ガールズ&パンツァー 超重戦車烈伝   作:信濃氷海

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毎日投稿、ヨシッ!

それでは本編ですの!


3. 子ウサギの目覚めと少女の決意

 彼女の詳しい素性が分かるまでに、そう時間はかからなかった。

 

「…………天草って、成る程ねー。確かに聞いたことあるなぁ」

 

「確かそこの社長が、この前全国紙の経済欄を独占してましたね。なんでも———————僅か5年で、世界経済の1%以上を支配したとか」

 

 合点がいったように呟く角谷と、呆れたように言う河嶋。成る程その御令嬢様なら、自分用の戦車の一台や二台普通に持っているだろう。…………しかしでは何の戦車なんだろうか?

 

「やっぱりティーガーとかかねー?」

 

「いえ、良いところのお嬢様なのですし、やはりマチルダやチャーチル辺りではないでしょか?」

 

 まさに聖グロだねぇ、と角谷は笑う。そして、干し芋を咀嚼し気持ちを切り替える。

 

「さーて、それじゃ()()()()()()の方の、対策でも考えよっかねー」

 

「はい!」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 ——————そして、数日後

 

 

 

 

 

 

 

 

「学食も美味しいですわ!!」

 

 転入から数日。凪沙は順調に高校生活を満喫していた。

 

「凪沙すごいねー。私はそんな量絶対食べれない……………」

 

 学食のテーブルで、もっきゅもっきゅとものすごい量の昼食を摂る凪沙。それを正面の席からげんなりと見る新たな友人——澤梓。

 

「梓はあんまり食べないもんねー」

 

「私も甘いものならそれくらいいけるけどなー」

 

 その横の大野あやが、梓を茶化すように言い、凪沙の横に座る宇津木優季が嘘か本当か妙なことを言う。

 

「美味しいから仕方ありませんわ!」

 

 ……………そして食事が終わり、授業開始までそこでお喋りする一年生七人組。

 

「そういえば、凪沙はなんで大洗に転入してきたの?」

 

 デザートのプリンを実に緩んだ顔で食べている凪沙に、山郷あゆみが尋ねる。基本的に中高一貫校である大洗では、凪沙のように途中で転入してくる生徒というのは珍しい存在だったのだ。

 

「そうですわね。父の仕事の関係で、東京から大洗にに引っ越す事になったんですの。………………まぁどうせ学園艦で下宿生活ですので、別に東京の知破単か、横浜の聖グロ辺りに通うのでも良かったのですけれど………………」

 

「あー、確かに。凪沙なんかすごい聖グロっぽいもんねー」

 

「分かるー。口調とかもなんかエレガントって感じだし」

 

 あゆみと優季が口々に言う通り、凪沙の言葉遣いは極めてお嬢様然としたものだった。………………まぁ、実際の行動はやや、いやかなり活発な様だが………

 

「ありがとうございますわ。でもそんなところに行かなくて正解でしたわ——————だって、そうで無ければ貴女達と出会えませんでしたもの」

 

 …………………これが自覚しての事なら、ただの痛い奴として敬遠されるのがオチだろう。が、凪沙の場合どう見ても自然に…………あけすけに言えば天然でそう言っている。その為梓達はどう反応して良いやら分からず、顔を赤らめもじもじする。

 

「…………凪沙のすけこまし」

 

「はいい?!な、何故ですの?!皆さん揃ってそんな目で…………ひ、酷いですわーーーー!」

 

 ……………多少、どころかかなり風変わりなお嬢様は、しかし早くも新たな生活に順応していたのだった。

 

「————————久しぶり、凪沙」

 

 と、そこに突如現れ彼女に声をかける人の姿が。くるりと振り向いた凪沙は、その人物を見て目を輝かせる。

 

「!!ななせではありませんか!最近メールや電話ばかりでしたから寂しかったですわ!!」

 

「うーん、やっぱり船舶科と普通科とだと会うのは難しいからね」

 

「それならば仕方ありませんが………!では、会えた時にはその分も含めて充実した時間にいたしましょう!」

 

 それでは梓さん、あゆみさん、、紗希さん、あやさん、優季さん、桂利奈さん。大変恐れ入りますが、わたくしは少々席を外させていただきますわ!と優雅に一礼し、凪沙は席を立つ。そして七瀬に近寄り—————

 

「あ、あわわわわ」「ひゅー、すっごーい」「おっとなー」「凪沙ちゃん大胆!」「ベルばらみたーい」「………………」

 

 —————ななせと手を繋いで、歩いて行った。流石に恋人つなぎとかではなかったが………………

 

「……………凪沙、すごいね」

 

 ()が過ぎ去った後、顔を赤らめぼんやりしていた梓がぽつりと呟く。それに続き、他の面々も口々に騒ぎ出した。

 

「女子校だし、そう言うのあるって噂は聞いてたけどー」

 

「でもすっごい似合ってたよねー。相手の人もなんかすっごいカッコ良かったし!」

 

「あー、確かに。船舶科の制服着てるし、身長高いし、顔もカッコ良いし………まさに宝塚とかに居そうな感じだったよね」

 

「凪沙も見た目とか口調とか完全にお嬢様だし。はぁー、私の彼氏もあそこまでじゃないしなー」

 

「「「「え!あゆみ彼氏いるの?!」」」」

 

 ……………………友人ではあるが、しかし彼女は私たちとはどこか違う世界の人間なのだろう。梓達は、騒ぎながらもどこかそう感じていた。このまま、卒業までずっとこの“薄く分厚い壁”は取れないのだろうな、と。

 

 

 そう、感じていた(諦めていた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………だが、放課後

 

 

 

 

 

 

 

 

『————生徒全員に告ぐ!生徒全員に告ぐ!直ちに体育館に集合せよ!!繰り返す、直ちに体育館へ集結せよ!!』

 

 

 

 サイレンの音と共に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()、変わり始める———————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然の緊急招集で、体育館内はごった返していた。

 

「えっと…………何が……………?」

 

 戸惑いを隠せずに、西住みほが呟く。しかし横の武部沙織にもこの状況は何がなんだか分からない。

 

「さぁ…………?」

 

「でも、うちの生徒会のやることですから」

 

 一方反対方向の五十鈴華は割り切ったように言う。その反応で察するに、どうもこういう事は何度もあるようだった。

 

「みんな慣れっこなんだ……………」

 

 と、

 

「静かに!…………それでは、これより必修科目のオリエンテーションを開始する」

 

 壇上に立っていた生徒会広報の河嶋がそう言うと、辺りが暗くなりビデオが流れ始める。

 

『—————戦車道入門』

 

 まず、デカデカと書かれたその文字が、画面上に現れる。そこから始まったビデオは、どうも『戦車道』を紹介する物のようであった。

 

 ………………しかしそれでも、これは露骨すぎるし、美化し過ぎている。みほは思わず頭を下げて視界に入れないようにする。が、音は否応なしに彼女の耳に入ってきた。

 

「はぁ……………うぅ…………………」

 

 呟くため息はしかし、ビデオ映像の爆音によりかき消されてしまう。

 

「わぁ〜〜」

 

「素敵ねぇ…………」

 

 映像が終わると、感動したかのように沙織と華がそうこぼす。そして概ね周囲の生徒達も皆そういった反応であり、どうやらこの妙な()()()()()()映像はしかし、何も知らない乙女たちの心を見事に射止めてしまったらしい。

 

 壇上では、再び河嶋が喋り始めている。どうやら今回の件は、国からのご命令らしい。数年後の世界大会のために、今の中高生らにより戦車道を知ってもらいたい云々…………まぁ、今の状態ではあまりに戦車道の人気がなさすぎるので、そうやって無理矢理テコ入れする気持ちは分かるが…………

 

「選択すると色々特典を与えちゃおうと思うんだー」

 

 ………………だがこれはちょっと……………その特典とやらは、ただの選択科目にしては余りに過剰なほど豪華な物だった。

 

 食堂の食券百枚、遅刻見逃し二百回、通常の三倍の単位…………………やりすぎである。そこまでして戦車道を選択させたい理由が、何かあるのだろうか………………?

 

 …………………やりたくない。みほは改めてそう思った。が…………

 

「私、戦車道履修する!」

 

「私も、以前から華道よりアクティブな事がやりたかったんです。戦車道、履修します!」

 

「えぇ!?」

 

 体育館からの帰り道で、キラキラした目でそう言い放つ沙織と華。そしてその様子を見て動揺を隠せないみほ。と

 

「楽しみですわ!戦車道の練習!!」

 

「そうだね、でもあと何人か仲間を集めないと…………」

 

「なぁに、そんなのすぐに見つかりますわ!わたくしにかかれば一瞬ですのよ!」

 

 手を繋いだ、二人の生徒がそんな事を喋りながら通り過ぎていく。楽しみ、か……………………

 

 今までそんな事、考えもしなかった。戦車道は絶対で、やらなくてはいけない義務だったから、私は…………………

 

 立ち止まり、俯いてしまうみほ。何故、どうして。戦車道は無いって言っていたのに…………………

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、西住ちゃーん」

 

 

 

 ………………そこに、再び現れる角谷会長ら。

 

「今日のオリエンテーション来てくれたみたいだねよかったよかった。それじゃ———————()()()()()()()()()()()?」

 

 ………思わず、怯えたように後ずさるみほ。だが、それを許さず角谷たちは威圧するかのように一歩近づいてくる。………………だけど…………

 

「もし履修しない場合は、それ相応の罰則があると覚悟しておけ」

 

「困ったことになるよ?」

 

 さらに追い込んでくる、角谷の取り巻き二人。そのあまりに強硬な態度に、みほはさらに体を縮こませる。嫌だ、もう無理なのに、どうして—————

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!昨日からそうだけど失礼すぎるよ!みほ嫌がってるじゃん!」

 

「そうですよ、あまりに強引過ぎます!」

 

 

 

 

 

 

 ————両手が、暖かく包み込まれた。

 

 

 

 

「———————二人とも………………」

 

 見ていられなかった。確かに沙織も華も、戦車道に興味があったし、やってみたいな、とも思っていた。だが……………………

 

 

 

 

 友達が、こんな顔になってしまうのなら、そんなモノこちらから願い下げだった。

 

「んな!!生徒会に楯突く気か!!」

 

「………あんまり物分かりが悪いと、この学校に居れなくなっちゃうよ」

 

 即座に二人にも浴びせられる酷い恫喝。たが、沙織も華も全く動じない。

 

「脅しても無駄ですよ、そんな横暴が通る筈がありません」

 

「いくら生徒会が偉くても、嫌なものを無理にやらせる権利なんてない!」

 

「ある!生徒会とはそう言う組織だ!」

 

「今のうちに謝ったほうがいいと思うよ?ね?」

 

 

 

 ………………二人は戦車道がやりたいのに、それなのに

 

 

 

 

 ——————私の事を気遣って、ここまでしてくれている。そんな事は……………

 

 

 

 

 

 

 

 初めてだった。……………………すごく、嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———————あの!」

 

 

 

 握られた二人の手を、強く握り返す。

 

 

 

 

 

「私………………………戦車道、やります!!」

 

 

 

 

 ————————ここからは、もう逃げない。

 

「ええ?!いいのみほ!」

 

「無理しなくても大丈夫ですよ?」

 

 心配してくる二人に、しかしみほはにっこりと笑いかける。

 

「うん、大丈夫だよ。……………二人とも、ありがとう!———————一緒にやろう、戦車道!!」

 

「!…………勿論だよ、みほ!!」

 

「ええ…………一緒に頑張りましょう、みほさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………それを、ニヤリと見つめる角谷たち。一時はどうなることかと思ったが、これで何とかなった。あの西住流の直系の娘が指揮を取れば、あるいは———————!!

 

 それに、例のお嬢様(自家用戦車持ち)もいる。戦力としては、これ以上望むのなどおこがましいくらい集まった。

 

 

「……………ようやく、スタートラインだ。そこに、立てた」

 

 さぁ足掻け、そして掴みとれ!優勝杯を、未来の全てを—————————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………そして、翌週月曜日。

 

「おーっほっほっほ!素晴らしい日ですわ!!」

 

 いよいよ戦車道の授業開始日となり、受講者たちは戦車道用の倉庫前……と説明されている所にやって来ていた。

 

「結局人は集まらなかったけどね…………」

 

 高笑いする凪沙の横で、ポツリと呟き苦笑いするななせ。結局彼女たちは、あれだけ啖呵をきったにも関わらず追加の人員を確保できなかった…………

 

 が、凪沙は呑気なものだった。

 

「まぁそこまで問題はありませんわ!おいおい見つけていけばいいですの!第一()()()()()()()は未だ届いておりませんし………」

 

 すると、それを聞きつけた少女たちが群がってくる。

 

「え!凪沙戦車持ってるの?」

 

「すっごーい!さっすがお金持ち〜」

 

「どんな戦車ー?たいがー、って奴?」

 

「毎日それで登校するのー?」

 

「やっぱりお嬢様だねー!」

 

 というか、梓たちだった。

 

「あら!貴女達も戦車道に御参加なさるんですの?素晴らしいですわ!とっても嬉しいですわ!!」

 

 それに気づき、大はしゃぎする凪沙。しばし彼女達ときゃっきゃしていると、倉庫前に立っていた生徒会三人衆が声を掛けてきた。

 

「静かに!………今の所戦車道履修者は我々も含め23名だ。今後はこのメンバーで練習や試合を行うつもりなので、親睦を深めておくように。では、これより戦車道の授業を開始する」

 

「あのー、戦車はどこですかー?」

 

 と、そこで手を挙げて質問するあゆみ。すると河嶋は大きく頷き答えた。

 

「いい質問だ。………というよりそれが本日の授業内容だ」

 

 答えた……………?

 

「?……………ま、まさか………………」

 

 嫌な予感がする。みほはポツリと呟き、それが的中しないよう祈った。……が

 

「ここには戦車は()()()()ない。が、何年も前に我が校の戦車道は廃止になったが、しかし当時の戦車のうちいくつかはこの学園艦の()()()に必ずある。諸君にはそれを捜索してもらう」

 

 …………予想、的中。黒森峰時代には考えられなかったとんでもない状況に、軽くめまいがする。…………ん?ほとんど??

 

「あの……………」

 

「どうした西住」

 

「ほとんど、って言うのは…………」

 

 それを聞き、ああと河嶋は思い出したかのように言った。

 

「一応、一輌ではあるがこの倉庫の中にある。よし、折角だ、実物の戦車を見ておけ」

 

 そして、倉庫の扉を開ける。そこには…………………

 

「………うわぁ」

 

「何これ〜」

 

「ボロボロ〜」

 

「ありえなーい」

 

 そのあまりの惨状に、思わずドン引きする梓たち一年組。だが、みほは…………

 

「………………装甲も、転輪も大丈夫そう。これならいけるかも」

 

 そっと、ソレ——IV号戦車D型に触れて、みほはそう呟いた。そのしっかりとした声色に、周囲の受講者達も嬉しそうにどよめく。

 

「しかし、これだけではどうにもならない。この人数であれば………天草たちの分はいいとして、五輌程度必要だ。故に、探してもらう」

 

「………成る程。して、一体どこに?」

 

 ローマ風の髪型とマントをつけた少女が尋ねる。が

 

「いやぁ、手がかりもなんにも無いんだよねー。まぁ、どこかにはあるっしょ」

 

「ええ?!一つも手掛かり無いんですか?!」

 

「無い!ごめんねー」

 

 ……………かくして、少女達はいきなり壁にぶち当たる。戦車道をやる為の戦車を、探すという途方もない、壁に……………

 

 

 

 

 その状況に、受講者達のやる気が一気に削がれていく。

 

 

 しかし

 

 

 

 

「分かりましたわ!では、行きますわよ!!」

 

 凪沙は、全く動じていない。探せというのだから探そう!と謎の自信と共に早くもズンズン突き進んでいった。

 

「わ!凪沙ダメだよ、また崖に落ちるよ!」

 

「そうだよ凪沙!こないだも下駄箱で迷ってたでしょ!」

 

 それを、慌てて追いかけるななせや梓たち。それを、呆気にとられて見ていた他の受講生も、しかししばらくしてくすくすと笑い出す。

 

「くくっ、確かにそうだな。では我々も探そうじゃないか」

 

「「「それだ!!」」」

 

「ふふふ、それじゃあ私たちも行きましょう!沙織さん、華さん!」

 

「ええ!」

 

「うん!」

 

「負けるな、根性ぉぉぉ!!」

 

「「「おーーーー!!!」」」

 

 

 

 

 …………どうやら、この“壁”も何とかなりそうであった。

 

 

 

 

 

 

 




みぽりんも、ウサギさんチームも主人公だ(鋼の意思)

まぁ同じ一年なのでね、仲良くなるでしょ多分。あ、でも先に言っておくと梓たちがE100乗るわけじゃないです。

それと、一応申し上げておくとこの作品ではちょくちょく原作の流れを変えたりねじ曲げたりしてます。今話でも原作より大分早くみぽりん決断したし。

そして未だ届かぬE100。多分5000万円分大改造ビフォーアフターしてるんでしょう恐らく。

次回からは戦車探し!何が出るかな、何が出るかな………?

次話の投稿は明日!多分!!
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