鏑矢達の月光曲 -契約者達への鎮魂歌・外史典-   作:渚のグレイズ

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先月号買わずに今月号のGマガ買っちゃったけど、うひみの続きが恐くて読めねぇよぉぉ・・・・・・(ボロ泣き)


第三話

「つまり・・・・・えっちな事したんやな?」

 

半眼になって直球弩ストレートな質問をするのは、私たちのお目付け役の巫女、桐生静。エセ関西弁がトレードマーク(?)の中学三年生。ちなみに私も中三だったりするが、上下関係に厳しい静とは違い、私は別にそこまで頓着しない主義だ。

 

現在、我々は寄宿舎の静の部屋に集合している。『鏑矢』の仕事が終わった後は、この部屋にて報告会を行うことになっているからだ。

しかし・・・・・もう少し部屋の整頓を心掛けた方が良いのでは無かろうか?一見、綺麗に見えなくもないが、ギチギチに押し込められた戸棚が、今にも破裂しそうになっている。整理整頓くらい出来ないのか、コイツは・・・・そんなだから男が一人も寄り付かないのだよ・・・・

 

「カツ・・・・今、失礼な事考えへんかったか?」

「気のせいだろ」

「・・・・・・まぁ、ええわ。んでアカナ、えっちな事、したんやな?」

「えっと・・・・・・うん♥️」

「『うん(はーと)』や、ないわぁ!!ど阿呆ゥ!!!!!!」

 

しぱーん!と静が、何処からともなく取り出したハリセンで友奈の頭を叩く。

 

「フッ・・・・良いじゃないですか。愛し合う二人の時間は大事、ですよ?」

 

コイツはコイツで何を言っているのか。そして、当事者の片割れたる瑛次は、さっきからずっとおろおろするばかりと来た。

まともなのは私だけか。

 

「・・・・・なんでこんな連中が」

「にーさま、神樹様のご判断なのです。信じてあげなくっちゃ、なのです」

「・・・・・・・・・仁根か」

 

私の呟きに答えたのは、今やって来た少女。私の妹の仁根だ。

 

「おっ、待っとったでーヒトっち~」

「ねーさま方、遅れてすみません、なのです~」

「仁根ちゃん、身体は大丈夫かい?」

「はい~、今日はいつもより調子が良くて・・・・ちょっと近くをお散歩してきてしまって・・・・」

「ふぅん、それで遅れて来たのね」

 

仁根は私の三つ下の妹で、生まれつき体が弱い。

今日はいつもより顔色も良く、私の方から誘ったのだ。

 

「気持ちは理解できるけど、約束の時間に遅刻するのは良くないわ。貴女はいずれ弥勒の義妹となるのだから」

「れんげねーさま・・・・ごめんなさい、なのです」

「人の妹に何を吹き込んでいるか」

 

まあ良い。蓮華の言う事には一理ある・・・・義妹云々は理解出来ぬが。

 

「仁根、お前も乃木家に産まれたのだ。その名を汚すような行いは慎みたまえ」

「・・・・・・はい、申し訳ありません、です」

「──────────散歩なら、この後いくらでも付き合ってやる。それで我慢してくれ」

「!!はいっ♪」

 

やれやれ、たかだか散歩の約束をしただけで、暗い顔だったのが華やかな笑顔に大変身だ。我が妹ながら、単純な奴。

 

「フフフ・・・・♪」

 

・・・・・何故か蓮華がこちらを見て微笑んでいるが、私には関係有るまい。

 

「はいはーい!ヒトっちも来たことやし、定例の報告会、始めよかー」

「では弥勒から」

 

静の号令から、部屋の空気は一変する。

真っ先に手を挙げたのは蓮華だ。

 

「瑛次のスキャニング結果を元に、周辺を探索した処、憑依体が一体ずつ、それぞれ男性とOLに取り憑いていたのでこれを除去。その際、"忌人化"の兆候は見られませんでした」

「前回同様、今回も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。探索の結果、やはり邪気だけが消失していた。これは個人の見解だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思う。以上だ」

 

蓮華の報告に続いて、私が私見を交えた報告を行う。

静は「ふむ・・・・・」と呟き、少し沈黙する。

 

「あのー・・・・・」

 

おずおず、といった雰囲気で手を挙げたのは瑛次だ。

 

「もし、これが前回と同一犯だとすると、多分ですけど、相手はきっと、良くないことを企んでいるとおもいます・・・・・どんなことかまでは、わかりませんけど・・・・・」

 

その意見には賛同だ。どのような目的があるにせよ、邪気なんて物を集めているのだ。ろくでもない事に使うに決まっている。

 

「どうしてそう思うの?瑛次くん。もしかしたら、ボランティアで協力してくれているのかもしれないのに」

 

能天気な事を言う・・・・・コイツは邪気がどんな物なのか、理解しているのだろうか・・・・?

 

「あのね、友ちゃん。邪気は集まれば集まる程、その力を増していくんだ。妖忌が邪気を溜め込むのは、そうやって成長しようとしているからなんだよ」

「そうだったんだ!?」

 

駄目だコイツ・・・・・そんな基礎知識すら無いとか・・・・・・

 

「沢山邪気を溜め込んだ妖忌が、忌人に進化したこと、前にあったよね?妖忌や憑依体が忌人になる前に対処するのも、ぼくたち『鏑矢』のお仕事の一つなんだよ」

「そっかー、気脈を正すだけがお仕事じゃないんだねー・・・・」

 

"忌人(キジン)"

 

人の形をした邪気の塊。知性も人並みで、個々に自我を持つ存在。

かの『終末戦争』に於いて壁の外の人類を駆逐したのが、忌人の群れなのだと、お婆様は語ってくれた。

 

そんな物が、この四国に再び蘇ったとしたら、どうなるのか。そんなもの、火を見るよりも明らかだ。

 

「食い止めねばならぬのだ。我々が・・・・お婆様達が命懸けで護った、この四国を護る為に・・・・」

「にーさま・・・・」

「・・・・・せやな」

「うん・・・・!」

「が・・・・がんばります!」

「貴方に言われるまでも無いわ・・・・!」

 

私の意志に、皆が同意してくれる。

 

時折、『何故』と思う事はあるが、それでも、彼女達の持つ志は、神樹様に見初められるだけの事はあると、そう思う。

 

 

そうして、今日の報告会は終了した。

 




キャラ紹介③
─乃木仁根─

葛葉の妹。文武両道の天才児。
出産時の"事故"により、生まれつき体が弱く、激しい運動はできない。
葛葉と違い、剣に槍に弓に…と、ありとあらゆる武具を使いこなせるが、病弱故にそれが充全に発揮されることはほとんど無い。

普段はベッドの中で空想の世界に浸りながら過ごしているが、体の調子が良い日は、葛葉との散歩を楽しんでいる。

モデルは勿論、乃木園子(小)。イメージとしては、綺麗な園小

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