鏑矢達の月光曲 -契約者達への鎮魂歌・外史典-   作:渚のグレイズ

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第八話

信じたくは無いけれど、葛葉先輩は忌人化した。

彼が逃げた穴を見つめる親友の心中は如何程か・・・・想像するだけ、辛すぎるよ・・・・・

 

「・・・・・友奈、もう一度二人が失踪した地点を洗い直して。あれだけの忌人が居たのに、それに誰も気付かなかったということは、大赦内部に裏切り者がいるかも知れない・・・・大赦保有の物件を中心に調べてみて」

「レンち・・・・?」

「弥勒はあの忌人を追い掛けるわ・・・・!」

「待ってよ!相手は葛葉先輩なんだよ!?」

「だからこそよ!!!」

「っ!?」

 

振り向いたレンちの瞳は、少し潤んでいたけれど、それでも、お役目をする時の瞳をしていた。

 

「だからこそ、弥勒が討つの。この役目は、誰にも渡さない・・・・・」

「レンち・・・・」

 

それだけ言って、レンちは葛葉先輩の消えて行った穴に降りて行った。

 

「・・・・・アカナ、ここはロックに任せよ。ウチらは」

「────────はい」

 

―――――――――――†――――――――――

 

仁根ちゃんを私達の寮に送った後、私とシズ先輩は二人が消息を絶った地点にやって来た。

レンちは大赦保有の物件が怪しいとか言ってたけど・・・・・

 

「警察の話やと、大赦の物件は捜索しとらんっちゅーこっちゃ。ロックの推理も、あながち間違っておらんかもな」

「・・・・どうして調べなかったのかな」

「そらアレやろ。『大赦なら平気やろー』言うて、スルーしとったんちゃう?」

「──────」

 

とにかく、シズ先輩が取り寄せた資料を基に捜索を開始。

しばらくして、一件の廃ビルに当たる。

 

「大赦保有の雑居ビルっちゅー話やけど・・・・・めっちゃ怪しいなぁ」

「怪しいですよね・・・・・どう見ても」

 

『テナント募集中』の貼り紙こそあるが、どう見ても管理なんてされている気配が無いし、立地も通りから少し離れた場所にある。

 

明らかにここでしょ。

 

「行くで」

「はい・・・!」

 

私が先頭に立ってビルの中へ。

地上階部分は普通の空きビルだった。だとすると・・・・

 

「地下階がある?」

「あるんやろな。何処にも書いておらんけど」

 

という訳で、私達は地下への入り口を探すことにした。

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

十分後────

入り口は割りとあっさり見つかった。

ビルの裏手、立ち並ぶ室外機に隠れるような配置でそれはあった。

 

「・・・・・・なんや、あっさりと見つかったなあ。もっとこう・・・・隠し階段~、みたいなのを想像しとったんやけど」

「どんな忍者屋敷ですか・・・・」

 

慎重にノブに手を掛け、捻る。

が、扉は開かない。どうやら鍵がかかっているみたい。

 

「鍵穴は・・・・・・あれ?」

「どないした?」

「この扉・・・・・鍵穴が無い」

「はぁ?そんなアホな・・・・・・・・ホンマや」

 

電子ロックかとも思ったけれど、それらしい端末も無し。

いったいどうやって・・・・・

 

「しゃーない。こんな時こそシズさんの出番や!」

「何か方法が?」

「えーっと、ちょい待ち」

 

仁根ちゃんを寮に預けてきた時に持ってきたリュックをごそごそし出すシズ先輩。

そういえば先輩、なんか色々と準備してたっけ・・・・

 

「あった!ちょい下がっとき」

 

ドアノブ付近にリュックから出した何かを取り付け、扉から少し離れる。

 

「ファイヤー!!」

 

掛け声と共にスマホを操作すると、ボンッ!と音を立てて扉が開いた。

 

「爆弾!?そんな物、いつの間に・・・・」

「備えあれば嬉しいナ♪っちゅーやっちゃ!ほな、行くで」

「はい!」

 

 

 

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