駄作   作:匿名希望ただの人

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苛烈の準決勝戦

その後何も起こることなく準決勝を迎えたカズキ達Fクラス。

朝から控室を出るまで静かだ。緊張感があると言うのか、負けるかもしれない不安があるというのか、妙な雰囲気が流れている。

今回は相手が相手なだけあって、あえていつも通りの戦い方をする。

フォーメンションや作戦など練ったが、どれも覆される可能性があるため、下手に立てた作戦が崩れ一気に流れがかわるよりかは勝率が上がると思った為だ。

戦って勝つ。それしかなかった。

試合場に入ると、Fクラスに対するブーイングが飛ぶ。

「……」

いつもなら煽り返すジェルマンも何も聞こえないかのように反応せず静かに歩く。

ジェルマンだけじゃない。ノアもルリーも、レオンでさえもお喋りなど一切していない。

その雰囲気にカズキは察したかのように、特に突っ込む事はなかった。リュークはのほほーんとしてるけどね!

そのまま試合開始のブザーが鳴る。

「っしゃあああぁぁぁっ!!」

瞬間、雄叫びをあげ突撃するジェルマン。

いつもと違うと思っていたがいつも通り、否、ジェルマンは格上相手に最善の方法を取ったに過ぎなかった。

「はぁ、相変わらずですわね」

「俺達もいくぞ」

続いてノア、レオンが走り出す。

ジェルマンの行動により、チームの雰囲気がやわらいだ。いつも通りになったとでも言うべきだろう。

「み、みなさん待ってくださいよー」

「私達は援護だから前に出なくてもいいんじゃない?」

「そ、それもそうですね」

「カズキはさっさと前へ行け、ダッシュ!」

「俺だけ扱い違くねー!?」

 

 

 

 

 

 

「うおおおおお」

敵陣に飛び込み、バトル・トンファーを振り回す。

全て手加減無しの渾身の一撃。目の前にいる上級生を一撃で倒す。

その中で、禍々しい鎧をみにつけたミカルド。明らかに周りとはかけ離れた存在なのですぐに見つける。

「死ねやオラァ!」

ミカルドめがけ、両手に持つバトル・トンファーを振り落とす。

しかし、当たる前に長いピンク色の長髪の女子生徒に剣で受け止める。

「あらあら、元気がいいですね」

「ちっ、はああ」

腕を広げ左右からバトル・トンファーを挟むように叩きつける。

それをしゃがんで回避すると、すかさずそのままバトル・トンファーを下に落とすも、後転してかわし距離をとられる。

「ちょこまかと……死ねゴラァ」

バトル・トンファーを力強く地面に叩きつけ衝撃を放つ。

「これが噂のバーストレイジの威力ですか」

「くたばれえええ」

すかさず距離を詰め殴りかかる。

しかし、間にミカルドが入りジェルマンを殴り飛ばす。

「ぐっ……やろぉ」

ミカルドは、片手に神威を込めると自身の何倍もの巨大な剣を作り出す。

「ウオオオオオ」

鼓膜が破れてしまいそうな声量の雄叫びを上げ、手に持つ大剣を振り回す。

「うるあああ」

負けじとジェルマンも雄叫びを上げ攻撃に出る。

あの大剣だ。一撃でもくらえば即死、受け止めるのは良くない。ならばかわすだけ。

ミカルドの攻撃をかわし隙を狙って攻撃をする。

だが、ミカルドもバカではない。しっかりジェルマンの動きを見て攻撃している。隙なんてそうそうない。

「っはああ」

隙がないなら隙をつくればいい。

大剣にバトル・トンファーを当て爆発させる。ダメージにはならないが怯ませるくらいにはなる。

爆煙で視界が悪い中、ジェルマンはミカルドの真横から殴りにかかる。

「バーストクラスター」

バトル・トンファーに神威を最大まで込め一気に振り下ろす。

ドオオオオオッと激しい爆発と爆風が起こる。

爆煙が晴れ視界がハッキリとする。

「なっ、なに!?」

焼け焦げた地面の上に、無傷のミカルドが立っていた。それもバトル・トンファーを片手で掴んで防いでいた。

「ばかな!?」

掴んでいだバトル・トンファーの鉄球部を握り潰すと、大剣を大きく振るう。

その風圧で試合場の壁まで一気に飛ばされる。

「がはっ」

(なんて硬さだ。石でも鉄でもゴナゴナに吹き飛ばせる威力だってのに傷一つついてねぇ。あれはただの鎧じゃねぇ)

吐血しながらも立ち上がりミカルドの元へ向かう。

「うおおおお」

そこではレオンとノア、ルリーがミカルド相手に戦っていた。

レオンの巨体に似合わない素早い動きに翻弄されている。

ジェルマンと同じくレオンも分かっているのだ、一撃くらえば終わりだと。

攻撃量的に言えばレオンが押している。だが、ダメージが全く入っていない。

(硬い、なんて硬さだ。アダマンフィストの硬度を上回るとは信じがたい)

攻撃している自分の手足が痛くなるとは一体どういう事なんだと疑問に感じるが、レオンはすでにその疑問に出会っているので許容範囲。

(カズキに比べればこのくらい、常識だ)

「獣烈蹴」

ミカルドの一閃をしゃかんでわかし、立ち上がる勢いのまま蹴り上げる。

これもダメージはないが、二、三歩後ろへ怯ませることができた。

「フレイム」

その瞬間、ルリーがフレイムを放つ。

「フリーレイン」

氷の矢を放ち燃えているミカルドを一気に凍らせる。

「今ですわ、レオンさん」

「甲竜割」

振り上げた両手を一気に振り落とす。

凍りついたミカルドの肩に当たると、ガシャーンと崩れ落ちる。

「なに!?」

しかし、崩れ落ちたのは氷だけでミカルドは何もなかったかのように立っている。

激しく熱した後急激に凍らし強烈な衝撃を与えたのだ。無傷なわけがない。それなのに何一つ傷がついていない。

大剣を振るうミカルド。背後からジェルマンが飛び付き兜を両手で掴むと連続で爆発を浴びせる。

「うるああ」

一発がダメなら連続だ。ゴナゴナに吹き飛ぶまで続けてやる。

だが、ミカルドはジェルマンの手を掴むと強引に引き離し投げ捨てる。

「ジェルマン、大丈夫か」

レオンが受け止め地面に叩きつけられることは免れた。

「う、うるせぇ。俺に構うな……さっさとやつを倒すぞ」

「あぁ、そうだな」

「だが、攻撃が全く効いてねぇな」

「どうする。あいつを倒せる方法はあるか」

「知るかそんなもん」

「だよな。期待はしてなかった」

「オオオオオ」

雄叫びを上げ、手に持つ大剣を振りかざし突進してくるミカルド。

「来るぞ」

凪ぎ払いに対してジェルマンは横へ、レオンはしゃがんで回避し、前に突っ込みタックルする。

倒れはしなかったが、動きを封じる事はできた。

「くだばれや。バーストブロー」

拳に神威を込め背中を殴打する。

「うおりゃりゃりゃりゃ」

「ふん」

ジェルマンが殴り終えると、レオンはそのまま反り投げ地面に叩きつける。

「トドメだぁ」

だめ押しと言わんばかりに飛び上がり両足で頭部踏みつけ爆発を起こす。

「ど、どうだ」

「これでやられるとは思えないが、効いてほしいな」

レオンの願いは空しく、何事もなかったかのように立ち上がるミカルド。

まるでわざと攻撃を受け、その程度ではダメージならないと教えているようにも見える。

ジェルマン達の方を見ると再び構える。

瞬間、ジェルマンの目の前に現れる。

(は、速い!?)

一瞬にして間合いまでの距離を詰められた。

振るう大剣も速く、避けることができず片腕を犠牲にして回避する。

「ぐわあああ」

さっきまでの動きとは、比べものにならないくらいの速さと威力だ。

「大丈夫ですかジェルマン」

「騒ぐな。腕が斬られたからなんだ。あいつをぶっ殺すだけだろ!」

駆け寄るノアを止め、細長く破った制服で脇を縛り応急手当てを施すジェルマン。

「はっはっはっ。いいねぇ、この臨場感。たまんねぇぜ」

「さすが狂人ですわ」

片腕を斬られてるにも関わらず笑っている。今この瞬間戦いを楽しんでいる。

それを見て引き気味になるノア。だが、その狂気っぷりがどこか頼もしくも感じた。

「ぐわあ」

右片から斜めに斬られ倒れるレオン。

「サンダーボルト」

ミカルドの頭上から雷を落とすが、かわすと同時にルリーの元へ走りだす。

「アイスエッジ」

地面に描かれた魔方陣がミカルドの真下にきた瞬間、氷の刃が次々と突き出る。

しかし、それを踏み砕きながら前進する。

「疾風爆発(ウインドボム)」

風の玉を地面に叩きつけ、爆風を起こす。

そんなものに動きを制限させることなく攻撃に移るミカルドだが、ルリーはその風圧に後ろへ大きく下がる。

「くうぅ」

攻撃手段ではなく避ける方法として唱えた呪文。しかし、ダメージは大きい。

「今ですわ。ヒュラノモース」

無数の氷の矢は地面に当たると、氷の刃が飛び交う凍える竜巻を作りあげる。

「まだまだですわ」

更に矢を放ち、竜巻の威力を上げていく。

だが、ミカルドは大剣を力いっぱい振るうと、その風圧で竜巻はあっさりと消えてしまう。

「ひと振りでわたくしのヒュラノモースをかき消しましたの!?」

「オオオオオ」

そして振り下ろされる大剣がノアを切り裂く。

悲鳴をあげる間もなく光の粒となり試合場から消える。

「はぁ、はぁ……この化物が」

ノアを葬り去ったミカルドに片腕になりながらも激しい猛攻を繰り広げるジェルマン。

攻撃を受けている中で大剣を振り上げ、もう片方の腕を切り落とす。

「ぐっ、うおおおおおお」

両腕を失い痛みに屈する事なく目の前の化物に立ち向かう。

だが大剣のブレイドであしらうように殴られ飛ばされる。

(ちくしょう。ちくしょう………勝てねぇ、このままじゃ負ける)

無様に地に這いつくばりそれでも相手を睨む。

目の前ではレオンが懸命に戦っている。

殴る拳は血が流れ指が変形している。それでも攻撃の手を緩めない。

ルリーも呪文を唱えるも、効いてるようには見えない。

それでも鬱陶しいと思ったのか狙いをレオンからルリーに変え大剣を投げる。

「がはっ」

大剣は凄まじい速さでルリーの胴体を貫き、光となり虚空に消える。

「おおおおおお」

怒りの形相のレオン。ミカルドの首を掴み持ち上げる。

メキメキと軋む音がする。握力にまかせこのまま鎧ごと首をへし折る勢いだ。

「がふ」

しかし、顕現した大剣に胴体を真っ二つにされ崩れ落ち光となる。

(ルリー、レオン……)

目の前で仲間が倒されていく。

己の力の無さに恨み、目の前の絶望に抗う。

こんな事今まで何度も経験した。その度に強くなると誓い修行を積んできた。

また繰り返すのか。

また守れないのか。

また、負けるのか。

何度も何度も同じ過ちを俺は……。

脳裏に過る敗北の数々、悲惨な過去。

それらを振り捨てるように叫び立ち上がる。

「くそったれがああああ」

どうせ今の俺は戦力にならん。なら一矢報いてやる。

「ゴナゴナに吹き飛ばしてやる……覚悟しろ」

身体中にありったけの神威を流す。体が焼けるように痛い、炎の中にいるように熱い。

ジェルマンの全身から赤く輝くオーラと火花が迸る。それは華麗で美しくも暴力のように禍々しい。

「死の爆破(デスエクスプロージョン)」

不敵に微笑むと、ジェルマンの体から大爆発が起こる。

今までの爆発とは比べ物にならない圧倒的火力、逃げ場のない爆炎と衝撃波が全てを一掃するほどの威力がミカルドを襲う。

「後は、頼むぜ……カズキ」

全ての力を使い果たしたジェルマンは立ったまま息絶え光となりその場から姿を消した。

対するミカルドは埋もれた地面から飛び上がり立ち上がる。

全身鎧に包まれているからダメージを受けているのかわからない。だが、言えるのはジェルマンが命を落として放った大技ですらミカルドの命には届かなかった。

「みんなよくやった……格上相手によくやったよ。安心しろ、俺が仇を取ってやる。優勝に導いてやる」

各自の戦いぶりを見てみんなやられてしまったが、その決意その覚悟に感化された。

そういうカズキも先程までピンク色の髪をした女子生徒セラフと戦い共にジェルマンの爆発に巻き込まれ、そして生きている。

「後は隊長だけですよ」

「そうだな……ならじっくり見せてもらおうか。現神伐隊の実力を」

 

 

 

 

 

 

つづく

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