愛莉 LP4600 手札5
□□□□□
□□□□□
□ ①
□□□□□
□■□□■
悠 LP7500 手札3
①ヴァレルソード・ドラゴン 攻
上/左/左下/下
「本気の本気で行くよ!」
そう宣言した愛莉は先ほどまでのデュエルに怯えた少女の面影など一切なかった。トラウマを乗り越え堂々とした態度を取る彼女は、手札のカードを確認しては手札を抜き取りプレイングを開始させようとしている。
「乗り越えられたね……さて、どう来る?」
そんな彼女の姿を見て翼に銀次、そして悠もまた安堵する。ならば後は、今のデュエルで目一杯戦うまでの話なのだ。
そして今までの愛莉は初心者のふりをしていてどんなデッキを使うかも不明。未知の相手に悠はしっかりと相手を観察する。
「まずは《イグニスターAiランド》を発動するよ!」
それはメインモンスターゾーンにモンスターがいない場合に手札から場へとイグニスターモンスターを呼び込む楽園。使えばそのターン、サイバース族しか特殊召喚できなくなるという制約をあるのだがおそらく愛莉のデッキはサイバース族で固められているのだろう。
「そして、この子! 《アチチ@イグニスター》を特殊召喚」
《アチチ@イグニスター》
☆2/炎属性/サイバース族/DEF800
ポンッ、音を立ててと出て来るのは何となく炎の形に似ている生命体。アチチには場に出た瞬間、デッキからレベル4以下のイグニスターを手札に呼び込めるためデッキのエンジンとして扱える【イグニスター】のキーカードだ。
「アチチの効果でピカリを手札に加えて、おいで未来を描くサーキット! アチチを素材にリンク1《リングリボー》をリンク召喚!」
《リングリボー》
LINK1/闇属性/サイバース族/ATK300 左下
モンスターをサーチしつつ即座にリンク召喚。《リンクリボー》と呼ばれるカードと似て非なるモンスターが出現する。若干、目つきが悪く声も荒々しい感じがする。
「メインモンスターゾーンが空いたからAiランドの効果で《ピカリ@イグニスター》を通常召喚するよ。この子の効果でデッキから《Aiラブ融合》を手札に加えて発動しちゃうよ!」
「なっ……《Aiラブ融合》だって!?」
《ピカリ@イグニスター》
☆4/光属性/サイバース族/DEF600
現れるのは白い帽子を被った黄色の生命体。
アチチがモンスターをサーチするのに対しピカリは『Ai』と名の付く魔法・罠をデッキから手札に加えられる。そうして手札に加えれた《Aiラブ融合》に思わず悠は目を見開いてしまう。
「《Aiラブ融合》はイグニスターを素材とするとき、相手のリンクモンスターも融合素材にできちゃうカード! これでわたしはピカリと悠くんのヴァレルソードの2体を融合素材においで《アースゴーレム@イグニスター》!」
《アースゴーレム@イグニスター》
☆7/地属性/サイバース族/ATK2300
現れる大地の人形が唸り声を上げる。いきなりの融合召喚だが、それ以上に驚きなのはまったく容易くと悠の切り札の1枚が対処されてしまったことだ。
「くっ……だったら罠カード《巨神封じの矢》を発動! EXデッキから出たアースゴーレムを対象に攻撃力を0にし効果を無効にする」
「だったらこっちも《リングリボー》の効果を使うよ! 罠カードの発動に対してリリースすることで無効にできる!」
これで罠カードの効果は不発で終わってしまった。だが、これで《リングリボー》が墓地へと送られたのだ。それを見て愛莉はうーん、と悩む。
「《リングリボー》の効果使ったというよりも使わされちゃったって感じがするかな……もう1枚が怖いけど、でも! 恐れるなかれ! バトルフェイズに入るよ! アースゴーレムでダイレクトアタック!」
「いや、それは通さない! 《リビングデッドの呼び声》を発動し墓地の《ヴァレルソード・ドラゴン》を蘇生させる」
攻撃は通すまいと立ちふさがるように蘇る悠のヴァレルソード。アースゴーレムはEXデッキから特殊召喚されたモンスター相手に攻撃力を元々の数値分上げられるのだが墓地から蘇生したためにその効果は発揮できない。
「あわわわ、攻撃中止中止! メインフェイズ2に入るよ」
故に攻撃は止める。
ここで愛莉は「攻撃反応や召喚反応じゃなくてリビングデッドかぁ」と呟き読みを外したみたいだ。だが、そんな愛利は落ち込むどころか頬が緩むのだ。
(すごく久しぶりのデュエル、とっても、とっても楽しい!!)
触れるカードの感触がすごく懐かしい。
この独特の刺すような緊張感が楽しい。
読みを外す予想外の展開がドキドキする。
どうやって乗り越えようかわくわくする。
そんな風な思考が今、愛莉の頭の中を駆け巡っていた。そして勝つための作戦を考える。悠の場の《ヴァレルソード・ドラゴン》は脅威だここで除去しなければならない。メイン2に入り愛莉は展開を行う。
「なら手札から《ドシン@イグニスター》を特殊召喚してもう1度、未来を描くサーキット! ドシンとアースゴーレムを素材としてリンク2《スプラッシュ・メイジ》をリンク召喚」
「リンク召喚時、墓地の《巨神封じの矢》の効果でセットし直す」
《スプラッシュ・メイジ》
LINK2/水属性/サイバース族/ATK1100 右上/右下
「メインモンスターゾーンがまた空いたことからAiランドの効果で《ブルル@イグニスター》を特殊召喚して効果でデッキから《ドヨン@イグニスター》を墓地へ送って《スプラッシュ・メイジ》の効果でドヨンを蘇生するよ!」
《ブルル@イグニスター》
☆3/風属性/サイバース族・チューナー/DEF1000
《ドヨン@イグニスター》
☆4/闇属性/サイバース族/DEF1600
流れるように展開を繰り返す愛莉。
だが彼女の動きはまだまだ止まらない。
「そして、レベル4のドヨンにレベル3のブルルでチューニング! シンクロ召喚! レベル7《ウィンドペガサス@イグニスター》!」
《ウィンドペガサス@イグニスター》
☆7/風属性/サイバース族/ATK2300
融合召喚の次はシンクロ召喚。
現れるは風纏う天馬。
「シンクロ素材となったブルルの効果で同じく素材となったドヨンを蘇生して特殊召喚に成功した効果で墓地のピカリを回収。そして、ウィンドペガサスの効果で場のイグニスターの数だけ相手フィールドの魔法・罠を破壊できるからその2枚を破壊!」
セットされ直した《巨神封じの矢》と表の《リビングデッドの呼び声》が破壊されさらにはそれで蘇生されていた《ヴァレルソード・ドラゴン》までもが破壊される。これが《ツインツイスター》のようなカードだったら墓地の《ノクトビジョン・ドラゴン》の効果で守ることができたのだが対象を取らない故に防ぐことができなかった。
「強い……」
「これでこのターンは最後かな。もう1度おいで未来を描くサーキット! リンク2の《スプラッシュ・メイジ》とドヨンを素材にリンク3《ファイアフェニックス@イグニスター》をリンク召喚!」
《ファイアフェニックス@イグニスター》
LINK3/炎属性/サイバース族/ATK2300 左/右/下
最後にリンク召喚される破壊されることで次ターンに復活できる炎を纏った不死鳥。これで愛莉の場には2体の攻撃力2300の強力なモンスターが並んだ。
「リンク素材になったドヨンの効果で《Aiラブ融合》を回収してカードを1枚伏せてターンエンドだよ」
愛莉 LP4600 手札3
①ファイアフェニックス@イグニスター 攻
左/右/下
②ウィンドペガサス@イグニスター 攻
③イグニスターAiランド
□□□□■
□□②□□ ③
① □
□□□□□
□□□□□
悠 LP7500 手札3
「強い……愛莉がこんなに強かったなんて……」
二人のデュエルを見守っていた翼が思わず声を上げてしまう。
まるで己の手足のように自由自在にデッキを操りモンスターを繰り広げつつ悠の場のカード全てを除去している。こんな愛莉の姿を翼は見たことが無い。いや、これが本来の愛莉の姿なのだろう。
「さすが、過去に大会を優勝しただけはあるね」
「ありがと。でも、だからと言って手は抜かないでね?」
「わかってるさ。やるからにはちゃんと全力で攻略させてもらうよ!」
場を一掃されたが手札は十分にあり逆転の布石は十分に打たれている。
最初の愛莉のターンが何もせずに終わったことで決めた直接攻撃。それで減らした数値とあわせればライフを削りきることが可能。ちょっとだけ卑怯かなと思うがやるからには全力で勝ちに行くのが決闘者だ。
「勝ちの目は──もう見つけている! まずは《リボルブート・セクター》を発動し墓地から相手との差の数である2体《ヴァレット・トレーサー》と《マグナヴァレット・ドラゴン》を墓地から守備表示で蘇生させる!」
愛莉に対して悠もフィールド魔法を発動させ蘇る2体のヴァレットモンスター。
「続けて《ヴァレット・シンクロン》を通常召喚し墓地からレベル7の《アブソルーター・ドラゴン》を蘇生しレベル1の《ヴァレット・シンクロン》とチューニング! レベル8《ヴァレルロード・
《ヴァレルロード・S・ドラゴン》
星8/闇属性/ドラゴン族/ATK3000
《アブソルーター・ドラゴン》に《ヴァレット・シンクロン》が変化した緑の輪が包まれ合計で8つの星の輝きから現れる。白く胸元が銃のシリンダーとなっている機竜。その召喚の前に愛莉はおそれるどころか目を輝かせた。
「悠くんもシンクロ召喚だ!」
「これでよく喜んでいられるね。サベージ・ドラゴンの効果で墓地から《ツイン・トライアングル・ドラゴン》を装備し攻撃力をツイン・トライアングルの半分アップしヴァレルカウンターを2つ乗せる!」
《ヴァレルロード・S・ドラゴン》
ATK3000→3600
ヴァレルカウンター:2
サベージドラゴンはヴァレルカウンターを消費することで1ターンに1度、相手のあらゆる効果を無効にできるという強力な効果を持つ。それを2ターン分も扱えるようになったのだ。だが、そこに愛莉は疑問に思う。
「あれ? それだと《ヴァレルソード・ドラゴン》を装備したほうが攻撃力も上がるしカウンターも多いんじゃ……」
「いや、これでいいんだ。あくまでサベージは牽制だからね。続けて《ヴァレット・トレーサー》の効果で《リボルブート・セクター》を破壊し《エクスプロードヴァレル・ドラゴン》を攻撃表示で特殊召喚──そして、2体のレベル4《ヴァレット・トレーサー》と《マグナヴァレット・ドラゴン》でオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚、ランク4《ヴァレルロード・
《ヴァレルロード・X・ドラゴン》
★4/闇属性/ドラゴン族/ATK3000
シンクロ召喚に加えてエクシーズ召喚までも行う。黒い機体の機竜が白い機竜と共に並ぶ。
「コイツが勝利への1手だ! エクスチャージ・ドラゴンの効果でファイアフェニックスの攻撃力を600下げ、墓地から《ヴァレルソード・ドラゴン》を蘇生する!」
《ファイアフェニックス@イグニスター》
ATK2300→1700
復活する《ヴァレルソード・ドラゴン》。
この効果で悠はこのターン直接攻撃ができなくなってしまうのだが、それでも十分。
《ヴァレルソード・ドラゴン》は1ターンに1度、相手モンスターに攻撃するとき相手のモンスターの攻撃力をアップさせ相手の攻撃力を半減させる効果がある。これでまずウィンドペガサスを倒し3000ダメージを与え自身のモンスターを守備表示にしファイアフェニックスに追加攻撃を行えば2450ダメージと残りライフ4600の愛莉のライフは0となるのだ。
そして、愛莉の1枚の伏せカードが何だろうとサベージ・ドラゴンの効果にて無効にすることができる。詰めまで入れて悠は万全な体制で勝ちに行く。
「バトルフェイズ! 《ヴァレルソード・ドラゴン》でウィンドペガサスに攻撃! この瞬間、ヴァレルソードはウィンドペガサスの攻撃力の半分アップしウィンドペガサスは半減する!」
《ヴァレルソード・ドラゴン》
ATK3000→4150
《ウィンドペガサス@イグニスター》
ATK2300→1150
「でも、負けないよ! ダメージステップに伏せてある《Ai打ち》を発動して──」
「ならその効果をサベージ・ドラゴンの効果で無効にする!」
ヴァレルカウンター 2→1
伏せていたのは相手と攻撃力を同じにするカードだった。
《ヴァレルソード・ドラゴン》は戦闘で破壊されないため同士討ちはできなくてもダメージは回避できるのだが、それを悠はダメージを通すために無効にさせる。
「けど、手札の《ドンヨリボー@イグニスター》の効果も発動するよ! これでイグニスターでの戦闘ダメージを0にできる!」
「っ……手札から」
場と手札から2枚のカードを駆使することによって攻撃を防ぐ。1枚までしか対処できない悠において2枚目を無効にする手段は無い。これで愛莉のダメージは0となった。
「だけど、ヴァレルソードの効果でエクスプロードヴァレットを守備表示にすることで追加攻撃を行う! ファイアフェニックスに追加攻撃!」
愛莉 LP4600→2350
顔の部分が変形しソードと付く名前にふさわしいブレード状へと変形し一閃。
ファイアフェニックスを真っ二つにと切り裂いたのだ。
これで大ダメージを与えたのだが、モンスターが全ていなくなってしまいエクスチャージ・ドラゴンの制約で直接攻撃を決めようにもできるはずもない。
「仕留められなかった。メイン2にカードを1枚伏せてエンドフェイズにエクスチャージ・ドラゴンで蘇生されたヴァレルソードは除外されターン終了」
愛莉 LP2350 手札2
□□□□□
□□□□□
□ □
①□②□③
□■④□□
悠 LP7500 手札2
①ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻
②ヴァレルロード・X・ドラゴン 攻
③エクスプロードヴァレット・ドラゴン 守
④ツイン・トライアングル・ドラゴン
装備:ヴァレルロード・S・ドラゴン
攻撃は防がれたが盤面はさらに引っ繰り返して悠の優勢となったのは明らかだ。なのだが、悠には予感があった。愛莉は間違いなく強い。少しでも油断してしまえば一瞬で勝負が決まってしまうのだと。だから警戒を最大レベルまで引き上げる。
「わたしのターン! まずはスタンバイフェイズに戦闘破壊されたファイアフェニックスが戻ってきてメインフェイズに《サンダー・ボルト》を発動させちゃうよ!」
「くっ、ここで全体除去か……サベージ・ドラゴンの効果で無効にする!」
ヴァレルカウンター 1→0
相手モンスターだけを破壊するという凶悪な全体除去をこの場で使われたために悠はサベージ・ドラゴンの効果を使うしかなかった。これでサベージ・ドラゴンの効果を使うこともできず防ぐ手段が無くなるのだが。
「さっそくサベージ・ドラゴンの効果を使わされるとはね……なら速攻魔法《ラピッド・トリガー》を発動! 場の《ヴァレルロード・S・ドラゴン》と《エクスプロードヴァレル・ドラゴン》の2体を破壊し融合召喚を行う! 現れろレベル8《ヴァレルロード・
《ヴァレルロード・F・ドラゴン》
星8/闇属性/ドラゴン族/ATK3000
このタイミングでシンクロ、エクシーズに続いて融合召喚まで行われた。
相手ターンだろうとスペルスピード2で自分のモンスターと相手カードを破壊する効果を持つモンスターを呼び出す。これで破壊という妨害手段が使えるようになった。
「凄い! 融合召喚までやってくるんだね……でも私も本気だよ! まずは《貪欲な壷》で墓地のモンスター5枚を戻してデッキから2枚ドローするよ!」
この効果で墓地から《スプラッシュ・メイジ》とドヨン、ドシン、ドンヨリボーに加えて《リングリボー》がデッキ、EXデッキに戻される。
「わたしは《ヒヤリ@イグニスター》を自身の効果で特殊召喚し効果で場のファイアフェニックスをリリースしてデッキから《Aiの儀式》と《ウォーターリバイアサン@イグニスター》を手札に加えるよ。それでヒヤリのレベルは4となる!」
《ヒヤリ@イグニスター》
☆1→4/水属性/サイバース族/DEF400
レベルを変動させ2枚の儀式魔法と儀式モンスターを手札に加える。
このまま儀式が来るのだろうか。だが《ウォーターリバイアサン@イグニスター》の効果は儀式召喚時に相手の攻撃力2300以下をバウンスする効果と対象モンスターを0にする起動効果と攻撃対象モンスターの攻撃力を半分にする効果。
2つ3つ目はまだしも儀式召喚成功時には攻撃力3000が並ぶ悠には脅威には成りえない。まだフィリアス・ドラゴンの効果は温存させ引き付けてから使うことに悠は狙いをしぼる。
「行くよ! 《Aiの儀式》を発動してレベル4となっているヒヤリと墓地のブルルを除外して手札からレベル7《ウォーターリバイアサン@イグニスター》を儀式召喚!」
《ウォーターリバイアサン@イグニスター》
☆7/水属性/サイバース族/ATK2300
「ウォーターリバイアサンが儀式召喚に成功した時、相手の攻撃力2300以下のモンスターを全て手札に戻すよ!」
「だけど、俺のモンスターは2体とも攻撃力3000……っ、まさか!?」
「そう! 私はウォーターリバイアサンの効果にチェーンして《禁じられた聖槍》を発動して《ヴァレルロード・F・ドラゴン》の攻撃力を800下げる」
まずい。
まさか攻撃力を下げてくるなんて思ってもいなかったと悠は内心焦る。
これでフィリアス・ドラゴンの攻撃力は800下がり2200とバウンスの効果範囲内となってしまう。ならば、とこの場で効果を起動させるしかないのだ。
「フィリアス・ドラゴンの効果! フィリアス自身とウォーターリバイアサンを対象としそのカードたちをそれぞれ破壊する!」
フィリアス・ドラゴンは自爆しウォーターリバイアサンを巻き込み破壊される。
これで愛莉の手をさらに潰したはずなのに。いまだに盤面もライフも圧倒的に悠の方が有利なはずなのに押されてきている気がしてしまうのだ。
「けど、これでフィリアスも倒せた! わたしは《イグニスターAiランド》の効果でピカリを特殊召喚してデッキから《Aiドリング・ボーン》を手札に加えて発動! 墓地からアチチを蘇生してその効果でデッキからドヨンを手札に加えるよ!」
儀式召喚したモンスターを破壊されて尚、愛莉は止まることがなかった。
「おいで未来を描くサーキット! リンク召喚! リンク2《スプラッシュ・メイジ》! そしてAiランドの効果でドヨンを特殊召喚して効果で墓地のヒヤリを手札に戻して《スプラッシュ・メイジ》の効果で墓地からピカリを特殊召喚!」
《貪欲な壷》で戻した《スプラッシュ・メイジ》や《ドヨン@イグニスター》もまたしても有効活用して一気にモンスターを並べていく。もう悠にそれを止める術は無い。
「さあもう1度、おいで! 未来を描くサーキット! メイジ、ドヨン、ピカリの3体でリンク3《ダークナイト@イグニスター》をリンク召喚!」
《ダークナイト@イグニスター》
LINK3/闇属性/サイバース族/ATK2300 左下/下/右下
さらに続けるリンク召喚に現れるのは闇の騎士。それは愛莉が使う【イグニスター】の要ともいえる展開能力を持ったモンスター。
「わたしはさらに《イグニスターAiランド》の効果で手札のヒヤリを特殊召喚するよ!」
出されたのはダークナイトの3つのリンク先のうちの一つ。そこにモンスターが出現したことによりダークナイトはその効果を起動させる。
「ダークナイトのリンク先にモンスターが呼び出されたことで別のリンク先にドヨンとピカリをそれぞれ特殊召喚してレベル4のピカリとドヨンでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚、ランク4《ライトドラゴン@イグニスター》!」
《ライトドラゴン@イグニスター》!
★4/光属性/サイバース族/ATK2300
今度は愛莉もまたエクシーズ召喚を行い光輝く竜が出現する。
「ライトドラゴンの効果でエクシーズ素材を一つ取り除いてイグニスターの数まで相手の表側表示モンスターを破壊できる。これは対象に取らない効果だからエクスチャージ・ドラゴンを破壊するよ!」
効果対象にされない耐性を持つエクスチャージも対象を取らない効果には弱い。
これでまた盤面を崩されてしまった。悠の場にはモンスターが1体も存在せず愛莉の場にはEXデッキから呼び出されたモンスター2体に効果モンスター1体。
守備表示のヒヤリは兎に角、攻撃表示のダークナイト、ライトエンドでの総攻撃力は4600。悠の7500のライフには及ばないのだが。
「これがわたしの本気の本気のさらに本気だよ! 未来を描くサーキット! リンク3のダークナイトにライトドラゴン、ヒヤリの3体をリンクマーカーにセット!」
愛莉は小さな手を天井へと掲げて出現するサーキットにモンスターを送る。リンクモンスターであり3体分となった《ダークナイト@イグニスター》にエクシーズモンスターの《ライトドラゴンン@イグニスター》と《ヒヤリ@イグニスター》。
そこで表示されるリンクマーカーは5つ。
「さあ、おいで! リンク5《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》!」
《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》
LINK5/闇属性/サイバース族/ATK3000 上/左/右/左下/右下
現れるのは悠の《ヴァレルソード・ドラゴン》のリンク4をも超えるリンク5のモンスター。ダークフルードと呼ばれる宇宙を構成する物質を身に纏う電子的な竜の姿をしたモンスター。これがおそらく愛莉の切り札とされるのだろう。
「ダークフルードはリンク召喚時に墓地のサイバース族の儀式、融合、シンクロ、エクシーズの数までカウンターを乗せることができる。わたしの墓地にはウォーターリバイアサン、アースゴーレム、ウィンドペガサス、ライトドラゴンの4種類がいるため4つのカウンターを乗せるよ!」
ダークフルードは墓地から4つの青、紫、黒、白の球体をその身へと吸収させた。
《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》
カウンター 4
「さあバトルフェイズ! ダークフルードで悠くんをダイレクトアタックするよ! ダークフルードはバトルフェイズの間、カウンターの数×2500の攻撃力をアップすることできる!」
《ファイアウォール・ドラゴン・ダークフルード》
ATK3000→13000
ダークフルードはその身を真紅へと染め上げ13000という桁外れの数値の攻撃力を上昇させブレスを払う。それはいまだにライフコスト以外でダメージを受けていなかった悠のライフも飲み込むほど強大なもので。
悠 LP7500→0
一瞬にして悠のライフを削りきったのだ。
※
「デュエルできるようになったわね! それに勝利もしたしおめでとう! わたしの愛莉!」
「わっぷ!? あ、ありがとう翼ちゃん」
フリースペースから出るとすぐさま翼が駆け寄り愛莉を抱きしめたのだ。驚きさらには少しだけ苦しそうにしてしまうのだが、それだけ翼は愛莉のことを心配していたのだろう。
すぐさま愛莉へと飛び掛った翼に対し同じく外で見ていた銀次は悠へと近づいて声をかけた。
「お疲れ様悠君。それにしても愛莉君は想像以上だったね」
「大会を優勝して回ったらしいから……少なくとも俺がデュエルした中で2番目に強かったよ」
などと語る。
それを聞いた銀次はいつもの穏やかさとは一変、ニヤニヤと笑ったのだ。
「おやおや、1番目は一体誰なんだろうね?」
「……言わせないでくれよ」
悠はげんなりした表情を浮かべる。
今までカードショップの店員として戦った悠は滅多なことでは負けることはない。だからでこそ今回負けたのも珍しいことなのだが、愛莉とは接戦での敗北。それ以外で敗北した時、悠はその時では手も足も出なく敗北した記憶があった。
「悠くん! 翼ちゃん! 銀次さん!」
途端、愛莉は翼に抱きしめられたまま3人の名前を呼ぶ。その真剣な様子に思わず翼も抱きしめていた愛莉を離した。
「みんなのおかげでわたしはまたデュエルできました。本当にありがとう」
ペコリと頭を下げて心からのお礼を言う。
若干、照れくさく感じてしまう。
悠はそっぽを向き頬を掻き、翼は再び愛莉を抱きしめて、銀次は保護者として皆を見守るように笑うのだ。
そこで悠は目を閉じる。
デュエルは今でも嫌いなのだが、愛莉との勝負は心地よいものだった。目を閉じれば今でも先ほどの会話や光景を思い浮かべだせるほどに。
「そういえば」
そこで悠は一つひっかかった。
愛莉とのデュエルの最中、対話の中で苦しんでいた愛莉が心から叫ぶように言って言葉のうちの一つだ。
「えっと、最上……さっきのデュエルの最中。もう一度、両親と会いたいって言っていなかったか?」
「え……?」
悠の言葉を聞いてデュエルの最中の会話を思い出す。
『わたしは、デュエルがしたいっ! 大切なみんなと一緒にいたいっ! みんなと一緒に笑いたいっ! お父さんとお母さんにもう1度会いたいっ!』
言っていた。
確かに言っていた。
「確かに言っていたわね。でもそれがどうしたって言うの?」
翼も思い出したようだ。
彼女の言葉に対して悠はさらに聞く。
「聞きづらいのだけど最上の両親は今はどうしているのか……わかる?」
悠は言葉を濁しながら聞きづらそうにも聞く。
どうしているかなんて言うのだが、実際にはちゃんと生きているか、どうかと。
そんな言葉に愛莉は首を横に振った。
「わからない。警察の人に捜索願いというのを出してもらったのだけれど、ずっと何もないまま。今、どこで何をしているかも。生きてくれているかもわからないよ」
「そうなんだ……」
いまだに行方不明というのは愛莉の両親に何かあったのは確実だ。
だが、悠は一つ考えるのだ。
もし。
もしできるのであれば愛莉の両親を探してあげたいと。そして愛莉に会わせたいのだと。
だから、悠は考える。
自分に何ができるのかと。
5年も行方不明の人物。
生きている保障も無い。
探すのは並大抵のことでは無い。
それでも何か自分にできるのであるとすれば。
「そうだ。なら部活をしよう」
『え……?』
突然、突拍子も無いことに愛莉も翼も銀次でさえも驚きの言葉を上げる。
何を突然? と言いたげな視線を3つも受け止めつつ悠は一つ銀次に聞く。
「叔父さん。そういえば遊戯王部という部活で活躍すればマスコミからインタビューを受けたりするんだよね?」
「え……まあ、そりゃね。全国大会にでも出場するのなら雑誌記者からテレビまであらゆるマスコミからインタビューをうけることになるよ」
かつて銀次が呼んでいた雑誌では遊戯王部の全国大会出場者がインタビューされていた記事を語っていた。その質問で銀次は悠の考えを理解したのか、やれやれと呆れたような表情だった。
「悠君。でも、それはかなり険しい道のりだよ。いくら悠君、愛莉君、翼君の3人が強い決闘者だからと言っても全国に行けるのは星の数ほどある学校からほんの一握りだけなんだ」
「でも、可能性はゼロじゃないでしょ」
「……どういうこと?」
男二人の会話を聞いてますますわけがわからないと言いたげな愛莉と翼。そんな二人に悠はその目的を語る。
「俺たちが遊戯王部に入って……全国を目指すんだ。全国まで行けばマスコミからインタビューを受ける。そこで最上が両親を探していることを言うんだ。きっと多くの人が協力してくれるかもしれない!」
「……」
その目的を悠々と語る悠に一瞬、声が出なかったのだまず反応したのは翼のほうだった。
「はぁ……呆れた。そんなことよく思いつくわね」
「けど、何もしないより良いでしょ? それで、まあ肝心なのは最上だけど……最上は遊戯王部をやって全国を目指すってどう思う?」
「……」
とはいえ、それは愛莉が了承しなければ意味の無いことだ。だから悠は聞く。愛莉はまだ反応が無く驚いた表情で固まったままだったのだが、すぐにハッと我に返ると涙を流したのだ。
「また……また、お父さんやお母さんに会えるかもしれないんだよね?」
「ん、まあ絶対に会えるって確証は無いけど──って、痛っ!?」
愛莉の言葉に自信なく返してしまいそうになる悠に対して翼は思い切り悠の尻を蹴り上げたのだ。
「馬鹿! 下手に希望を持たせてから弱気になってどうすんの! ここは『俺が絶対に会わせてやる』ぐらい言えないの!?」
「別に俺だって会わせられるのなら会わせてやりたいさ! だけど絶対って言う根拠も無いだろ!」
途端、急に翼と悠の言い合いが始まってしまった。それを見て愛莉はくすりと笑いながら指で涙を拭う。
「ありがとう。わたしも頑張るよ! みんなと遊戯王部で頑張ろう!」
快く了承する愛莉。
そんな愛莉を見てまた軽くため息を吐く翼。
「愛莉もこいつなんかに感化されるなんてね……でも、本当に厳しい道のりよ。確か、遊凪高校は遊戯王部が昔はあったみたいだけど部員がいなくなって今は廃部状態だっていう噂も聞いていたし、1からやっていけなきゃならないの」
いきなりハードルが上がった。
とはいえ、もうやる気になった愛莉も悠も止まることは無い。
「だったら、たくさん頑張ろう! 悠くんが部長で──」
「いや、部長は最上だ」
「えっ!?」
なのだが、まずは部長を決める時点でつまずいた。
「言いだしっぺだし俺が部長やるってのも考えたけど、最上のために作る部活だからね。それに最上が部長の方が両親を探すのに都合がいいでしょ?」
その言葉に愛莉は「うーん」と唸る。
確かに部長であるほうが部で自由が聞き色々と便利かもしれない。
だが、それと同時に大きな責任を負うことにもなるのだ。少しばかり考えた結果、愛莉は結論を出す。
「わかったよ。でも、ちゃんと手伝ってよね?」
「ああ、任された」
「ありがと。じゃあ、三人で遊戯王部結成だねっ!」
両親を探すという目標を得た愛莉は満面の笑みを浮かべながらガッツポーズをする。これから長く険しい道になることを理解して頑張ろうと。
こうして遊凪高校遊戯王部が結成されたのだった。