英傑召喚師   作:蒼天伍号

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人外精神のプーリンに慈悲無く搾り取られたい…… (*´д`*)ハァハァ

あ、割とマシな方のマーリンはステイ。



旧帝国軍地下道・三

「うおぉぉおおぉ!?」

 

全力で通路を走る。

背後からは鼻息を荒くしたオーク群が実に百以上連なりこちらを追いかけてくる。

個々の歩みは鈍重極まるものの、次々に溢れ出してくる物量を考えるとこちらが倍以上に走らねば容易く追いつかれてしまう。

左右上下を制限された狭い通路であるから尚更に。

 

「チヨメちゃん! 次の道は!?」

 

「あぁ、え、と!」

 

俺の問いに、併走する彼女はあたふたしながら使い魔の蛇を道の先へと次々に放り投げている。

ちなみにこの使い魔は先ほどの靄とは違う正真正銘の蛇だ。

 

彼、もしくは彼女らがニョロニョロと意外に素早い動きで退路を見つけてきてくれるために俺たちはなんとかこうして生き抜いている。

 

しかしそれも時間の問題だろう――

 

 

 

 

 

 

――ことの起こりは十数分前。

 

チヨメちゃんの黒靄に従って意気揚々と進み始めた俺たちだったのだが。最初の別れ道に差し掛かった頃。

 

唐突に()()()()からオークの群れが現れた。

チヨメちゃんの偵察結果と全く異なる奇襲、その時点で既に嫌な予感がしていた。

 

ともかく、慌てて反転した俺たちは来た道を引き返した。

 

が。

ついさっき通った道は()()()()()へと変貌しており無事に二回目の迷子と相成った。

 

更には新たに出現した道からも次々にオークが現れ、そのたびにチヨメちゃんの使い魔を用いて退路を捜索。これを繰り返して冒頭に至るわけだ。

 

 

現状を見る限りこの異界、()()()()()()()()

或いは()()()()()()()()()()()()()()()

 

逃げた先々でオークで出会うことを考えれば、おそらくは後者。つまり俺たちは“既に敵に捕捉されている”ということだ。

 

その上で未だにオークしか差し向けてこないというのは、それしか対処法が無いのか。もしくは()()()()()()()()だけなのか。

こちらもやはり後者と考えるべきだろう。

 

単純に、この規模の異界を自由自在に操れるような奴がオークしか手札が無いというのも不自然な話だからだ。

 

「ふざけた野郎だぜ……!」

 

こちらを弄ぶ敵に怒りを覚える。

その怒りを銃弾として背後のオーク共にぶっ放す。

先頭の何体かは倒れ伏すもののその屍を踏み越えてすぐに新たなオークが前に出てくる。焼け石に水だ。

 

「お館様、こちらへ!」

 

再びチヨメちゃんが退路を発見しそちらへ誘導する。

俺と幻女はそれに従って、見えてきた別れ道を曲がった――

 

 

 

 

――その瞬間。

 

「っ、お館様!!」

 

「うわっ!?」

 

突然、チヨメちゃんが手を突き俺を押し除けた。

不意の行動に俺はそのまま後ろによろめきぴったりとくっ付いて来ていた幻女を巻き込んで倒れた。

 

「チヨメちゃ――」

 

いきなり何を、と彼女の方へ目を向けると。

 

そこには、床が変化した大穴の中へと落ちて行く彼女の姿があった。

 

「お館様、どうか、御武運を――」

 

ふわり、と宙を舞うようにして落下していく彼女へと手を伸ばす。

 

「チヨメちゃん!!」

 

――だが、俺の手が届く前に大穴はまるで口のようにバクン、と閉じて元の床へと戻ってしまった。

さながらミミックのような現象にしばし茫然としてしまう。

 

「っ!」

 

慌ててCOMPを確認し、ひとまず“命に別状はない”ことが分かった。更には“仲魔との(パス)”を通じて伝わってきた感覚では、遠くへとどんどん離れていっている。

……つまり、彼女は連れ去られてしまったということだ。

 

 

「お、おい! 追いついてきたぞ!?」

 

幻女の呼び声で、そういえばオーク共に追いかけられていたことを思い出し素早く転身して武器を構える。

 

「……くそったれ」

 

視線の先では、通路の左右に点在する横穴から虫の如く溢れ出るオーク群がこちらへと一直線に迫っていた。

加えて、別れ道のもう片方からもオークが湧き出ている。

 

「仲良くオークEDとか洒落になんねぇぞ……」

 

うんざりするほどの状況に思わず愚痴る。

とはいえ、愚痴ったところで変わることもなし。

面倒だがここは俺が気張るしかあるまい。

 

「幻女、少し離れてろ」

 

「お、おい?」

 

ぐい、と彼女を押し除けてから“手印”を結ぶ。

同時に体内のMAGを魔力に変換した。

 

「“オン ヒラヒラ ケン ヒラケンノウ ソワカ”」

 

唱える真言は“秋葉権現”。

俺に最も縁深き“火之迦具土”と同一視される火の神だ。

 

俺が“奥山の魔剣”である以上かの神との親和性は抜群で、その力の一端を引き出すことも容易い。しかし、戦闘中に長々と祝詞を唱える時間はない。

そこで、密教宗派で用いられる真言を活用し詠唱時間を短縮及びかの神との接続を即座に完了させる。

 

魔術師たちから見れば“狂気の沙汰”、サマナーだからこそ許された“魔術理論”だ。

 

 

真言を唱えて直後にバッと両手をオーク共に向ける。

発動するのはもちろんアギ系。

 

火神炎舞(マハラギオン)!!」

 

本来の名称ではない、詠唱省略からの簡易詠唱。

しかし、奥山たる俺が発動すれば相応の威力が保証された一撃となる。

 

両の掌から放たれた豪炎は、二つの通路の先から迫っていたオークの群れへと直撃。

先頭の数体を瞬時に消炭に変えた後、後続へと次々に燃え移りその悉くを燃やし始めた。

 

 

「すっげぇ! やるなお前!」

 

幻女は目を輝かせながら俺に称賛の声をかけてきた。

 

「どうも。さっさといくぞ」

 

素っ気なく返事をしつつすぐさま通路へと走り出す。

……というのもコレ、かなりMAGを消耗するのだ。

 

昔ならそんなことも無かったが、力の落ちた俺が使うと保有MAGの半分くらいは持っていかれる。頑張っても精々三発が限度だ、それも撃ち終えれば動けなくなるほどの消耗を覚悟せねばならない。

 

「ハッ……ハッ……!」

 

息が荒くなる。同時に意識は僅かに朦朧とし額には脂汗が滲む。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「……正直、大丈夫じゃないな」

 

心配そうに問い掛ける幻女へと素直に答える。

うん、我ながら結構頑張ってる方だと思うよ俺。

 

視界の先、通路の先では未だにオーク共が燃え盛り次々に力尽きて倒れ伏す。それら屍を足場にしながらどんどんと先へと駆けて行く。

無論、がむしゃらに走っているわけではない。

 

先ほど連れ去られたチヨメちゃんとの『パス』だ、これを印として走っている。

ついさっきまでは遠くに離れていたが、今はある一定の場所で停止している。とりあえずはそこを目指す。

 

 

……だが、魔法の使用は少々早まったかもしれない。今も全力疾走がかなりキツい。

もともと俺は術師型ではなく前線で剣を振るう近接型だ。

MAGを魔力へと変換できる量も術師に比べれば低い。

ゲーム風に言えば“MPが少ない”。

霊力低下した今なら尚更だ。

 

なので、極力魔法は使いたく無かったがそうも言ってられない状況だ。

 

 

とかなんとか考えてるうちにも、燃え尽きたオーク共の背後から新手のオークが出現した。

 

「くそっ!」

 

ぼやきながら再び魔法を放とうと構えた俺に、しかし幻女が手で制してきた。

そのまま前に歩み出る彼女。

 

「バカっ、あの数じゃ…!」

 

「黙って見てろよ……ここからはオレも気張る」

 

強い意思の籠もった声に思わず閉口した。

 

そんな俺を他所に幻女は手印を結び、自らの“異能”を開放した。その身体から薄い桃色の煙が立ち昇る。

が、それらは指向性を持って前方のオーク群へと一直線に飛んでいった。

 

 

「グ……オォ!?」

 

煙が前方のオークにぶつかってすぐ、そのオークは苦悶の声を上げて震え始めた。更には、周囲のオーク共にも煙が纏わり付き同じ症状を引き起こしていく。

 

「“(オン)

 

短く声を上げた幻女に応じて、オーク共が“その場で腰を振り始めた”。いや、よく見れば誰もいない場所に向かって突進したり暴れている個体もある。

 

「幻術か……」

 

「おう、ああなったらもうこっちを見つけることも出来ないはずだぜ」

 

俺の呟きに得意げに答えながら幻女は苦無を構えた。

 

いやはや、能力を制御し尚且つ“手加減”も無い状態だとこれほど強力なコンボが出来るのか。見た目やら前の襲撃やらで少々頼りなく思っていたが。

 

「やれば出来るじゃないか、感心したぞ」

 

素直に感心した俺は思わず彼女の頭を優しく撫でていた。

それにビクッと大きな反応をして即座に振り払う幻女。

 

「な、なんの真似だこの野郎!? ブチ殺されてぇのか!?」

 

顔を真っ赤にして激怒する幻女に、俺も慌てて頭を下げる。

 

「わ、悪い! ついいつもの癖で……!」

 

「癖って……あの忍者にもこんなことしてんのか?」

 

信じられねぇ、変態だぜ、と呟きながらドン引きする彼女。

……いや、頭撫でただけで辛辣過ぎだろ!?

なんで変態認定なんだ!?

 

「気持ち悪いが、時間もねぇしな……とりあえず後で協会に通報するからな!」

 

怒鳴りながら、狂乱状態のオークに次々と苦無を突き立て始める幻女。

 

「そ、それだけはやめてくれ! “児ポ”認定だけはいやだ!!」

 

こちらも銃でオークにトドメを刺しながら抗議する。

裏社会に属する協会であっても昨今は児ポに厳しい傾向にあるために、協会の制定する規則の中にも“未成年への不用意な接触”に関する罰則が存在するのだ。

最低でも禁固刑、悪ければ処刑されるという恐ろしき刑罰が。

どちらにせよ“有罪”になった時点で俺の“児ポ認定”は避けられない。

 

そんなことになれば今後一生、協会の連中から「うわ、児ポだ」とか「小児性愛者とか救いようないよね」とか「このロリコン!」とか後ろ指さされることになる。

 

それだけはいやだ。

 

 

「分かった! 飴、飴ちゃんやるから!」

 

「舐めてんのか!!」

 

飴だけに?

……あ、ごめんなさい調子乗りました、ですからその苦無はオークに向けて下さい通報もやめてくださいお願いします何でもしますから!

 

「ふん!」

 

俺の必死の懇願を受けて、幻女は軽蔑の視線の後にそっぽを向いてしまった。

……え、と。マジで通報だけはやめてね?

 

その後、俺は児ポ認定の恐怖に怯えながらも、幻覚で混乱するオークを始末しつつ通路を駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――同時刻、異界最奥部。

 

古いランタンに照らされた石造りの部屋。

牢獄と思しき鉄格子に遮られた小部屋が、左右にズラリと並ぶ長方形の大部屋だ。

それらの奥には一際大きな空間が置かれ、そのさらに奥には石段の頂上に大仰な玉座が設置されていた。

中央には“何やら複雑怪奇な文様を並べた魔法陣”が描かれ、その中央には“濃密な邪気”が黒色の霧として視覚化されている。

 

その大部屋の手前、右手の牢獄には手足を鎖で拘束された鈴女が囚われていた。

 

「ぶひっ! それにしても唆る身体をしている」

 

そんな彼女を舐め回すようにじっくりと観察する肉塊が如き男。

豚皮豚ノ介。

 

「っ……貴方がオークの親玉ってわけね。なるほど、相応に“浅ましい思考回路”をしているわ」

 

羞恥に頬を赤らめながら、強がるように彼女は口を開いた。

それを嘲笑しながら豚ノ介は答える。

 

「ぶひひ、それはちょおっと()()かなぁ? 確かに俺はオーク共を纏める()()を賜っているが、それもこれも“王”をご招待するための準備に過ぎぬ」

 

「王? 招待するって、何を……」

 

疑問の声を上げる鈴女に、豚ノ介は嬉しそうな笑みを浮かべて答えた。――本来ならば敵に聞かせる話ではない内容を。

 

「よくぞ聞いてくれた!! ぶひ、せっかく準備してきたのに自慢する相手が居ないのも寂しかったからなぁ。

 

まず、あの魔法陣を見るのだ!」

 

手に持つ杖をバッと奥部屋に向けて叫ぶ。

 

「…………えっ、と。見えないんだけど?」

 

「っ!!」

 

――しかし、独房で拘束された鈴女の目には到底見えない位置。豚ノ介は出鼻を挫かれたことに呻きながらも咳払いで誤魔化した。

 

「……まあ、アレだ。この地に滞留した膨大な“霊子”、“MAG”、“邪気”、“悪意”。それらエネルギーを集めて我が特製の魔法陣へとセットしてあるのだ。

ここまでは良いな?」

 

「う、うん」

 

教師が生徒に言い聞かせるように問う豚ノ介に思わず鈴女も素直に応える。

 

「しかし、それらエネルギーはそのままでは使い難い。当たり前だ、一言にエネルギーと言ってもそれぞれが持つ方向性はバラバラ、性質や“出力”だって個々に異なる。

 

そこで!!

 

これら乱雑極まるエネルギーどもに纏めて同じ方向性を与える必要があるわけだ」

 

空いた手の平へとペチペチと杖を叩きつけながら熱弁する。

 

「そ、その方向性とは?」

 

彼女の問いに、豚ノ介はギラついた視線を返した。

 

「無論、“肉欲”だともスズメくん」

 

「っ!!」

 

ニタリ、と下卑た笑みで彼は答えた。

瞬間、鈴女の背筋にゾワリと悪寒が走り心底から軽蔑の念が溢れ出した。

 

顔を痙攣らせる鈴女に気分を良くした彼は舌舐めずりしながら一歩近づいた。

 

「ひっ、こ、来ないで!!」

 

心の底からの拒絶の意思を声に乗せて叫ぶ。しかしそんな様子に益々気分を良くした彼は、ボタボタと涎を垂らしながらさらに近付いた。

 

と。

 

 

「――んん? どうやらもう一匹捕まえてきたらしいな」

 

すぐ隣の独房から何やら物音が響き、豚ノ介は意識をそちらに向けた。

そのことに内心ホッと胸を撫で下ろす鈴女。

 

徐に豚ノ介が手をくいっと振るうと、独房の横壁がまるで引き戸のように素早くスライドされ隣の牢屋が丸見えとなる。

 

そこに居たのは――

 

 

「ホホッ! これはこれは、我が工房に忍び込んだくノ一二号くんではないか!」

 

豚ノ介特製の鎖に四肢を拘束された“チヨメ”であった。

――あのミミックのような床に捕食された後、彼女は豚ノ介お手製の“MAGを搾り取る鎖”に拘束され独房までオートで搬送されていた。

 

「くっ、貴様がダークサマナー豚ノ介とやらにござるか!?」

 

拘束されながらも敵意を込めた視線を向けるチヨメに、豚ノ介は楽しげな様子で語りかけた。

 

「如何にも、如何にも私は豚皮豚ノ介!

()()()に名を連ねる偉大なる“魔導師”ですぞ、ぶほほっ! ぶひっ、ぶひっ! じゅるり」

 

興奮気味で自己紹介した後、涎を啜りながら下卑た視線を恥ずかしげなく向ける。

チヨメは一瞬で顔を痙攣らせた。

 

――あまりにも、あまりにも“醜悪”! 造形とかそういう問題ではない、精神、魂の一片に至るまでが“獣欲の塊”。

 

英傑として、忍びとしての観察眼から豚ノ介の本性を見抜いた彼女はそのあまりの悍ましさに吐き気を催した。

曰く、此奴は()()()()()()()()()()、と。

 

そんなチヨメの心境などお構いなしに豚ノ介は更に興奮を高めた。

 

「ぶほほ、ぶほほっ! これより“贄”を集めようとした矢先に、まさか、まさかこれほどに“好み”な雌共が自ら飛び込んでこようとは!

 

……ぶひひっ、そんなにも俺自慢のビッグマグナムが欲しかったのかい?」

 

得意げな笑み(気持ち悪い)で告げる豚ノ介。

 

――ゾワリ。

 

その笑みを向けられたチヨメのみならず、横顔を見ただけの鈴女すら怖気が走った。

 

事ここに至り二人は正しく理解する、豚ノ介という男を。

コレは、()()()()()()()()()()()()()()()であると。

ともすれば()()()()()()()()()()()とも。

 

ただの人間がここまで“悍ましく”、“不快の塊”と化すことなど到底有り得ないと想定するが故に。

 

戦慄する二人の“恐怖”を感じ取った豚ノ介は更に笑みを深め最早“獣面”と呼ぶにふさわしい容姿のままに杖を振るう。

 

それに応じて“複数の魔法陣”が部屋のあちこちに現れ、その中から“無数のオーク”が召喚された。

それもただのオークではない。豚ノ介の魔術によってこの地に滞留する負のエネルギーから“肉欲”のみを抽出、ぶち込んだ“発情オーク群”である。

その証に、皆一様に涎を垂らし鼻息を荒くしながら腰布に大きく“テントを張っている”。

 

「ひっ……!!」

 

チヨメはともかく、未だ年若い鈴女はそのテントの中身を想像して思わず悲鳴を上げた。

その行いは豚ノ介の劣情を更に高める結果となる。

 

 

 

「ぶひっぶひひひひひひ!! さあ、“蹂躙”の始まりだぁ! お前たち二人とも、気持ちよく鳴いてくれよぉ? ぶひひひひ!」

 

両手を大仰に広げて下卑た笑いを上げる豚ノ介。

その声に応じてオークたちが一斉に雄叫びを上げた。

肉欲に支配された醜い雄叫びを。

 

そして、我先にと二人の小さな雌へと走り出す。

 

獣欲に支配された巨躯の豚の群れ、それらが一心不乱に迫る様は幼い鈴女の心を屈服させるには十分であった。

 

「いや、いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――が、その蹂躙は突如として響き渡る破壊音によって中断される。

 

「ぶひっ!?」

 

音の発生源たる入り口に目を向ける豚ノ介。しかしそこはすでに土煙に覆われ、音の正体を確かめるには至らない。

 

代わりに――

 

「ふぃ〜、やっと辿り着いたか」

 

呑気な()の声が聞こえてきた。その時点で豚ノ介はすぐさま不快感を顔に表す。

自らの拠点にして工房たるこの部屋には“贄たる女体”、或いは“同志たる豚人間”しか存在してはならないと(どうでもいい)信念(ポリシー)を持つが故に。

 

やがて、土煙が晴れた後には“粉々にされた石扉”と――

 

 

――デビルサマナー奧山秀雄の姿があった。

 

 

「ぬぅぅぅ……侵入者のクソ雄かぁ!」

 

ピキピキと額に青筋を浮かべた豚ノ介は、辛抱たまらんといった様子で吠えた。

 

対し、ヒデオはそんな彼に目を向けることなく――

 

 

――拘束された二人の少女へと視線を向けていた。

 

「鈴女と……チヨメちゃん――」

 

視線を向けてようやく、二人が“発情したオーク共”に迫られている状況を理解した。うち、鈴女の方は恐怖から整った顔がぐちゃぐちゃになるほど泣き腫らしていることも。

 

「っ!!!!」

 

――瞬間、ヒデオの沸点が臨界突破する。

 

自らがロリコンであることを“まあ、そうだよな”と不承不承ながらにも内心認めている彼だ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

現に怒りとは別に、拘束され少し淫らな姿を晒している少女たちに興奮している自分がいる。限りなくアウトだ。

 

だが、()()()()()

 

彼の怒りもまた正直な感情の発露である。

なにせ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と硬く自らに誓いを立てているがゆえに!

 

――ちなみに、幻女の異能で簡単に発情したのはノーカンである。

 

 

「テメェらぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

怒り爆発と相成った彼は戸惑うことなく『マハラギオン』を放つ。無論のこと、“ヒノカグツチ”たる彼ならばアギ系の“焼き分け”も容易なために容赦なくぶっ放せる。

現に、放たれた魔法は少女たちを一切燃やすことなく周りのオークだけを消炭へと変えていた。

 

「ぶひひぃ!?」

 

怒りによって威力を増した魔法を前に、豚ノ介も盛大に腰を抜かして慌てて後退る。

 

「ふぅぅぅ……!」

 

込められるだけの魔力を込めて放ったマハラギオンの反動を全身で受けつつも、怒りに満ちたヒデオは止まらない。

 

軋む身体を無理やりに立ち上がらせ、ゆらりした動きで一歩を踏み出した。

 

更に、一歩。一歩と尻餅をついた豚ノ介へと歩み寄る。

 

その様はまるで修羅!

いや、怒髪天を突く激情を秘めた姿は最早鬼神にも等しい!

 

 

 

「テメェの血は……何色だぁぁ!!!!」

 

 

 

 




【あとがき】
ちょっとふざけ過ぎたかな、と思う一方でやはりもっと過激にするべきだったと反省……あとで少し書き直すかもしれません。


ところで、俺はロリのおみ足に劣情を催すんだけど貴様は?
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