ベルくんがハジケているのは間違っている!!   作:たくあん

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ベル、都市に立つ

 デメテル・ファミリア。

 オラリオにおいて生産系のファミリアで、主神はおっとり巨乳の包容力が物理的にも天元突破して宇宙(そら)を創ることもできそうな女神、デメテル。

 今日も眷属達と共に都市外の畑で作物を収穫する。と───

 

「……? あら、何かしら、この音……」

 

 ブロロロロ、と聞いたことがない音が聞こえてきた。魔物かと、眷属達も警戒する。音はどんどん大きくなってゆく。近づいて来ている。やがて、砂煙が見えてきた。眷属の誰かが、ゴクリと喉を鳴らしデメテルに逃げてくださいと言おうとして、固まる。

 野菜が謎の乗り物に乗って来ていたからだ。野菜が、乗せられているのではなく、野菜が乗って、運転してる。

 手足の生えた人間大の野菜達。サングラスを付け、タバコを吸っている。

 

「な、何、あれ………」

 

 本当になんだろう、あんなの豊穣の女神でも知らない。と、先頭を走る人参の乗り物に轢かれた台車の上に、人間の子供が見えた。ものずこくボロボロにされている。

 だれもが困惑する中野菜達は乗り物を止め少年を道に落とす。

 

「次ピーマン残したら殺すからな」

「人参大好き!」

 

 ペッ、と唾を履いて立ち去ろうとする野菜達。が、先程まで先頭にいたため必然的に最後尾になった人参に少年が食い付いた。

 バリボリバリボリと音を立てて捕食したあとゴクンと喉を鳴らす。傷はいつの間にか塞がっております、人参のサングラスと手足が残された。字にすると凄い文だ。

 

「ピーマンは苦いんだよ」

「えっと…………」

「ピーマンを残すなあ!」

 

 スタスタと立ち去ろうとする少年であったが、デメテルの眷属の一人が少年をぶん殴った。確か、「息子がね、私が育てたって言ったら、ピーマン食べてくれたんですよ」と嬉しそうな顔で語っていた眷属だ。

 

「くっ、殴ったね! 爺ちゃんにも殴られたのに!」

「生産者として言おう。ピーマンであろうと、人参であろうと、誰かが作った大切な野菜。それを残す者を、私は許さぬ!」

 

 ハアァァ、と煙を吐いて全身を光らせる眷属。記憶が確かなら彼はレベル1だし何か妙なスキルなど持っていなかったはず。

 

「フッ、青いな! ピーマンやナスにはアルカロイドという毒素が含まれている! つまり、それらを嫌うのは生物として当然のこと!」

「な、なんだってー!?」

「え、確かにピーマンやナスに同種の毒素は含まれてるけど、それは微量で人体に害はないわよ? それに、油で溶けるから炒めると苦味を抑えられるの」

 

 と、デメテル。「そうだわ、今夜はピーマンの肉詰めにしましょう」と笑う。何故か少年も同伴した。

 

 

 

 

 

「もう好き嫌いしちゃ駄目よ〜?」

「だが断る!」

 

 少年はふはは、綴るぞ我が英雄日誌!と叫びながらオラリオの中に入っていった。

 

 

 

 剣姫アイズ・ヴァレンシュタイン。ロキ・ファミリアというオラリオ屈指の実力者が集まったダンジョン探索を主な活動としたファミリアの団員である彼女は、普段なら散歩気分で通過して中層か地上の通り道として使う上層を慌てて走っていた。

 遠征の帰り、ミノタウロスの大群に出くわすもミノタウロスが彼等に怯え逃げ出したからだ。ミノタウロスはレベル2のモンスター。上層のレベル1では歯が立たない。急がなければ、死者が出てしまう!

 

「先に神様の下についたからって兎をなめるな! 兎真拳『餅つき大会』!」

「ブブ!」

「ブフ、ブブブ!」

 

 そこには木でできたハンマーみたいな物を持った少年の兎たちが頭を抑えてうずくまるミノタウロスをゲシゲシ蹴りつけている姿があった。因みにウサギには発声器官が無いため空気が漏れるような音を出す。アルミラージは何故かキュウキュウ鳴く。鳴かないあの兎たちは、地上の兎なのだろうか? 二本足で立ってるけど。というか手に持ってる道具は使わないのだろうか?

 

「ブオ、ブモオオオオオ!!」

 

 ミノタウロスは灰に返った。魔石を抜いてないのに、何で?

 少年は魔石を拾うと懐にしまい、撤収〜、と手を叩く。兎達もフスフス鼻を鳴らす。可愛い、撫でたい。

 

「むっ!?」

 

 と、少年がはっと振り返る。アイズや兎も釣られてそちらに視線を向けるとゴブリンが居た。ダンジョンの中でも特に弱いモンスターだ。

 

「げっへっへ、ダンジョン最弱のモンスターがミノタウロスを倒す僕達の前に姿を表すなんてなあ」

「「「ぷぅぷぅぷすす」」」

 

 少年がにやぁ、とあくどい笑みを浮かべる。兎達も、多分笑う。

 

「やっちまえぇ!」

「「「ブブ、プフ!!」」」

 

 と、少年と兎達が木のハンマーを振り上げゴブリンに襲いかかる。

 

「ゴブリイイイン!」

「ぐは、つ、強い……」

「どういうことなの!?」

 

 一瞬もしない内に少年と兎達はゴブリン一匹にボロボロにされ、山積みにされその頂上でゴブリンが勝利の雄叫びを上げた。

 

「なんの、くらえ! 月見ウードン!」

 

 と、勝利の余韻に浸っているゴブリンに少年がすきをつき黄金色に輝く球体上のエネルギーを纏った拳を叩きつける。吹き飛ばされるゴブリンは、しかし素早く体制を立て直し壁に着地する。ゴブリンにあんな動きが出来るなんて、まさか強化種!?

 

「これで勝ったと思うなよ〜!」

 

 少年はそう吐き捨てると逃げていった。兎達は、いつの間にか消えている。因みにゴブリンは普通に雑魚だった。

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