「今日で帰るのか」
「そうだな」
「住んでみたがなかなか居心地が良かったな」
「そうだろ」
「もう一回フィーバードの丸焼き食いたいな」
「食いに行こうぜ」
「そうしようそうしよう」
「バカ者!早く帰る荷造りをせんか!」
部屋で仲良く窓からアニマニアの景色を見ている男三人に喝を入れるレイカ先生。
「先生帰りたくねぇよ、あと少しいようぜ」
「ダテ兄もしばらくここでミカルド先輩と修行するって言ってたしよ」
「ダメだ、お前らは学校があるだろ」
「ミカルド先輩は?」
「特待生だからな」
「あんまりだぁ」
「女子はもう出来てるぞ」
こういうのは女子は遅いと聞いたが、あれは嘘だったか。
「嫌だ勉強したかねえ、俺はここでずっと鍛えるんだ」
「荷造り終えたら空いた時間で観光してこい」
「行ってきます!」
「荷造りは?」
「んなもん既に終わってる」
「はやくいこうぜ」
「あのバカ共が」
血相を変えながら部屋を出て街へ繰り出す三人に頭を抱えるレイカ先生であった。
「これで本当におさらばか」
「長かったようで短かったな」
「いや普通だろ」
「ほら男子、浮かれてないで荷物を運べ」
ルイスに指示されながら馬車に荷物を積み込む。
「はいはい、風紀委員はここでも風紀委員ですねっと」
「何を当たり前の事を言っている」
「けっ、堅物野郎」
「そんな俺達頑丈野郎。イェー」
「そんでお前はイカれ野郎」
「うまくねぇよ」
「ノリだよノリ」
「あー、肉食いてぇ」
「さっき食べたばかりだろ」
「ほら荷物積み終えたぞ」
「こっから馬車かよつらいな」
「飛空艇は戻っちまったんだから仕方ないだろ」
「くそが、貸しきらせろよボス」
「荷物積み終えたなら挨拶しにいくぞ」
荷物を馬車に積み終えたのをみるとレイカ先生が言ってくる。
「挨拶?」
「世話になっただろ。礼儀を果たせ」
交流戦や悪魔退治や復興作業など予想以上に関わったのも思い出す。何も言わず帰るのは失礼だ。
「それもそうだな」
てなわけで挨拶しに生徒会室へと向かう。
も、そこには誰もいない。ましてや学園内に生徒が一人もいない。
休校日かな?
「なんだ居ないじゃねぇか」
「休みの日なんじゃないですか?」
「そんな日もあるよね」
「仕方がない。帰るとするか」
「馬車か、長いぞ」
「文句言うな」
次々と馬車に乗りアニマニア精霊学園を後にする。
「いやー、楽しかったな」
「そうだな。充実した日々だった」
「なんか、外が騒がしいですわね」
「騒がしい国だろ」
騒音なんていつもの事と言わんばかりに賑やかな国だ。驚く事はない。
「そ、外見てください」
馬車の窓を開けそれぞれが顔をだす。
「わぁ」
そこにはアニマニアの獣人達が列を作って見送りに来ているではないか。
制服姿の学生や、エプロン姿の獣人、老若男女全ての獣人がアルガドから来た他国の種族も違う数人の為に集まったのだ。
「国救ってくれてありがとよ!」
「助かったよ」
「腹減ったな」
「またフィーバーの丸焼き食べにこいよ」
「ありがとー」
「いつでも歓迎するぜブラザー」
「ノアさん結婚してくれ」
「今度は俺達がアルガドに遊びに行くぜ」
「次は勝つから覚悟しろ」
「剣舞祭で勝てると思うなよ!」
「ばーか」
「またこいよ」
「じゃあな」
色々な声が聞こえる。まとまりがないのがアニマニアらしいな。
とりかえず、感謝していることは理解できた。
「ったく、気前が良いな」
「本当だな」
「レオン、またね!」
馬車の隣を並走するヒメギ。愛しのレオンに手を振るう。
「またな、ヒメギ」
「なにイチャイチャしとんだこの野郎」
顔を赤らめてるレオンを茶化すジェルマン。
「お前もノアとイチャイチャしてるだろ」
「なんだとお!?」
「父さんも、早くお母さんに会ってよね」
「なに!?おい、それはどういう事だ」
「じゃあね」
そういうとその場から離れるヒメギ。
その瞬間馬車が激しく揺れる。
「きゃっ、なんですの」
「これよりアルガド王国へ向け飛空する」
上を見ると巨大な鳥が馬車を爪で掴み上げ羽ばたいている。その上にはアニクがいる。
「アニク、どういうことだ」
「馬では遅かろう。特別に王族の鳥で運んでやるのだ」
「はっ、ありがてぇ気遣いだぜ」
「本音は外交ついでだけどな」
「そこは言わなくても良かったのに」
「ですわ」
「おー、エルコンドルなんてまだ生きてたんだ」
その鳥を見て意外そうな声をあげるリューク。
「その鳥って絶滅危惧種じゃないですか」
「うまいし羽は質がいいから狩られまくってたんだよね」
「なに!?食わせろ」
「ハンアンかよ」
「静かにせんか、お、落ちたらどうする」
揺れる馬車にビクビクするルイス。
「空の景色を見ながら飲む酒もいいな」
「飛空艇でも同じ事言ってませんでしたか」
「気にするな、明日からまたいつもの生活に戻るんだ。覚悟しろ」
「いやだあああ、非日常がいい」
「いやいつも非日常みたいなもんだろ」
こうして合宿は終わったのであった。
剣舞祭まで残り十数日。それまでに強さは完成されるのだろうか。
つづく