた砲塔を乗っけ、そしてレギュレーションギリギリまで改造し
高校の第六十二回インターハイの直後には、ほぼ完成状態となった。そこで、彼は戦車道の中学、高校、大学などの各チームに売り込みをかけた。しかし生産段階で膨れ上がった費用により、価格は高騰。更にそもそも超重戦車自体の需要が少ないこともあり、交渉は難航した。結局、ドイツ戦車の総本山、黒森峰が取り敢えず半年間のレンタルをすると言うことで決着したが、様々な圧力によりその値段は笑えないほどお粗末な物になっていた……………
が、それでも伊能は諦めていなかった。万一を考え、黒森港の間で『もし、納入までに他の購入希望者がいた場合契約はキャンセルとする』という約束を交わし、再度売り込みを始め…………ようとしたところで
凪沙が現れた、という訳だった。
「成る程………これがオンリーワンである事は分かりましたわ。ですが、ただ大きいだけのデカブツは要りませんの」
「そこもご安心を、私が保証します。装甲はあのマウスに勝るとも劣らない程で、主砲は戦車としては世界最大級の150ミリ砲。まさに最強とは、この戦車のためにある様な言葉ですよ」
それを聞き、凪沙は瞠目してしばし考える。………が、すぐに答えは出た。
「————————決めましたわ!このE100、わたくしが購入致しますわ!!」
「有難うございます。………税込み¥150000000となります」
「結構、すぐに一括で振り込んでおきますわ」
即答!一億五千万という大金ですら、父の全面的支援を受けた凪沙には微々たるものだった、それを察した伊能は、ニヤリと笑って更に提案した。
「毎度有難うございます…………そこでもう一つ、ご提案なのですが——————あと五千万円、追加でお支払い頂けるのであれば、より一層“最強”の仕様に出来ますが、如何ですかな?」
「構いませんことよ。それで、納入はいつになりますの?」
「ここからいくつか再整備する必要がありますので……………まぁ遅くとも半年後までには仕上がりますよ」
「分かりましたわ。では、よろしくお願い致しますわ」
そう言って、凪沙はせんしゃ倶楽部本店を去った。伊能はそれを見送りながら
ついに、悲願の夢が叶うと知り、感涙に咽び泣いていた———————
※
さて、しかし戦車道をやる、と言っても一人ではできない。例え戦車があっても、一人ではそれを動かすこともできない。
中学三年生であった凪沙は、しかしそこについては楽観的に考えていた。納車される半年後には、自分は高校生になる。丁度父の商売の都合で東京から引っ越すので、高校はそこの女子校に通うつもりだが、そこで戦車道のクラブかチームかに入れば良いだろう、と。
そして、彼女の引越し先、それは
「ふむ、大洗女子学園、ですか。楽しみですわね、高校生活は!」
————————茨城県大洗町で、あった。
E100超重戦車(144t)
読み方は「エー・フンダート」みたいな感じですな。本文でもちょろっと書いていますが、こいつは実際に試作されています。まぁ車台だけだし、戦後の連合軍の調査では動かなかったらしいけど…………
この前アマ○ラでガルパンもう一回見たんですがね、マウスかっこ良すぎアレは反則。で、その後某戦車ゲーム(ブリッツの方)をやりましてね、E100とマウスが殴り合っているのを眺めてふと思った訳ですよ、
これ、ガルパンの作画で見たいなぁ、と
アニメは無理だけど、でも二次小説は自分で書けるやん書いたろ!と勢いだけで書きましたまる
次話は未定でごわす。一応全国大会決勝までのざっくりとした流れは考えましたが、文章書けへん。なのでちびちびと書いていきますので、どうかお待ちくだされ。
………え?幼女戦記の方はよ書けって?そっちも全然筆が進まんのです許して土下座土下寝土下埋
それでは、今後ともよろしくお願いいたします!!