「とまっ……た?」
冷気に身を振るわせながら聳え立つ氷の壁を見て完全に止めたと確信するメーテル。
「やったなノア……ノア?」
ノアの方へ眼をやると、全身には無数の切傷ができており大量の血を流していた。特に腕なんかは筋繊維がズタズタになっておりかろうじて原型を留めている。
「はやくノアに回復魔法を、死ぬぞ」
「世界を救った勇者だ、死なせるものか」
「傷は治せても血は戻らない。出血死するぞ」
ノアの傷口を癒し塞ぐが、あくまで治癒力を高め治す魔法だ。失われた大量の血はまでは戻らない。
「使えない魔法だ」
「なんだと!?」
「はやく輸血しないと、時間がない」
医療班の元へ連れていきたいが、そんな時間はない。
「俺を血を使え」
そこへジェルマンが走って駆けつける。
「ノアの血は珍しくてな、希少なんだよ。だが俺も同じ血だ」
「道具はあるのか」
「んなもんねぇよ、神威で造れないのか?」
血は見つかったが輸血する道具がない。
「これを使ってちょうだい」
傷だらけの少女を抱えた少女が両端に針が付いた小さなホースを渡す。
「お、お前は」
「あれ相手によくここまで持ちこたえたね。頑張ったな」
いつになく真剣な表情のリューク。こんな顔をするのは初めて見る。
「ついでに彼女もお願いね。私にはやることがあるから」
そういってルミスを渡すと、歩き出す。
なぜルミスが傷だらけなのか、なぜリュークが彼女を抱えているのか訳がわからない。
色々と説明をしてほしいが、あいつを止められるのはもう彼女しかいないのだ。
「……止めたか。あと数センチ進んでいれば完全な技となりこのようにならなかった」
手加減などせず放った本気の技だったが故にこの結果は完全に予想外だったが、この面子なら止めるであろという期待もあった。
「面白い。ならば、これならどうだ」
凍り付いたカラミティバーンは崩れ粒子となり一瞬で蒸発し消える。
「裁きの雷撃(グロームジャッチディ) 災いの禍炎(カラミティバーン) 滅びのそよ風(ウィンドウデストラクション)」
そして間髪入れずに放たれる三つ技。
「世界を亡ぼす三つの技が一斉にきた」
「大技だろ、あんな連続で放てるのかよ」
「カズキだから出来るんだろ」
「出来損ないの技ね。実にくだらない」
少女は背負っている刀を取ると、鞘がついたまま「ふん!」と掛け声と共に大きく振るうとそれらを一掃する。
「流石だなリューク、いや桜義龍久様とでも呼ぼうか?」
「今はその時代じゃないわ。リュークでいいよ、あと様付けすんな気色悪い」
「リューガ様の一人娘なんだ、この時くらい敬意を表させてくれ」
「知ってたくせに何を今更」
「それで、俺になんのようだ?」
「決まってるじゃない。友達を傷つけないでくれる?」
「友達ときたか、仮にも神の子が世界ではなく友達とはこれは傑作だ」
「別にこんな世界なんて知った事はないわ、勝手に滅べばいい」
「さすがはリューガ様の娘だ、あなたらしい。それで、俺をどうする?」
「悪いけど、やられてもらうわ。一度負けた事もあるしね、ついでに借りを返すわ」
「いい口実があるじゃないか、本気でやろうぜ」
「くるぞ」
「あんた達は、あれをどうにかしなさい」
メーテルとソウル、イザベラに空で余裕そうにこちらを見物しているヴァイスを指差す。
「今回の元凶でしょ?あれくらい片付けなさい」
「しかし、相手は」
「大丈夫よ。私、カズキより強いから……圧倒的にね!」
笑顔でピースマークをつくりながら答えるリューク、その姿は絶対強者の貫禄を感じさせる。
それを見て不思議と任せても良いと感じ、ヴァイスへ攻撃をしかける。
「いくぞ龍久!!」
「来なさいカズキ!!」
光のない暗い空に浮かぶヴァイス。
予想通りにカズキが暴れ世界を滅ぼす様を見て笑う。
「凄まじいパワーだ。流石は天地魔界を統べる総大将と呼ばれるだけはある」
かつて魔界最強を倒し、天使の進軍を止め、そして神を殺した男。
そんな危険人物なら戦うより形はどうであれ味方にした方が得策である。
「!?」
真下から巨大な瓦礫が飛んでくる。
それを片手で砕き、飛んできた方を睨み付ける。
「高みの見物とはいい度胸だな?ヴァイス」
「カズキを狂わせるとはなかなか姑息な事を考える」
「いや、私が敵だったらそうするな」
「仮にも軍神が敵の作戦を誉めるな」
そこには六人の隊長達の姿があった。
何やら喧嘩しているが、それでもヴァイスへの殺意があるのは感じられた。
「仲良く同士討ちすれば良かったものを」
ゆっくり地上へ降りると六人を嘲笑いながら睨む。
「そう上手くいくか」
「アルガド代表の奴らだけ頑張らせる訳にはいかないな」
「私達隊長が頑張るべきなのにね」
「汚名返上させてもらおう」
「ふん、神威を使えなければ何も出来ない雑魚が何を言う」
神威を使えなければただの人、弱い弱いただの人なんだ。
虚勢に思わず笑い声を上げてしまう。
「こっちの台詞だ、道具頼りの落ちこぼれが」
「神威無しでも充分強いわよ?」
「クックックッ、ならその強さってのを見せてみろよ」
襲い来るヴァイス。皆の前に立ちオーウェンが顔面を持って庇い受け止める。
「俺だけでやらせてくれ、格の違いを見せつけてやる」
ヴァイスの手を掴み投げ飛ばすと、一人だけゆっくりと前進する。
「……お前なら大丈夫か」
「危なくなったら加勢しますよ」
「オーウェンが勝つか賭けないか?」
「賭けにならんだろ」
「神伐隊の看板を汚すなよ」
それぞれ特に止める事もせず納得をし瓦礫に座り見物する四人。
「お前にはただの人間に負けた屈辱を受けてもらう」
「なめやがって……死ねえ」
その光景に拳を振るわせる。両手に剣と盾を装備し、怒りに身を任せオーウェンへ向かって走り出す。
「死ねっ!!」
渾身の力を持って斬りかかる。
オーウェンは片腕で防ぐ。
バッキーーン。
「なっ!?」
剣は綺麗に折れる。
「バカな、破壊の剣だぞ。斬れただけで致命傷になるはずだ」
昔より魔界で造られてた、持ち主に力と破壊衝動を与える伝説の武器だ、それなのにこんな簡単に折れる訳がない。
「その武具は厄介だからな、破壊させてもらった」
「まさか、属性能力か!?」
そうでなければ考えられない。だが、神威を吸収する俺になぜ通じた。
「当たる瞬間だけ発動させただけだ。それより、攻撃以外は吸収しないんだな」
吸収される覚悟で防御として使った属性能力。
結果は吸収される事なく通り、武器を折ったのだ。
「なぜ使える。神威は吸い取られ枯渇しているはずだ」
「おいおい、俺達は神様に鍛えられし神伐隊の隊長達だぜ?常識外れの神威を持っているんだよ」
「くっ」
「安心しろ。その武器以外は脅威じゃないから使わないでやる」
カウンターとして属性能力を使えば楽に倒せるがそれではおもしろくないと、余裕の発言をする。
「くそがあああ!」
武器を投げ捨てたヴァイス。大振りのパンチがオーウェンの腹部に当たる。
だが、パンプアップされたオーウェンの肉体の前では大したダメージにならない。
「うおおおおおおっ」
怒涛のパンチラッシュを繰り出す。
ただのパンチじゃない。怪力の指輪と超人の指輪で身体能力を底上げし、硬化の指輪で硬度を上げ、さらに鬼神の首飾りや獣王の耳飾りで上乗せした、五属の首輪で拳に火、風、水、土、金を込めた拳だ。
「なぜだ、なぜ俺が押されてる」
ここまで強化したのに倒れる所か全て受けきっている。
「鍛え上げた肉体の前に、装飾品が勝てると思うな」
ヴァイスの顔面を殴り、怯んだ所で足を掴むと何度も何度も地面に叩きつける。
「筋トレしてから出直せ!」
上へ飛ぶとヴァイスの背中に回り込み手首を握り、後ろへ引き固定すると同時に片膝で腰を、もう片方の膝で頭部を固定する。全体重を乗せる形で落下しそのまま正面全体を地面に叩きつける。
ガシャアンと鎧が砕ける。
顔面が地面に陥没する。
激しい衝撃に両腕、肩の関節が外れる。
「決まった。この技は正面落としと名付けよう」
「ゴハッ」
回復体位と呼ばれる体勢を横向けに寝転がり、口から吐き出る血を確実に流しながら癒しの指輪、再生の指輪で体を回復させる。
「意識があったか」
恐らく上半身の骨が全て砕けズタズタになるはずが鎧が代わりに砕けたおかげで即死は免れたようだ。
「はー、はー。まさかこれ程とは、ラシン如きが隊長になれたのが信じられん」
「なに!?ラシンだと」
「これだけは使いたくなかったが、奥の手だ!」
「いつく揃えてるんだよ奥の手」
「恐怖に打ち振るえるがいい、はあああ」
羽織を脱ぎ捨てる。
体に刻まれた様々な紋章が不気味に光を放つ。
中でも目を引くのが背中に大々的に刻まれた悪魔を模様した刻印が黒く輝く。
「うおおオオオ」
体が一回りも二回りも成長し筋肉も膨張する。皮膚は赤くなり更に緑色の鱗がびっしりと敷き詰める。背中から巨大な翼が生える。頭からねじり曲がった角、口は牙、鋭い爪が生える。
「悪魔の呪刻」
「飛竜の烙印もですわ」
「グルアアアッ!どうだこの姿は!」
「完全な化物になったな」
「流石に加勢するぞ」
「神威さえあれば楽なのにな」
「魔法も使えないのかな」
アニク、ギニラル、ソウルがオーウェンの隣に立つ。
さすがに生身の人間が一人で対処できる相手ではなくなった。
「私はさっき神威を消耗したからパスで」
「私もいざという時の為に待機しておこう」
メーテルとイザベラは引き続き見物している。
「助かる」
「さて、どう倒すかな」
悪魔や人間とは違う。人工的に生物を超越した化物になったヴァイス。
この存在を神威無しで倒せるのか。
「来るぞ」
「死ねえ!」
巨大な翼をはばたかせ距離を詰めると爪をふるいオーウェンを切り裂く。
「がっ」
「獣達の王(キング・オブ・ビースト)」
キング・オブ・ビースト。王族に伝わる身体強化。
由緒正しく受け継がれた純血魔界の獣人よりも獣に近い濃血となり、古代より本能の力を呼び覚ます。
体が大きくなり毛量が増えより獅子の姿へ似る。
「はあぁ……竜、侮辱……許さない!!」
竜の血(ドラゴンブラッド)を解放するギニラル。
瞳が赤く光ると、血が沸騰したかのように沸き上がる感覚、流れが異常に速くなる。
目の前の敵を喰らいたくて口から唾液を溢し、熱い吐息を吐くまるで獰猛な竜を連想させる姿を見せる。
二人が隠していた神威無しで戦う上での切り札だ。
「ガアアアッ」
「キングクロー」
巨大な爪を振り下ろすヴァイスを迎撃する。続けて体を高速回転し頭部へ蹴りを叩き込む。
怯みはしたが、ダウンを取ることはできずに足を掴まれ後方へ投げられる。
「はああ」
強靭な肉体へと変貌したギニラルはその体格差を活かし、素早い動きでヴァイスを翻弄し攻撃を的確に当てていく。
「チョロチョロとすばしっこい、はあ!」
ヴァイスは翼を動かすことで繰り出される風圧でギニラルを飛ばし無理矢理距離を取る。
「ヒートブレス」
ギニラルに向けて大口を開くと燃え盛る炎を放つ。
肺がはち切れそうになるまで大きく息を吸ったギニラル。
「バーンブレス」
口を開けると灼熱の炎を放つ。
炎と炎のブレス対決。
火力や肺活量的にギニラルが追い詰められていく。
「ぶっ潰れろ」
加勢するように上空から宮殿の一部を投げつけるオーウェン。
「ガッ」
圧倒的物量の前に潰れる。追撃をかけるようにギニラルの炎が直撃する。
「かほっ、かほっ。喉焼ける、痛いよぉ」
吐血しながら喉を押さえる涙目のギニラル。
「まだ喉慣れしてないのか」
「しばらく使ってなかっただけよ」
「グオオオオオ死ねーー!」
「ぐっ」
前蹴りで遥か後方に吹き飛ばされるギニラル。
「がはっ」
オーウェンの胸部に鉤爪が突き刺さりそのまま倒れる。
「トドメだ!」
「させるか」
大口を開けるヴァイスの背後を取ったアニク。頭部に生える禍々しい角をへし折り首筋へ突き刺す。
「グワア」
「グラス・ギアよ、凍らせ拘束しろ」
突き刺した傷口から凍りつく。
その間にオーウェンをソウルの所へ運ぶ。
「はいはい回復ね、魔力はたっぷりあるからいくらでもやられてね」
傷口を癒しながらアニクを送り出す。
「感謝するが、少しは加勢してくれないか」
「神威も魔法も使えない魔女はただの可愛い女の子なんだよ」
「ペテン師が。何か策があるんだろ」
「どうかな」
不適に微笑むソウルに、安心感を抱きながら再びヴァイスと対峙する。
「こしゃくな、精霊よ静まれ」
傷口を強く握るとそれ以上浸食はせずに止まる。
「精霊の護符まで持っているのか」
「装飾し過ぎなのよ」
対策を練って攻撃してもそれを装具で無力化してくる。
あの装具さえ、いや神威さえ使えれば倒せる。
普段なら相手にならない相手に苦戦するもどかしさに悶えるギニラル。
「くたばれヒートガン」
四方八方に炎の球を放つ。
「はああ」
瓦礫を盾にして突っ込むギニラル。
「こざかしい」
「こざかしいのはあんたよ」
瓦礫を投げると、兵士が持っていた剣も強く握り何度も目を突き刺す。
「グギャアアア」
体を激しく動かし抵抗するが角にしがみつき何度も刃を突き立てる。
狩では獲物の弱点を狙い楽にスムーズに殺すのが定石だ。
特に竜など硬い鱗に覆われた獲物には目など柔らかい部位を狙い効果的にダメージを与えていく。
「アニク」
「ノゲイルクロー」
視界を奪われたヴァイスにむけて風の精霊の力を込めた一撃をくらわす。
「フェバリングショック」
その瞬間ヴァイスは大口を開き、一気に閉じる。そこから生じた衝撃波と甲高い高音に倒れる。
「がっ」
「ぐっ」
「ムシケラ共が手こずらせやがって、死ね」
気を失って倒れる二人に向けて両腕を振り下ろす。
「フィンドウ」
真正面から魔力が込められた球を放つソウル。
「無駄だ俺に魔法は効かないとわからないか!」
ヴァイスに当たる前に吸い込まれるとソウルに向かって放たれる。
「弾けろ」
その瞬間、球が弾けると風が吹き荒れる。風は倒れてる二人を吹き飛ばす。
「よっと」
そしてソウルによって回収される。
「なっ!?」
「弾くだけなら使い方はある」
攻撃ではなく、味方を逃す為に放った魔法。使い方次第ではこちらを有利にさせることも可能だ。
「作戦通りいけるか、オーウェン」
「すまない、危険な事をさせて」
「任せろ、その為の筋肉だ」
オーウェンの肩を叩くソウルとメーテル。それに対して笑顔で答える。
「また貴様か、次は回復出来ないように一撃で殺してやる」
「ん~、一撃か、面白い。ならやってみるといい」
そう言うと攻撃してこいよと言わんばかりに両手を広げる。
「なんだと?」
「俺は抵抗しない。ただ、一撃で殺せなかったら今の戦況が覆るが?それでもやるか」
「何をバカなことを恐怖で頭が狂ったか」
「やるか、やらないかどっちだ」
自信満々の笑みを浮かべ堂々としているオーウェン。
気に入らない。
何か策があるかもしれないがそんなの知った事ではない。
「一撃で跡形もなくぶっ殺してやる!」
自身の爪に炎を吐き纏わせる。
「ヒート・クロー」
無抵抗のオーウェンの胸部を突き刺す。
「がふっ」
背中まで貫通した爪。確実に心臓を貫いた、そして炎で体を焼き尽くす。
「約束通り一撃で殺してやったぜ。次はお前の番だ」
「くくく、この賭け私達の勝ちだ」
「か、勝手に……殺、す……な」
勝ち誇ったように笑うソウル。その下で息絶え絶えの中で親指を立てるオーウェン。
「お前達、速く回復魔法を」
「はい」
ルーンブラッド代表の五人がオーウェンに向けて早急に回復魔法をかける。
「なぜ死んでない!心臓を潰したはずだ」
「潰してないんだよ。私はオーウェンの心臓や臓器に回避魔法をかけた」
先程回復している時に心臓や臓器が見えていたのでこれでもかと言うほどに様々な補助魔法をかけたのだ。
それでも即死の攻撃をくらって見事に耐え抜いたのだ。その生命力は流石と言わざるを得ない。
「お前は賭けに負けたんだ。それ相応の代償を払ってもらう」
ソウルの背後に現れる暗い霧のような衣に頭蓋骨に両手だけが見える死神を連想させるような何かがヴァイスの肉体を通り抜ける。
「な、なんだ!?何をしやがった!?」
「お前から神威を吸収する力を奪った。それだけだ」
「なんだと!?」
「信じられないなら身をもって知れ。ハーミットウィップ」
神威を練り作り上げられた先端に刃物がついた鞭を振るうと、スパンともう片方の角を切り落とす。
「ひ、卑怯だぞ。相手の力を封じるなんて」
「卑怯?奇襲もかけて、神威を封じたお前がそれを言うか?恥ずかしい」
「貴様ぁ!!」
「ここからは全力で戦えるんだな」
「いままでの分を返さないと気が済まないわ」
これまで以上に生き生きとしたアニクとギニラルが顕現した神威武装を握り締めながらヴァイスに近づく。
「こんな作戦があるならはじめからやってほしかったな」
覇軍と呼ばれる程の策士であるメーテルが思い付かなかった作戦。
もっとはやくやれば楽に済んだのではないか聞く。
「私の属性能力、天国と地獄(ヘブン・オア・ヘル)は対等な条件じゃないと発動しなくてね。イカサマ含め対等にするにはこれが限界だ」
こちら側の賭けを言質を取り無理矢理乗らせ、イカサマをするような不正行為をオーウェンの命を賭けてやっと対等の条件になったのだ。
「あいつには神威は通じないんじゃないのか?」
「さあな、私のヘブン・オア・ヘルは対象有無を言わずに発動する。たとえ神様にでもだ」
「結果はギリギリだったけどな」
「イカサマをしたんだ、確信はあったさ。多少な」
「多少か、賭け狂いの君らしい考えだ」
「だがこれで神威が戻った訳じゃない。バオバブスをどうにかしないと勝てない」
ヴァイスが攻撃による神威を吸収するのは封じ込めたが、バオバブスの脅威までは届かなかった。
神威が尽きるのが先か、倒しきるか。ピンチなのはかわらない。
「いや、いるだろ。何もしてなかった(神威に余裕がある)隊長が」
「私の出番のようだな。みな、よくやった」
神威武装の黄金に輝く剣を顕現させるイザベラ。満を持していざ出陣!
つづく