学園トーナメントが終わり、また平穏な日々を送っているFクラスの面々。そう、平穏な日々を……。
「死ねやオラ」
「おおおおお」
グラウンドではジェルマンとレオンが全力の試合を行い。
「フリーレイン」
「マシンガンボム」
ノアとルリーも遠距離から弓と魔法の激しい打ち合いをしている。
そして
「まだまだ動きが雑なんじゃない?」
「抜かせ。互いに遊んでるんだからこんなもんだろ」
リュークとカズキがやりあっていた。
激しく楽しく明るく戦うなんて平穏な日々だな!!
なーんて日常を過ごしている。いつも通りヘトヘトになりながら今日も授業が終わる。はずだった。
「おいこらノア。今日の夕飯はなんだ」
「今日はハンバーグですわ」
「おぉ、手の込んだ料理!さすがノアさん」
「ノアさんは料理が上手だからご飯が美味しいです」
「おかげで毎日のご飯が楽しみだ」
「でも無理はしないでね」
などと、たわいもない会話をしながら帰宅しようと教室を出ようとすると。
「そうだお前ら、明日アルガド宮殿に行くから身なりを整えとけよ」
ふとレイカ先生が言ってくる。
「は?」
当然意味わかんない顔になる一同。
「剣舞祭に出場するんだ。ライク王にその挨拶をするのが恒例なんだ」
「はぁ!?やだよめんどくさい」
とてつもなく嫌な顔をするカズキ。
「私もやったんだ。めんどくさい気持ちは分かるが、従え」
「あら?国王様に会えるんですわよ。とても光栄な事ですわ」
貴族のノアや軍家のジェルマンは共に名家出身なため、こういった行事には馴れており名誉あることをだとも思っている。
そのため、他の四人より堅苦しくめんどくさいなという気持ちは持っていない。
「絶対に嫌だ」
「そんな嫌な面しなくてもいいじゃないか」
「そうですよ。挨拶だけならいいじゃないですか」
「……挨拶だけならいいが、やっかい事はごめんだぞ」
しぶしぶ承諾するカズキ。一体何が嫌なのかわからない。
て、なことがあったわけで!
今王宮に居る。
アルガド王国の中央にあるに大理石の王宮。
その華々しく偉大な建物はこの国の名誉と発展の象徴でもある。
きめ細かな彫刻や華やかな装飾が施された一室。その中央に敷かれた赤いカーペットの先にある上に設置された黄金の玉座に座っている少女。
……少女?
王というには幼い気がする。いや幼い、俺よりも年下なのではないか。
従者とレイカ先生に連れられ来たが、いったいどうなるんだろうか。
「おいカズキ、頭を下げろ」
「いで」
王に見入っているカズキの頭を掴み無理矢理下げさせるレイカ先生。そんな強くやらなくてもいいのに。
「ラウラ王女殿下ご無礼をお許しください」
「……別に構わないわ。頭を上げてちょうだい」
呆れた顔をしながら頭を上げる許可をだす。
これで王女の姿がしっかり見える。
小さな金のティアラを頭に乗せ、赤と白の高貴な服装に身を包んだ可愛らしい少女。やはり子供にみえる。
「よく来たわね、アルセウス学園最強のチーム。……アルガド王国の人が一人しかいないのは残念だけど、アルガド王国の繁栄と個人の名誉の為に頑張ってね」
「……レイカ先生、あの方が王なのか?どうみても少女だが」
レオンが小声で聞いてくる。こんな時に聞かなくてもいいのに、失礼なやつだ。
「王ではない、彼女は」
「申し遅れましたレオンさん。私の名はラウラ・レイ・アルガド。急遽予定が入り不在になってしまっお父様の代わりに娘である私がご挨拶を受けることになったのよ」
レイカ先生が小声で説明しようとするのを割って入るかのように自己紹介をするラウラ。聞こえていたのだろう。
「俺達より幼いのに、偉いな」
「当然ですわ。いずれアルガド王国を背負って立つお方なのですから」
「あら、あなたはアルバートン家の長女だね。お久しぶり」
「お久しぶりでございますラウラ王女」
どうやらラウラとノアは顔見知りなようだ。そういや、ノアはどっかの領土主の娘で偉い貴族だったな。だから何度か会う機会があるから面識があるのだろう。
「あなたの活躍は聞いているわ、優勝を期待しているよ」
「ありがとうございます。必ずや優勝してませます」
「他の者達も話は聞いているわ。特にカズキさんについては大々的に聞いているわ」
「俺か?」
「試合中に台風を起こしたり神伐隊のミカルドとセラフにも勝って、盗賊の始末に囚われた国民を助けてくれた事もあったわね」
「あー…ありましたねそんなこと」
くそ、ここまで話が回っているとは。こうなる事は分かっていたが、ここまで目立つと絶対やっかい事に巻き込まれる。
「まずは我が大切な国民を救ってくれたことを感謝するわ。ありがとう」
「たまたま助けただけなんで、別にそういうのはいらない」
国を代表して感謝する心がけは素晴らしいが。本当にいらない、はやく帰らせて。
「そんな優秀なあなた方に頼みが、いえ、依頼をしたいの」
話を変え一枚目の紙をレイカ先生に渡す。
ほらきた、やっかい事が来たよー!
「……グラトニーの討伐ですか」
「ええ、サーマリア地方に最近現れてね。危険種も人も手当たり次第食いあさってるの」
「討伐でしたらアルガド王国の兵士でも派遣したらいいかと」
「したんだけど返り討ち。巨大過ぎて手に追えないみたいよ」
「なら近衛兵をだしたら」
「ほとんどが悪魔退治に向かって派遣できる人がいないの。だから優秀なあなた方に頼んでいるのよ」
なるほどね。怪物退治だけでなく悪魔退治ときたか、国民を守るため王様も大変なんだな。
「これから剣舞祭にむけ修行をしなければなりません、なにより生徒達が危険です」
「だからいいのよ。いい修行相手になるでしょ?」
「……お言葉ですが王女殿下、悪魔討伐なら神伐隊が、怪物討伐なら我々ではなくセラフやハートでもいいかと。それに怪我をしたら元も子もありません」
「そうはいかないわ、それにこの程度に勝てなかったら剣舞祭でも勝てないわ」
「つまり、我々の実力を計るということですか?」
「今回は神伐隊の面々が出場する、つまり猛者中の猛者が集まるわ。まさしく最強を決める戦いになる」
「……何が言いたいのですか」
「私は信じられないの。あの神伐隊の最強と呼ばれた九十九番小隊のメンバーに勝ったということが」
なんか悲しそうというのか悔しそうというのか、なんともいえない表情をしながら言うラウラ。
そこまで有名だったけ?と考えてみるが、そんなことないとすぐに結論を出す。
「もちろん報酬も出すわ。どうかしら?」
「……受けましょうレイカ先生」
「だがな、試合があるのに」
「たかがグラトニー如きに手をやいてるようじゃ剣舞祭に勝てませんよ。それに本当に神伐隊が出るならもっと強くなる必要があります」
「お前グラトニーがどんな奴なのか知ってるのか?」
「知っているさ。あいつの肉は旨い!」
「なに!?本当かカズキ」
カズキの言葉に過剰に反応するレオン。
「レイカ先生、俺達も構わんぜ。修行相手ならもってこいだ」
「ラウラ王女殿下のお頼みならば喜んで受けますわ」
ジェルマン、ノアもやる気満々だ。
「……はぁ、わかった」
レイカ先生も生徒達が良いならと渋々だが承諾してくれた。
「決まりね。馬車の手配はしてあるからすぐに行ってもらうわ」
「え!?今ですか?」
「そうよ、急を要する事態だからよろしくね」
よもや今とは。なんてやつだ。
だが、ここで文句たれても仕方ないのでくずに向かうのであった。
つづく