それでは本編参りますわよ〜
……………………まさに、惨劇。これ程までの尊厳の蹂躙が、未だかつてあっただろうか。優花里は崩れ落ちた。
「あ、あんまりですぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
目の前には、無惨なまでに変貌した戦車達が。金ピカの38(t)に、どピンクのM3、白い落書きだらけの八九式、真っ赤な(おまけに妙な旗も!)Ⅲ突!!
唯一まともなのはIV号だけ………しかもそれだって、内部は様々な小物が運び込まれとんでもないことになっている。
「こっ、これはもはや別物です!!あんまりですよねぇ?!」
「……………ふ、ふふふ!面白い!」
だがそんな優花里の狂乱をよそに、みほはしかし嬉しそうであった。曰く
「戦車をこんな風にしちゃうなんて!なんか楽しいね、この間の模擬戦もこの戦車も!戦車で楽しいなんて思ったの初めてだよ!」
クスクスと、実に楽しそうに笑うみほに、膨れっ面だった優花里も思わず顔を緩ませる。
しかし、この場にはあと1輌戦車が足りなかった。無論凪沙のT-54である。
そして、その凪沙はと言うと…………………
「先程連絡がありまして、おそらく次の日曜には大洗に届くと言っておりましたわ」
「まぁ練習とはいえ流石に他校との試合でT-54使うわけにはいかないからねー…………しかもそれどーもパチモンなんでしょ?」
角谷の嫌な指摘に、しかし事実であるため何も言い返せない凪沙。そう、実はこのT-54は、そもそも本物のT-54では無かったのだ……………
「ぐぐぐ…………本当にロクでもない糞爺ですわ!よりにもよって
そう、あれは正確にはT-54ではなく、それを中国でライセンス生産した59式戦車なのだった!!酷すぎる。いくら代車とはいえこれはあんまりである!
「まーまー、別に性能はいいんだし、そもそも本物のT-54だって公式戦で使ったら多分連盟に怒られちゃうしねー。しかも代車じゃないのが日曜に届くんでしょ?ならいーじゃん」
これは練習用だねー、と相変わらず飄々と言う角谷。まぁ、そうですけど…………とどこか釈然としないながらも凪沙は納得する。
「それで、日曜日には本当に間に合うんだろうな?」
「え、ええ………………恐らくは…………………」
歯切れが悪い。それに対して河嶋ははっきり答えんかとキレかけるが、角谷が止めた。
「まぁいいじゃん。その辺りに着くんだったら公式戦には間に合うんだしさ…………って言うか、天草ちゃんそもそも何の戦車持ってんのー?」
「それは届くまでの秘密ですわ!」
口に人差し指を当て、“ひ・み・つ”と言わんばかりにニッコリと笑い、凪沙はその場を去る。随分舐め腐った態度ではあるが、しかしT-54が代車と言うくらいなのだからかなりの代物なのだろう。故に角谷は特に気にせず、メンバー集め頑張ーと手を振り見送った。
………そして、凪沙が向かった先は
「はぇー、すっごい大きいですわぁ…………………」
大工事中の、戦車道倉庫だった。
「なーなせさーーーーん?!どーこでーすのーーーーー??」
多くの工事関係者———船舶科の生徒?———たちが行き交う中を、親友を探しうろうろする凪沙。
「……………?凪沙、会長との話は済んだ?」
「ええ、ばっちりですわ!」
やがて、倉庫の奥でなにやら船舶科の生徒と話していたななせを見つける。凪沙の用事が終わったことを知ったななせは、そこで話していた船舶科の女子に一言暇乞いをして、凪沙の方へ向かおうと
したのだが………………
「おいおい、折角なんだ紹介ぐらいしてくれ。少しぐらいいいだろ?」
酷く残念そうな声に呼び止められた。ななせは少し顔をしかめため息をつくが、しかし結局は要望通りにしてあげる事にした。
「……………凪沙、この人は船舶科三年の佐世保緑先輩。これから戦車の整備も手伝ってくれる事になった暇人だよ」
「ひでぇなオイ。あと正確には船舶科の海洋電子機械コースなんだが、まぁいい。んで?あんたの御名前は?」
佐世保がからからと笑いながらそう尋ねる。尋ねられては、名乗らないわけにはいかない。凪沙はいつも通り元気よく大声で実に優雅に挨拶した。
「お初にお目にかかりますわ!わたくし普通科一年の天草凪沙と申しますの!戦車の整備をしてくださるとは大変喜ばしい事ですわ!!今後とも宜しくお願い致しますわ、佐世保さん!」
「おー!随分元気良いね!!………それに見た目めっちゃカワイイし、スタイルも………でけぇ…………ゴホン、いやーななせも隅に置かないなぁこんなかわい子ちゃんひっかけるなんて!」
「んなっ!?か、カワイイ………そ、そんな……………その、佐世保さんもお美しくて、まるでお姉様の様ですわ!」
「マジかい?!いやー見る目あるねぇナギちゃん」
…………和気藹々と談笑する佐世保と凪沙。その姿を見ていると、なんだかとっても嫌な気持ちになって———————
「っ!ほらもういいでしょう先輩!私たちは所用につきこれで失礼させて頂きます!………いくよ凪沙!」
「おろ?ろろろろろろ!首が!首が締まりますわギブですわーーーー!!」
強引に、二人の会話を打ち切らせ、凪沙の首根っこを引っ掴んで引きずっていくななせ。その光景を、佐世保はなんとも形容し難いニヤニヤ顔で見送る。
…………と
「あー、こんな所にいた!」
凪沙たちと入れ替わりになる様に、つなぎを着た一人の生徒がやって来た。
「おや、中嶋じゃないか。どうした?」
「いやー実は……………」
自動車部部長、中嶋悟子は用件を言おうとするも、佐世保の視線の先に気づいて苦笑する。
「いやー…………青春だねぇ」
「まったくだ。………しかし島原には感謝しなくてはな、あいつの紹介がなければ私らはいつまでも船底で飲んだくれてただろうし」
「の、飲んだくれって…………でもそうだね、佐世保たちが来てくれなかったら、流石に色々やる事が制限されそうだったからね。感謝してるよ、島原にも、佐世保にも」
はーはっはっは!それは何より何よりと、佐世保は笑う。彼女を含め、自動車部に協力する事になった船舶科の頼れる乙女たち計5名。
その出会いは、いずれ何をもたらす事になるのか…………………?
………まぁ、少なくともこれで生徒会からの無茶振りにも対処しやすくなる事だけは、確かだろう。
※
————そんなこんなで、日曜日。
「ううううう!もう麻子起きてよぉぉぉぉ!!!!今日試合なんだよ?!」
「……………ふかのうなものは、ふかのう」
……まぁ、少々トラブルもあったが、しかし概ね順調に、予定は進行し————————
——————ていなかった!!!!
「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!まだ着かないだと?!」
青筋を立て、携帯電話に怒鳴り散らす河嶋。通話相手は無論………………
『ご、御免なさいですわーーーー!』
「ごめんですむかーーーーーーーーーーーー!!!!」
結局、やはりというか何というか、凪沙たちはどうも間に合いそうになかった。受領は出来たらしいのだが、その輸送に手間取っていて……………
『渋滞が!とんでもない渋滞なんですの!!」
「知るか!!」
…………なんでも、かなり分解しなければ鉄道輸送できなかったらしく、水戸駅での再組み立て作業で手間取り。
そして試運転も兼ねて道路を自走して来た所、アホみたいな渋滞に巻き込まれてしまい……………
「結局今どこなんだ!!」
『えーっと……………“水戸大洗インターチェンジ”という看板が見えますわ!!』
「もうちょいなんだけどねぇ」
『—————アッ!なんか変な音がしますわ!?『まずいエンジンが!!』『これはやばいんよ!』『煙い煙い!やばいよこれ!!』………ちょ、ちょっと修理致しますので切らせていただきますわ!』
「あ、おい待————————…………はぁ、どうしましょうか」
どんよりと河嶋が呟く。しかし、角谷は特に気にしていなかった。
「まーしょうがないっしょ、無理なもんは無理なんだからさー。まぁ聖グロには本当の事でも言って謝るしかないねー」
「…………………いえ、それは我が校のプライドに関わります!それに間に合わないとも言っていませんし、このまま突き倒します!!」
えー………、と少々ドン引きする角谷。流石にそれはどうなんだ…………?
「何も言わないでください!責任は、この私が確実にとりますゆえ!!」
なんかキャラ変わってない?……………まぁそこまで言うなら別にいいか。どうせ聖グロの方は大洗なんてそもそも見下してるだろうし。
そこへ、ゆっくりと綺麗な隊列を組んだまま6輌の戦車がやって来る。———聖グロリアーナ女学院の戦車チームだ。
やがてみほ達の眼前で静かに停車し、中央の重戦車——チャーチル歩兵戦車MkⅦ——から、一人の美しい女子生徒が降りて来た。言わずもがな、聖グロの隊長、ダージリンである。
「…………本日は急な申し込みにも関わらず、試合を受けて頂き感謝する」
大洗を代表し、例を述べる河嶋。それに対しにこやかに笑い、ダージリンは挨拶した。
「構いませんことよ。……………それにしても、少々……いえ随分と個性的な戦車ですわねぇ。ですが、私達はプラウダや黒森峰のように下品な、つまらない戦車道は致しませんの。————全力を尽くして、お互い頑張りましょう?」
そして、ふと気づいたようにダージリンは付け加える。
「…………あら?6輌と聞いていたのですが、ここには5輌しかありませんわ?どうかなされました?」
うっ、と大洗側の言葉が詰まる。冷や汗を垂らしながら、河嶋は早口に取り繕った。
「こっ、これはそう、
「それは、舐められていると受け取って宜しいわね?………ま、いいでしょう。せっかくローズヒップを連れて来たんですもの。少しくらいは遊ばせてあげなきゃ可哀想だわ」
冷たく大洗チームを睨み、興味が失せたようにダージリンはそう呟いた。そして礼が終わると、心底詰まらなそうにさっさとチャーチルへと戻って行ってしまう。
…………その後しばらくダージリンの機嫌はあまり宜しく無かったが、スタート後の走行中にオレンジペコが淹れてくれた紅茶を飲むとようやく少し笑顔になる。
「ありがとうペコ。……………それにしても、ガッカリですわ。まぁいいわ、そうだとしても私たちは自分の戦車道をするだけ…………ローズヒップ、隊列に合わせなさい。」
いつものように早速我慢できなくなったローズヒップ車を、呆れたように注意する。しかし、その表情はどこか慈しみに溢れていて、まるで………………
「……………ダージリン様は随分とローズヒップさんにご執心ですね」
「あら、嫉妬?可愛いけれど、淑女のすべき事ではないわ。……………でもそうね、あの子は確かに素晴らしいわ。これで、あのOGどもの凝り固まった思考回路を蹴飛ばせるんだもの!」
クイ、とカップを傾け、実に美味しそうに飲む。今日の銘柄は…………おや偶然にもローズヒップ。
………あの子のおやつ程度にはなるかしら?そうでなければいよいよ来た意味を見出せなくなるが…………………
と
ズドォォン!!
砲撃音!なるほど、撃ってくるだけのタマはあるか。ふむ……………
「仕掛けて来ましたね」
「ならば、こちらもお相手して差し上げましょう。………………全車両、目標前方のIV号。……攻撃開始」
左へのカーブとともに、順次発砲するチャーチルにマチルダ、そして—————
「……………でも窮屈そうね。流石にこの隊列にクルセイダーを入れるのは酷だったかしら?」
うずうずしたように、心底奇妙な挙動をとるローズヒップ車——クルセイダー巡航戦車MkⅢ。その一目で分かる「早く突っ込みたいですわ!」というサインに、ダージリンは苦笑してしまう。
「もう少しの辛抱よローズヒップ。いずれ必ず進ませてあげるから、今は隊列に留まっていてくれる?」
無線で優しくなだめ、さぁてIV号はどうなったかしら……と前を見ると
「………ふぅん、思っていたよりもやるわね。全車速度を上げて、追うわよ!」
そして、優雅にカップを傾け紅茶を飲む。
「————どんな走りをしようとも、我が校の戦車は一滴たりとも紅茶をこぼしたりしないわ」
いささかアヤシイ人も居ますけどね……………とオレンジペコは少々苦笑いしつつ心中で思った。
………しばらく走っていると、三叉路が見えてくる。その時
ドォォン!!ドォォォン!!ドォォン!!ドォォォン!!ドォォン!!
…………無数の砲撃音。しかしこの距離では当たるまいし、そもそもアレは………
「………御冗談でしょう?味方と敵と間違えるなんて………それに、こんな安直なおとり作戦など、私たちには通用しませんわ」
しかも、いざ目標が正しくなっても、その砲撃はバラバラな上に極めて不正確。はっきり言って、練度不足も甚だしかった。
やはり、買い被りだったのだろうか?紅茶の冷めるのより先に、ダージリンのやる気は恐ろしいほどの勢いで冷めていくのを感じていた。
まぁ良かろう、ここで試合終了だ。
「全車前進……………攻撃」
ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォォォン!!
途端に壊滅状態になる大洗チーム。やがてM3がやられ、38(t)の履帯が外れ…………
が、そこで
「!…………逃げ出したの?破れかぶれの遁走、かしら。…………はぁ、ならもういいわ。ローズヒップ!」
残存車両を引き連れ、醜く潰走していく姿は、もはやダージリンの興味を完全に奪うのに十分だった。故に、後はローズヒップの経験値にでも———それすらそうなり得るか疑問だが———しようとダージリンは命を下す。
「追撃なさい。それ以外は、貴女の自由にして結構。……………他の車両も、各自待を掃討しなさい」
………………が
「——————地形を最大限利用して下さい!もっとこそこそ作戦を開始します!!」
大洗はまだ、諦めてなど
「——————攻撃受け、走行不能!!」「こちら被弾につき現在確認中!!」
いなかった—————————ッ!!
「なっ………………!!」
ダージリンのティーカップが———————————床に落ちる。なんと、やりやがった…………!
「……成る程、私の目はまだまだ未熟という事ね。——————でもここまでよ!」
ゆらりと、ダージリンは前を睨んだ。直ちに残りの全車両を集結させる。
「全車チャーチルのところに集まりなさい。——————聖グロの名にかけて、叩き潰すわよ」
※
「—————こちらCチーム!走行不能!!」
「Bチーム、敵撃破失敗及び走行不能ーーーーっ!すみません!!」
………わずか十分足らずで、形勢は一気に押し戻された。みほは車長席で顔色を厳しくさせる。
「残っているのは我々だけです………」
「向こうは何輌?!」
「ご、5輌です………………」
……………やはり、凄まじい練度差!戦車の性能差を差し引いても圧倒的なそれは、みほたちを震えさせるに十分だった。
「—————来た!しかもあれは…………クルセイダー!!麻子さん兎に角敵を振り切って!」
猛スピードで迫り来る青い悪魔。それは、無論——————
「!!発見ですわやっつけますのよーーーー!!!!」
自称“聖グロ一の俊足”、ローズヒップの車両である。IV号とクルセイダーの速度差はほぼ無い……いや、若干クルセイダーの方が速い———————!!
「ジグザグに、路地を使って撒きます!」
「おうよ」
………しかしここは市街地。入り組んだ路地をうねうねと逃げ惑うIV号には、中々追いつかない。だんだんイライラして来たローズヒップは、ついに禁断の封じ手を使ってしまう————
「ああもう!鬱陶しいですわリミッター外しちゃいますわよーーーーーー!!」
瞬間時速60キロにまで加速するクルセイダー。あまり長時間は出来ないが、しかし敵は後1輌なのだ!それに………………
「このクルセイダーの履帯は特別性でしてよ!ドリフトし放題なのですわ!!」
————まるでレーシングカーの様にドリフトを重ね、滑らかにカーブを乗り切るクルセイダー。見る見るうちにIV号との差は縮まり——————
「ここでおしまいですわ!撃———のわわっ!?おろ、おろろろろろろろろ!!!」
………6ポンド砲をぶっ放そうとしたその瞬間、何故かへし折れた信号機が眼前に落下。高速機動中であり、安定性に欠けている中見事に障害物にぶち当たったクルセイダーは、あっさりとバランスを崩しスピン状態に。
ドガッシャァァァァァァン!!…………………ボボンッッッッ!!!!
結果、カーブを曲がりきれずあえなく民家に激突した。しかもその時エンジンか燃料タンクがやられたらしく、大爆発を起こすというおまけ付き。
……………無論これは偶然ではなく、みほの策略通りと言ってよかった。カーブ直前で信号機を砲撃、破壊し、それにクルセイダーを当てさせて操縦不能にするという、とんでもない戦法であった!
しかし、それが見事成功したにも関わらずみほの顔色は暗いまま。なんせ…………
「前から敵の全車両が来ます!!麻子さん横の路地に逃げ込んで!」
——————まだあと4輌も、残っているのだから。
※
「——————こんな格言を知っている?“イギリス人は恋愛と戦争では、手段を選ばない”…………さぁ、ここまでよ」
完全に、追い詰められた……………!前方にはじりじりと迫るチャーチル以下4輌、背後は通行止め。
ここまでか………………みほは硬い表情で前を睨むが、しかし状況は変わらない。せめて、ここを抜けられれば—————————
その時だった。
「さーんじょーう!」
「真打登場ですわ!」
目の前の十字路の、みほから見て左側から38(t)が現れ—————
いや違う、それだけではない!なんと右側からも戦車——聖グロのクルセイダーだ!——が………………
「会長!?そ、それにあれは——————あ」
「「———————あ」」
ドガッシャァァァァァァン!!!!
…………どうもここは刺又の様な形の道路だったらしく、2輌は完全に双方視認できないままここは突っ込んできた。故に
見事に、正面衝突。
「うぐぐ!?…………まだだ、まだ終わらん!!」
元々損傷していたクルセイダーは即白旗が上がるも、なんとか耐えた38(t)はなおもチャーチルへ砲を向けぶっ放す、が……………
ズドォォン……………………
「………桃ちゃんここで外す?」
刹那
ズドォォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!ズドォォン!!
四発の砲弾をくらい見事に沈黙。
「やーらーれーたー!」
………が、
「———前進、一撃離脱!!」
ズドォォォン!!
直ちに路地に逃げ込む。その際マチルダに一発叩き込むのも忘れない。
「———回り込みなさい、至急!」
………その後、マチルダ2輌を撃破し、さらにチャーチルも待ち伏せして側面に命中する—————が弾かれた。
「…………路地へ行く?」
麻子が淡々と聞く。しかしみほは首を振った。
「いや…………ここで決着つけます!麻子さん、
……………成る程、面白い。麻子は小さく笑い、分かったと短く言って操縦桿をきる———————
………が
—————シュポ!
旗が上がったのは、IV号だけだった………………
『大洗女子学園チーム、全車両走行不能!』
街中に、敗北を告げる声が響き渡る。みほは、呆然とそれを聞いていたが、やがてガックリと車長席に座り込んだ。他のメンバーも、皆残念そうに俯いている。………特に麻子は、中々に悔しそうに沈黙していた。
………こうして、彼女たちの初陣は、苦い結果を残し終わっ——————
『よって、聖グロリアーナ女学院チームの勝—————
ズドガッッッッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!
「おーっほっほっほ!!!!大洗の救世主少々遅れましたが御登場ですわ!!」
………突如、
現れた。
チャーチルすらも遥かに凌駕する巨大な車体、不気味に光る150ミリ砲、鈍く輝く錆銀色の塗装、そして極め付けに……………
砲塔側面に付けられた、『大洗』の青いマーク。
「んなっ!アレは、まさか—————————」
呆然と、チャーチルの砲手アッサムが呟く。同様に驚愕していたダージリンが勢い良く尋ねた。
「知っているのアッサム!?」
「ええ…………マウスと並ぶ世界最大の超重戦車、E100です。…………黒森峰以外の誰かに購入されたという情報は聞いていたけれど、まさかそれが——————」
大洗、だったとは…………………………
「もしやシークレット枠とか言っていたのは………これの事なの?そ、それは………………」
恐怖に震えながら、しかしダージリンは健気にも砲塔を回し応戦しようとする。
……………が
『ちょっ!そこの…………ええと巨大な重戦車!!試合は終了しています直ちに停止しなさい!!!!』
「ええッッ?!そ、そんなですわ〜〜〜!」
『駄目です!』
……まぁ、そりゃあそうだ。はい、初陣終了お疲れ様でした(無慈悲)
「…………………訳が分かりませんわ。——————しかし、超重戦車!そういうのもあるのね……………………」
…………E100を眺めて、呟くダージリン。今度ウチでも探してみようかしら………………?
超重戦車は、伝播する。
Oh!ハハハなんてこった!T-54だと思ってたら中華版の59式戦車だったアル!くそっ、伊能の野郎ぶっ殺してやる!!
………うーん、一体“ナニ”がデカいんですかねぇ私気になります!あ、あとこれは本当になんの関係もないんですが、ぼくはお嬢様キャラといえばルヴィアゼッタ・エーデルフェルトさんとか婚后光子さんがすきですね(隙自語)
ついに!ようやく!!E100御登場ですわ!!!!…………しかしまたしても遅刻。うーんこの…………
あ、自動車部に仲間ができましたね。そりゃ船舶科って言ってるんだから機関のこととかもやるやろ多分、という訳ですねはい。
次回はすこし時間を遡ってE100組の動向です。どうやら新メンバーも確保できた様ですし………?
《質問回答》
・CGCとかATシリーズ、チャリオティア出るの?
→えー、レギュレーション的にCGC(チャーチルガンキャリア)はセーフで、チャリオティアは無理(完全に設計が戦後)ですねー。ただ、ATシリーズはアレ確かトータス計画において試設計されているんですよね。しかしそれがセーフなのかアウトなのか………………?
・砲弾は人に近づいたら爆発する仕様でしょ?
→確かにそうでした。ごめんなさい土下埋………でも!でもですよ?!頭でそう分かっていても実際自分の近くかすめて行ったら怖くない?!いや………まぁそんな状況に遭遇した事無いので分からんのですが…………