鏑矢達の月光曲 -契約者達への鎮魂歌・外史典-   作:渚のグレイズ

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象頭町の廃ビル地下

「遂に完成!!!みんな、ここまでありがとうね!!!!!!」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「それじゃ、私達の悲願・・・・成就させようか」

巨大な機械に繋がれた、円形に並べられた五つの球体。
スイッチを入れて、順にその球体に火を入れていく。
全ての球体が起動したことを確認した相原は、此方も機械と繋がったヘルメットを被ると、ヘルメットのスイッチを押した。





「起動コード『I'm a thinker』」





「『承認 起動シマス』」


「ぎっ!?………あァぁぁァぁぁァぁぁぁぁぁぁァぁぁぁぁァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

相原の悲鳴を轟かせ、絶望が今、産声を上げた。



第十一話

違和感に気付いた時、既に事態は手遅れな状況だった。

 

「なんや・・・・周りがえらい騒がしいなあ?」

「この感じ・・・・なんだろう。嫌な予感がする・・・・」

「・・・・・とうとう、その時が来たようですね」

「その時って──────」

 

どういうこと?と聞こうとした私の声は、風水スコープからの緊急警告音に遮られた。

 

「邪気!?こんな時・・・・に・・・・」

 

スコープを装着し、レーダーを確認した私は、思わず絶句してしまった。

 

忌人クラスの反応が六つ……七つ……八つ……まだ増える!?

 

「ふむ、この気配・・・・・魔獣、もとい忌獣の出現も視野に入れておいた方が良いかもしれないですね」

「忌獣・・・?なんやそれ」

「分かりやすく言うならば、忌人が更なる進化を遂げたもの、です」

「忌人が進化・・・?そんなことが、本当に?」

「今の四国内では、本来有り得ないことです。が、その有り得ないことを成し遂げる為に、彼女は()()を造り上げたのでしょうね」

 

ファリ・ドゥと名乗る悪魔が、持っているカプセルを指してそう言った。

 

「つまり・・・・相原っちゅーのは、忌人やら忌獣やらを仰山つくって、神樹様をへし折ろうとしとるワケやな?」

「・・・・・それだけなら、良いのですが」

「───────ファリ・ドゥ?」

 

なんだか引っ掛かる言い方をするけど、とにかく今はこの状況をどうにかしなくちゃ!

 

「行こう、瑛次くん。みんなを助けよう!!」

「待って!場当たり的にやってもダメだよ。ここは、大元を叩かないと」

「大元?」

「相原のアホウんとこ、殴り込みに行くんやな!!」

「えーっと、概ねそんな感じです!」

「うん、分かった!瑛次くん、案内してくれる?」

「ファリ・ドゥ」

「お任せを」

 

指輪の形に戻った悪魔を右手の人差し指にはめると、瑛次くんは私達を先導し始めた。

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

町の中は、泥を焼いて作ったような質感の黒い人形が人々を襲っていた。

 

「これが・・・・忌人の・・・・」

 

『忌人は、強い邪気に充てられると攻撃的になる』

事前に知らされていたとは言え、実際目の当たりにすると、かなり、気持ち悪い。今まで私達が相手していた忌人が、可愛く見えてくるレベルだ。

 

『ふむふむ・・・・やはりこれは、大規模召還術式(サバト)ですね』

「サバト?」

「というか、そないな姿でもしゃべれるんやな・・・・」

 

道すがら、襲われている人々を助けつつ、悪魔の話を聞く。

 

『その名の通り、大規模な召還術です。貴殿方の言う旧暦の時代にも一度使われたことがあります』

「それって・・・・終末戦争の?」

『呼び方は存じませんが、恐らくは』

 

つまりこれは、あの戦争の再現・・・・ってこと?

 

『狙いは先程瑛次様が申した通り、神樹の打倒でしょう。ですが、それは飽くまで過程にすぎません』

「と、言うと?」

 

 

 

 

 

『相原友奈氏の最終目標、それは、全人類の悪魔化です』

 

 

 

 

 

それは、衝撃的過ぎる、話だった。

 

「全人類の悪魔化て………んな、アホな………」

『元々、この術式は悪魔召還の為のものです。尤も、今私に理解できるのはそこまでで、彼女が何故、こんな事を思い付いたのか迄は、わかりませんが・・・』

「─────なんにせよ、相原を止める。私達鏑矢は、その為にいるんだから」

 

迫り来る忌人の群れを蹴散らしながら、私達は相原のいるであろう場所へ向かって地獄と化した象頭町を走り抜けて行く。

 

 

 

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