駄作   作:匿名希望ただの人

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処罰

 

 

 

 

 

 

  

あれから重々しい扉の前まで連れてこられたカズキ。

「てててて、無理矢理耳引っ張りやがって!エルフになるところだったぞ」

「お前が素直に来ないからだ」

「素直についてきただろ」

「ならその痛みはなんだ」

「レイカ先生が、好意的に引っ張った証拠です」

「学園長がいるから入るぞ」

「ちょ、俺の意見を聞いてくれよ」

自ら聞いておいてカズキをガン無視して扉を開け入りだす。

「失礼します学園長」

「さっきの試合の件か?レイカ」

高級そうなオフィスソファに座っている女性が口を開く。

とたんに重々しい雰囲気が更に重くなる。

「さすが学園長、なんでもお見通しですか」

「それで、私になんの用だ」

「さっきの原因である生徒を連れてきました。ほら、謝る」

小声でカズキに言うと背中を叩き前へ出させる。まるで保護者だ。

「クソババアが、まだ生きていたか」

「貴様、学園長に向かってなんて口の聞き方だ!」

カズキの第一声があまりにも失礼極まりないので頭を掴み強制的に下げさせる。

「いいんだレイカ」

学園長の一言でレイカはすぐにやめる。やっぱ権力者には抗えないのか。

「それにしてもずいぶん口が悪くなかったクソガキ」

「あんたに対してならいくらでも悪くなれる」

「ふん、昔の泣き虫だった頃の方が可愛いかったぞ坊や」

「過去を掘り出すのは勘弁してくれー、テラさん」

「クニヨシのバカは元気にしているか?」

「三年前から会ってないけど、元気だろ?それ以外ありえないだろ」

「それもそうだな、あいつが病気になるわけないか」

「言っておくが、ばあちゃんとテラさんもだぞ」

「か弱い私がか?」

「なにがか弱いだ化物」

「はぁ、私は忙しいのだ。処罰は後で言い渡すから今は帰れ」

「わかりました」

「ちょ、処罰って、勘弁してくださいぃでででで」

反論するカズキの耳を引っ張りながら退室するレイカ先生。

そのまま寮まで連行されるとリビングに入れられ、窓を全て閉じカーテンをしめる。

「カズキ貴様殺されたいのか!」

そして罵声を浴びせる。

「なんすか、ババアにババアと言って何が悪いんだ」

「お前テラ・ヴァレンタインを知らないのか」 

「知ってるさ、めちゃくちゃ強いババアだ」

「お前の認識の甘さにビックリだ」

「そう誉めないでくださいよ」

「誉めてない!!」

テラ・ヴァレンタイン。

かつて世界を巻き込んだ大戦争、ベリューバル戦争で活躍した英雄。

その強さは全神威使いの目標でもあり、現役引退した為ランクには入っていないが間違いなく一位の実力者である。

最近不調気味なアルセウス学園を支えているのはテラ・ヴァレンタインという名前のおかげでもある。 

そんな偉人相手にあんな失礼な態度を取るなんてことはあってはならないことだ。

カズキに軽く説明するが上の空、おもいっきり顔面パンチされる。

「いってー、そんな怒らなくてもいいじゃないですか」

「一発で済ませただけ感謝しろ」

「一応俺も凄い人だってのは知ってるつもりですよ」

「つもりだからあんなふざけた態度が取れるんだろ」

「知ってたから取れただけで、初対面じゃやらないっすよ」

「言い訳無用!とにかく学園長の処罰がくるまで寮で大人しく待機」

そういうと寮から出ていくレイカ先生。あの試合のせいでやることが増えて苛立ってるんだそうに違いない絶対そうだ。

それにしても処罰か、生徒が頑張って戦ったのに教師はそれを罰するのかよ。理不尽な……。

この世の不条理に首をかしげながらとりあえず横になる。

そして数秒も経たないうちに座る。

んで今日の反省点を探す。

やり過ぎたかとか、周りに迷惑をかけたなとかそんなかんじの反省ではない。

まっさきに思い浮かんだのが、挑発をやり過ぎた事だ。

戦ってるのに会話会話話し合いで、申し訳なさがでてしまう。こんどやるときは無言でやろう。

あいつらは今頃医務室で寝てるんだろうな。けっこう傷つけたけど大丈夫だろう、死にはしないさ。 

「まさか、テラさんが学園長だったとはな。世界は驚く程に狭いな」

さっきも言ったが、学園長とは面識がありそれなりの関係だったりもする。できれは会いたくなかった。

が、会ってしまっては仕方ない。それと今回の件も終わったことだ、それに俺がやったことだから処罰も甘んじて受け入れよう。

で、このまま大人しく待つのは嫌なので寮前でトレーニングをひたすらやる。

するとあら不思議、数時間後にはレイカ先生ではなく、同じ同居人が帰ってきた。

「お?やーーっと帰ってきたか」

腹筋をやめて話かけるが、なにやら全員気まずそうな表情をしている。

「ん?どうした?」

「……か、カズキさん、その、えっと」

ノアの態度で、全てを悟った。俺はもう元には戻れないと。

「あー、もしかして怯えてらっしゃる?このわたくしに」

「お、怯えてなんか、いませんわ」

「強がらなくていいよ、本当に殺そうとしてたから怯えて当然」

「……信じたくはありませんが、カズキさんは殺人鬼か何かですか」

「サツジンキ?そう言われたのは初めてだな」

殺人鬼って、殺す事が好きでなんとも思ってないやつらの事だ。

まさか、俺がそんな事言われるなんて思いもしなかった。

「だ、だって戸惑いもなく殺しに来たじゃないですか」

「当然だろ、殺し合いなんだから」

殺るか殺られるかの世界に戸惑いがあったら殺されるというのに何を言ってるんだ、こいつは。

「自分の事を棚にあげて言ってるけど、みんなも俺を殺そうとしただろ?」

「そ、それは」

言葉を詰まらすノア。

ジェルマンの爆発も、ルイスの雷、ノアの氷は人なんか簡単に殺せる威力であり、ルリーの上級魔法なんかは完全に殺しにきている威力のものだ。

それを放ったのに、殺す気はない。なんて都合が良すぎる。

「納得したなら、お互い様だな」

「けっ、憎たらしい野郎だ」

唾を吐きながら言ってくるジェルマン。

「酷い悪態だなジェルマン、お前も軍人なんだからわかるだろ」

「んなのはわかってんだよ。俺が気に入らないのは、まだテメェが本気でやってねぇからだよ」

「なら、ださせてみろよ。俺に本気をよ」

「いちいち勘に触るなテメェはよぉ!はっきり言えよ お前じゃ弱いから本気出せないってよ」

額に血管を浮かばせながら、カズキの胸ぐらを掴み言う。

「自覚あるなら騒いでないで修行でもしたらどうだ」

それに対し、嘲笑うかのように冷たく言う。

「っ、テメェ……」

「やめとけレオン。腹は立つがカズキが正論だ」

手を出そうとするジェルマンを止めるレオン。

「うるせぇ負け犬がよぉ」

「なんとでも言え、俺は強さ云々に今は興味ない。今は妹が救えればなんだっていい」

「だってよ、レオン見習って大人になれよジェルマン」

「……だが、この借りはいつか返す」

「上等だ。時間がないからはやくした方がいいぞ」

「そうか」

「まぁ家に上がんな、課業が終わったらクソババアが来るから身なり整えとけよな」

そういうとカズキは、上着を手に取り寮へと戻る。

「クソババア?」

「さぁ、誰の事でしょうか」

最後に言った事がよくわからないが、とりあえず寮へと入る。

 

 

 

 

皆が着替え等を済ましている間にカズキが夕食を作っていた、

「さぁ飯だ、食えや」

テーブルに並べられる豪勢な料理。一流シェフのコース料理と思うくらいの完成度だ。

「す、すごい。これ全部カズキさんが作ったのですか」

「あぁ。今日は悪いが、ちと豪勢にさせてもらった」

「なんだ、なんかあるんか」

「いろいろとあんだよ。さぁ食え食え、俺がいて気まずと思うが食え」

「そんなことありませんよ」

「お前らを殺そうとした奴がいるのにか?」

「そうかもしれませんけど、実際殺してませんし」

「そんなんしるか、殺そうとした事実はかわらん」

「それなら私達だって」

「俺は慣れてるからなんとも思ってないよ」

「それならわたくしも」

「それってどんな人生送ってたんだよ」

「いや、それはこっちの台詞だろ」

今日の事で色々と言い合う。

「おやおや、随分と険悪な雰囲気ではないか」

そんな中、レイカ先生と共に学園長、テラが静かにやってくる。

「が、学園長!?」

学園長の襲来に、カズキ以外の全員が驚く。

「来ると思ったぜクソババア」

「期待は裏切らない主義なんでね」

「まあ座れよ、飯作ったから食ってきな」

「そうゆっくりは出来ないんでね」

「なんだよ、折角作ったのによ」

「食事はまた次の機会でいいだろう。それより、本題にはいるぞ」

「わかってるよ、ほら」

テラの前に一つの封筒を捨てるように投げる。

「……なんだ、これは」

封筒には、退学届け、そう書いてあった。

「見ての通りさ」

「カズキさん、やめちゃうんですか」

「まぁな、素性も強さも見せ過ぎたからな。ここには居られない」

「俺との約束はどうするんだ」

レオンが言ってくる。カズキに、剣舞祭優勝して妹を助けるという約束を

「言っただろ、俺にあてがあるって」

「……詳しく聞かせろ」

「ヒノモトには、神ノ湯という温泉があってな。そこに浸かればどんな病も治る」

「なんだと」

「実際、余命宣告された者がまだ生きている」

「そんなものがあるわけないだろう」

にわかに信じがたい話だ。そんな都合のいいものがあるわけがない。

「そこのクソババアが知ってるよ」

疑っているレオンに対して、カズキはテラを指さし言う。

「そうだな、あそこは私も世話になった事があったからな」

「そこで完治するかはわからんが、時間稼ぎならできるはずだ。その間にクイナにいる名医者に治してもらう」

「金は足りるのか」

「知り合いだ、なんとかする」

「………」

「絶対に治る方法もあるが、あくまで最終手段だ。お前の妹は絶対に助けると俺が保証する」

「……本当なんだな」

「あぁ、約束は守る」

「……お前達、なにかってにやめる話にしてるんだ?」

ここでレイカ先生が話の間に割り込む。

「は?」

「カズキ、お前の処罰は三日の停学、その間に試合会場の修理だ」

「ダル、いっそ退学にしてくれよ」

「誰が便利な駒をみすみす捨てるか」

不適に微笑みながら言ってくるテラ。

使える奴は用が無くなるまで使う、それまでは補助する。そういやそんなやつだった。

「退学にしてくれええぇぇ!」

「あの、カズキさん。学園長と仲良く話してますけど、知り合いなのですか?」

悶えるカズキに聞くノア。

「あー、簡単に言うと身内だ」

「身内?」

「私の姉の孫だ、どうしようもないバカだがよろしく頼むよ」

ここで衝撃の事実をさらっと告げる。

「えええ!?学園長の姉って、あのキラさんですか!?」

「血筋だけみるなら、みんな教科書に乗ってる奴だらけさ」

「どうりで強いわけだ」

「優秀な生まれだったんですね」

カズキの生い立ちに少しふれ、その強さの理由に納得する。

「勘違いするなよ、あの強さはカズキの努力によるものだ。それを分からなければお前達に伸び代はないぞ」

「と、とうぜんですわ。わたくしはアルバートン家の長女ですわ。カズキさんよりも良い血族ですわ!」

「オルガノートも負けてないぜ」

「……俺は特にないかな」

「……」

みんなそれぞれ言い出す。

「ん~、私はどうかな」

「すまん、俺はそんなこと気にしない質だが、お前には誰も勝てない」

悩んでいるリュークに対してそっと言うカズキ。

「そうかな?」

「そうだよバーカ。……あぁ、なんて失礼なことを言ってしまってるんだ俺は、バカだなははは」

「どうしたカズキ」

「なんでもねぇよ」

「それではレイカ、後は任せた」

「わかりました」

「それと、ダテの事もカズキに聞いて見るといい」

「なっ」

その言葉に顔を赤くするレイカ先生。

「私から一つアドバイスを送ろう。神威は己の精神力で変わる、常に省みることだ」

不適に笑いながら言ってくる。

「毎日死に物狂いで精進するんだぞ小僧共」

そう言い残すと寮から出ていってしまう。

「やーっといったな。せっかく作ったのに食べもしないでよ」

出ていったのを確認すると、おもいっきり背中を伸ばすカズキ。

あんな態度を取っていたが、緊張はしていたみたいだ。

「さぁて、退学は免れたけどめんどくさい事頼まれたな」

三日以内にあの試合会場を直せときた。やればすぐおわるが、めんどくさい、正直やりたくない。

「カズキ、期限までにしっかり終わらせろよな。さもないと」

「退学か!やったね!」

「学園長が秘書を兼任すると言ってた」

「俄然やる気がでてきた!」

聞いた瞬間やる気が沸いてきて、すぐに立ち上がる。

あの野郎の秘書なんかやったら命と時間がいくらあっても足りん。

「さっそく修理にでかける」

そういうと寮を飛び出す。

「あの野郎、飯も食わないで行ったぞ」

「よっぽど嫌なんでしょうね」

カズキの激しい手のひら返しに苦笑するノア。

「うまいぞこれ」

そんなことどうでもいいと食事をするレオン。

「ヒノモトについてお話を聞きたかったのにな」

「後で聞けばいいだろ、まずは飯をだな」

そういうジェルマンだが、目の前の皿をレオンが取り食べていた。

「テメェレオン、それは俺のだろう」

「すまないな、量が少ないからつい、な」

「ぶっ殺す!」

「喧嘩してるとなくなりますわよ」

声を荒上げている間に少ない量の夕御飯を食べるその他の者達。

「あぁ!?テメェ俺の分がぁ!?」

「あら、とても美味しいですわ」

「やるなカズキ」

「俺の分がーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

結局昨日はカズキは寮に帰っておらず、登校がてら試合会場を見てみる。

すると、昨日まで倒壊寸前だったものが全く別の建物が出来ている。

「おいおい、マジかよ」

「見たところ、一から作り上げているな」

歴史溢れる試合会場は、黒色の新しいものへとかわっていた。

「それに以前より大きいですわ」

「どーよお前達、完璧だべ」

ジェルマン達に気づいたカズキが声をかけてくる。

「もうつくったのか」

「当たり前だ、俺にかかればこんなもん夕飯前よ!」

「みたことない石だな」

興味深々に壁を触るレオン。

大地の精霊と契約しているので、鉱石等の知識はあるのだがそれでも知らないものとなると相当レアなものなのだろう。

「ふっふっふっ。ちと特殊な素材使ってるからな。前回程度の威力なんかじゃびくともしない」

「そんなにか」

「そこはお楽しみということで」

この強度を知ったらみんな驚くぞ、きっと。

「それよりお前達は学校ですか、いやー大変だね」

処罰の一つはもう終わらせたから後は自由だ。やったね!

「こっちは三日自由だからね、しばらく帰らないよ。ってなわけでアデュー!」

そう告げるとは人とは思えない物凄い勢いで走り去る。

「あの野郎、反省してないな」

「停学は意味ないですね」

「わたくし達は行きますわよ」

「そうだな」

どこかへ行ってしまったカズキを置いて素直に校舎へと向かう。

それもそのはず、皆は今以上に強くならなければならない。なら、遊んでいる場合なんてないのだ。

「……ってかさ、あいつ居ないから試合五人だけで出場なんじゃね?」

「あっ」

「なんとかなるだろ」

「あいつが居なくても余裕だろ!」

ここでちょっと重要な事に気づくが、なんとかするだろう。

 

 

 

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