鏑矢達の月光曲 -契約者達への鎮魂歌・外史典-   作:渚のグレイズ

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第十話

──────それは、三日前のこと………───

 

「ちょっと・・・・・ちょっと待ってくださいよ!!」

「んー?なぁに、質問でもあるの?」

「ありますよ!!この資料を見てください」

 

契約者であることがバレた僕は、藍原友奈の助手として彼女の手伝いをしていました。

しかしその途中で、僕は、おぞましい事実を、知ってしまったんです………

 

オリハルコンから抽出された素粒子は、魔力をエネルギーにキューロンへと結合します。

その後キューロンは、邪気をエネルギーにしてどんどん結合していき、最終的に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その事実を知った僕は、藍原さんに実験の中止を求めました。けれど………

 

「おっ、順調に育ってるじゃなーい♪」

「なんて暢気な・・・・・これは明らかに異常事態でしょう!?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その言葉に、僕は耳を疑いました。

 

「・・・・どういう意味ですか?」

「陰と陽、二つの霊力(ちから)を受けて製錬されたオリハルコンはね、只の金属じゃないの・・・・・()()()()()()()()()()()()()()()()

「・・・・・・・・・・・・は?」

「そこから抽出された素粒子は、言うなれば受精卵ってとこね。私は()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()

「──────あなたが、何を言っているのか、分かりませんよ」

「私がおかしいって思ってるでしょ。でも違うよ、私はちゃんと真実を話している。その事はちゃんとデータが語っているでしょ?」

 

否定したかった。けれど、彼女の語っている事が真実である事は、僕が集めたデータが裏付けていたんです。

 

「これから産まれてくるであろう彼らの事を私は、キューロンで構成されたアンドロイド──────『無機生命体(キューロノイド)』と名付けたわ」

「キューロ・・・・ノイド・・・・」

 

嬉々として語る彼女の様子は、まるで、筋肉について語っている時の友ちゃんみたいでした。

 

「AIは・・・・・・最高峰のAIを造るって話は、何処に行ってしまったんですか・・・・・!?」

「勿論造るよ?」

「は?」

 

何を言っているんだ、とでも言わんばかりの態度に、さしもの僕もすっとんきょうな声を上げたものです。

 

「実をいうと・・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()~♪」

「──────────────え」

 

照れた様に暴露する彼女の言葉に、僕は再び耳を疑いました。

 

「これまで出来上がったキューロン結合体は全部、小脳とそれに付随する脊椎くらいにしか成らなくてねえ・・・・・仕方ないから、その小脳をカプセルに詰めて量子コンピュータと接続する方針にしたんだよ」

 

正気の沙汰とは思えない行いに、僕はもう限界でした。

 

 

 

 

 

その日の内に僕は、キューロノイド研究に関係する資料や機材を、破壊する事を決意しました。

 

 

 

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

「しかし、藍原さんは僕のその行動を読んでいたみたいで・・・・・」

「なるほどなあ・・・・阻止されて、あの牢屋に閉じ込められてたっちゅーワケや」

 

瑛次くんが頷く。

彼からもたらされた情報は、突拍子の無いものばかりで、現実味が感じられなかった。けれど、瑛次くんが言うことなんだから・・・・・・

 

「エージが嘘言っとるんやないっちゅーのは分かるんやけど・・・・」

「まあ、現実味ありませんよね」

「信じてあげたいのは山々なんだけど・・・・・ごめん・・・・・」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()・・・」

 

瑛次くん?

 

「ファリ・ドゥ」

「はい、我が主」

 

瑛次くんのネックレスに付けられた指輪が光り、紳士服を着た金髪トンガリ頭の青年が現れた。

その手に、カプセルに入れられた人の脳みそを持って………

 

「っ・・・・・・!」

 

目の前で起きた出来事に、理解が追い付かない。

 

「──────エージ、そのおっちゃん」

「おっちゃん・・・・・ですか。まあ確かに、貴女方から見れば、おっちゃん処かおじいちゃん位の年齢ではありますが・・・・」

「ファリ・ドゥもショックを受けたりするんだ・・・・」

 

肩を落とすファリ・ドゥさんに瑛次くんが静かに突っ込む。

いやいや、そんな事よりも!

 

「そのカプセルの中身・・・・それって・・・・・」

「おや?先程までの話を聞いてなかったのですか?()()()()()()()()()()()()()()

「これ・・・・が・・・・?」

 

どこからどうみても人間の脳みそだよね・・・・これが、金属から出来たっていうの・・・・?ほんとに?

 

「ちゃんと"生きて"ますよ。今も霊力探知で周辺情報を獲得しています」

「へ・・・・へえ・・・・」

「んー・・・・エージの話が事実なんは分かった!んで?藍原友奈の目的は、結局何なん?」

「────────」

 

そうだ。私もそれが気になっていた。こんなものを造って、その人はいったい何をしようとしているんだろう・・・・

 

「藍原さん─────藍原友奈の目的は─────」

 

一度瞳を閉じ、意を決した瑛次くんは、瞳を開けて告げた。

 

 

 

 

 

「キューロノイドによる、神樹様の抹殺です」

 

 

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