英傑召喚師   作:蒼天伍号

46 / 104
型月だと魂って面倒くさい性質持ってるけど、メガテンだと特にそんなこともないので、本作もそれに倣いスナック感覚で消費していく方針……なんだけど。


落ち着け……平常心、平常心だ。

うん。



景清&お師様実装ヒャッホゥゥゥゥゥゥゥ!!!!




暗躍と襲撃

――都内某所。眼下に大都会を見渡すことの出来る高層ビルの屋上にて、一人の男が“スマホ”を耳に当てていた。

 

 

「――ええ、タマガミの()()は順調です」

 

ピシッとした黒のタキシードを纏い、右腕には一目で高級品と分かる時計を身につける。

 

「まあ、コウガサブロウの()()は予想外でしたが」

 

癖のある金髪の下に見える端正な顔は微笑に固定されている。だが決して()()()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、彼は常に笑みを浮かべていた。

 

「――はい? ……いえ、まさか。この私が()()()()()()()()()()()など、見当違いも甚だしい。

彼の暴走は私の()()()ですよ。

それよりも――」

 

一拍置いて、男は()()()()()()言葉を紡いだ。

 

「そのコウガサブロウなのですがね……今はどうやら奥山の魔剣と交戦中のようなのですよ」

 

男の言葉を受けて、通信相手は反応を示した。

続けて男へと“要求”を伝えてくる。

 

「――ほう? それは、よろしいので?」

 

確認する男へと、通信相手は了承の意を示す。

 

「ハハハッ! なんとも剛毅な御方だ、流石は()()()()()()()()()()()()()()■■(■■■■)殿であらせられる」

 

相手の意を笑い飛ばし、その“真名”を漏らした男へと通信越しに厳しい声がかけられた。

 

「――おっと、これは失礼。今は別の名をお使いなのでしたね。それでは私のことも“グレゴリー”、或いは“グレッグ”と呼んでいただければ」

 

男が宣った偽名への呼称変更を了承する旨が伝えられる。

 

「ありがとうございます。それでは具体的な“依頼内容”をお聞かせください、先ずはこちらから“派遣”するサマナーを――」

 

 

――その後しばらく“依頼交渉”を続けて、男は最後の問いを投げかける。

 

「――では最後に。お支払い頂ける()額を」

 

その問いに“満足する額”を提示され男は笑みを深めた。

 

「――承知しました。

今後とも“ソウル・コントラクト・ソサエティ”を御愛顧のほどお願い申し上げます――

 

 

――()()()()様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コウガサブロウ……!?」

 

目の前の悪魔から告げられた真名に、俺は()()した。

 

甲賀三郎、諏訪縁起に語られる伝説の人物である。

その物語には幾つかのバリエーションがあるが、概ね“美人の妻を持つ三郎に嫉妬した兄によって地底に落とされる”というあらすじは共通している。

最も有名な諏訪の伝承においては地底より這い出した際に蛇身となり、のちに神通力を得て諏訪の龍神となる。

……と伝承の概要はこの通りである。

 

途上、地底の世界で暮らしていた頃にその地の姫と婚姻関係となり十三年ものほほんと暮らしていたり、その姫を側室のような立場で連れ帰って妻からも歓迎されたりという“リア充”っぷりというか、おまけに妻と再会して共に唐突な修行を始める自由ぶり……お前はどこのラノベ主人公だ、と言わんばかりの経緯を有していたりするが。

――というか、自分が義兄に無理やり妻にされたり斬られそうになったり大変な目に遭っておきながら。呑気に女連れで帰還した夫を責めるでもなく何より無事を喜び、一緒に神通力を習得しに行ったり浮気相手すら快く受け入れる春日姫の良妻っぷりが凄まじい……どこぞの“スサノオの娘(スセなんとか)”にも見習って欲しい所である。

 

 

閑話休題。

 

 

俺が困惑したのは、甲賀三郎という存在はあくまで諏訪地方の伝説に語られる龍神であり、とてもではないが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、即ちこんな膨大な霊力を有するはずはないという点である。

 

次に、奴が自ら語った“必殺の霊的国防兵器”という名称。

その名は俺も小耳に挟んでいた。

 

曰く、前大戦末期に旧陸軍の“秘密機関”が連合軍の悪魔たちに対抗するべく開発した究極の霊的兵器。

日本に古来より伝わる神々を降し、護国の要として運用する決戦兵器開発計画によって生まれた特殊悪魔たち。

その力は凄まじく、当時最強のサマナーであった『ライドウ』と並んで帝国軍の戦況を優勢に押し上げたという。

 

――だが、連合軍側が召喚した“より強大な悪魔”によって討たれ、終戦後の混乱によって技術諸共失われたとされていた。

 

 

その前時代の“遺産”が、この悪魔だという。

 

そうなるとこの“異常な程の霊力”も納得がいく。あの混乱の時代において戦争の趨勢すら左右した存在ともなれば強くて当たり前だろうさ。

 

そして――

 

「コウガ……サブロウ?」

 

――奴こそは、甲賀の祖。つまり千代女ちゃんの生家たる甲賀望月の始祖にあたる存在なのだ。

 

……ならば彼女が受けている“呪い”とは甲賀三郎が受けたという“蛇に変わる呪い”なのだろうか?

とするならば、なぜ彼女は()()()()()()()()()()()()()()? 本質的にコウガサブロウと伊吹神に関わりはなく、精々が“天狗によって妻が伊吹山に連れ去られた”逸話くらいしか繋がりがない。

――いや、そうじゃない。

 

甲賀三郎が受けた“蛇に変わる呪い”、これを掛けたのが“誰なのか”? それが提示されていないという“謎”がある。

ならば、この呪いを掛けたのが()()()()()()()()()()()()()()ということか。

 

――しかし、そのような重要な事実があるならば。どこぞで情報が出ていてもおかしくないはずだが。

 

そこで、ふと。彼女が“忍び”であるということを思い出した。同時に、忍びであるならば“自らの情報を隠匿するであろう”という事実に気づく。現に、この時代に“望月千代女の情報は極端に残っていない”。

 

つまり――

 

 

――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「千代女ちゃん……?」

 

そこまで推理を終えて(その間約二秒)、千代女ちゃんが奴の方を見て硬直していることに気づいた。否、その小さな肩が僅かながら震えている。

 

「あ、あぁ……! オロチが、大蛇が私を!!」

 

直後、悲鳴のような声を上げて口元を両手で覆うと――

 

 

 

――盛大に嘔吐した。

 

「おげぇぇぇ!!」

 

ビチャビチャとぶち撒けられた吐瀉物は胃液そのもので、尚且つ一回で治まらずに複数回に分けて繰り返された。

 

「千代女ちゃん!!」

 

迫るコウガサブロウのことなど忘れて、俺は彼女の背中に手を置き優しくさすった。

 

「うっ、ふっ……ぅ! いや、いや……!」

 

――しかし、千代女ちゃんは俺のことなど眼中に無いようにひたすらにブルブルと震え拒絶の言葉を呟いていた。

 

――彼女を立たせるのは難しい。

 

そう判断した俺は腹を決めて愛刀片手に立ち塞がった。背後に千代女ちゃんを庇いながら目の前のコウガサブロウを見据える。

 

と。

 

「……?」

 

見ればコウガサブロウも千代女ちゃんをジッと見つめて()()した様子だった。

何かを訝しむような、或いは“疑問を感じているような”。

 

しかしそれが何を意味するのか、残念ながら今の俺に知る由はない。ならば後は“戦う”という選択肢しか無いだろう。

 

「……」

 

俺は刀を握る手に力を込める。

勝てるかどうかは重要では無い。

 

()()()()()()()だ。

――いや。

 

()()()()()()()()()()()()()()()。千代女ちゃんとて、俺が召喚し仲魔としたからには身内であり“家族”である。

俺はもう二度と()()()()()()()

 

――覚悟は“力”となって身体の内を巡る。それによってほんの僅かながら俺の霊力が()()()()感覚があった。

 

と言っても、本当に微々たるものだが。

そして、龍“神”というからには()()()()()()()の特効範囲内となるわけだが……

 

 

 

「……!」

 

どうにも完全に抜けなくなっていた。

“システム”に接続してもうんともすんとも言わず、エラーすら吐き出さないあたり完全に沈黙してしまっている。

まあ、先ほどの使用でアレだけダメージを受けたのだ。半身たる魔剣に影響が出ていても不思議では無い。

もし抜けたとしても、九割方“抜いた瞬間に血反吐吐き散らして死んでしまう”。

 

だが、そうなると魔剣無しでアレと戦わねばならない。

 

 

「……やるしかないか」

 

魔剣を欠いた俺はもはやただの中堅でしかなく、万が一にも勝ちの目は無い。さっきのカマプアアとは比べものにならない霊力の差からして一分と保たないだろう。

――ならば、是が非でも()()()()()()()()()()()()

 

結局のところ、今の俺が取り得る選択肢は一つしかなかった。

 

 

俺は愛刀を地面に突き立てて“手印”を結ぶ。

 

「……保ってくれよ、俺の身体!」

 

祈りつつ、“詠唱”を開始した。

 

 

 

 

「“オン ソンバ ニソンバ ウン バザラ ウン ハッタ”」

 

降三世(ごうざんぜ)明王の真言を唱えたことにより、過去・現在・未来に関する全ての煩悩が消え失せる……即ち“デバフの無効化”が付与される。

 

「っ!」

 

俺の声と、それに伴って上昇した“霊力”に気付いたサブロウが咄嗟にこちらへと突撃してきた。

 

「くっ!」

 

対して、俺は懐から“お札”を取り出して目の前に投げ捨てる。

札はサブロウの小太刀が届く直前に光輝き、俺を囲むようにして“結界”を形成した。

家から用意してきたとっておきの一枚、対物理結界だ。

 

即席ではなく、ちゃんと家でチマチマ時間をかけて作ってきた一枚なのでそう簡単には破れない。

現に、サブロウは一撃目を弾かれた直後から間髪入れずに小太刀を振るうがまだ壊れていない……いや、ちょっとヒビ入ってるけど。

 

ともあれ、この隙に詠唱を続ける。

 

「“オン シュチリ キャラ ロハ ウン ケン ソワカ”」

 

大威徳(だいいとく)明王の真言により“必勝の加護”を得る……即ち“タルカジャが最大値まで”付与される。

 

「“オン アミリテイ ウン ハッタ”」

 

軍荼利(ぐんだり)明王の加護により“スクカジャが最大値まで”付与され、今後の()()()()()()()()

 

――そこまで唱えて、ようやくこの結界が“対物理”という発想に思い至ったらしきサブロウがノータイムでザンダインを放ってきた。

 

「ぐっ!!!?」

 

至近距離からの上級魔法、しかもインドラ(クラス)の龍神が放った一撃ともなれば普段の俺なら粉微塵になっていただろう。

しかし、既に三柱の明王の真言を唱え終えていたために肉体の硬度も数段階上昇していた。

 

――それでも、全身が刻まれ血塗れになるほどには凄まじい威力であったが。

 

「なにっ!?」

 

俺がザンダインを耐え凌いだことに驚愕する隙に詠唱を続ける。

 

「“オン バザラ ヤキシャ ウン”」

 

金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王の加護により“運”が上昇、()()()()()()及び()()()()が付与される。

 

そして――

 

 

「“ノウマク サンマンダ バサラダン センダン マカロシャダヤ ソハタヤ ウンタラタ カンマン”」

 

不動明王の真言を唱えたことで、“全ての攻撃に耐性を得る”。

また、計五柱の明王、即ち五大明王の真言を唱え終えたことで術式が完了し“全ての能力値が大幅に上昇した”。

 

 

つまり、この詠唱は涅槃台との初戦時に使用した“ヒートライザ”の正式版。

明王(みょうおう)陣中具足(じんちゅうぐそく)』という名の自作補助魔法である。

 

 

 

 

「うっ……ぅ……ふっ……!」

 

ちらり、と背後を見れば未だ千代女ちゃんは涙ぐみ嗚咽を漏らして蹲っていた。

その姿に「何がなんでも守らねばならない」という気持ちを強くする。

 

コウガサブロウへと視線を戻せば、奴も“霊力が激変”した俺を警戒した様子で小太刀の構えのまま静止していた。

 

「ぐっ……!」

 

少し踏み出したところで、足から嫌な音が響いた。続けて“痛み”が全身に伝播していく。

こうなることは予想出来ていた、その上で使用したのだ。覚悟を決めておけば驚くことも無い。

 

ヒートライザの状態でさえダメージを受けたのだ、それを正式版で行えばどうなるかなど……想像に易い。

恐らくは制限時間も出てくるだろう、しかし、一秒でも長く術式を維持してひたすらに攻めれば――或いはこの龍神にも勝ち得るかも知れない。

そう考えれば、少し希望が持てた。

 

「行くぞ……コウガサブロウ!!」

 

愛刀を握りしめ、いざ、大地を蹴る。

 

――最大数のスクカジャ、それに上乗せされた能力上昇によって神速を得た俺は、反応が追いついていないコウガサブロウへ向けて素早く一太刀を浴びせる。

 

「っ!」

 

――だが、刃が身体に触れる寸前。驚異的な速さを持った小太刀で弾き返された。

凄まじい反応速度、間違いなく廃寺の涅槃台を超えた速さだ。

加えて、ノータイムからの反射的行動を見るに奴は“反応系”のスキルを有している。恐らくは“龍の反応”、それもかなり高位の。

 

だがこちらとて捨て身の能力上昇を行ったんだ、これで終わるはずもない。

 

――続けて、二撃三撃と斬撃を繰り返す。それら全てを小太刀で防がれるが“想定内”だ。あと一合交えたところで、“勝機”が訪れる。

“高速演算”で得た答えに、“必勝の加護”によって“必勝”を付与して即座に選び取る。

これによって、選び取った行動に“上昇補正”が加えられその行動を終えるまでの間、飛躍的に“運”が上昇する。

 

「っ!!!!」

 

自然、その一撃は必中となり、無防備な部分へと吸い込まれるようにして直撃した。

威力が底上げされた刺突は、サブロウの胸部へ――

 

「なっ!?」

 

――届こうというところで、またも“凄まじい反射神経”によって躱され骨格のような鎧が生えた肩部へと激突する。

僅か、鎧の一欠片を削り取っただけで鋒は逸らされ。

代わりに小太刀の刃がこちらに迫った。

 

――辛うじて、その凶刃から免れたものの。戦況は再び鍔迫り合いからの斬り合いへと戻った。

 

高速演算、必勝の加護、能力上昇。それら全てを駆使して尚もコウガサブロウにはあと一歩及ばない。

理由はわかっている。

 

地力の差だ。

 

いくら爆発的に能力を上げたところで、元々の値が低ければ大した強さは表れない。

加えて、コウガサブロウと俺の間には()()()()()()()

 

その事実を思い知らされたところで、右脇腹へと鋭い痛みが走った。見れば小太刀による鋭利な切り傷、鮮血が迸るほどの深手だ。

――演算が間に合わないのではなく、単に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

せっかく必勝の加護を付与してもこれでは宝の持ち腐れだ。

 

更に、不動明王の加護による防御上昇が既に意味を成していない。

恐らくは()()()()()()のだろう、それくらいの手数を俺は受けていた。

さしたる威力ではなくとも積み重なれば大きな痛手となる。つまり、気にも留めなかった擦り傷がこれを招いた。

 

――だが、それでも止まるわけにはいかない。

 

「……驚いたぞ、奥山。よもや“魔剣も使わず”に俺とやり合うばかりかこうも戦い抜いて見せるとはな」

 

俺と違って余裕を見せるコウガサブロウはそんなことを宣ってきた。もはや返事をする余裕もないので無視だが。

 

「――それだけに“奴”の犬となった事実が嘆かわしい」

 

心底落胆したような声音で紡がれた一言に、さすがの俺も堪忍袋の緒が切れた。

 

「だから! 俺らは“タマガミ”なんて奴とは関わりがないと……ッ!!」

 

切れたことで生まれたわずかな隙、そこへすかさず振るわれた一撃によって俺の腹部が掻っ捌かれた。

 

「がはっ!?」

 

ボトボトと垂れるのは血……だけではない。

抑えを失った臓物が溢れて溢れる。

――傷自体は、自動回復によって即座に塞がったものの。零れ落ちた臓物までは再生されず、激痛と嘔吐感によって思わず膝をついた。

 

「ぐ、げほっげほっ!!」

 

喪失した腸の一部、その周辺に言い表せない“違和感”を感じる。同時に胃に逆流した血液が喉を通って飛び出す。

ビチャビチャと地面に滴る“赤”はすぐさま血溜まりを作り出す。

 

「未熟……いい筋をしているがそこ止まりだ。付け焼き刃で俺に敵うとでも思ったのか?」

 

「その上から目線……ムカつくな」

 

――言いつつ、斬り上げを放つ。

 

「笑止!」

 

小太刀を横に振るう、ただそれだけで刃は弾かれ代わりに顔面を蹴り飛ばされる。

 

「っぎぃ!」

 

後頭部から地面をスライディングして、倒れる。

立ち上がろうとするも四肢に力が入らず、おまけに“嫌な感覚”が身体を巡り始めた――

 

「ごぼっ!?」

 

直後、大量の血液が口から噴き上がる。と共に全身を耐え難い激痛が襲った。

焼き切れるような、掻き毟られるような、疼くような痛みが骨に走る。

 

「ぐぅ、ぁ……!」

 

――痛い、痛い。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

 

痛い、ということしか考えられないほどに。

 

 

「見るに耐えないな……ならば先に、そこの“小娘”を仕留めるとしよう」

 

っ!!

 

「此奴を見ていると、何故か“我が鱗”がざわめく……そして、愛しき“彼女”の匂いがする。

それは、許せない」

 

……待て。

 

「奴の犬からその匂いがしてはならない……護国のため、ひいては現代に生きる人間のために。奴らは根絶やしにせねばならない」

 

それ以上、足を進めるな。

 

「そうだ、俺は……オレ、ハ。ご、ゴ、護国ノたメに」

 

痛みを堪えながら、必死に奴を目で追った。

そこには既に彼女に向けて刃を構えた奴がいる。

 

――瞬間。

俺の身体が弾かれるようにして駆け出した。

 

痛みなど度外視するように、命を投げ捨てるかのように無心で駆けて気づいた時には、奴の前に立ち塞がるようにして立つ。

 

「っ、邪魔をするな!!」

 

――そこへ、鋭い一撃が放たれた。

最初に感じたのは“喪失感”。

 

遅れてやってきたのは焼けるように熱い“肩の痛み”だった。

 

「あ、あぁぁああぁ!!!?」

 

痛む右肩……そこから先が()()

凹凸の無い綺麗な切り口で落とされたのは俺の右腕だった。

それを視認してから、訳の分からない痛みが脳を打ち鳴らす。

 

――だが。

 

「っ!」

 

狼狽える俺の横を抜けて、再び刃を振り上げた奴を認識した途端。痛みなどどうでも良くなった。

 

それよりも、彼女を、()()()()()()()()()()()

 

その一心で俺は、斬り落とされた右腕を掴み奴の背中目掛けて力一杯に突き出した。

 

 

「ぐっ!? があぁ!!」

 

一直線に突き出した腕は、その手に握ったままの刃を無防備な背中に突き立て、そのまま突き刺さった。

 

予想だにしなかっただろう一撃を受けて、コウガサブロウは呻き声を上げてヨタヨタとこちらに振り向いた。

その胸からは俺の愛刀が顔を出している。

もはや『明王・陣中具足』の効果も切れているだろうに、あの硬い装甲を破れたのは自分でも驚きだが。

 

結果オーライというやつか。

 

「おのれ……やってくれる!」

 

乱暴に突き刺さった刀を腕ごと引き抜いて投げ捨てる。そして、怒りを滾らせながらこちらに近寄ってきた。

 

「貴様かラ先に仕留メテくれル!」

 

俺の目の前まで来てから大きく小太刀を振り上げた。

俺は咄嗟に回避行動を取ろうとして、“ぶちり”という嫌な音を聞いた。

 

途端、動かなくなる右脚。体重すら支え切れずバランスを崩した身体は情けなく地面に倒れた。

 

――そこへ、小太刀が振り下ろされた。

 

 




【あとがき】
やっとヒートライザ完全版出せた……詳しいことは二章のマテにでも書いておきますね。……ウヒッ!


ごめんね、気持ち悪いくらいテンション上がっててごめんね……職場でも「なんかテンション高くね?」みたいに言われててごめんね。

でも景清ないし義経(っぽいの)来るって知って過呼吸みたいになっちゃったんだよ……更には鬼一法眼まで来ちゃうって。僕っ娘て。サモン◯イトっぽい絵柄でドストライクて。
そして『鎌倉』だとぉ!?
俺が「うわっ、掘り下げ難くね?」って投げた鎌倉の話をやってくれるだとぉ!? 感謝!!
更にはメイヴちゃん!? ようやく埃塗れの看守衣装を着せることができるのかぁ!!
あと一応タニキ。

ヨリトォモ出るよね? 流石に実装は期待してないし景清で十分だけど立ち絵くらいは出るよね??
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。