もう無茶な締切は作らない(硬い石
「ったく、キリがねぇ!」
迫り来る軍服の敵兵に対し、破魔弾の銃撃と退魔刀に霊力を込めた斬撃で対応する。
高い不死性を持っているようだが、流石に弱点(と思しき)破魔弾と、退魔刀として高位の業物たる“赤口葛葉”のレプリカによる斬撃には耐えきれないようだ。
数回攻撃を加えたところで、小銃を持った兵士は地に伏せ
やはり個々の力は対して強くないようだ、しかし統率のとれた動きは精鋭部隊と呼ぶに相応しく、そこに上述の高い不死性が加われば脅威と呼ぶに充分。事実として基地内の隊員たちは軒並み劣勢に追い込まれていた。
俺もこの戦況を打開すべく戦場を駆け回っているのだが、いかんせん手が回らない。
ちなみにウシワカは、愛刀たる薄緑で難なく敵兵を斬り伏せている。恐らくは薄緑の経歴に“退魔性能”を付与する逸話があるためにこいつら相手に有効打を与えられるのだろう。
比べて、オサキは“ロリ形態”では破魔系を使えないために援護に回ってもらっている。
これはチヨメちゃんも同じで、時間をかけて一体を倒してもらうよりかはこちらの援護に徹してもらい、俺が退魔刀で葬った方が早い。
「っ!!」
そんなこんなで順調に敵を倒しながら戦場を駆けていたところで、ようやく敵の“主力”とぶつかった。本当なら遠目で確認してからぶつかりたかったが、混迷極まる戦場でそれは贅沢だろう。
死角からの鋭い突き、辛うじて居合抜きで迎撃したがコンマ数秒遅れていれば景気良く脳髄をぶち撒けていたであろう膂力。
『ほう、これを受け止めるか。はは、少しは見込みがあるようだな』
尊大な口調で語るその声は“機械音”にも似たノイズ混じり。
応える義理もないので無言で押し込み、そのまま弾き返す。
その方向には“ウシワカがいるからだ”。
『ふん、距離を取るか。だからとて――』
油断しているのか何なのか、相手は尊大な口調を崩さずあっさりと押し込まれ悠長に語り始めた。
その背後より、“獣のような眼”をしたウシワカが素早く斬りかかる。
抜刀の瞬間すら目視できない早業で瞬時に斬撃を加える。
『ごあぁぁぁああぁ!!? な、なんだと!?』
黒い装甲にしっかりと斬傷を刻み込まれ、相手は狼狽えた様子でヨロヨロと後退る。
その様子を見るに、単なる油断だったようだ。
コイツには気の毒だが俺はもう油断する気はないし、ウシワカはそもそも“見敵必殺”の殺戮マシーン()である。
相手が悪かったな。
『お、おのれ! ガイスティブ――』
不意打ちに怒ったのか、荒い声を発しながら手にした“槍”を宙へと掲げる敵兵。
聴き慣れない単語が発せられた瞬間に“ナニカ来る”と直感した俺は急いで奴へと斬りかかる。
が、それよりも速くウシワカが斬撃を見舞った。
『ぎゃああぁぁ!?』
高速で駆け抜け、すれ違い様に一太刀。続けて背後よりすれ違い様にもう一太刀。これを一息にこなす。
更には斬り上げからの、溜めを要した突き。
これも瞬く間にこなす。
おまけとばかりに俺の目には完全に追えない神速の斬撃を無数に放ち、飛び上がった状態から抜刀の動作で鋭い一撃を放つと共に着地する。
結果、俺が呆然と眺めているうちにすでに敵の装甲には浅くない斬傷が幾つも刻まれ息絶え絶えとなっていた。
『ば、馬鹿な……聖槍騎士団の一員たる私が、
「聖槍騎士団……?」
敵が漏らした単語に、俺の脳がフル稼働する。
聖槍、つまりは奴が持つ槍のことだろうが。その単語を聞いて思い浮かぶのは一つしかない。現物は流石に見たことがないが、それにしてはあの槍からは“さして大きな力を感じない”。いや、霊的機能を備えた武器としては相応に強い力を感じ取れるが、“聖槍”と呼ぶには些か物足りない。
次に騎士団、つまりは奴のような個体が複数存在する。これは十中八九、今基地を襲っている他六体の機械兵士のことだろう。
そして、エルフという単語。
現代日本においては無意識のうちに“長耳の萌えキャラ”が思い浮かぶが。そうではないだろう。
今、基地を襲っている連中が揃って付けている鉤十字。雑魚兵たちを運んできたあの大きな輸送機。これらから連想されるのは“旧ドイツ軍”ひいてはナチス。
そうなるとエルフとはドイツ語で11を意味する単語と考えるのが妥当だろう。
この推測を是とするならば、少なくとも聖槍騎士団とやらは十一体存在していると見ていいだろう。
こんなのがあと十体はいるのか……。
などと俺が考えているうちに、エルフと名乗った敵兵はウシワカを相手に防戦一方となっていた。
『がっ……お、のれ……ぇ……!』
天狗の軽業と評されるウシワカの神速の歩法を前に、エルフはこれを捉えること叶わず。更には神速で繰り出される無数の斬撃を捌くことも出来ず。一方的にダメージを受けていた。
しかし驚くべきは
明らかに異様な耐久性……
「いや……物理耐性か?」
再び思考の海に意識が沈みそうになったところで。
突然、白い影がウシワカを弾き飛ばした。
「くっ!?」
なんとか刀で防ぎ直撃は避けたようだが、中空で受けたために勢いは殺せず後方に大きく飛ばされていた。
そして、
『派手にやられたな。もういい、貴様は先に戻っていろ』
『くっ……了解!』
威厳に満ちた厳かな声に諭され、一瞬言葉に詰まったものの。エルフは素直に従って素早くその場から離脱した。
無論、こちらも追撃はしない。
ウシワカ相手にボコボコにされていたから一瞬忘れそうになったが、一度目の突きを防いだ時に感じた膂力。そしてウシワカ相手に奮戦する姿から見て、おそらく俺が戦えば苦戦は必至。仲魔の援護を得てようやく倒せるくらいの強敵だった。
そして、新たに現れた白い機体。逃げた機体とのやり取りから見て奴の上司。加えてその身から滲み出る“闘気”は只者ではない。
これは、厳しい戦いになりそうだ。
「ふっぅうーー!」
縮地にも似た接近からの抜刀、剣閃しか残らないほどの速度で振るわれる斬撃は一撃に留まらない。
『お、おおぉお!?』
左腰に提げた打刀から放たれるのは“青い斬撃”。
高い物理耐性を備える黒の装甲を容赦なく傷だらけにする。
続けて、右腰に提げた打刀を抜き“赤い斬撃”を見舞った。
『おごっ、ぐっ、小娘が!!』
まるで剣舞のように刀を振るうリン……否、アシュタレトへと。痺れを切らしたドライツェーンは槍を大きく横薙ぎに振るった。
これをひらりと躱し、ステップを踏むように後方に退がる。
『馬鹿め!』
刀の届く距離を離れたことを嘲笑いながら、ドライツェーンはMG34にて射撃を行う。
改造によって通常の弾速を大きく超えた高速の弾丸、悪魔ですら視認を困難とする連射を前に、アシュタレトは――
「小賢しいっ!」
二本の刀を振り回すことで
『なんとぉ!?』
あまりにも“予想外”な行動に狼狽したその隙を、アシュタレトは見逃さない。
「隙ありっ!」
両手を大きく振り上げ、それに応じて“自動”で抜き放たれる二本の刀。それらは手を振り下ろすことで一直線にドライツェーンへと飛んでいった。
青く輝く刀と、赤く輝く刀は独りでにドライツェーンの周りを飛び回り、彼の装甲を斬りつける。
やがて、アシュタレトが飛び上がると同時にその手元へと舞い戻った。
彼女は二つの刀を振り上げ交差させたまま声を張り上げる。
「
高らかな宣言のまま、交差させた刀をドライツェーンの胴体を振り下ろした。
『ぐあぁぁ!? ま、まさかぁ!!』
Xの形に斬り裂かれた装甲より“黒い霧”を噴き出しながら驚愕を声に乗せて発する。
その背後に着地していたアシュタレトは素早く納刀して立ち上がった。
「天罰、完了」
彼女が堂々とそう言った直後。
背後のドライツェーンは盛大に爆発した。
基地内全域において、敵味方入り乱れる激戦が繰り広げられる中。
基地総責任者たる大國は執務室にて静かに座していた。
傍には秘書官たる細川の姿もある。
「通常歩兵十名、召喚術式適応士官二名、他非戦闘要員二名が戦死。現在、態勢を立て直した者たちが小隊単位で辛うじて戦線を維持している模様です」
端的かつ冷静な報告に、大國も殊更驚くこともなく静かに聞き耳を立てる。
「思ったより
「はい、兼ねてよりフリーのサマナーと合同訓練を行なっていた成果かと」
「ふむ」
そこで大國は顎に手をかけしばし思案する。
そして視線だけを動かして口を開く。
「
「承知しました」
細川は通信端末を取り出して何処かへと短く連絡した。
「――『T13シリーズ』、『T15G』及び『F/F15D』を向かわせるそうです」
「
「よろしいので? アレはまだ試験段階、当初の能力値には達していませんが……」
「構わん、寧ろこのような時だからこそデータ収集に出すべきだろう」
「なるほど、そちらも手配します」
再び通信端末を取った細川を横目に確認して、大國は小さく溜め息を吐いた。
「ままならんものだな、時の運というのは。
その一言を呟いた直後――
ドカン、と扉がこじ開けられ軍服の兵士たちがゾロゾロと室内へと雪崩れ込む。
大半が小銃を携えた“突撃兵”と称される下級兵だが、それに紛れて機銃を抱えた兵も見える。
彼らは大國たちを視認するなり即座に銃器を構えた。
対して二人は特に気にした様子もなく平静のままに動かずにいる。
兵士たちは構わずに発砲した。
「Feuer!!!!」
リーダーらしき男の合図を以って一斉射撃が始まる。
人間二人に対して過剰なほどの弾幕が押し寄せ大國の面前を覆う。
しかし――
「……」
座したまま動かない大國の目の前で
「っ!?」
信じられない光景に驚く兵たちの目の前で、弾丸はバラバラと床へと落ちた。
ほんの一瞬、兵たちが油断したその隙に。
大國は組んだ両手を解き指先にてスラスラと宙に線を描いた。
魔力による光も何も無い、虚空をなぞる様な不思議な仕草。
その直後。
「ブッ!?」
眼前に群れる兵たちの
ボロボロと床に崩れ落ちた肉片は、その断面を“鋭利な刃物”で切断したかの如く整えられており、さながらサイコロステーキと表現するのが相応しい有様であった。
――そして、敵兵たちが備えている“再生能力”も
完全に、絶命した“人であったモノ”が一瞬にして床に散らばったのだった。
敵兵のリーダー格、“マシーネンコマンド”とカテゴリされる男は目の前の光景が理解できなかった。
先ほどまで士気も上々にターゲットへと射撃を行った部下たちが、男の奇妙な動作のすぐ後にまるで“見えない刃物に斬られた”かのようにバラバラにされた。
さっきまで部下だったモノが物言わぬ肉片となって床に散らばる光景に困惑し恐怖した。
――だが、惨劇は未だ始まったばかりであったとのちに理解する。
男が呆然としている間に、一緒に突入していた別部隊が再度攻撃を仕掛けた。
正面からの攻略が打ち破られたことを考慮し、数名を囮として一斉射撃させ。残りの兵を分散して多方向からの銃撃を加えたのだ。
――が、それも全て“見えない壁”に遮断され。代わりに部隊員全てが無残な肉片へと斬り刻まれる。
次に、随伴していた
旧ドイツが誇る“科学”を用いて、脳を弄られ超能力に分類される異能を最大限に強化された特殊な兵士。
そんなヘルゼーエンが用いる
それをノータイムで発動する。
「……」
――しかし、それもまた“壁”によってあっさりと受け止められた。そして三度行われる“虚空をなぞる動き”によってヘルゼーエンの肢体は三枚におろされ力無く地に伏せる。
「な……なに、が……起きて――」
「“気”を絶った、それだけのことだ」
不意に返答を寄越した大國にビクつきながら彼はさらに問い掛ける。もはや死への恐怖すら超え、せめて“訳も分からず死にたく無い”という一念のみ。
「キ?」
「……陰陽道が栄えるよりも前、この国には大陸より輸入された“呪禁”が置かれていた。
もとより馴染みのない異郷の術理、そっくりそのまま持ち込んだところで扱い切れる道理も無し。早々に日ノ本に馴染む形で作られた陰陽道に取って代わられ姿を消した
――だが、呪禁もまた日ノ本が継承してきた術理を少なからず取り込んでいたのだ」
そこで大國は
華美な装飾はない、柄頭に環頭と呼ばれる円環を取り付けた直刀である。
――それは日本の考古学において
しかし、近代ドイツの出自を持つコマンドにそのような知識があるはずもなく、ひたすら疑問を顔に出すばかりだ。
「古来、日ノ本の地には脈々と受け継がれてきた呪術が存在した。自然と共に生き、自然の具現たる“精霊”と心通わせる原始呪術。
――のちに
このような説明、旧ドイツの残党にしても仕方がないことは大國も理解していた。
しかし、それでも。
それは
自らにはそれを為す
「――まあ、貴様にそのようなことを語っても栓無きこと。
疾く、失せるが良い」
「っ!!」
溜息と共に、突然杖持つ手を振り上げた大國にコマンドは身構えた。
――が、そのような抵抗は無意味だ。
儀仗大刀を振るいその軌道に沿って
生気、魔力、MAG、あらゆる気の流れが切断され、流れを絶たれたエネルギーは滞り、エネルギーの滞った肉体は速やかに死滅する。
即ち、コマンドの肉体はただの一挙動であっさりと死に絶えた。
それは
パタリ、と
「――無為無駄、無意味にも程がある命だ。せめて
その声に続いて細川はゆっくりと死体に歩み寄った。
【あとがき】
千代ちゃんに強化がッ!!!!
……だが呪い使いの千代ちゃんはアサシンなのに耐久パ適性体という矛盾したコンセプトの時点でどうしようも無い気が。
ライダー戦に連れてくと大正義キャストリアがキツイし、キャストリア抜きだと心許ないし……
やっぱ愛だよ、愛!!!!
真面目に外伝考えてます。どれがいいですか?※三章の後を予定
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イバラギン×綱の末裔
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チャラ男RP金髪男×ゴールデン
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小次郎×双剣の堕天使
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とりあえず本編、ガンガン行こうぜ!