英傑召喚師   作:蒼天伍号

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今更XV一気観したけど、ミラアルクちゃんやっべーくらい可愛いな…
特にムチムチモチモチしててたわわなところが。


だが可愛いモブを刺殺したことは許さねぇ。
俺が許すのはガリィちゃんとプレラーティだけだ。


記憶

先日の一件で図らずもレイランと共同戦線を張ることになってしまった。

 

が、アレで彼女も凄腕サマナーだ。俺のような中堅がついて行ける実力ではないので当面は後方支援をお願いされた。

具体的には、涅槃台に関する情報の共有、及び発見時の連絡・もしくは奴の捕獲である。

 

当たり前だがあんな化け物を捕獲できるはずもないので素直に彼女へ通報するつもりだ。

 

 

また、同日中に行われたレイラン他協会から派遣されたサマナーによる調査の結果、涅槃台はすでに夕凪市を離れていることが分かった。

大人しく夕凪神を諦めてくれたならいいが、去り際の捨て台詞からしてその可能性は低い。

おそらく、夕凪市に展開されたサマナーの数を見て一時的に行方を晦ませたに過ぎない。

いずれまた近いうちに襲撃してくるだろう。

 

 

 

 

 

「だから当面の間は外出禁止な」

 

「無体な……お主それでも人間か!」

 

抗議するオサキだが、議論の余地もないほどにどちらが正しいかは明白なので動じない。

 

「そもそも、仲魔が放浪癖拗らせてるなんか他では聞いたことないぞ」

 

「他所は他所、ウチはウチじゃ」

 

そんな母親みたいな……。

 

「とにかく、今は他の仲魔と行動を共にすること」

 

「むぅ……こうなれば致し方なし。お主には使いたくなかったが」

 

しずしずとこちらに近寄ってくるオサキ。

直後、むにゅんという感触が腕に押し付けられた。

 

「このムチムチ、スベスベなJKボディに誘惑されては……さすがのお主も頷かざるを得まい?」

 

妖艶な笑みを向けてくるオサキ。

俺は無言でチョップを見舞った。

 

「ったぁ!? お主、女子(おなご)に手を上げるとは何事か!!」

 

「黙れ淫乱ピンク頭おっぱいおばけ!! お前の正体が小生意気なクソガキなのはわかってんだよ! さっさといつもの姿に戻れ!!」

 

「なんじゃ……童の姿の方が好みじゃったか。仕方ないのぅ」

 

やれやれ、とため息を吐きつつボフンと白煙を撒き散らして変化を解くオサキ。

 

煙の中からはラン◯◯ルを背負ってそうな背丈の少女が現れる。

だが、ピンク頭はそのままに着物を羽織っているためにちぐはぐ感がひどい。コスプレかな?

 

「どうじゃ?」

 

「どストライクです、ありがとうございます!!!!」

 

無意識のうちに言葉が紡がれ、気づいたら床に額を擦りつけていた。

な、何を言ってるのか(ry

 

「……ハッ! まさかこれもお前の術か!? おのれ!」

 

「いや、ワシなんもしとらんし……普通にドン引きなんじゃが」

 

青ざめた顔で俺を見下ろすオサキ、その目は掃き溜めを見るようだ。

くっ……! 滾るぜ!

 

 

 

 

 

 

数十分ほど茶番を楽しんだ俺たちは、大人しく仕事に戻った。

と言っても、やることは以前までと変わらない。

オウザンに届く依頼を捌いて、悪魔退治が必要な時は赴きこれを討伐。討伐で得た余剰MAGを生体エナジー協会へ売りに行く、などなど。

 

というのも、涅槃台が狙っているのがオサキである以上、奴は必ず俺たちの前に現れるからだ。

これに際してレイランにはオサキの事情を伝えてある。彼女は國家機関の傘下にあるものの、独断専行が目立ち、その責任感から何事も『己だけで解決しようとする癖』がある。

それ故に、彼女には『オサキの事情は二人だけの秘密とする』旨の契約を結んでもらった。

 

彼女としては『使える駒』であればなんでも構わないというスタイルなので、この契約も素直に応じてくれた。

その代わり、涅槃台に関する指示には全面的に従うことになったが。

 

 

 

「本日も異常なし、と」

 

メールを捌き終わった俺は大きく伸びをする。これは性分なんだが、俺はデスクワークが苦手なのだ。

モニターに向かってカタカタとキーボードを打つよりは現場に出向いて直接悪魔を滅ぼした方が楽だと思う。

当然、俺は極力後衛に回るつもりだが、効率を考えて前に出るのもやぶさかでは無い。

ケースバイケースというやつだ。

 

 

作業がひと段落した俺の元に、童姿となったオサキが近寄ってきた。

ちなみにウシワカには家事をお願いしてある。最近はすっかり彼女に任せっきりだがイヌガミも付いているので問題はない……いや、偶に外から悪魔の断末魔っぽいのが聞こえてきたりするが多分、問題ない。

 

「のぅ主よ」

 

「だめだ」

 

「まだ何も言っとらんじゃろが!」

 

プンスカ怒るオサキだが、彼女が言いたいことは察しがつく。

 

「外に出たいとか言うんだろ? ダメダメ、依頼の時はCOMPに入れて連れてくけどそれ以外は家で大人しくしてなさい」

 

「こ、こんぷ?! おぉ……お主は鬼か何かか?」

 

生憎と人間だ。

……戦々恐々と震えるオサキの姿はなかなかに可愛i……面白い。

 

「イヌガミ、クダは見た目の問題でCOMPに入っていてもらった方が助かる。お前は、なんかフラフラしそうだからダメ」

 

「なんじゃと! じゃああのウシワカとかいう小娘はどうなんじゃ!」

 

「あいつは見た目人間だし、言うことも素直に聞いてくれるからセーフ」

 

「差別じゃ! 不公平じゃ!」

 

「ダメなものはダメなの。もしくは今すぐCOMPに入っておくか?」

 

「いやじゃ! いやじゃいやじゃいやじゃ!」

 

床に転がって暴れだすオサキ、側からみれば駄々を捏ねる子どもにしか見えない。……なんというか、精神が身体に引っ張られてないかお前?

 

溜め息一つ。こうなっては何を言っても聞かないのは知っている。

暴れるオサキはとりあえずスルーして俺は仕事に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間近く騒いでいたオサキだったが流石に疲れたのか、今はもう静かに床に転がっている。

 

俺も取引先との電話のやり取りを無事に終え、今月の帳簿をまとめていた。

……特にエーデルフェルトとの取引は気を遣うので静かにしておいてもらってよかった。

 

「のぅ、主よ」

 

力無い声でオサキが呟く。

返事をするのも面倒なのでとりあえずスルーする。

 

「……あのウシワカとかいう小娘のことなんじゃが」

 

ウシワカ、という単語に反応して俺も彼女に視線を向けた。

 

「ウシワカがどうかしたか?」

 

レイランが帰ったあとに軽く紹介は済ませていたはずだが。

その際も特に何事もなく、お互いに握手までしていたと記憶する。

 

「いや、上手く言えんのじゃが……普通の悪魔とは何か違う気がする」

 

オサキは『夕凪神』に仕えた神使。加えて『後代での役目』から最も夕凪神に近しく、神に比する力を持っていたりする。

だからこそ俺らでは気付けないことに気づいたりするが。

 

 

「あいつは英傑だからな」

 

神話・伝承を元にした人ならざる者、それが一般的な悪魔だ。中には元人間も含まれていたりするが悪魔として現れる彼らは総じて人ではなくなっている。

対して英傑は、ウシワカのデータを見る限りは“人の魂のままに霊格を上げている”。

広義で見れば『人の魂』にカテゴリされるのだ。

 

「そういうのではなくて……なんじゃろうな、どこか、ナニカが()()()()()気がするのじゃ」

 

「……確かに、常識とか独断専行とか少々目に余る部分は見てきたが全部結果オーライだ」

 

少なくとも、彼女の勝手な行動で不利益を被ったことは今のところない。

 

「違う違う……アレじゃ、()()()()()()()()()のじゃ」

 

「っ!」

 

魂が欠けている? それはもしかしなくても『25%の欠落情報』というやつのことか?

 

「……業魔殿で登録した時、奴の構成情報に『欠落』があると聞いた。その一部が『戦闘スキル』にも及んでいると」

 

「んー、そこら辺はどうか知らんが。欠けているのは奴の根幹じゃ、アレでは本来の力も発揮できんどころか、いずれ“崩壊”する」

 

「なっ!?」

 

さらっと重大な事実を述べるオサキ。

そういうのは先に言えと……。

 

俺は一旦モニターから離れて、床に転がるオサキの近くでしゃがみ込んだ。

 

「崩壊って、どういうことだ?」

 

寝返りを打ちながら面倒そうに彼女は応える。

どうでもいいけど、ここ土足OKだからめちゃくちゃ汚いと思うんだが……

 

「どうもなにも、不完全なモノが形を保てるはずもあるまい。今の奴は、後から魂を引き裂いたような状態。お主ら人間で言えば怪我をした状態なんじゃ。

そのままにしておけばいずれは死ぬ」

 

マジか。

メアリ氏が問題ないと言っていたのでそれをそのまま鵜呑みにしてしまっていたが。

 

「なに、今日明日に死ぬわけではない。何事もない日常を過ごしておれば問題はあるまいよ……だが、なにかの拍子に砕けてしまう可能性は高いぞ。特に、欠けている部分に関する物事に触れた時とかな」

 

欠けている部分……生憎と、俺の知識にあるのは一般に流通する『義経伝説』だけだ。

彼女自身の人生を知っているわけではない。本来の能力を知っているはずもない。

 

「そう悩むな、本人に直接聞けばいいじゃろう?」

 

「ううむ……聞いちゃうか? それ、本人に聞いていいのか?」

 

正直、俺はビビっている。

もし、俺が彼女と同じ状態になっていたらと考えると、絶対に不安だからだ。

そこを無神経に問い質すのは、酷な話だろう。

 

更に、オサキの話では欠けた部分に関する物事に触れれば最悪死んでしまう可能性もあるらしいし。

 

「ビビり過ぎじゃろ……まあ、何か起きたらワシが手を貸してやる。だから安心せい」

 

オサキの『神使』としての力があれば最悪の事態は防げるかもしれないが。確実な話ではない。

俺は基本的に『勝てる戦しかしない』。

先日の涅槃台との戦いはぶっちゃけ一番嫌な戦いだった。ああいう強制戦闘はこれっきりにしてもらいたい。

 

悩む俺を見てオサキは大きな溜め息をこぼした。

 

「腑抜けたなお主」

 

「大人になった、と褒めてくれ」

 

「戯けが、“でびるさまなー”などという職についていながら今更そんな臆病が通用するはずもない。どちらかと言えば退化しておるしな」

 

退化。

自分でも分かってはいるが面と向かって言われると心に来るものがある。

 

「何事も行動せねば始まらぬぞ? 当たって砕けろ、じゃ!」

 

砕けちゃダメだろ。

とはいえこのままにしておくことも出来なくなった。

オサキの言にも一理ある。

不安要素は早めに取り除いておきたい。

 

決心した俺は、庭の掃除をしているウシワカの元に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「欠落、ですか?」

 

庭では竹箒を片手に佇むウシワカの姿。今日の服装は色違いで複数所持しているダボTの一着だ。ちなみに色は緑。

下は安定のパンツである……いや、短パンではなく、下着のパンツだ。

そのことについて色々と言いたくなるがぐっと堪える。

色々、堪える。

 

「ああ、戦闘技能、その他なんでもいい。本来持っているべきものが無い、ということがあれば教えてくれ」

 

その問いにウシワカはしばし考え込んだ。

 

……これまで俺が見てきた限りでは特にそういった点は無かったと思う。戦闘時に不調を見せることもなく、普通に暮らしていた。

 

「……確証が、あるわけでは無いのですが」

 

やがて重苦しく口を開く。その様子から“心当たり”があるのは明白だった。

俺は黙って続きを促す。

 

「記憶が……抜けているのです」

 

その口から放たれた言葉は予想外のものだった。

それ故にこちらも少し反応が遅れる。

 

「記憶……?」

 

「はい、鞍馬寺に預けられ、天狗のもとで鍛えられたのはしっかりと覚えているのですが……それ以後、兄上と、弁慶や他の部下たちと駆けた戦場。その殆どが思い出せないのです」

 

少し困ったような顔で彼女は語った。

 

いや、もっと深刻そうな顔をしろよ……。

だって、思い出せない記憶というのはウシワカが『義経』として駆けた記録の殆どだからだ。

……だからこそ、『牛若丸』として現れたのか?

 

「一応、記録としては覚えています。その経緯、結果含めて。

……ただ、実感が無いのです。

“ただそうなった”ということしか、分からないのです

……どういうことなんでしょうね?」

 

うーん、と首を捻りながら呻くウシワカ。

 

記憶ではなく、記録。妙な言い方をすると思った。

それではまるで『機械』のような。

 

だがなんとなく、彼女が言いたいことは理解できた。

要は“自分が将来送る人生を詳細に書き綴った資料を見せられている”ような感覚なのだろう。

実感がない、という言葉からその『記録』の中での『感情』すらおぼえていないと見える。

 

 

単なる記憶喪失とは違う、特異に過ぎる症状に、俺もどう対処すべきか困った。

予想の斜め上をいく答えだ、さすがウシワカ。

 

「ですが、ご安心を! 戦で遅れを取ることはありませんから、ええ!」

 

私は天才ですからね、と付け加えた彼女はいつも通りのウシワカだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、ノコノコと帰ってきたわけか」

 

オサキは細めた目で俺を見つめる。

俺は部屋に戻って彼女にことのあらましを告げていた。

 

「いや、そうは言ってもだな……記憶じゃなく記録って、何をどう対処したらいいんだよ」

 

それにウシワカは特に気にしていないようだったし、そもそも『欠落部分』がわかっただけでもマシなのでは?

 

「まあ、そうじゃな。一応、自らの生涯を知ってはいるのだろう? それが『記録のみ』というのが不安じゃが、知っているだけまだマシとは言える。

“知っているのと知らぬのと”では『反動』も違うしの」

 

また意味深なことを言う……そういうところホント『神様』って感じがするから、あまり好きじゃない。

 

ただ、なんとなく言いたいことはわかる。

彼女とも長い付き合いだ、それに仲魔とは本来そういうものだろう。

 

「一先ずは様子見する。下手につついて悪化しては嫌だからな」

 

「ほう、“困る”ではなく。“嫌だ”と? ほほう」

 

なぜかオサキはニヤニヤしながら口元に手を当てて態とらしく応えた。

 

「なんだ、言いたいことがあるならハッキリ言え」

 

「べっつにぃ? ただ、『枯れ木』だったお主の雄にも精気が戻ったのかと思うと感慨深くてのぅ」

 

その見た目で精気とか言うな、なんかイケナイ感じがしちゃうだろうが。

 

……それに、俺は別に『恋』をしてるわけじゃない。

 

ーー俺が今後、『恋』やら『愛』やらに執心することは、一生涯無いのだから。

 

「単に、仲魔として大事に思っているだけだ。どっかの誰かさんと違って彼女は真面目で優秀だしな。

誰かさんと違って」

 

「な、なんじゃその目!? ワシだって散々手を貸してやっただろうが! 先日の『涅槃なんちゃら』とかいうケッタイな名前の輩と戦った時も、ワシがいなければお主は死んでおったろ!」

 

「あーはいはい、感謝してますよ。アリガトゴザマース」

 

「そのエセ外国人みたいな口調むかつくぅ……!

むっきーーー!!」

 

それからまたしばらくオサキと『仲良く喧嘩』して、今日という日はなんとなく過ぎ去っていった。

まあ、ウシワカが来てからというもの、だんだんと賑やかな日々になっているのは間違い無いが。

 

 

 

 

 

ウシワカを召喚してからしばらく、久しくなかった『刺激的な日々』が送れている俺。

オサキとは『五年前から』ずっと付き合いも“希薄”になっていたので、こうしてまた懐かしい『じゃれあい』が出来たのは素直に嬉しかった。

思えば、ここ最近はイヌガミともウシワカへの『家事教育』の件などで話し合う機会も増えたし、クダを呼び出す機会も何故か増えている。

 

久しぶりに『賑やか』な日常を、俺は無意識のうちに楽しく思っていたのだと気付いた。

 

 

……オサキの言う通り、五年前のあの日から『枯れて』しまった俺の心に一種の清涼剤としてウシワカはやって来た。

いや、彼女だけじゃないな。

イヌガミもクダもオサキも。なんだかんだと俺の仲魔を続けてくれている。そのことに改めて感謝を抱くべきなのだと思う。

『腑抜け』になった俺なんかに、まだ付き合ってくれているのだから。

彼・彼女らがいなければ、たとえウシワカがやって来たとしてもここまで“楽しい”日々は送れなかったと断言できる。

ともすれば、どっかのしょうもない依頼で無駄死にしていた可能性だって充分にあり得た、それくらい俺は『腑抜け』になっていたのだから。

 

だから、今のこの日々というのが、素直に幸福だ。

 

……なんだかんだ、誰だって“寂しいのは嫌だもんな”。

 

 




シェムハさん『マインドハック・ミュケーーナイ!!』してきそうな声しててマジ神様だったわ… 悪役としては小物だったけど。

ヴァネッサも『コレダーー!!』してくれて完全にトップをねらっちゃってましたね…私は最終回で絶対ヒビミクが一万二千年の離別を味わう羽目になると思ってました。

ハッピーエンドでよかったね!






……いや、すいません。薄緑関係で箱根調べてたら温泉妖精なる萌を見つけてしまって、、流れでXVにハマってしまって。。

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