大黒天のCV、武田華さんと言えば、ACfaのメイ・グリンフィールドとスティレット女史ですね(AC厨
「解体するよ」
無邪気で可愛らしい声が響き渡る。
直後。
「あぎぎぎぎぃああぁぁあああ!!」
悍しい断末魔をあげて、一人の
生々しい血の海に倒れた彼の目は限界まで見開かれ充血している、同時にピクリとも動かない様から既に死亡していることがわかる。
死体となった彼が纏うのは黒い“軍服”。
およそ一般的な市民が常備する衣装ではない。
それもそのはず、彼こそはサマナー協会に所属するデビルサマナーなのだから。
「もぐもぐ……うーん、あんまり“濃く”ないね」
先程聞こえた無邪気な声の主、ジャックは散らばる臓物を徐に咀嚼して苦い顔をした。
「それはそうでしょう。ただの善良なデビルサマナーにはあなた方が好むような“趣向”はありませんよ」
対し、呆れたように応えるのは涅槃台。いつもの袈裟を纏い“新調”した錫杖を手に、ジャックの傍らで佇む。
「えー!
ジャックは驚いたような顔をした後にプンスカと怒り出す。
「当たり前です。私たちの姿を“偶然”にも見てしまったのですから。“今夜の作戦”を万全の状態で遂行するためにも、たかが目撃者であろうと見逃すわけにはいきません」
あくまで冷静に説明する涅槃台に、ジャックも次第に大人しくなりむくれ顔のままに黙った。
涅槃台は、足元に転がる死体を杖でつつきながら続ける。
「……いいですか? 我々は今夜
つまり今夜こそが
これ、さっきも説明しましたよ?」
やれやれ、と肩をすくめ尋ねる。
だがジャックは未だむくれ顔のままにこう述べた。
「だって、
もう死んでるでしょう、とはさすがの涅槃台も言わない。
それに、この“飢餓状態”は結構“危険”であることを理解していた。
なにが、って
本来ならば“名も無き怨霊”であった彼らは“名”を得て、それを偽る“殻”まで纏ってしまっている。
そんな“歪”な有様では当然、“不具合”も生じるというもの。
彼らの存在を維持し続けるためには、彼らが好物とする“子どもを虐げた大人の魂”が必要だ。
無論、そんなのが“必要なくなるまで強くなれば”問題はなくなる。だが現状として彼らの存在は不安定なままであり、とどのつまりは定期的な捕食が必須。
彼らは頭は回るものの、人間性については
それを有り難く思い、同時に“愛しい”という思いも抱いていることに彼自身、気付いてはいた。
気付いていながら、
分かっている、歪であることは。これまでの自分を“否定”するような思いであることは。
それでも――
「――仕方ありませんね。なら、近場の“悪い大人”を探しに行きましょうか」
「やったぁ! マスター、大好き!!」
ガバッと抱きつくジャックの頭を優しく撫でながら溜息をつく。
――その胸中にはかつてないほどの“幸福感”が満ちていた。
自宅から仲魔とアイテムを持って油凪市にとんぼ返り、一路に教会まで戻ってきた。
時刻は昼過ぎ、おやつ時までは未だ掛かる頃合いだ。
「――道中に説明した通り、俺たちは今、涅槃台と仲魔であるジャック・ザ・リッパー討伐の依頼を受けている。奴らは依頼主たるジャンヌを狙っており奴らの性質上襲撃は主に夜間に行われる。
また、迎撃ないし討伐には依頼主と協力者も加勢してくれる。
……過剰戦力な気もするが、命のやり取りをする上で万全を期するのは当然と言えよう」
聖堂に向かう間に仲魔たちへと改めて今回の依頼について簡潔におさらいする。
「ふむ、それは分かったが。その協力者とやら、なぜ事前に教えてくれんのか? “会えば分かる”と言われても不安なのじゃが」
ブラックマリアについてオサキへ説明するのは躊躇われた。なんと説明したらいいのか分からないし俺がそれを伝えるべきなのかも不安だ。なによりそれを知った彼女が“どう思うのか”。
……やはり当人同士で話し合ってもらうべきと判断した俺は、適当にはぐらかして彼女をここまで連れてきた。
「……まあ、会えば分かるよ。どうも俺が口を挟んでいいのか微妙な相手だからな」
「?」
訝しむオサキをスルーして、聖堂の扉を開く。
中には置いてきた仲魔たちとジャンヌ、そして――
「――お久しぶりですね、
聖堂内にて浮遊する地母神ブラックマリア。
ステンドグラスから差し込む日光がさながら後光のように輝く中で彼女は一直線にオサキへと視線を向け優しく微笑んでいた。
「――――」
その姿を見て直後、オサキは硬直した。目を見開き、ブラックマリアを凝視したままに固まってしまった。
数分ほど経って、ようやく瞬きした彼女は驚愕の表情のままに声を出す。
「はは、うえ?」
――その後、実に数百年ぶりとなる母子の再会にオサキはブラックマリアへと抱きつく……
激しく動揺はしていたものの、すぐに冷静さを取り戻し終始落ち着いた様子で作戦会議に参加していた。
俺としては拍子抜けな展開だ、彼女らの“経緯”を考えればオサキにも“色々と思うところ”があるはずだが。
「まあ、俺が口を挟むことじゃないな」
これは彼女らの話だ、俺がでしゃばる場面じゃないだろう。
そう思って何の気なしに口にした言葉だったのだが。
「……」
ジャンヌが何かしら言いたげな顔でこちらを見ていた。
「なんだ?」
「いえ……なにも」
そう言って顔を背ける彼女。
……聖女に俺の考えが見透かされたとは思えないが、何かしら気付いたのだとすれば、俺も気が緩み過ぎていた。
「――何はともあれ、今夜も見張りを立てて襲撃に備えるとしよう。敵が来たならば、“手筈通り”に。よろしく頼むぞジャンヌ」
「ええ、はい。元はと言えば私の出した依頼ですし、しっかりと戦わせていただきます」
さすがは戦場に立った聖女。戦いに臨む心構えはちゃんとしているようだ。ならば問題ない。
俺はチヨメちゃんやオサキ、新たに連れてきた仲魔たちに改めて作戦を伝えて、自分もまた迎撃準備に入った。
――寺院の周囲は自然に満ちていた。
木々の緑に覆われ、風が揺らす葉の摩擦音と共に小鳥の囀りが響くような。自然の宝庫だった。
――この光景を見てすぐに気づく。これが夢であることに。
夢と認識しつつ流れる光景を眺め続ける。
『■■様! できました!』
はしゃぎながら傍の男に話しかける見窄らしい姿の男児。これは遠い昔の“私”だ。
『大したものだ。やはりお前には才能がある』
男児の頭を優しく撫でつつ、男児が“験力”にて成した炎を眺める。
その眼は優しく、フードに隠れた表情も心なしか和らいでいるように見えた。
――これは“彼”に救われて間もない頃、修行をつけてもらっていた時の記憶だ。
師はひたすらに“真摯”だった。
いや、今も真摯だ。己の目的を定めて千余年、ぶれることなくその信念のままに“生き続けている”。
この時もそうだった。“生きる”という目的だけを得てほかに何もない私に対して、ひたすらに真摯に向き合ってくれた。
他の“生きる目的”というものを共に考えてくれた、“その手段”を教えてくれた、他のあらゆる知識を授けてくれた。
彼は、“強制”しなかった。無論、修行においては厳しいという言葉が生ぬるいほどにスパルタだったが。
私は私が“選んだ道”の果てとして、“今ここにいる”。
――この修行も無論のこと私の選択。即ちは“寺院の殲滅”の力を得るための行為だった。
とはいえ。
この当時の私としては、寺院への恨みというものは“実感が薄かった”。
恨み辛みを生むに至る“前提知識”を欠いた私に、怨嗟を糧とした行動は出来なかった。
だから、この時、私が“ここまでした動機”は――
――場面は変わって、寺院の中。
しかしそれは平時の寺院ではなく、血と脂、肉片に塗れた惨状と呼ぶに相応しい光景であったが。
無論、これを成したのは幼き頃の“私”だ。
きっかけは今にしては“些細なこと”。
なんてことはない、
その時の私の心情は
そこからはありふれた流れだ。騒ぎを聞きつけて現れた坊主どもを皆殺しにしながら、私は
私が“師”との交流の中で得た知識と、僅かながらも育まれた“心”と呼ぶべき感情の中で決断した“殺戮”ではあったが。
殺したからとて、
尼僧たちも同じだ、組織としての秩序の崩壊によって尼僧たちは真っ先に暴走した坊主どもの手にかかり大きく数を減らしたものの。
一部の者たちは坊主に“取り入る”ことで生き延びていた。
そいつらもまた“殺戮”したが。
いや。
もはやこの頃には
俺が坊主どもを殺してまで寺院の奥へ進んだ理由は――
――血の海と化した廊下を歩む。得物である錫杖はすでに紅一色に染まり絶えず血を滴らせていた。
そんな“俺”の頭にあったのは、ようやく
そして。
襖を開けて歩み入る大部屋、その中央にて床に伏せた状態の
『もう大丈夫』
『苦しみは終わりだ』
『孤独は終わりだ』
そんな言葉を告げるつもりだった。無意識にも“俺”はヒーロー気取りだった。ただひたすらに彼女を救いたいと願っただけだったのだ。
――しかし、この時の“私”は忘れていた。
私が師に授かった力は修験道、既に“天魔”と化した師が授けたのはそれを超えた“天狗道”にも匹敵する秘術であった。
つまり、私は『六神通』によって
それは悍しい“ナニカ”だった。私が当時、見出していた“世を乱す禍つ”。彼女はそれそのものだった。
彼女は将来、
一目見て瞬時に理解する。
この業は
魂、存在にまで刻みついた“業”。
今は
いずれいつの時代かに彼女は必ず禍ツとなる。
私は絶望した。俺は嘆いた。
唯一とも言えた“目的”が一瞬にして“反転”した時。
私は、俺は――
「……」
目を開けて最初に見たのは星々の煌めく田舎の夜空だった。
身を起こし傍に置いていた錫杖を手に取る。
形やモノは変われども、やはり私の矛たるのは。私の刃たるのは錫杖をおいて――
「マスタぁー?」
仲魔の気の抜けた声にハッとして意識を引き締める。
いやはや、我ながら柄にもない夢を見てしまったからか気が緩んでいた。
今となっては
「起きてますよ」
身を寄せるジャックの頭を撫でながら眼下の“街”を眺める。
かの聖女が立て篭もる教会を“遠目”に眺めながら、より近い街区に視線を移す。
その一角では、
「さあ、では行きましょうか。作戦開始です」
迷いはない。私はただ、“破滅”へと突き進むだけだ。
【あとがき】
なんかゴーストワイヤートーキョーってゲームに葛葉キョウジが出てるらしいっすね。
え、違う?(真面目な話、本気で面白そうでPS5の購入を検討しております