鏑矢達の月光曲 -契約者達への鎮魂歌・外史典-   作:渚のグレイズ

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第九話

地下へ続く階段を降りると、そこは何かの研究室のような場所だった。

 

「ここで、いったい何を?」

「それは、これから調べたら分かるこっちゃな」

「・・・・・・・・そう、ですね」

 

シズ先輩と手分けして捜索。だけど、特に何も見つからなかった。

 

「アカンな・・・・資料的なんは全部処分されとるみたいや・・・・アカナの方は?」

「こっちもです。パソコンのデータも消されていて・・・・・」

「んん?パソコンやて?それ、何処や」

「え?こっちですけど・・・・」

 

パソコン、完全に初期化されちゃってて、データなんて残ってなかったけど・・・・・どうするつもりなのかな・・・・?

とりあえず、シズ先輩と一緒にパソコンの前にやってきた。

 

「えーっと・・・・これやったかなーっと」ゴソゴソ…

「USBメモリ?」

「エージ作の復元ソフトや!初期化してあってもデータをある程度は復元できる優れモンや!」

「さっすが瑛次くん!!こうなる事を見越して、シズ先輩に渡していたんだね!!」

「うんうん、せやねー。エージは凄いなー。憧れるなー」

 

あれ?シズ先輩、ちょっと不満そう・・・・なんで?

 

「っと、復元完了や。データ吸出しつつ、確認してみよか」

「はい」

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

オリハルコンから抽出した素粒子群は、一定値以上の魔力を付与する事で、情報集積回路として接続される。あたかも、生物の神経細胞────ニューロンのように・・・・

ここから転じて、この接続された素粒子群を、私は素粒子式・神経細胞(クォンタム・ニューロン)────"キューロン"と名付けた。

同時に、このキューロンを使用し、旧暦にも存在しなかったであろう『最高の電子頭脳』を創造する事を決めた。

 

プロジェクト名は『フォトン・ドライヴ計画(プロジェクト)

 

・・・・なんて、どうだろうか?

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

「フォトン・・・・ドライヴ・・・・?」

「どうやら、このフォトンなんたらを造るんに、大量の邪気が必要やったみたいやね・・・・」

 

最高の電子頭脳?素粒子で出来た神経細胞?

話が突拍子も無さすぎて頭が追い付かない・・・・

 

「とりあえず、この資料は全部大赦に持ち帰ろか。ウチらだけで判断するには・・・・ちぃとばかし、事が大き過ぎや・・・・」

「そう・・・・です、ね・・・・」

 

混乱する頭で荷物をまとめ、研究室跡地から立ち去ろうとした、その時だった。

 

 

 

 

 

「だれか・・・・いるの・・・・・?」

 

 

 

 

 

「ッ!!!今の声!!」

「え?声?あっ、アカナ!?」

 

微かにだけど、確かに声が聴こえた。

研究室の奥。牢屋の中に、ずっと会いたかった"彼"は居た。

 

「瑛次くん!」

「・・・・・ゆう、ちゃん?」

「瑛次くん・・・・瑛次くぅん・・・・!!」

「あぁ、ほんとに、友ちゃんだ・・・・」

 

牢屋越しに手を繋ぐ。だいぶ窶れてしまっているけど、瑛次くんはちゃんと瑛次くんだった。良かった・・・・

 

「おっ、エージ!」

「先輩も・・・・とうとう、ここを見つけたんですね」

「今出してあげるからね!」

 

牢屋の鍵を気合いでこじ開け、瑛次くんを牢屋から出してあげる。

 

「瑛次くん!!良かった・・・・良かったよぉぉ・・・・・(泣)」

「友ちゃん・・・・」

「つもる話は後や。今はここから逃げるのが先や」

「・・・・はいっ」

 

私は、瑛次くんをお姫様抱っこして、研究室を後にした。

 

 

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