駄作   作:匿名希望ただの人

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偽りの強さ

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ!」 

「無駄だ」

ギニラルはヴァイスに向かってありったけの神威を流し込んだ剣を振り下ろすが、腕で受け止められる。

それだけではない。放った威力分だけ衝撃が自分に返ってきてる。

「こいつ、攻撃をはじいている」

「それだけじゃない。この感覚は神威を吸ってやがる」

「神威がダメなら魔法はどうだ!フレイム」

両手から巨大な火球を放つ。

「魔法か、フフフ」

ヴァイスが身に付けてる指輪が怪しく輝く。

するとヴァイスに触れる前に何かに吸い込まれると、ソウルに向かってフレイムが放たれる。

「ほう」

ソウルは鞭を振るいフレイムの軌道を変え上空へ受け流す。

「ふん!」

オーウェンが巨大な双腕を広げ掴みにかかる。

「力比べか…面白い」

手と手を重ねると力比べの態勢になる。

オーウェンの押しきる力に対して踏みとどまる。それどころか押している。

「ははは、その程度かよぉ!」 

腕の力のみで上へ持ち上げると数回回転し投げる。

「どうだ、俺みたいな奴に力負けする気分はよぉ」

「なるほど、こいつは傑作だな」

空中で体を捻り勢いを殺すと共に体勢を整え華麗に着地をし、皆が集まっている所へ移動する。

「おい、あいつの身に付けてるものは全部魔装具だぜ」

「あいつが反射の指輪を使った時点でわかった」

「あれ全部魔装具なのか」

「魔装具で済めばいい、何個か神具も身に付けいる」

魔装具とは太古の昔、強力な魔物や危険種を素材として魔法や神威によって造られた不思議な力が込められた装具で、神具とは神が創った神の力が込められた宝具。

どれも身につけた者に圧倒的力を付与するものだ。

「偽りの強さか」

「強がってはいられないぞ。あの神威を吸収するのだけがやっかいだ」

「そうだな、神威が使えない以上は初心に戻るか」

「フィジカル勝負なら負けませんよ」

「お前ら居ても意味ないからその間に他を頼むよ」

オーウェンとギニラル、アニクが目を輝かせながら言ってくる。

「何をごちゃごちゃと話してやがる。こないならまとめて死ね」

ヴァイスは両手から火球を連続で放つ。ファイヤーボールだ。

「そうさせてもらおう」

連続して放たれたファイヤーボールが着弾し火柱が上がる。

それを合図にそれぞれ二手に分かれる。オーウェンとアニク、ギニラルはヴァイスの方へ、ソウル、イザベラは森へと走る。

「おいおい天下の隊長達が逃げていいのか」

「素人がわかってないな」

「逃げも戦術だ」

オーウェンとアニクはヴァイスの体をガッチリ押さえる。

「はあああ」

そしてヴァイスの背中めがけ飛び蹴りを放つギニラル。

「ぐっ!?」

「なるほど、腕以外は反射できないのか」

「じゃあ反撃の鏝だな」

そのまま上へ持ち上げると脳天を地面に叩きつける。

「いじめかこれ?」

「隊長三人がかりだから名誉だろ」

「っ、この野郎」

勢いよく立ち上がるとオーウェンの顔面を殴る。

「なかなかなパンチだが、魔装具付きでこの程度なら元がダメだな」

表情一つ変える事なく受け止めるオーウェン。

そして手首を持つとギュッと握りしめる。

ふ菓子を潰すかのようにグシャンと骨が折れる。

「ぎゃああぁぁ」

折れた手首を庇うようにうずくまる。

「ギニラルの方がいいパンチ持ってるぞ」

鍛えぬかれた筋肉を持つ彼にとってヴァイスのパンチは大して脅威にはならないのだ。

「鍛え抜かれた筋肉の前ではそんな偽りの強さは無意味だ」

「なめやがって、ぶっ殺してやる」

立ち上がると手には剣と盾が握られていた。

「治癒の指輪で治したか」

「身に付ける鎧も剣も盾も魔装具だな」

「見たところ破壊の剣に破滅の盾、亜空の鎧か」

「靴は韋駄天、魔王の羽織も厄介だな」

「まっ、関係無いけどね」

「死ねええ」

真正面から向かうオーウェン。

ヴァイスも斬りにかかる。

だが、アニクがタイミングよくヴァイスの足をカニバサミで絡め倒す。巨体故にオーウェンの方へ目がいって下を見ていなかったので簡単にかかる。

「ふん!!」

倒れる瞬間を狙っての豪快なアッパーカットで上空へ飛ぶ。

「はい!!」

オーウェンを踏み台して飛翔するギニラルは体を一回転させて踵を落とす。

「キング・クロー」

勢いよく落ちてくるヴァイスの腹部をアニクの爪が貫く。

「俺達は常に格上と戦ってきたんだ。戦闘脳が違う」

腕を振るいヴァイスを投げ捨てる。

「呆気ないな、沢山魔装具つけてるけど意味ないな」

「神威が使えないから余裕と思ったか?俺達は素で強いんだぜ」

「神威対策するのは当たり前だろ」

「自身の強さあっての神威だもんね」

「ぅぅ、くそ……魔装具が通じないとは想定外だ」

バキバキバキ

巨木を引き裂き中からカズキが出てくる。

「やっと出られたぞ、ここはどこだ」

「ははは、平然と壊してやがる」

神威武装で斬っても殴ってもびくともしなかった巨木だが、握力にものをいわせ握り引き裂いている。

「おろろお前ら、いつのまに森へ来たんだ?」

「ここは宮殿だ、こいつがバオバブスをはえさせたんだ」

「なるほどね、バオバブスとは考えたな。はやく勝負を決めない    と神威奪われるぞ」

「なるほど、通りで体の動きが鈍い訳だ」

「酔いかと思ってた」

「私もです」

「くっ、くくく……はーーっはっはっはっ」

「お?開き直りか?」

突然笑い声を上げるヴァイス。

絶体絶命の時に笑うのはパワーアップするテンプレート。

「嫌な予感がする。始末するぞ」

それを分かってかすぐに殺しにかかる。

「死ねええぇぇぇ」

ヴァイスの前に十数本の銃身を持つ機関銃が現れると、凄まじい速度で絶え間なく弾丸が放たれる。

「うお!?」

恐らくは神威武装、弾丸も神威で出来たものなら当たれば致命傷は免れない。

三人は物陰へと隠れる。

「悪魔の巨木(バオバブス)よ。生命を吸い取り我が力になれ!」

距離を空けたのを確認すると発砲をやめる。

そして巨大な樹木から根っ子が勢いよく飛び出すとヴァイスを包み込む。

「バオバブスは俺の属性能力だ。吸い取った力は全部俺のものだ」

「まずい、エネルギーが吸いとられる」

体に力が入らない。バオバブスの周りにいるだけで受動的に吸いとられる。

「距離を取るんだ、走れ」

こちらにむかって走ってきたカズキ。通りすぎる間際に言ってくる。

「もっとはやく言ってくださいよ」

三人も続けざまに走る。

「なんでそんなに元気なんだよ」

「神威持ってないしな」

吸われるものがないので元気なカズキ。

目的地は取り敢えず遠い場所だ。激戦が予想されるので国から出た方がいいな。

「ウオオオオオッ!!」

バオバブスの根っ子が弾け飛ぶと、見た目は何も変わってないが体中の血管が浮き出ており黒いオーラを放つヴァイス。

「力が漲る、神威が溢れる……こいつはいい気分だ!」

カズキ達が向かった方へ駆け抜けるのであった。

 

 

 

 

 

 

つづく

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