英傑召喚師   作:蒼天伍号

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休みのうちに書けるだけ書きます。

というわけで間髪入れず新章です。


あと、誤字修正いつもありがとうございます!
大変申し訳ない!!






忍者と必殺の霊的国防兵器 〜諏訪龍神縁起〜
英傑召喚式 Part.2


ーーわたしにはソレしか無かった。

 

 

早くに■を亡くし、『血筋』のみが残った私に選択肢は無かった。……そもそも、■■■■■■■■の血を継ぐ時点でーー

 

いや、或いはあの日、あの山でーー

 

 

 

ーー故にこそ、■■■に仕えた。

 

■■■から直々に授かった■■■を目にしてから覚悟は決まっていた。……決めるしか無かった。なにせ私は■■■■家の血を引く女なのだから。家のことを考えれば、否、考えるまでもない。

 

それからは、私に課せられた■■■■の任に粛々と従事し。■■らを率いて■■■■をこなし、時には私自ら赴くこともあった。

 

『血筋』ゆえに■■の習得に苦労は無かった。いや、人並みの努力はしてきたつもりだが、『習得できる数』においては並以上ではあった。加えて『血筋』にまつわる『異能』も含めれば■■としては十分な働きを約束できる。

 

ひたすらに、任務をこなした。

私にはそれしか無かったから。

 

ーーそうして幾星霜。

 

私は呆気なく終わった。

あまり、明確な最期は思い出せない。

どこかの『合戦』で討死したようにも思えるし、いつかの任務でしくじったようにも思える。

 

ただ、私という命が終わったのは確かだった。

 

幸い、というか■■たる私には『息子』と呼べる存在がおり、『彼』を後継者として家は存続した……と思う。或いはーー

 

 

終わってみて思うのは、

 

「まあ、こんなものか」

 

という感想だけだった。

 

別に不満はない。■■たる私の働きは歴史に残らず、史料にもならず。『仕事柄』家にさえ詳しい記述は残っていないだろう。そのような伝統を守ってきたし、後に続く者たちもそのようにするだろう。

つまり、■■■亡き後はその功績を知るものすらいない。

 

「だが、それこそ■■の本懐」

 

語られること無かれ。

 

我ら■■は、かくあるべし。

 

 

 

ーーああ。

 

だからこそーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「召喚を、しようと思う」

 

とある昼下がり。

遅めの昼食を終えた俺は、リビングに集まる面々を前にして宣言した。

 

「……はぁ……?」

 

昼食の後片付けをする手を止め、首を傾げる裸エプロンウシワカ。

 

「ふーん……」

 

ソファに寝転がりファッション雑誌を読みながら応えるオサキ。実に興味無さげな声だ。

 

「手ガ止マッテイルゾ……」

 

膝の上で不機嫌そうな声を上げるイヌガミ。

 

三者三様、皆一様にして「どうでもよさそう」だった。

 

 

 

 

 

 

 

「……いやもっとちゃんと話聞いて!?」

 

仮にもサマナーである、彼女らと契約するサマナーである。

それをこうも無碍に扱うなど……話くらい聞いてよ。

 

悲しみの表情を浮かべた俺に、オサキは特大の溜息を漏らしながら面倒そうに声をかけてきた。

 

「……あー、で? 何を召喚するんじゃ?」

 

ごろん、と寝返りしてうつ伏せの状態でソファの肘置きに顎を乗せるオサキ。

すごい面倒くさそうな態度だけど、聞いてくれるだけ優しいと思う。

 

イヌガミは論外として、ウシワカなんか何事も無かったように食器洗い続けてるからね。

 

「そりゃあ、“一月”も家ほったらかして遊び歩いておったんじゃから。そんな態度も取りたくなろうよ」

 

遊んでねぇよ!

ちゃんと仕事に関係ある“調べもの”してただけだよ!!

人聞き悪いこと言うな!

 

 

……まあ、たしかに。仲魔たちを置いて行ったのは悪かったとは思うが。“もう一つの調べもの”の関係で彼女らを連れて行くのは憚られた。

 

……いや、とりあえず“そっちの件”はどうでもいい。

 

俺は、ここ最近続いている仲魔たちからの“不当な扱い”に打ちひしがれる精神を落ち着かせようと深呼吸した。

 

ふぅ……先ずは、今日に至るまでの経緯を改めて整理しておこう。

 

 

 

 

 

廃寺での戦いの後。

 

イヌガミから“我が家の惨状”を思い出させられたことで戦勝ムードは一気に萎えた。

あの惨状のままで生活を続けるのは困難だ。とはいえ一朝一夕で直せる規模の損害でもない。そもそも、『魔術的機構』が施された我が家の敷地で一般業者に作業などさせれば一夜で皆殺しにしてしまうだろう。

 

なので。

 

『協会』に連絡、そのツテを利用して『悪魔の経営する建築業者』に依頼することにした。

土木作業が得意な獣人や地霊、妖精などの集まったこの会社は、流石は神秘の塊と言うべきか。恐ろしく速い作業スピードと完成度、技術を有した非常に優秀な悪魔たちであった。

加えて、社員の中には魔術に精通する者も多少ながら在籍している。彼らに任せれば良い仕事をしてくれるだろう。

 

……ただ、悪魔ゆえにやはり少々“気難しい”ところがあり、交渉から始めなければならないのが難点だが。

 

激戦の疲れで消耗した状態ではあったが背に腹は代えられぬ。

大人しく電話で『悪魔交渉』に入ることにした。

 

 

ーーそうして数時間ほどの交渉の末ようやく依頼を受けてもらうことに成功。もはや疲労困憊で一歩も動けなかった俺は、仲魔たちに担がれて業魔殿に直行。

その日は業魔殿に宿泊することになった。

 

ただ、いくら悪魔とはいえ吹き飛んだ一階部分だけを直すというのは一日では済まない。加えて、敷地内の魔術式を把握する俺が立ち会いのもとで慎重に作業を進めねばならなかったので、次の日からも俺が休める時間は無かった。

だがまあ、やはり少々気難しくても悪魔。修復自体は一週間ほどで終わった。作業終わりに見た我が家は以前と寸分変わらぬ姿。安くないマッカとMAGを取られたがそれに見合う仕事をしてくれた。

 

 

とはいえ、やはり出費は大きい。

 

修復費用の他にも、作業期間中宿泊していた業魔殿の宿泊代も含めれば……まあ、顔が引きつるくらいの額にはなった。

口座や、金庫にそれなりの金額を貯め込んでいるし、貯蔵MAGも膨大なものの。

世の中、何があるか分からないために無駄な出費は極力避けてきた。俺は守銭奴なのだ。

 

そんなところに、この出費は痛手。更には寺の戦いからずっと動いていたために疲労もピークに達していた。

 

 

なので、少し“旅行”……もとい、療養に出かけることにした。

 

家の修復や、『レイランとの涅槃台に関する話し合い』などを済ませてようやく落ち着いた頃合いだった。

ついでに『ガントレット』も戻ってきた。

 

以前の京都旅行以来となる明確な休みを得たことで、前々から考えていた“調査”を敢行することにしたのだ。

 

 

即ち『英傑召喚式の調査』である。

行先は当然、『冬木市』。

『リン』から貰った資料を基にすれば独自調査も可能なくらいには情報はある。

 

……ただ、『もう一つの目的』があったために仲魔たちを連れて行くのは躊躇された。

そのため、早朝に支度を済ませて書き置きだけ残してこっそりと旅立った。

 

これがマズかったのだろう。

帰ってきた時には皆一様に冷たい反応をされてしまった。それから今日まで半月。塩対応のままに日々を過ごしている。

 

 

 

……代償は大きかったが、調査の結果はそれなりにあった。

 

『旧間桐家』を捜索して幾つかの『資料』を入手。

これと元々所持していた情報を合わせれば、“より高精度な召喚式の構築”が可能となったのだ。

他にも“変な虫の死骸”みたいなのも見つけたが、COMPでサーチしても特に面白い情報も出なかったので放置してきた。

……というか『旧間桐家』は()()()()()()、ロクな資料が残っていない。加えて、土地が悪いのか『何かやらかした』のか、敷地内には『悪霊』の類が群生しておりゆっくりと調べられる状況ではなかった。COMPの『マップ』には他にも『妖魔』や『妖鬼』『邪鬼』の反応も出ており、さすがに『仲魔一体』という状況では危険と判断。

先に語った資料を手にして帰還したというわけだ。

 

それでも、『山』や『森』、『センタービル』に『双子館』。『公園』を周ったおかげで他にも『有力な情報』を入手することができた。

 

とはいえ。

センタービルでは『悪魔堕ち』した連中とドンパチし、双子館に残された『トラップ』で死に掛け、『森の奥』では()()()()の息が掛かったアーバンテラー他悪魔人間たちに追っかけられた。

 

そして……()()()()()()()()()()()()()()では悪霊の群れに襲撃を受けた。あの倒しても倒しても増援がやってくる絶望感はもう味わいたくない。

 

 

 

 

 

 

……とまあ、ここ一月ほど色々やったおかげで『新たな英傑召喚式』の開発も完了していた。無論のこと、術式構築にはあの『リン』の手も借りている。素で天才なあの娘、古今東西あらゆる術式を『コンピューター』に落とし込んで片手間で召喚式を編んでしまうのだ。

 

ぶっちゃけ、術式の準備まで殆ど彼女にお任せしていた。

 

 

「……で、今日はいよいよ召喚式を試してみようと思った」

 

ウシワカの時は初召喚ということもあり、色々と不備も目立ったが。そのデータと、冬木で見つけてきたデータをリンに送ってやればより完成度の高い術式が返ってくるのは分かっていた。

 

英傑、というカテゴリにはウシワカのおかげで色々と分かってきたこともある。そういう『未知』を探求する心というのは幾つになっても変わらないものだ。

リンちゃんだってああ見えて研究熱心だしね。

 

 

さて、と俺はイヌガミを床に下ろして椅子から立ち上がる。向かう先は以前にウシワカを召喚した奥部屋。

召喚陣はすでに大半は書き込んである。後は仕上げの書き込みをして俺のMAGを注ぐだけだ。

 

今回の新召喚式の構築にあたってはリンから『改良された呼符』も賜っている。この呼符は、元々彼女が入手していた呼符のデータを解析。俺が冬木から持ち帰ったデータを基にして彼女が自作した品だ。

出処不明な前の呼符より、彼女が作ったという点で大いに信頼がおける。

 

 

そんなこんな考えながら歩きだした俺の前に、食器洗いを終えたウシワカが立ちはだかった。……裸エプロンだけに。

いろんな意味で寒いな。

 

「……えーと、どうしたウシワカ?」

 

「主殿は……英傑召喚をなさるおつもりなのですよね?」

 

まあ、そうだが……

 

「私という者がありながら!!

……新しい英傑を呼ぼうというのですか?

 

私という者がありながら!!!!」

 

一部分だけを強調して訴えるウシワカ。

 

「べ、別に呼んだからウシワカをどうこうするつもりはないが……」

 

「いいえ! 主殿はこう見えて“俗物”です!

そんな俗物が“おにゅーの悪魔”なんか手に入れたら絶対夢中になるに決まってます! それは許せません!」

 

ぞ、俗物とか言うな! ……ただまあ、『新しい英傑』を見たら興味津々になってしまう可能性はなきにしもあらずだが。

 

「そんなことになったら、私に構ってくれなくなるじゃないですか!!」

 

やっぱりそういう理由かっ!

そもそもウシワカが突っかかってくる理由を考えてすぐに思い至った。つまり、『目移り』を気にしているということ。

……いや、恋人でもないんだから目移りという表現はよろしくないな。要するに今ウシワカが自分で言ったことが理由だ。

 

そこについては、ちょっと否定しきれないので反論は難しい。

 

「わ、わかった! ならこうしよう!

召喚にはお前も立ち会ってもらう。で、俺が夢中にならないように見張る……これでどうだ!?」

 

我ながら幼稚な作戦だが、もはや立ち会ってもらう以外に妥協出来そうな点が見当たらないのも事実。

 

数秒ほど難しい顔で悩んだウシワカだったが…

 

「……いいでしょう、このウシワカ、主殿の『不貞』を防ぐべくお供致します!」

 

不貞っていうな、不貞って。

 

まあ、とりあえず納得してくれたようなので一安心。

 

俺はウシワカを連れて、改めて奥部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「英霊ってのは『クラス』で分けられているらしいな」

 

道すがら傍のウシワカに語りかける。

 

「はい、伝説や逸話、その者の生前の所業によって適性が測られ、該当クラスに由来する能力()()を有して召喚されるのが基本……と()()()()()()()にはあります」

 

そう、英霊……()()()()()()と通称される存在はそのような『特殊な境遇』にある。

 

未だ全てを解明したわけではないが、『マキリ』の資料によると。この辺は『本体なんか呼んだって扱い切れるわけない』という魔術師の考えからそのようなシステムになったらしい。

魔術師だって神秘に通じている以上は()()()()()()()()()()()()()()()

……ただし、『霊的研鑽』が不足していた場合、召喚された悪魔が“反逆”する可能性が出てくる。

総じて完璧主義の多い魔術師たちはそこを嫌ったのだろう。

 

故に、“確実に”契約で縛ることができる『英霊』という特殊存在を使役したのだと思う。

 

また、マキリが開発した『令呪』と呼ばれる強力()()()システムも大いに貢献している。

リンと共にこの『令呪』とやらを調べたところ。

()()()()()()()()()()()であることが判明した。

また、神族であっても信仰を失って力の落ちた者ならば有効になる可能性まであるというから恐ろしい。

一体どうやってそんな術式を……いや、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

まだまだ、調べるべきところは多そうだ。

そもそも、()()()()()()()()()()()のだし。

 

 

 

 

 

そんな考察をしながらも奥部屋にたどり着いた俺たち。

何やら傍からプレッシャーのようなものを感じるが……ここまで準備してもらったリンにも申し訳がたたないので悪いが召喚はさせてもらう。

 

そんな決意を込めて扉を開き、魔法陣の仕上げに入った。

と言っても数節書き加えるだけなので一分もかからない。そもそも、事故防止のために敢えて残していた部分なので長文を残すはずもない。

 

「……」

 

ふと、ウシワカを見れば。

まるで獰猛な獣のような眼光で俺をジッと見つめていらっしゃった。

 

「こ、怖っ……」

 

下手をすれば噛み付いてきそうな勢いを感じる……。

 

「……どうされたのですか? 早く召喚なさってください」

 

そんな眼光のままに口元に笑みを浮かべ催促する。目が、目が笑ってないよ!!

 

俺は戦々恐々としながらもなんとか準備を終えて、中央へと呼符を設置した。

 

 

 

 

 

魔法陣の前まで来て、いざMAGを注ごうとする。

……この瞬間、不謹慎だがかなりドキドキするんだよな。一時期ハマっていたガチャを思い出す。

 

例によって『触媒』はない。これはリンからのお願いで、データを集めるためにもランダム召喚が一番助かるらしい。

よく分からんがあの天才が言うのだからそうなのだろう。

 

「よし、じゃあ召喚するぞ」

 

これまでずっとプレッシャーを放っているウシワカ殿に一応、報告しつつMAGを注ぐ。

……プレッシャーのせいでワクワクとドキドキが共存して変な気分だ。率直に吐きそう。

 

そんなよろしくない精神状態のままに召喚は始まった。

 

 

 

魔法陣が輝いて、中央の呼符が溶ける。ここまではウシワカと同じだ。それから、魔力風が吹き抜け、光の粒子が寄り集まって人型を成す。

 

流石に二度目ともなれば慣れたものだ。

俺は魔法陣の輝きが収まるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて、光が収まり陣の中央に現れた人影は割りかし小さかった。

意外に長身なウシワカよりは確実に小さい。

 

目を凝らしてしばらく、魔力風によって起こった煙が晴れていき人影の正体を正確に視界に捉える。

 

「……ん?」

 

しかし、その姿はひと目見て()()()()()()()()と感じるものだった。分かりやすく言うと()()()()()()()()()()()()()

 

『裸体』に巻き付いた()()()()()()()

ただそれだけ。

それだけを纏った矮躯の少女が、そこにはいた。

 

なんとも言えないデジャヴに言葉を失う俺へと、少女は静かな声で語りかけてきた。

 

 

 

 

 

 

「甲賀上忍、英傑・望月千代女(モチヅキチヨメ)

 

馳せ参じました。

 

 

新たなお館様に忠誠を。

 

どうか拙者に主命をお与えください」

 

膝をつき恭しくこうべを垂れる少女。

ただし、ほぼほぼ『全裸』。

 

ウシワカとか目じゃない、だって身に纏っているのが帯だけなんだもの。いつか水上ステージで踊り出しそうな凄まじく先鋭的なファッションである。……いやおかしいだろ!

 

 

なぜこうなるのか?

どうして俺が呼ぶ奴はこういう格好をーー

 

ーーでもちょっと興味ある。

 

ーーいやいや、破廉恥な衣装は戦いの場に相応しくないでしょ!?

 

様々な感情が入り乱れた俺は思わず心の中で叫んだ。

 

 

 

痴女だコレーーー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Main case.

『忍者と必殺の■■■■■■ 〜■■■■縁起〜』

 

 

 

 




やっぱり生足の魅力には勝てなかったよ……

というわけで千代ちゃんです。





いや、真面目な話、以前から登場予定だったんですがね?
全くもってプロット通り…………本当だよ!マジで!!
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