周囲の壁にかけられた松明が、灯の色を濃い赤から黄みがかった赤へ和らげた。
どこからか吹き抜ける風が頬を撫でる。そのどこか場違いな穏やかさが、荒かった息を少しずつ整えていく。
降り注ぐポリゴン片が全て宙に溶けたとき、誰かが呟いた。
「……勝った、のか?」
誰からも返事はなかった。ユウキやキリトは剣を振り上げたまま固まったように動かない。エギルたちタンク部隊は腰が抜けたように座り込み、キバオウら火力担当たちは呆然と立ち尽くしたりやはり座り込んだりしている。それでも武器を手から離すことなく、全員が未だ緊張の糸を解いてはいなかった。
ひょっとしたら、と。《曲刀》が《カタナ》に変更されていたように、それ以外にも変更が、ともすればまだボス戦には続きがあるのではと、そんなことを思っているのかもしれない。それだけ武器変更が与えた衝撃は大きかった。
俺も理由は違えど周囲を警戒していた。途中からジョニーの姿を見失っていたからだ。あの毒ナイフを所持していないという言は信頼しておくにせよ、他の手段を用いてちょっかいを出してこないとは限らない。そうでなくてもプレイヤーに武器を向け、あまつさえ危害を加えたやつをほったらかしていいわけがなかった。
だが、待てども待てどもそれ以上の動きはなく。
一瞬とも永遠ともわからない空白ののち、労るような声が耳朶を打った。
「お疲れさま」
フードを取り払ったままのアスナが、ユウキとキリトの剣を握る手に自らの手を重ねる。その重みはゆっくりとふたりの手を下げさせ、やがてかつんと剣先が床に触れる。
まるでその瞬間を待っていたように、ファンファーレが鳴り響いた。視界いっぱいに《Congratulations!》の文字。獲得経験値とドロップアイテムが次々に表示され、そして、わっ! とボス部屋が沸いた。
「やったやった、勝ったぁ!」
「わぁ!?」
ユウキが思いきりアスナに抱きつく。勢い余ってそのまま倒れ込んでしまったが、そんなことはお構いなしにユウキは全身で喜びを表す。
「……もう」
止めるに止められないらしく、アスナは大人しく抱きつかれている。その口元には微かな笑み。
それに見惚れるように惚けていたキリトに声をかけると、心底驚いたように飛びあがった。
「おつかれ」
「おう!? ……ああ、シュウ。うん、おつかれ」
「……美人だろ」
「な、なんの話です?」
「いーや、なんでも」
鬼気迫るほどに追いやられていたアスナには笑みがなかった。キリトのように自嘲するような笑みも、もちろんユウキのような心からの笑みも。それがようやく浮かんだ今を見て、少しだけほっとした。
少なくともボス戦前までの余裕の無さはなくなった。それだけで、今はいい。
「あ! ねえシュウ、見てた? ボクできたよ! ソードスキル!」
「……あぁ、最後の?」
言われて気づく。そういえば確かに、最後はキリトと同じタイミングでユウキも攻撃できていた。誰よりも早く攻撃したのもこのふたりで、誰よりも早くトドメを刺しに動けたのもこのふたりだったのだ。なるほど、ソードスキルが上手く発動できたからこその動きか。
「そう! なんかね、グッとやってズバーンって!」
「お前もかユウキ」
キリトと同じ感覚をどうやらユウキも掴んだらしい。表現の仕方まで同じってどうなのとは思うが、まあそういうふうにしか俺も言えないしな。
なんて内心苦笑いしていることなどつゆも知らず。嬉しくて仕方ないらしく、アスナから剥がれると俺の前でびょんこぴょんこと飛び跳ねる。
「アスナと一緒に走ったときにね、なんとなくこうだーってなって、そしたらずばーって!」
「そうか。やったな」
「うん!」
舞い上がるほどに喜ぶユウキに、俺は右手を挙げた。すると意図のわかったユウキも右手で応じて。
ぱぁん! と。小気味良く、音が鳴った。
そんな騒ぎの中で、立ち上がったエギルがゆっくりと近づいてきていた。
「おつかれさん、エギル」
「シュウといったか。ナイスゲームだった。いいもん見せてもらったぜ。特にあんた」
そう言ってキリトを示す。
「見事な指揮だ。そしてそれ以上に見事な剣技だった。コングラチュレーション」
ネイティブな発音でキリトを褒めた大男は、白い歯を見せてニッと笑って拳を突き出した。ベータテスターだと知ってなおこうして接してくれていることを、おそらくキリトは知らない。だからだろう、戸惑うように俺を見てくる。それに頷いてやると、おずおずとしながらも拳を合わせようと右手を持ち上げようとした。
その時だった。
「──なんでだよ!」
悲鳴にも似た叫びが、嵐のような歓喜の騒ぎを一瞬にして消しとばした。甲高く悲痛なそれは、壁際に立つ一団のひとりから発せられていた。あれは……確か、C隊か。
キリトもエギルも、ユウキもアスナも。その場の全員が彼に目を向ける。
「なんでディアベルさんを見殺しにしたんだ!」
俯き、けれど睨みつけるように視線だけは下げない彼は、キリトに向けてそんなことを口走った。
「見殺し……?」
キリトが小さく口にする。まるで理解ができないとでも言うように。だがそれは俺も同じだった。
ディアベルを見殺しになんてしていない。そんなことをするわけがない。もしもキリトがそんな図太い神経をしていたとして、ならば戦場で見せたあの涙はなんだったのだ。
「そうだろ! だってアンタは知ってたじゃないか、ボスのソードスキルを! 初めからそれを教えてくれていれば、ディアベルさんは死ななかった!」
途端に、レイドのあちこちでざわめきが起こった。確かに、なんでだ、おかしい、そんな言葉が聞こえてくる。
ディアベルが死んだのは、言い方は悪いが自業自得ではないのか。己のゲーマーとしての矜持が彼を突き動かした結果なのだから。それに、彼を殺したのはある意味でジョニー・ブラックだ。もしもの話でしかないが、俺やユウキが間に合っていれば死ぬことはなかったかもしれない。そう考えれば、ジョニーやディアベルを責め、あるいは悼むことこそすれ、キリトが責められるのはお門違いも甚だしい。
だが、ジョニーの存在を彼が見ていたかというと、確かに怪しくはあるのか。たぶんスタンで倒れていたときだっただろうし、それ以上にディアベルの死が衝撃的だったのは間違いない。
それに、ひとたび感情的になってしまえば止めることは容易じゃない。目つきをさらに鋭くしたC隊の彼から、恨み言が流れ出す。
「アンタ、ベータテスターなんだろ? だから知ってたんだ。攻略本にすら載っていないものを知ってるのがいい証拠だ、実際ボスのソードスキルの名前を知っていたものな? なんなら元から知ってたんじゃないのか、攻略本は間違っていたこと。知ってて黙ってたんじゃないのか!」
その糾弾に、キリトは答えない。答えられないのかもしれない。確かにベータテスターではあるが、それをこの場で公言しては格好の的だ。
だがそうして黙ってしまうことが、周囲の疑念をさらに深くしてしまっていた。
そんな折、律儀にも挙手をして、ひとりのプレイヤーが遮るように質問を投げる。エギルが率いていた壁役隊のメンバーだ。だからというわけではないだろうが、キリトをやや庇うような目線からの意見だった。それは的確なものだったが、痛いところを突かれた彼はしかしやはり止まることがない。
「でも、攻略本はベータ時代のものだって書いてあったよな。彼がベータテスターなんだとしても、ボスの攻撃パターンの知識は攻略本と同じなんじゃないか?」
「……なら、情報屋もグルだ。攻略本にウソを書いたんだ。《鼠》だって元ベータテスターだ、そうじゃなきゃあんなの書けないもんな。あんなの、タダで寄越すわけがなかったんだ」
唖然とした。こいつはいったい何を言っているのかと。
アルゴがどれだけ走り回って、どれだけしっかりと裏を取っているのか知らないだろう。睡眠を削り体力を削って得た確実なものだけを、あの守銭奴が無料で提供してきたんだぞ。だから今日ここまで来れたんじゃないのか。
エギルが呆れるように声を漏らす。ここまで黙って聞いていたアスナも、戸惑うような、それでいて怒るような表情で今にも反論をかましそうな体勢だ。
そしてそれよりも先に噛みつく声があった。
「そんなことない! アルゴはウソなんて書かないよ! 今日のだって、違うかもって書いてくれてたじゃない!」
「それだって怪しいもんだろ。今回みたいに犠牲があった上で書いてるのかもしれない。誰かに試してもらった結果なら間違えようがないからな」
「──っ!」
ユウキの反論に、彼は声音だけは冷静に返してくる。
否定はできない。実際、攻略本のスタートはキリトによる体験だ。その後も、アルゴや俺が間に合わなかったために事後の広報になってしまったものはいくつかある。事実は確かに混じっている。
だが、だからってわざわざ誰かに試してもらうなんてことはしていない。それは誰よりも俺が知っている。
「そんなの──!」
「やめとけ、ユウキ」
「でも、でも!」
「いいから。ありがとうな」
なお反論をしようとしてくれるユウキを宥める。会議のときもそうだった。この子は、誰かのために怒ってくれるのだ。でもだからって、それに甘えてはいけない。そうして噛みつくことで、この子にまで謂れのない疑いがかけられては意味がない。
それに、筋が通らないよな。なんたって、当事者がここにいるんだから。
「なあ、なんとか言ってみろよ。元ベータテスター!」
「……っ!」
詰る言葉に、キリトが身を固くする。
おそらく、否定してももう無理だ。どうしたって攻略本になかった情報を知っていた事実は覆しようがなく、既に身分はバレてしまっている。だからって認めてしまえばもう後戻りはできない。きっとキリトもそれはわかっているのだろう、何かを言おうとしては口をつぐんでを繰り返した。
「エギル、悪いがあと頼むな」
「……おい、まさか」
エギルの言葉に返事はしない。ろくでもないことをしようとしているのはわかっているのだ。後ろめたさはもちろんある。それでも、俺は決めたのだ。
もう二度とキリトをひとりにはしない。アスナを生きて帰らせる。そしてユウキに、もっと広い世界を見せてやるのだと。
そのためならば、俺は何にだってなってやる。
──頼んだゾ。
今日だけで何回アルゴの言葉を反芻しただろうか。結局、いつ思い出しても上手くいった試しはなかった気がする。すまんな、アルゴ。
打ち震えるキリトの肩に、できるだけ優しく手を置く。縋るようにキリトが見てくるのを視界の隅で捉えたが、これから俺がすることを考えると素直に目を合わせられなかった。
「ちょっと、いいかな」
「なんだよ」
キリトへの視線を遮るように前へ出る。
キリトにもアルゴにも、なんならもちろんディアベルにだって、悪気はないのだ。ただ上にいた──それだけで嫉妬の対象にはなり得たし、だからこそこうして崇拝に近い持ち上げられかたをしている。その浮き彫りになってしまった溝を埋めるには、さらに上を作り出すしかない。より気持ちの矛先を向けやすいもので隠してしまえばいいのだ。
例えば──そう、ジョニーのような。
「まるで今日このときのために《鼠》が信頼を稼いできたみたいな言いかただけど」
「……そういうことだろ。ディアベルさんを殺すために、全てのプレイヤーを騙してきたんだ」
まあ、そういう見方もできなくはないのか。ここまで全てがブラフだったと。なるほど。
納得して内心頷いていると──ぷつん、と。何かが切れた音がした。
──そういう方向でいこうか。
《鼠》の名前に傷がつくかもしれないが、そこはそれ、各々の情報精査の精度を上げさせるための犠牲ってことにしてもらうということで。
俯いて、右手で顔を押さえる。それから、可能な限り口角を上げて。
「ふっ──はははははは!」
盛大に笑ってやった。
「な、なにが可笑しい!」
「いや、すまん。ふっ、ふは、いや笑うとこじゃないよな。ふっ」
思ったより上手に笑えたせいか、後まで少し引きずってしまった。だがそれが功を成したようで、上手いこと注目が集まった。うん、結果オーライ。
「あながち間違いじゃないなと思ってさ。思ったより馬鹿じゃなかったんだな、うん」
「なにが言いたい!」
「いや、簡単な話なんだ」
そう、いたってシンプルな話なんだ。ディアベルと同じ背負いかたが出来ないなら、違う背負いかたをするしかないって話。
「あの号外、書いたのは俺だ」
さて、それじゃあ演じようか。《プレイヤーの敵》を。
✳︎
「あの号外、書いたのは俺だ」
「な……!」
シュウの言葉に、ユウキやキリト、アスナも含めて全員が一斉にざわめいた。
それは紛れもない自白だった。ウソの攻略本を配りましたと宣言したのだ。誰にとっても予想外だった。
特にユウキたちにとって、彼の行動は突飛すぎた。アルゴとのやりとりを知っている、彼本人を知っている。それだけにその唐突な発言は大きな困惑を生んだ。
「ディアベルに号外を渡したのも俺だ。そうじゃないとあんな内容は誰も受け付けてくれないもんな」
シュウはさらに自白を続ける。明らかに自分を追い込んでいるのは本人にしてもわかっているはずなのに、泰然自若な様を崩さない。その余裕が、C隊の、キリトを詰っていたプレイヤーをさらに煽っていた。
「お前が、《鼠》……! お前がウソを書いたのか! お前が、ディアベルさんを殺した!」
より憎悪の深まった鋭い視線がシュウに向けられる。今にも腰に下げたシミターを抜きそうな剣幕だが、それすらも意に介さない。
「《鼠》じゃねえよ。今回は偽装したが、俺は名もない情報屋だ。あぁでも、今後やってくうえで名無しじゃ不便か。そうだな、《梟》とでも呼んでくれ。好きなんだよ、梟。かわいいよな」
フクロウ、と誰かが呟いた。シュウに集まる視線が、次第に戸惑いから敵意に変わっていく。
それをさも楽しんでいるかのように、シュウの言葉は止まらない。
「ほんと助かったよ、《鼠》があれだけ信頼を稼いでくれたおかげで簡単に騙されてくれるんだもんな。腹が捩れるくらい笑わせてもらった。ありがとうな」
「こいつ……! なにふざけたことを言ってるんだ!」
「──ふざけてるのはお前らだろ」
静かな声音だった。それだけに強い圧がある。彼は思わず口を噤んだ。
ややあって、シュウは嘲るような笑みとともに口を開く。場が静かだからだろうか、口調は変わらないのに声量が上がったような錯覚があった。
「ディアベルが死んだのがベータテスターのせい? なにナメたことほざいてんだ。アイツが死んだのはアイツが弱かったからだ。違うか?」
「っ……ディアベルさんを馬鹿にするなよ!」
「別にアイツを馬鹿になんてしてないさ。それどころかできないね。最後まで自分の意志を貫き通した、尊敬に足る傑物だ。俺が馬鹿にしてるのはお前らだよ。誰も彼もディアベルディアベル。金魚の糞かっての」
「お前……お前ぇ!」
シュウの吐き捨てるような言葉に激昂した彼は、ついに腰に下げていたシミターに手を伸ばし──抜いた。
誰も止めなかった。シュウも笑ったまま。シミター使いは大上段に構えて裂帛の気合とともに突撃する。
だが振り下ろした剣が敵に届くことは──否、剣が振り下ろされることすら叶わなかった。
「遅えよ」
シミター使いが構えた瞬間だった。その時にはもう、シュウはカトラスを
呆気に取られ動きの止まった腹にシュウは前蹴りを繰り出し、尻餅をつかせた。まるで不良のケンカような蹴りかただった。悪意を存分に見せつけるかのような。
「ぐっ、は……! な、何をする!」
「だからこっちのセリフなんだって。何しようとした? 人に剣を向けるってことは、覚悟はできてんだよな」
「くっ……!」
「それにほら、見ろよ」
言って、シュウは頭上を示す。そこにはオレンジのカーソルが回っていた。
これは加害者の証だ。傷害、犯罪、そういった倫理違反がシステムに認められた悪人の証。本来の色であるグリーンならばなんの問題もない。しかしその色がひとたびオレンジに変色した瞬間から、圏内──すなわち村、街とシステムが指定した安全圏に入ることを許されなくなる。それはこのデスゲームにおいて自殺行為に等しい。
だがこの時この場において、それはシュウのストッパーを外すための装置でしかなかった。
「もう遠慮なんてしねえよ。殴る蹴る斬る殺す、俺はなんでもやるぞ。それともなにか、今さら助けてくれとか言わないよな。お前から剣を向けたんだもんな?」
彼の視線が、シュウの動きに合わせて上を向く。新たに出現させた予備のカトラスに灯るオレンジがその目に反射していた。怒りに燃えていたシミター使いの瞳が揺れる。
「死ねよ」
短い言葉とともにカトラスが振り下ろされる。
刃が眼前まで肉薄して──直後、大きく弾かれた。
「ちょっと待てシュウ! やりすぎだ!」
「……キリト」
シュウの剣を止めたのはキリトだった。気怠げに、邪魔された苛つきを視線に込めてシュウはキリトを一瞥する。それにキリトは圧され視線を外し、シュウは興味を失ったようにまた視線を戻す。怯えきったシミター使いの視線が、シュウのそれと交わった。
シュウは剣を収めると、あからさまに大きくため息をついた。
「助けてくれたこいつに感謝しろよ。そうでなきゃ殺してた」
仲間に引きずられるようにして、彼は元いたC隊の輪に戻っていく。庇うように囲む彼の仲間は──それどころか周りで見ていたプレイヤーたちも、シュウを敵意ある目で見ていた。
彼が完全に腰を抜かしているのを確認して興が醒めたと言わんばかりにおどけ肩をすくめると、シュウはユウキたちの脇を抜け玉座の裏にある扉へと歩き出す。
「シュウ……」
「シュウ、さん」
すれ違いざま、ユウキとアスナは戸惑いがちに呼び止めた。なぜ、どうして。聞きたいことは山のようにある。だがシュウは止まってはくれない。ユウキが躊躇いがちにシュウの裾を掴もうとして、しかしその手は届かず宙を掻く。
背中が遠ざかっていく。
「待てよ、シュウ!」
キリトが叫ぶ。それにすらも振り向かず進んでいくシュウは玉座の裏にある扉に手をかける。
重い音が響く。その先に人影があった。頭上にはシュウと同じオレンジのカーソル。そのプレイヤーをユウキは知っている。
「よぉ。悪い奴だなお前」
「お前に言われたかねぇなジョニー」
──ジョニー・ブラック。
ディアベルを救うのを邪魔した男。シュウに、毒のナイフを立てた男。ユウキの手に力がこもる。今すぐにでも駆け出したい気持ちはしかし、ギリギリのところで踏みとどまった。軽く言葉を交わしたシュウが、そこで初めて振り向いたのだ。
ボス部屋に残したレイド全員の視線を集めていることに満足げに頷いて、彼は薄く笑みを浮かべた。キリト、アスナに目を合わせ、最後にユウキと視線を交える。
「じゃあな」
そして扉は閉まる。
静寂が、ボス部屋を包んでいた。
アインクラッド編第一部、完。
長らくお付き合いいただきありがとうございました。
変わらずのんびり更新ですが、どうぞよしなに。
さて野郎ども、舞台は整ったぜ……!
※「はじまりの日」誤字修正済