「なるほどな」
リルトットは自室で本を読んでいた。表紙には『最も苦しい地獄の拷問』と火に炙られたりなど苦痛の表情を見せる者達のイラストが描かれており、よほどのサディストでもない限り、手にとって読もうとすることすらないだろう。
リルトット自身、拷問に興味はない。そんなことするぐらいなら食い殺した方が手っ取り早いからだ。しかし今回だけは違っていた。
「あのバカをどうにかしたいのです。協力、お願いできますかな? お互いのために」
死を恐れるくせに性懲りもなくバンビーズや女性滅却師の入浴を覗くセクハラ男、ゼロス・ブランツ。そのバカの直属の上司であるキルゲ・オピーに頼まれたからだ。
普段はふざけていると思われる口調と態度を取るキルゲだが、任務に忠実でかつ実力がありユーハバッハへの忠誠心は高い。そんな彼を隙あらば他人を貶める
そんな彼にとって、覗きやセクハラを呼吸のようにするゼロスは品位を下げるだけの存在でしかなかった。
そんな彼に同情したのもあってすぐには答えは出さなかったが、リルトットは『どうにかする』方法を模索し始めた。
「あのバカは注意したところで直りはしない。ならば覗きやセクハラをすれば痛い目を見ると身体に覚え込ませるべきだ」
そう考え、効果的な拷問は何かを探る。
「『ファラリスの雄牛』……こいつは酷いな。確かにあいつはイヤな男だがここまですることはないだろう。そんでもって『スキャヒズム』……これはハチミツと牛乳がもったいないな……」
そんなことを呟きながら本を読み進めていくリルトット。
「……人という者はよくこのようなことを考え付くものだ」
敵であれば殺すことに
「ん? 待てよ……」
リルトットはあることに気づいた。
「そもそもあいつは逃げるのが上手いんだ。
セクハラの被害にあっているリルトット自身、ゼロスを殺そうと思いって攻撃を加えたのは一度や二度ではない。しかしどれも直撃はおろか服や髪の毛一本にも当たったことはなかった。
「……だったら無駄だな」
どんな攻撃も恐怖に歪んだ顔で避け続ける男の姿を思い出し、リルトットは匙を投げた。
『ファラリスの雄牛』、『スキャヒズム』
知らない人は知らないままでいいと思います。調べて不快な思いをしても自己責任でお願いします。