エリセちゃん、女神転生しちゃう……?
佐助稲荷。
伊豆に
そして、皆知っての通り頼朝は配流された身から将軍の地位に昇り詰め鎌倉幕府を起こすまでに出世した。
このことから以前述べた御利益を期待された『出世稲荷』という別名を有するに至る。
見事に世を制した頼朝は、夢枕に立った稲荷の祠を探し出しそこに神社を建てた。
名称の由来については、右兵衛権佐であった頼朝を助けたことから『佐助』、或いはこの地に三人の介の屋敷があったことから『三介ガ谷』と呼ばれたものが変化したなどと言われているが、そこらへんはどうでもいい。
問題は、この白髪狐娘が『佐助稲荷』を名乗っていることにある。
「いくら否定しても事実は変わらないわ」
「いや、別に文句があるわけじゃないんだ。寧ろ、眼福だ」
レイランからの紹介を受けて、彼女が確かに稲荷であることは理解した。
だが、逸話の中で出てくる佐助稲荷は『老人』である。その先入観というかイメージが強すぎて、未だ目の前の美少女を同一神として見ることに違和感を覚えてしまう。
しかし、伝承と異なる性別だったなんてのは珍しいことじゃない。
ウシワカが良い例である。
それに伝説は伝説。証拠のある事象でない限りはそういう可能性というのもあって然るべきだろう。
……と、俺は自分を納得させた。
「……なに? ワタシが稲荷であることがそんなに気に食わない?」
そんな俺に件の狐娘が不機嫌そうに声をかけてきた。
「そんなことはない。いずれにしろ俺たちに協力してくれているのなら感謝の意を示すべきだろう」
レイランの説明によれば、彼女・佐助稲荷は『葛葉』とは以前から協力関係にあり、有事の際は支援をする契約を結んでいるらしい。
なので今回の涅槃台討伐において拠点として自らの『住処』を貸し出しているのだという。
「“銀子”の要請だからね、断るはずもないわ」
狐娘は好戦的な笑みで応える。
……なんだろう、この空間における勝気少女の割合がすごい気がする。
伊達に頼朝へ挙兵を促していない、ということか。
血の気が多い性格のようだ。
「ほかのメンバーは出払ってるから私の方で示し合わせておくわ」
つかつかと巨大社の中へと入っていくレイラン。
俺もその後に続く。
「では、お邪魔します」
一応、主人たる狐娘に軽く会釈する。
「うむ!」
元気に応える狐娘を横目に、俺は社内部に目を向けた。
霞んだ色の木材で形作られる内装は、さながら御殿のような有様だった。ただ、経年劣化による変色を果たした木材で統一された様子は有り体に『幽霊屋敷』。……に見えなくもない。
まあ、稲荷“神”の住処なのだから広義では間違っていない。
壁には蝋燭が掛けられているが、灯火から特徴的な魔力が感じ取れることからこれは『狐火』とわかる。
広々とした空間の奥には、豪奢な造りの祭壇らしきものが見受けられた。そこには
供物かな?
「気付いてると思うけど、ここの結界は強力よ。なにせ、祠時代の結界に加えて『頼朝公』の手配した千年モノの結界があるからね」
レイランが説明してくれた。
ごめん、正直言うとさっきの狐娘の衝撃が強すぎて全然気付かなかったわ。
……なんて考えていると、再びCOMPから『念話』による抗議が飛んできたが華麗にスルー。
だって、下手に外に出すと脱走しかねないからな。
と。
「あ、兄上が!?」
突然、ウシワカが身を乗り出しながら食い付いてきた。
レイランがいたからか、これまでずっとダンマリだったのでビクッと驚いてしまった。
「ええ! 千年近く前にあの人間が連れてきた『術師』が作った特製よ! “ワタシのおじいちゃん”も絶賛してるわ!」
話を聞くに、凄いのはその術師だろうに、なぜか狐娘の方が自慢げに語っている。
「い、稲荷どの? もしや兄上と面識が?」
「あるわよ? だって、その時対応したのはワタシのおじいちゃん。つまりは先代だからね!」
むふーん、と誇らしげに語る狐娘。
……だが、なんとなく違和感の正体がわかってきた。
「……ちなみに、いつ頃代替わりしたんだ?」
「ここの『稲荷』のこと? 先月よ」
先月。
つまり稲荷神になってから一月の新“神”さんということか。
あっけらかんとする狐娘と対照的に、レイランは少し不安そうな表情を浮かべていた。
「私たちがここに協力を求めた時に、ちょうど『継承』を終えたところだったのよ……まったく、嬉しくない偶然ね」
「なによ、レイラン。あんたもワタシが稲荷じゃ不満なの?」
すかさず食ってかかる狐娘だが、そいつに喧嘩売るのはやめといた方がいいと思う……。
などと心配してみたが、意外なことにレイランの方が引き下がる。
「……言い方が悪かったわ、単に先代が相手ならスムーズに交渉が進んだと思っただけよ」
さすがに社を借りてる身ゆえに遠慮したのか。いや、レイランにしては我慢した方だし偉いと思うぞ。
「成長してるんだな」
初めてレイさんのもとで会った時は、チンチクリンの童女だったのに。
「あ?」
しかし、素直な感想を口に出せばもの凄い殺気を込めた眼光が飛んでくる。これは人を殺せる視線。
その後、レイランと討伐作戦の詳細について話し合った。
まず、目撃情報があったエリアを俺たちだけで哨戒、涅槃台を誘き出す。奴を釣り上げられたなら、即座にレイラン他捜索に出払っているサマナーたちへと連絡、総攻撃で撃破するというのが大まかな流れ。
……ということは、援軍が来るまでは俺と、仲魔たちだけで奴を足止めしなければならないわけで。
正直な話、成功する気がしない。
前回撃退できたのは、奴が油断していたからであって、本気のアイツとやり合って時間稼ぎなんて、とてもではないが不可能だと思う。
俺の『ヒートライザ』だって、そう何度も連発できるものじゃないし、なにより奴もこちらへの対策を用意しているはずである。
唯一、奴と拮抗できそうなのはウシワカだけだが。それも俺の強化魔法込みでの打算でしかない。
そもそも、奴の異常な魔力・霊力をどうにかしない限りは“パワー負け”は必至。アレと正面からやり合えるのは神族くらいだ。
「……とはいえ、ここで奴を仕留められるなら仕留めておきたい」
「私もそう思うわ。……奴がいくら隠密に長けていようと、協会きってのサマナーたちが探して見つけられなかった事実は大きいわ。
当然、そこには何らかの『カラクリ』があるんでしょうけど。
それを探ぐるにしても、一度、奴と戦ってみないことには分からないことだらけよ」
百聞は一見にしかず。
いや、そもそもの『情報』からして不足している現状ではやはりここでもう一度直接相対しなければならないか。
心底、心底嫌だが、仕方ない。
俺は腹を決めて作戦の承諾を告げた。
そうと決まれば善は急げ、もたもたしていて奴に逃げられたらシャレにならない。まあ、これがあからさまな罠である以上、奴の方から逃げるとは思えないが。
とりあえず、出る前に準備できる『魔術』に関しては『術式』だけ組んで、魔術媒体として数枚持ち込んでいた『お札』に詰め込んでおく。
いつものCOMPがない以上はこうして何らかの形で魔術のストックを用意しておかないと大変だ。
今使っているスマホが容量の関係で登録魔法に制限があることから、登録は十分に吟味して行っている。
が、戦いとは常に何が起こるか分からない怖いところだ。想定しうる戦況に応じて使える魔術はいくら用意しても足りない。
こういう用意をしておかないと、この前の涅槃台の時みたいなピンチに陥ってしまうから。
レイランから得た情報から、起きる可能性の高い戦況を想定した魔術をピックアップして準備しておいた。
それ以外にも家から準備しておいたモノが数枚ある。
準備は万端だ。
ちなみに、俺がレイランと真剣に作戦会議をしている間。ウシワカは狐娘と『頼朝公』の話題を通じて大盛り上がりしていた。
……まあ、緊張されても困るし、せっかくの鎌倉で観光させてやれない埋め合わせとしては良かったと思う。
ウシワカに限って、緊張するなんてことないだろうが。
「それでは“サスケ殿”、次お会いする時はもっと兄上の話を聞かせてください!」
「もちろんよ! おじいちゃんの親友のお話なら一晩だって語り尽くせるわ!」
大きく手を振るウシワカに、狐娘改め『二代目サスケ』が同じくらい大きく手を振り返す。
……というか、サスケちゃんも相当な『頼朝ガチ勢』っぽいな。
どうりでうちのウシワカとあれだけ盛り上がれるわけだ。
サスケちゃんから教わったルートを通って、異界から現実世界へと帰還する。
佐助稲荷の異界は、どうやら『隠里稲荷』とも繋がっているらしく。帰還した場所は『隠里稲荷』の鳥居前だった。
線路沿いの細道、向こう側には現代建築の住宅建ち並び静かな雰囲気の中にある。
とりあえずスマホで現在地及び周辺の地図を確認する。
「目撃情報があったのは『
「ああ、それなら知っています。……ですが、こうまで様変わりしていると何処がどこやら」
まあ、千年近く経ってるしそうなるな。
「幸い、ここからすぐのエリアだ。歩いていくぞ」
「はい!」
静かな住宅街を、ウシワカと二人で歩く。
観光名所が続くエリアと対照的に、住宅地は静寂に包まれている。
もし、ここで戦闘になれば一般人に目撃されるどころの話ではない。
なので、俺も一応『結界』を張る『お札』を数枚用意している。また、この結界は単純に身を守る術としても使えるので結構便利だ。
まあ、涅槃台とて下手に世間の注目を集めて“天使に目をつけられる”のは避けるだろうと思う。
これはダークサマナーに限らず、すべての『神秘に触れる者たち』に共通する暗黙の了解。即ち、“一般社会に神秘を漏洩しない”という基本原則。
『現世界の秩序の番人』を僭称する奴ら『天使』は、神たる主が創ったこの世界の秩序を乱す者を決して許さない。
特に、神が『悪魔』として貶めた古き神々の復権に関わる事柄には殊更敏感だ。つまり、今の世界を『神代』に戻そうとする輩には総力を上げて徹底排除に乗り出す。
神秘の漏洩とは、それほどまでに重大なタブーなのである。
と、歩きながら考えていた時だった。
ゾクリ、と一瞬にして背筋を駆け抜けた悪寒。
続けて暴力的なまでの『魔力』が肌に叩きつけられた。
ある一方向から断続的に、禍々しいまでの濃密な『悪意』が魔力となって押し寄せてくる。
「主殿!!」
すかさず『変身』して抜刀するウシワカ。
「ああ、どうやら現れたようだ。が……」
どうにも、こちらに向けて放たれたモノではないように思える。
なんというか、無差別的に全方位へと放射するような魔力の流れ。
「……どうも嫌な予感がする、ウシワカ急ぐぞ」
「承知!」
『スクカジャ』で強化したスピードで、一気に魔力の出所まで駆ける。その背を俊敏に長けたウシワカが遅れることなく付いてきた。
……しかし、今も感じる魔力からは妙に“嫌な感じ”が伝わってくる。なにやら“曰く付き”らしい。
念のために移動しながら『ラクカジャ』『タルカジャ』、おまけに『テトラジャ』も掛けておく。もちろん俺とウシワカの両方にだ。
ちょうどバフを掛け終わったところで、目的の場所に到達した。
そこは鎌倉の中でも比較的マイナーな場所でありながら、源氏にとって確かな縁のある史跡。
住宅街の只中にポツンと立つ『地蔵堂』だ。
普段なら特に賑わうこともない静かな場所、だが、今は『呪い』にも似た禍々しい魔力が辺りを覆い、その中心に二人の人影があった。
一人は、こちらのお目当てでもある『涅槃台』。
もう一人は、上質な着物を纏った矮躯の少女だ。
ーーしかし、一目で気付く。
あの少女こそが、この悪意に満ちた魔力の根源であることに。
「っ、うかつに出るなウシワカ!」
早速突撃しようとしたウシワカを慌てて制する。
上手く言えないが、あの少女は『危険』だ、無闇矢鱈に“触れるべきではない”。
と、そんな俺の焦燥を他所に。逆に少女の方からウシワカに声がかけられた。
「あ、ら? 貴女、もしかして……義経様じゃありませんか?」
「?」
何かを思い出したような顔をする少女に対し、ウシワカはキョトンとした顔をしている。
「知り合いか?」
「いえ……生憎と記憶にはありません」
ということは少女の方が一方的に顔を知っていると。
だが、次の会話でウシワカが放った言葉ですぐに彼女の正体に辿り着いた。
「ああ、この姿では分かりませんよね。貴女が“死んだ”のは私がまだ幼い頃ーー」
「っ!!!! もしや、“大姫様”か!?」
ハッとしたウシワカが珍しく驚愕の表情を浮かべて声を出した。大姫と呼ばれた少女は、その様を愉しそうな笑みで眺める。
「大姫だと……?」
ウシワカの関係者で、大姫というと……いや、それ以前に。“この地蔵堂の近くにいる”という時点で正体ははっきりしている。
とはいえ、果たして彼女は『怨霊』なのか、はたまた別の『悪魔』なのか。今の彼女の『状態』は気になるところだが。
頼朝公と北条政子の長女、『大姫』。
その生誕は、頼朝公がまだ配流されていた時期にまで遡り、彼の激動の人生の殆どを共にしてきた愛娘。
生来より病弱な身体であったものの、両親の愛を受け幸せな幼少期を過ごしたことだろう。
だが、彼女の逸話で最も有名なのは、その悲惨なまでの『悲恋』。
彼女が六歳かそこらの時分、当時頼朝公と対立していた源義仲との和解の証として義仲の息子が人質として送られてきた。
表向きは、その息子と大姫を『許婚』とし、その顔合わせや交流を目的としていたが、当時の両源氏の関係を知っている者たちにとってはそれが名目上でしかないことなど明白だ。
ところが、この二人、未だ幼いこともあってかすぐに仲良くなり周囲が微笑ましく感じるほど良好な関係を築いた。
ーーだが、『悲恋』である以上はこの二人の仲も長くは続かなかった。
「ああ、思い出してくれましたか? ええ、ええ! そうですとも。
貴女が『義仲公を討った所為で』、愛しきあの御方と引き裂かれることとなった、大姫でございますとも」
少女は、にんまりと笑った。
親しみを与える笑みではない、怒りと愉悦と絶望に塗れた悍しい狂気の滲む笑みだ。
その瞳が『悪意に満ち』、全身からは怨念が溢れ出ている。
どう見ても『普通ではない』。
となれば、理由は明白だ。
「なにをした、涅槃台?」
この場でもっとも怪しい存在である奴へと問いを投げる。素直に吐くとも思えないが、いずれにしろこちらからアクションを起こさねば。
どうにも、大姫から溢れる『悪意』は『呪い』の類らしく、ジッとしているとじわじわとこちらの気力を削り取ってくるのだ。
「しれたこと。私は殿下がもっとも望まれる『形』を用意しただけですよ。ねぇ、姫殿下?」
「そうね、この方は私に“好きにしていい”と仰ってくれたわ。
その言葉を、私がどれだけ欲していたことか。
……義経様、貴女なら、分かるでしょう? 分かっておいででしょう? その上で、私の願いを“踏みにじった”のだから!」
段々と語気を強める彼女だが、その顔は常に笑顔だった。
怨念を『呪い』として体現するような悍しい笑み。
……と、いつまでも気圧されている訳にもいかない。
俺はすぐにポケットの中でスマホを操作してレイランにメッセージを送った。
即座に連絡できるように用意しておいたメールの下書き、それを送信したのだ。
あとは、どうにかこの二名を抑えて援軍を待つのみ。
そこが一番の難所だがーー
「分かりませぬ」
ーーふと、耳に届いたのは清々しいまでに『空気の読めない』一言だった。
これには、先ほどからネチネチとウシワカに語り掛けていた大姫を始め、俺や涅槃台すらも目を見開き驚いた。
だって、その一言は、微塵も大姫の気持ちを考慮していなかったのだから。
「今の我が主人は“この御方”です。敵対しようとするならば、考えるまでもなく貴女は私の敵だ」
恥ずかしげもなく宣言するウシワカだが、さすがにそれはズレているどころの話ではない。俺もちょっと引いた。と、同時にやはり嬉しくも思ってしまう。
一方、迷いなく真っ直ぐに告げられた言葉に大姫は、一瞬の停止のあと烈火の如き怒りを見せた。
「あは、あははははははは!!!!
さすがは義経様! いえ、今は牛若丸殿でしたね!
その厚顔無恥、慇懃無礼。貴女らしくてとても……ええ、とても。
憎たらしい!!」
直後、彼女の背後からまるでオーラのように立ち昇っていた『黒い霧』が指向性を持って放たれた。狙いは当然、ウシワカ。
「主殿、ここはウシワカにお任せを! 主殿は『奴』を!」
得意のスピードで難なく霧を躱したウシワカは、霧の追尾を避けるべく動き回りながら告げた。
しかし、その提案はあまりに無茶だった。
「は!? 俺だけで戦える訳ないだろ!?」
「いいえ、貴方ならできるはずです! 主殿に召喚されてしばらく、共に戦って参りましたが。貴方は本当はもっとお強い」
全般の信頼を置いた目で、ウシワカは一瞬だけ俺を見た。
……だが、その目は俺にとってなによりも『痛い』ものだ。
「俺には……無理だ」
ダメなんだ。俺には絶対にできないことだ。
自分より強い相手とか、勝てるわけない。
……だから、その
『阿呆! 目の前じゃ!』
鬱屈とした感情に苛まれる俺の脳内に、オサキの念話が響いた。
咄嗟に正面の視界へ意識を戻すと、眼前に刃の付けられた“大きく長い手”が迫っていた。勢いのついたラリアット。
俺は慌てて上体を後ろに傾けることで紙一重、躱すことに成功。すぐに後退して距離を取った。
改めて視線を向ければ、そこには“異常に手の長い人型”と“異常に足の長い人型”が立っていた。いや、手の長い方は両手を地につけて立っている。
「手長足長……」
思い当たる妖怪の名前を呟いたところで、彼らの背後にもう二体の悪魔が存在することに気付く。
一方は“巨大な骸骨”、もう一方は“青白い煙状の首なし馬に乗った毛むくじゃらの人型”。
両方ともに特徴の一致する“妖怪”を知っている。
「ガシャドクロに『
ヤケクソ気味に声を出しながらホルスターの銃を引き抜き構える。
装填された弾丸は対魔加工の通常弾だが、そこらの悪魔なら問題なく消滅せしめる力を有す。
ただ、あの涅槃台の仲魔である以上は当然、『普通の悪魔』ではないらしく。手長が軽く片手をスイングすることで弾丸は打ち落とされた。
そこまでは分かり切ったこと。
奴らが銃撃に対処する僅かな隙をついて俺は仲魔を召喚した。
いつもの魔法陣から三体の仲魔が召喚される。
「おいおい、“一匹”足りておらんぞ」
召喚早々にオサキが嫌そうな顔で告げる。
確かに数的有利はあちらにあり、こちらの仲魔の大半は『後衛要員』だ。
ウシワカがいればまた違ったが、今は『大姫と思しき悪魔』との戦闘で手一杯の様子。
ここは、俺が前に出るしかない。
「手長足長は俺が引き受けた。残りの二体はお前らでなんとかしろ」
「随分な指示じゃな。……じゃが、なんとかやってみよう」
「引キ受ケタ」
オサキ、イヌガミの返答を受け俺は抜刀する。
そして“タルカジャ”“ラクカジャ”“スクカジャ”を重ね掛け、攻撃体制に入った手長足長を目視し、即座に駆けた。
超人ドーマンの話まだかなぁ。