駄作   作:匿名希望ただの人

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1年Fクラスの愉快な寮生活

 

 

模擬試合が終わり、後は校内を案内したり、今後の学校生活について話を聞いた。

お昼の時間を少し過ぎたくらいで今日の授業は終わり、明日から本格的な授業が始まる。『死ぬギリギリまで追い詰めてやるから覚悟しろ!』と最後に脅し文句のようなものを言ってたが、今はあまり気にしないでおこう。

解散した後各自行動をするが、カズキは荷物とか置きたいのでまず最初に寮へ向かった。

寮は学園内にあり、一学年、二学年、三学年と別れて寮がある。

その中で、各クラスごとに建物が分けられている。

ちなみに、Aクラスに近いほどいい部屋になる。差別だ。

「ここか、俺達が住む寮は」

二階建ての四角い一軒家に見える、いや一軒家だ。

なんで一軒家なのか疑問に思うのだが、彼は心の中で「やったー!」と叫んでいた。

なんせ、ここに来るまでにAクラスの豪邸を見てB、C、D、Eと徐々に寮のランクが下がっているのを見てひょっとしてFクラスは馬小屋になるのではと不安になっていた。

ひとまずまともな寮だっので一安心する。

中へ入ると思ったより広い、玄関にはすでに靴があり何人かあがっている。

カズキもあがろうとした時、近くにある部屋から大きな声が聞こえる。

「あぁ!?そんなの認められる訳ないだろ!」

「わたくしが貴殿方と一緒に暮らさないといけないのですか」

入って見ると、帽子を被った男とプラチナブロンドの美少女が激しく言い争っていた。

「てめぇが落ちこぼれだからだよ、お嬢ちゃん」

男の方の名前はジェルマン・オルガノート。

「なっ。あなたも落ちこぼれじゃないですか」

女の方の名前はノア・アルバートン。

「なんだと、やんのかコラァ」

「上等ですわ、返り討ちにして差し上げますわ」

ふっ、とプラチナブロンドの髪をかきあげ微笑むと神威で造りあげた弓が手の中にあらわれた。

「やってみろや」

ジェルマンもトンファーを持ち構える。

まさしく一触即発の状態。

「ちょ、おい、やめろよ」

すかさず間に入り喧嘩をとめる。

「テメェ、邪魔すんじゃねぇよ」

「カズキさん、邪魔をしないでください。わたくしがこの淫獣を退治できません」

「……誰か、この喧嘩の原因を教えてくれ」

そう聞くが誰も答えてくれない、なんせ部屋にはこの2人しかいない。

なんとか暴走する2人を落ち着かせ話を聞く。

ざっくり言えば、男子と同棲するのは嫌だから出てけ。とのことだ。

「…………」

それにはさすがのカズキも何も言えなかった。

確かにお年頃の女の子が、知りもしない男と一つ屋根の下で暮らしたくない。

だが、出てけはさすがに酷い。

一番酷いのはこんな寮にした学園なのだが、それを言うとあの二人が学園に乗り込みそうなのでやめておこう。

「なるほど。難しいな」

「難しくねぇだろバカ野郎」

「そうですわ」

「…部屋は男女別で、風呂もトイレも別なんだろ?一緒にいるのはここの部屋ぐらいなんだから」

「きっとわたくし達を襲うにきまってますわ」

「誰がテメェみてぇなブスを襲うか」

「レディに向かってブスですって、万死に値しますわ」

「落ち着けって、ったくよ」

喧嘩になる前に素早くとめる。はやくとめたからすぐにおさまった。

「なぁ、ノアさん。どうしてもダメなのか?」

ジェルマンが静かになっているその間にノアと話をつける。

「ダメですわ。貴族のわたくしがここに住むこと自体がありえませんの」

「そうか、やっぱダメか。って貴族」

「わたくしはアルバートン家の長女ですわ」

アルバートンと言えば、アルバートン領土主……とんでもない貴族のお嬢様だった。

確かに貴族ならこの状況は嫌がるかもしれない。

「んな、領土だけの田舎貴族の事なんか誰もしらねぇよ」

ジェルマンが突っかかり再び口喧嘩が始まった。

「ふ、ふふふ。アルバートンが田舎ですって?」

氷河のように美しかったアイスブルーの瞳から光彩が消え、口からこぼれる笑い声がなんとも不気味だ。

「そうだろ、なあんにもない超スーパード田舎!ドルツェルブでもそんな所はないぜ」

「あんな汚れた場所と一緒にしないでほしいですわ」

「汚れた場所ってなんだ汚れた場所って」

「そのまんまの意味ですわ、そんなことも解らないのですか単細胞」

「んだと言い訳ババァが」

「なんですって、気狂いバカ」

「急に誉めんなよ」

「誉めてないですわ、弱小軍人」

「なんだとコラァ」

「だああっ、これから三年間過ごす仲間だってのに、こんなギクシャクしてどうするんだ!」

思わずテーブルを叩き怒鳴り声をあげる。

こんな状況じゃいつまで経っても話は進まない。 

「ノアさんは横暴すぎる、何も手を出す前提に話を進めるな」

「ジェルマンも、絶対に手を出すなよな。出したら俺が斬る」

「ほぉ、やってみよろ」

「おい、こいつやるつもりだぞ。ちょっとここの上の者と話してくる」

「ちょ、まて。意味が違うだろ」

流石に分が悪いと思ったのか、言葉を訂正する。

「カズキさんが、もし、その…わたくし達を襲ったらどうするのですか」

ノアが先程見せた態度とは一転、もじもじとしながら聞いてくる。

他の男の抑止力になるかもしれないが、カズキも何か抑止力となるものが必死なのは当然だ。

「その時は腹を切って詫びよう」

「お腹を、切る?」

聞きなれない言葉にキョトンとするノア。

「いや切腹は名誉ある自決だ、処罰はそちらが決めてくれ。どんなものでも俺は甘んじて受けよう。」

「うっ、わ、わかりましたわ」

カズキの気迫に押されたのかノアはすんなり受け入れてくれた。

これで問題はなくなった、ならば。

「よし、なら飯にしよう。誰か料理出来る者はいるか」

と聞くが、誰も反応しない。

食堂はあるが、元々貴族のようなエリートが学ぶ学園なので値段が半端なく高い。

だから、カズキみたいな市民だと自炊か街まで降りて食べにいくしかないのだ。

「……仕方ない、俺が作ろう。」

誰も自炊が出来ないのであれば、カズキが毎日作る形に自然となる。なんかため息がでそうだ。

「おいおい、お前が料理なんか出来るのか?」

「なめるな、昔から家事はやらされてたんだ」

「あ、あの…わたくしは多少料理の心得がありますわ」

後々にノアが手を上げて言ってくる。

「助かる、さぁ何を作ろうかな」

茶の間の近くにある台所へ行き大きな食料庫を開ける。

………なにもない。

「よーし、買い出しだ」

仕方ないので街へ出て買い出しをしなければいけなくなった。

茶の間にいるやつらに知らせようと戻ると、大男……否、獣人が新たに加わっていた。

2メートルを越える身長と筋肉質な体型、そして顔にある傷から異様な威圧感がある。

「……材料が無かったから狩に行ってきた」

男は手に持つ三羽の鳥を見せる。

「うおぉぉ、流石だ。えっと名前は」

カズキはたまらず男の手を取る。

「レオン・ビースタルク」

そういえば自己紹介の時にいたな、体格と角に目がいって名前は覚えていなかった。

「おいおい、獣人が鳥なんかくっていいのか?共食いにならないか?」

ジェルマンが皮肉混じりにに聞く。

「俺達獣人は毛のある動物の肉は食べない、代わりに鳥類や爬虫類、竜、魚、虫を食べる。」

獣人の他に鳥人、リザードマン、魚人と分けられられており、それらの動物は同族という意識はないようだ。

「じゃあカニバリズムに気をつけないとな。」

「動物達でも同じ種を食いはするんだ、大丈夫だろう」

「それって守られているのか?」

「気にするな」

「よし、さっそく下準備だな」

「ああ」

カズキとレオンは外へ出て寮の裏側へ行き下ごしらえをする。

下ごしらえと言っても羽をむしって、さばく程度だ。

「手慣れているな」

カズキの手慣れた動きを見て言ってくる。

「昔じいちゃんに教わってな、多少は自給自足はできる」

「人間にしては珍しいな」

「結構、難しいですわ」

隣で貴族のお嬢様が平然と羽をむしっている。

「無理するなよ、こういうの慣れてないだろ」

「ふっ、こう見えて、わたくしはは狩猟の達人ですの、狩った後の解体もやったことありますのよ」

と、自慢気に言ってくる。本当に貴族なのかなと一瞬疑ってしまう。

「鹿とかならやったことありますけど、鳥はやったことがありません」

「やつらの毛皮を剥ぐのは難しい、綺麗にやらないと売り物にならない」

「あれ、毛のある動物は食べないんじゃないの?」

「……気にするな」

「この鳥はなんの料理にするのですか?量が足りないように思いますわ」

ノアが聞く、確かに三羽だが、鳥自体が小さい。

この人数だと足りないと思うのは必然だろう。

「焼いて食ったら足りないよな」

「そうだな。俺は鍋にしようと思ったのだが」

山菜やキノコが入った籠を見せる。

「こ、このキノコは食べてもよろしいのですか」

中には禍々しいキノコも入っており、不安そうに聞いてくる。

「それはベニウマダケ、毒を持ってそうな色をしてるが持っていない。そしてうまい」

「なるほど、見せ掛けか」

「……本当に大丈夫ですの?」

「不安なら取り除いて構わない、後で焼いて食べる」

「いいですわ、同じクラスメイトとして信用しますわ」

羽をむしり終えるとレオンは短刀を取り出し手慣れた手つきでさばき、下処理を終える。

「じゃあ台所へ行くか」

「ダイドコロ?キッチンではないのですか?」

再び出てきた聞き慣れない言葉に、ノアは不思議そうに聞き返す。

「……キッチンだな」

「料理はわたくしにお任せくださいな」

「いいのか?」

「えぇ、さっきの汚名を返上させていただきますわ」

そう言うと、食材を持ってキッチンへ向かう。

食料は無かったが、幸いにも調理器具や、食器類、調味料も使いかけだが一通りあった。

さすがにそこまで差別はしてこないようだ。

昼御飯はノアに任せてカズキとレオンは茶の間で時間を潰すことにした。

「飯はまだか」

ソファと呼ばれる柔らかい四角い椅子に横になってるジェルマン。

「今ノアさんが作ってる」

「なに!?あいつが飯作っているのか?」

ジェルマンは飛び上がるようにソファから降りて玄関へ向かう

「どこ行くんだ」

「あ?外で飯食ってくるんだよ、あいつの飯なんか食えるか」

ジェルマンの反応を見て2人は顔を見合わせる。

やってしまったのか?

考えていることは同じなようだ。初対面だが意志疎通ができている。

「……なにか、あるのか?」

カズキが恐る恐る聞く。

そこまで嫌うなら何か理由があるのだろう。

「あ?あいつが作ったもんなんか食べたくねぇだけだ」

……ただの毛嫌いだった。

心配して損した。

「お前、ガキじゃないんだから」

カズキがほっとすると、やれやれと首をふりながらいう。

「大人になれ」

レオンもジェルマンの肩を叩き、そのままテーブルの前に座らす。

「おい、離せよ」

「飯を食べたら話す」

腕を振り払い立ち上がろうとするが、びくともしない。

(ぐっ、なんて力だ)

獣人は種によって異なるが、人間より身体能力は高い。

レオンは見た目通りのパワー型、ジェルマンは片手で動きを止められてしまう。

「まったく、静かに待つこともできませんの」

可愛らしいエプロンを付けたノアが、鍋を持ってやってくる。

すかさずレオンが鍋敷きをテーブルに置き、カズキはキッチンからお碗と箸を持ってくる。

「あら、気が利きますね。ありがとうございます」

テーブルの真ん中に置いて座る

「…それにしても。椅子は無いのですか?」

ここの国では椅子に座って食事や読書、書き物をする。

しかしこの部屋にはソファとテーブルしか家具はない。

「これが普通じゃないのか?」

「アニマニアはこうだぞ」

アニマニアとは、六大陸の一つ。獣人が住む国のことで、人間とは文化や風習が異なる事が多い。

「んなのどうでもいい」

だが、この3人は気にならないらしい。

それを見たノアは観念したかのように静かに座る。

「冷める前に頂くぞ」

「腕によりをかけて作りましたわ。どうぞ御賞味あれ」

蓋を開けると食欲を奮い立たす芳香が立ち上がる。

さっそくお玉でお碗によそい食べる。

「いただきます」

肉を噛むと肉汁が溢れ出しなんとも言えない幸福感が広がる。様々な薬味を組み合わせた薬膳スープが胃に染みる。

「具が少ないので、鍋よりスープに近いものになってしまいましたが、お口に合いましたでしょうか」

カズキはその美味しさに絶句していたので、コクコクと頷くしか意思表示が出来なかった。

「いや、アニマニアの鍋の作りはこんなものだ」

「では鍋スープですね」

鍋だろうがスープだろうが、うまければどっちでもいい。

「てかお前も食べるのか」

カズキの隣でジェルマンは大口を開いて一気に掻き込み、わしゃわしゃと食べている。

「あ?うまけりゃ誰だって食うだろうが」

そう言うと再び食べ始める。

あれほど毛嫌っていた人が言うセリフには思えないが、ノアの料理の腕は認めた事なのだろう。

「まぁノアが作ったてのが気に入らないがな」

「味だけでも誉めてくれてありがとうございます」

「けっ、テメェの感謝なんざぁ気味悪ぃぜ」

「本当は嬉しいんでしょう?」

銀髪の少女、サクラギ・リュークがジェルマンの頬をつつく。

「なっ、テメェどっから出てきた」

「最初からよ」

手には箸を持っており、お碗も中身が入っている。

確かに人数分のお碗と箸を持ってきたカズキ、だがそれは3人分だ。

「嘘つけ!」

「美味しいわ」

リュークはジェルマンを無視して食べ始める。

「薬味の調合が素晴らしい、コゴの実がいいアクセントになってるわ」

「まぁ、そんなことまでわかりますの?」

「食べればわかるわ」

とは言うが、コゴの実は栄養豊富なのだが独特の風味と苦みなどから死ぬほど不味いで有名で、薬剤として使われることが多い。

食べてきたがそんな感じは一切なかった

「あの不味いやつか、んなもん入れたのかよ」

「こんな使い方があるんだな」

ノアの料理技術と知識に感心していると、ガサっと玄関の方から音が聞こえたので反射的に箸を投げてしまう。

「何者だ」

玄関の方へ向かう、投げた箸は壁に突き刺さっている。

「あわわわ」

そこには黒い瞳を潤した少女が腰を抜かしていた。

「……え、えーっと」

「何事ですの。ってルリーさん、どこに行っていたのですか?」

心配したノアが、部屋から出てくるなり少女の手を取り起こす。

「ルリー?」

「同じクラスじゃないですか」

艶やかな黒髪に純黒の瞳が印象的な少女。

ルリー・マキフィルム・クライシス、その少女の名前だ。

そういえば居たな。

真剣に自己紹介を聞いてた割には全く覚えていないカズキであった。

「随分と幼い面してんな、本当に同い年かよ」

ルリーの顔に近づきまじまじと見るジェルマン。

確かに疑ってしまうほどの幼い顔だが、わざわざ口に出して言うことだろうか。

「ひっ、ごっ、ごごめんなさい」

「あぁ!?なにかってに謝ってんだゴェ」

威圧をかけていたジェルマンの後頭部に激しい痛みが走った。

「いってぇな!なにしやがる!」

すかさずノアの方を向くが、目の前にいる。

「怖がっているだろう」

後ろを振り向くと拳を握ったレオンがジェルマンを睨んでいる。

「怖がらせた訳じゃねぇよ、こいつが勝手にびびってんだろうが」

ゴツン。と、ジェルマンに再び拳を落とす。

「強き者は弱き者に合わせる。優しく接してやれ」

「弱き者は強き者に蹂躙されんだよ。ってぇ、やんのかコラ」

三度目の拳でカチンときたジェルマンはレオンの胸ぐらを掴み荒声をあげる。

「やるなら外でやれよ、壊れるから」

「お腹すいたでしょ、ルリーさんも食べて」

「あ、ありがとう」

誰も止める気もないのだろうか、2人を放っておき食事に戻る。

「元気がいいねぇ諸君」

そこへ、レイカ先生が煙草を吸いながらやってくる。

「旨そうなもんあるじゃんか、私にもくれよ」

席に座り誰かのお碗と箸で食べ始める。

「んでここに居んだよ。あとそれ俺のお碗と俺の箸と俺の場所」

まるで自分の家のような態度をとるレイカに、ジェルマンはキレながら言う。その姿に先生に対する尊敬など微塵も感じない。

「ここは私の寮でもあるんだ。よろしくな」

そんな態度を気にすることなくレイカ先生は重要な事をさらっと言った。

「はあぁぁ!?」

「元々寮を管理する先生の部屋なんだぞ」

「知るか、出てけ!」

激しく怒るジェルマン。学校だけでなく私生活にまで先生がいると、常に監視されていることになる。

ただでさえ女子と同じ家に住むのにこれ以上規制をかけられたらたまったもんじゃない。

「そう言うな、男と女が一緒の家で宿泊するんだ。ましてや問題児だ。監視がいるのは当然だろ」

「このアマァ……」

後者はともかく、前者にいたってはその通りである。

正論に関してはさすがのジェルマンもこれ以上強く言えなかった。

「なあに、プライベートまで縛ることはしないさ。気楽にやろうぜ」

すでにダランとしているレイカ先生。校舎にいるときは制限があり、ピシッとカッコいい印象があるのだが、プライベートではかなり気が軽いらしい。

「ギャップが激しいですわね」

「そうだな」

生徒がいるにも関わらずオンとオフの切り替えが激しく切り替える。自分を隠さないというか隠しているというか、なんと言うか、もうわからない。

「一応言っておくが、私は料理も掃除も洗濯もできない!全てお前らに任せる!」

「はぁ!?」

「なあに、心配すんな。洗濯機も干す場所も男女分けてあるから安心しろ!」

「ちげぇよ、お前は何もしないのかよ」

退いたはすのジェルマンが再び前に出て怒鳴り散らす。

「そうだな、じゃあ毎日訓練させてやろうか?」

「ふざけんな、プライベートがねぇじゃねえか」

「それとも不味い飯を食って汚い部屋に住んで、泡だらけの服をきたいか?」

衣食住全てを滅茶苦茶にするぞと脅しをかける。

「絶対わざとやるだろ、おい。あと若干自慢気に話すなよ腹が立つ!」

「洗濯したら泡だらけになるのか?」

「普通はなりませんね」

レオンの素朴な疑問にノアが呆れたように返す。

「ルリーさんは家事出来るのか?」

「ある程度ならできます」

「そうか、なら安心だ」

荒れ狂うジェルマンを落ち着かせ、この件は一段落つける。

「あの、椅子とかないのですか?」

「ソファならあるぞ」

ポンポンとジェルマンが横になっているソファを叩く

「この方が楽でいいだろ?私は多文化主義だからいいと思ったのを取り入れている」

「…どこの文化ですの」

「アニマニアだな」

キッとレオンの方を睨むノア。

「そんなに嫌か?」

「足が痛くて、長く座れないのです」

「正座しているからだろ、足を崩したらどうだ?」

さっきから丁寧に足を折り立たんで座っている、カーペットが引いてあるとはいえ、フローリングで正座は痛いものである。

「わ、私にそんな格好をしろと言うのですか。カズキさんのえっち」

「は?」

顔を赤らめて言ってくるノアだが、カズキは言ってることがわからなかった。

えっちな要素はどこにあったんだ。と全力で頭を回転させるがわからなかった。

「スカートなんかはいてるからだ。……というか、いつまで制服のままなんだ?自分の家なんだから楽な格好しないとな」

寮内や外出での服装に関しては学園側からはほとんど言われていない。

それは他の大陸から神威の扱いに優れた様々な種族が通っているから、文化と個人の尊重を含めて最低限までの校則しかない。その為、自由な服を着ることが出来るが。

「いいんだよ、一応ここは学園内なんだからこの格好でよ」

ジェルマンがめんどくさそうに言う。

まぁ俺も何枚か支給された制服で過ごすつもりだったから下着やシャツ、寝間着以外はもってきていない。

「俺は下着以外持ってきていない」

ほら同じ考えを持っていたレオンが言う。

「奇遇だな、俺もだ」

お洒落に気を使っていそうなジェルマンでさえ同じ考えだった。

案外この三人は気が合わなそうで合ってしまうのだろう。

もっともこの制服の性能が良かったからこんな考えになってしまったのであろう。

「まったく、男子はダメですね」

「ノアさんも持ってきたのですか?」

「もちろんですわ。わたくしはアルバートン家の長女ですのよ。身なりには気をつけていますわ」

「良かった、私だけかと思いました」

さすがはお年頃の女の子、ノアとルリーはしっかり服を持ってきてるようだ。

まぁ確かにずっとスカートというのは動きずらいだろうし、持ってくるのは当然か。と勝手な解釈をした男共。

「リュークさんも持ってきてますよね?」

「ううん、これだけ」

リュークは首を横に振りながら答える。

……どうやら例外はすぐそばにいたようだ。

「よし、夕食は街で食べるぞ。入学祝いとして奢ってやる」

財布の中身を確認したレイカ先生はそう伝えると寮から出て校舎の方へ向かった。

どうやら教師として仕事に戻るようだ。

「やったぜ!」

「外食ですか、悪くないですわ」

「多国の飯か、楽しみだ」

夕食まで楽しみに待つのであった。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

つづく

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