1人のフラッグファイターがソレスタルビーイングのオペレーターと共に、ガンダムマイスターとなって戦い抜く 作:通りがかりのフラッグファイター
1stシーズンはユニオンを中心に、ソレスタルビーイング側を少し書くだけなので早めに進めていきます。
※作者は一人称が下手くそです。そこはご容赦ください
カタギリ技術顧問の来訪から数日後…
AEU領にある軌道エレベーター近隣のMS演習場…その中をライトグリーンと白に彩られた1機のモビルスーツが飛んでいた。
その機体に演習場内の各所に設置された機銃が、それを迎撃するべく弾丸を吐き出していくが、モビルスーツは軽やかに避けながら右手に保持したリニアライフルで、機銃の上に設置されたターゲットを撃ち抜く。
弾幕が収まり1度着地するモビルスーツ。その左横から機銃が総射されるが、それは左腕に装着された特殊防御装備【ディフェンスロッド】によって弾かれ、すぐさま機銃へと突撃し、リニアライフルを撃ってターゲットを破壊・停止させる。更に空中に飛び上がり、設置されたバルーンも撃ち抜いて宙返りしつつその場に滞空し、その光景に観客達は感嘆の声をあげている。
ここでは現在、演習場を飛んでいる機体…AEUの新型MS【イナクト】のお披露目会が行われていた。
「モビルスーツイナクト、AEU初の太陽エネルギー対応型か……」
ビリー・カタギリはその機体を分析しつつ、内心で呆れていた。何故なら、イナクトの機体構造が自身が恩師と共に開発に携わったフラッグに似ていたのだから。
やれやれ…ここまでくると逆に感心するよ……
そう思っていた彼の側に、2人の男性が現れた。
「AEUは軌道エレベーター開発で遅れをとっている…だから、モビルスーツだけでもどうにかしたいのさ」
「しかし、これほどとは…AEUはカンニングが好きみたいですね」
その聞き慣れた声に、さっきまでとは違う呆れを感じながら視線を向けると、そこには親友であるグラハム・エーカーとその右腕であるリュウト・シドウが立っていた。
「おや、いいのかい?MSWADのエースと、その片腕がこんな所にいて…」
「もちろん、良くはない」
「隣、よろしいでしょうか?」
「どうぞどうぞ、席なら余ってるからね」
ビリーの隣にグラハムが座り、その隣にリュウトが腰を降ろしてイナクトを観察する。
「それにしても、AEUも豪気だよ。人革の10周年記念式典の日に、新型の発表会をぶつけてくるんだから」
カタギリの呟きを聞きつつ、グラハムはイナクトを見つめる。
「カタギリ、君から見てあの機体はどう思う?」
「どうもこうも、ウチのフラッグの猿真似だね。独創的なのはデザインくらいかな?」
「ふむ……ならリュウト、あのパイロットはどうだ?遠慮なく言ってくれ」
「あのマニューバを見る限り、プライドはずいぶん高いみたいですね。同時に幼稚でお調子者の三枚目な印象もあります」
グラハムの問いに遠慮の欠片もなく答える2人。そんな時、地面に降り立ったイナクトのコックピットが開き、パイロットが出てくる。
「おいソコ!!聞こえてるぞ!!今何つった!!ええ、コラァッ!!てか、誰が幼稚でお調子者の三枚目だ!!オイ!!」
そう叫ぶパイロットだったが、グラハム達は全く意に介さず…
「集音性は高いらしい」
「みたいだね」
「ですね」
楽しそうにそう呟く……その時だった。
「………………ん?あれは…」
リュウトの目が、空から落ちてくる光を捉えたのは…
リュウトside
それは本当に偶然だった。単なる気まぐれで空を見上げたら、軌道エレベーターの近くに光る何かが落ちてきているのが見えた。
最初は遠すぎてよく分からなかったが、それがだんだんと近づいてくると、人の形をしたロボット……モビルスーツであることが視認できた。
「中尉、技術顧問、空を見てください!!」
「ん?」
「どうしたんだい?」
自分の言葉に2人も空を見上げ、落ちて……いや、降りてくるモビルスーツを視認する。
「モビルスーツ?」
「すごいな、もう1機新型があるなんて…「違うな」え?」
カタギリ技術顧問の言葉をグラハム中尉が否定する。
「自分も同意見です。あれは……既存のMSのどれにも当てはまりません」
我々ユニオンやAEUのフラッグやイナクトの細身なシルエット、人革連の重厚な装甲の【ティエレン】とも違う完全な人型のモビルスーツなど、未だどの陣営も作り出せてはいない。それに…
「あの、光…」
自分の疑問を中尉が口にする。そう、謎のMSは背中から謎の粒子を放出していたのだ。
そしてその機体は演習場に静かに降り立ち、イナクトの方へと向き直る。
その機体は赤・白・青のトリコロールで彩られ、顔は人を連想させるツインアイが輝き額のV字アンテナが力強さを漂わせ、各部は円形のレンズ状パーツが付いており、右手には銃と小型の盾、折り畳まれた大剣を1つにした武装が取り付けられていた。他にも両肩の後ろと腰背部に白く細長いパーツが付いており、それも1つの武装なのだろう。
「イナクト!!聞こえるか、イナクト!!パトリック!!くそッ!!通信できん!?どうなっている!?」
「なんだ?」
「通信不良か?」
謎のMSを観察していたら、近くでAEUの幹部らしき人物が通信機片手に声を荒げていて、周囲がその事に困惑し始めていた。私も自身の通信機を取り出してすぐ近くの中尉に通信を繋げるが、それでも反応しなかった。どうやら、通信機が何かによってジャミングを受けているようだ。
「通信が…?」
「まさか…あのモビルスーツが妨害を?」
「皆さん、ここは危険です!!係員の指示に従って、落ち着いて避難してください!!」
そんな中でAEUをの職員が避難誘導を始めた。それはつまり、あのモビルスーツは彼らにとっても想定外の存在だという事になる。
「味方じゃない?なら、どこの機体だ?」
「グラハム中尉、カタギリ技術顧問、我々も避難を…!!」
「ああ」「分かったよ」
このままここに留まるのは危険と思い、私が中尉達に避難を促していたら…
『何処のどいつだ?ユニオンか人革連か…ま、どっちにしても人様の領土に土足で踏み込んだんだ……タダで済む訳ねぇよな!!』
イナクトに乗っていたパイロット…確かパトリックと言われていた男…がスピーカー越しに謎のモビルスーツ相手に挑もうとしていた。
何をやっているんだ!?此処には各国の要人達がいるというのに…!!
そんな私の心情を無視して、イナクトのパイロットは攻撃体勢に入っていく。
『貴様ァ…俺が誰だか解ってんのか?AEUのパトリック・コーラサワーだ!!模擬戦でも負け知らずの、スペシャル様なんだよ!!知らねぇとは言わせねぇぞ!!』
そしてあろう事か、イナクトは右腕に収納されていた近接用ナイフ【ソニックブレイド】を抜き、高周波振動させ始めた。
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」
その振動音に要人達が耳を押さえて踞る。自分や中尉、技術顧問は模擬戦や実験で何度も耳にしているため慣れているが、そうでない人達にとっては鼓膜が破れそうな感覚になる筈だ。
『ええ、オイ!!』
そのナイフを構え、謎のモビルスーツへと突撃していくイナクト。だが、相手は何の動作も起こしていなかった。
(何故動かない?避ける手段があるのか、それとも装甲が特殊でアレを物ともしないのか…)
そう考えていたが、やはり動かない。そして向こうの間合いに入りナイフが突き出される。現行のモビルスーツでは回避すら不可能な完璧なタイミングでの攻撃、そのナイフが当たる瞬間、謎のモビルスーツのツインアイが輝き…
ザンッ!!
右腕の折り畳まれていた大剣が展開されると、一瞬の閃きと共に振り上げられ、イナクトのナイフを左手もろとも斬り落とした。
「なんとッ!?」
「バカな…!!」
回避や防御ではなく迎撃!?しかも向こうより後に動いたのに、先に攻撃できるほどの機動性を!?
その光景に、私や中尉含め周囲が無言に包まれる。そんな中で最初に動き出したのはイナクトだった。
『テメェ……わかってねぇだろ!!』
左手を斬り落とされたショックから立て直し、右手のライフルを至近距離で放つが、謎のモビルスーツは機体を右に反らす事で回避され、更に右肩後ろにあった白のパーツを左手で抜くとピンク色の光刃が伸び、それをイナクトへと振るう。もちろんイナクトのパイロットは防御しようとするが、それよりも速くイナクトの左腕を斬り飛ばす。
『俺は!!』
続けて右腕の大剣が振るわれ、回避しようとしたイナクトの右腕のを斬り落とす。
『スペシャルで!!』
更に左の光刃が迫り、バランスを崩していたイナクトの頭部が斬り飛ばされる。
『2000回で!!』
それにより無力化を確認したのか、謎のモビルスーツは流麗な動作で武装を全て戻す。
『模擬戦なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
両腕と頭部を失い、戦闘力を失くしたイナクトはそのまま仰向けに倒れ落ちた。
フラッグを真似ていたとはいえ、最新鋭機であるイナクトが謎のモビルスーツに手も足も出ずに負けた。その事実に誰もが驚愕し動けな……
「失礼」
「あ、何を!?」
「失礼だと言った」
いや、尊敬する師のグラハム中尉だけが近くの高官から双眼鏡を
「中尉、何か見え「ガン…ダム…」はい?」
「額を見てみろ」
そう言って渡された双眼鏡でモビルスーツの額を見ると、そこには【GUNDAM】という文字が刻まれていた。
「あのモビルスーツの名前でしょうか?」
「おそらくな」
「ガンダム…」
その機体に暫し見とれていたら、それは背中にあるコーン状のパーツから光の粒子を放出し始め、その場でふわりと浮き、そのまま軌道エレベーターの方へと飛び去っていった。
「またあの光…!!」
「推進力も無しにどうやって…」
「自分はもう驚きすぎて、頭が処理しきれないです…」
飛んでいく機体……ガンダムを見送りつつ、私は疑問を中尉に投げかけた。
「しかし、あのガンダムは何故このような行為を?」
「軍備増強路線を行くAEUへの牽制……いや、警告と見るべきか…?」
「警告…」
「だが、このような事を仕出かして…AEUが黙っている筈はあるまい…」
中尉の言葉に続くように、スクランブル要請が出たのかAEUの量産機【ヘリオン】が次々と飛び立っていった。
「ひとまず、我々も車に戻ろう」
「はい」「そうだね」
中尉に続き、駐車しておいた車に乗り込む。その間もガンダムと思われる機体が、軌道エレベーター付近でヘリオン部隊相手に戦っていたが、数による包囲攻撃に苦戦しているように見えた。
「さすがにあの数相手では、ガンダムも不利みたいですね」
「それは甘いぞリュウト?」
そんな自分の楽観的発言は、中尉に否定された。
「どういう事でしょうか?」
「先ほど見たガンダムの性能ならば、ヘリオンごとき束になっても苦戦はしないさ。それに…彼は炙り出しているんだ」
「炙り出す?一体何をだい?」
「それは……外を見てみろ」
そう言われてガンダムが戦っている場所を技術顧問と見ていると、ピラーから新たにヘリオンが複数迫ってきていた。
「まさか……例の噂は本当だったのか!!」
以前、AEUが領土内の何処かに条約以上の戦力を隠し持っていると聞いた事があったが、まさかピラーの中に隠していたなんて!?
「そうだ。彼はAEUが条約以上の戦力を保有しているのを、世界に知らしめようとしているのさ。しかも、我々が手に入れられなかった戦力の隠し場所まで知っているとは…よほどのバックが付いているな」
「しかし、何故彼はそんな事を?」
「それは、あのガンダムのパイロットに聞いてくれ」
中尉と技術顧問の話を頭の片隅にいれつつ、ガンダムの戦闘を見ていたら、地表から空に向かってピンクの光が走り、ヘリオンが撃墜されたのか戦闘空域から一筋の黒い煙が地面へと伸びていくのが見えた。
地面から何十kmも離れた場所を飛んでいるヘリオンに、寸分違わず命中させる事は、フラッグに乗った自分でも出来る自信がない。だからこそ、その攻撃がガンダムのものであるとすぐに解った。
「ッ!!中尉!!新たなガンダムです!!」
「なにッ!?」「なんだって!?」
私の叫びに、中尉と技術顧問が外を見る。そこには先ほど同様、地表からの何度ものびる光で、ヘリオンが撃墜されていく光景があった。
「まさか2機目がいたなんて…」
「もしかすると、ガンダムは複数機存在するかもしれんぞ?」
「あの性能の機体が複数……攻め込まれたらゾッとしないね」
「しかも地表からの狙撃とは……どうやらガンダムのパイロットの中には、リュウトと同じ
「自分と同じ…」
そう言われ、狙撃手と思われるガンダムがいる場所を見つめる。
一体、パイロットはどんな人物なのだろうか…だが、我らの領土に来た時は、同じスナイパーとして負けるつもりはない!!
「興味をそそられたか?」
「いえ、むしろやる気になりました。あの狙撃手のガンダムに勝ちたいと…!!」
「フッ…上出来だ。自分は負けないと思えるならば、お前はまだまだ強くなれる」
「はい!!早速、纏められるだけの情報を纏めます!!」
例えどれだけの性能差であろうともガンダムに勝つ……私はその決意を決め、外見や動作から得られた情報を纏めに入った。
その纏めが終わり、外に視線を向けると既に夜になっていた。
「中尉、出来る限りの情報を纏めました」
「ああ、ご苦労」
「こっちはもう少し掛かりそうだよ…」
自分が資料を作っている間、カタギリ技術顧問も報告書を作っていたようだ。チラリと端末を覗けば、自分よりも詳しい内容が書かれていて少し自信を失くす…
「やはり、書ける内容は多くないか…」
「あっという間の事でしたから…すみません」
「いや、これだけでもありがたい」
自分の纏めた資料を中尉が見てるその時だった。中尉が点けていたラジオが緊急放送に切り替わったのは…
『え~、番組の途中ですが、ただいま速報が入りました。グリニッジ標準時午後6時頃、人革連の式典が行われている軌道エレベーター【天柱】にて、テロリストによるミサイル攻撃が行われ、謎のモビルスーツがこれを対処したとの情報が入りました』
テロという内容もそうだが、自分が一番気になったのは謎のモビルスーツというところだった。
「天柱でテロだって?」
「しかも謎のモビルスーツが対処……中尉…」
「ああ、おそらく私達が見たのとは別のガンダムだろう」
天柱でのテロにも驚いたが、更に別のガンダムの登場してそれを阻止した……一体、彼らは何者なんだ?
『ここで最新情報が入りました。天柱のテロを阻止したという組織よりメッセージが送られてきました。関連性は不明ですが、我が放送局はこれをノーカットでお送りしますので、お聞きください』
そこにガンダムに関係するであろう組織のメッセージが番組に届き、内容が流れ始めた。
『この星に住む、すべての人類に報告させていただきます。我々は【ソレスタルビーイング】。機動兵器【ガンダム】を所有する…私設武装組織です』
「私設武装組織…」
「ソレスタルビーイング…」
『私達ソレスタルビーイングの活動目的は、この世界から戦争行為を根絶することにあります。私達は、自らの利益のために行動はしません。戦争根絶という大きな目的のために、わたしたちは立ち上がったのです。ただ今をもって、すべての人類に向けて宣言します。領土・宗教・エネルギー……どのような理由があろうとも、私達はすべての戦争行為に対して…武力による介入を開始します。戦争を幇助する国・組織・企業なども、我々の武力介入の対象となります。私達は、ソレスタルビーイング。この世から戦争を根絶させるために創設された……武装組織です。繰り返します……』
そこからは同じ内容が繰り返される。しかし、その内容は驚くべきものだった。
「全ての戦闘行為に対して、武力による介入だって…?」
「しかし、本当に武力による戦争根絶など出来るのでしょうか?自分には、逆に戦争を煽るような事になりかねないかと…」
確かに、あの圧倒的な力を持ってすれば武力介入など容易いだろうが…それは逆に、彼らを打倒する為に新たな戦闘へと世界を導いていくような……
そんな中で、中尉が大声で笑いだした。
「ハハハハハッ!!これは傑作だ!!戦争をなくすために武力を行使するとは!!ソレスタルビーイング……存在自体が矛盾している!!」
「ですが、あのガンダムという機体に今回の行動……おそらく彼らは本気でしょう」
「そうだな。リュウト、しばらく忙しくなるだろうが……ついてこれるな?」
「もちろん、何処までもお供いたします!!」
「やれやれ…これは僕も忙しくなりそうだね」
この先、自分達に立ちはだかるであろう
2人の存在に頼もしさを感じつつ、中尉と運転を代わり車を輸送艦へと走らせた。
この小説を書いている時に、アリー・アル・サーシェス役の声優、藤原啓治がお亡くなりになった事を知りました。ご冥福をお祈りいたします。
キャラ紹介
リュウト・シドウ
出身地 日本
年齢 22歳
所属 ユニオン軍MSWAD隊所属
階級 少尉
家族構成
母ユミ(故人) 姉カナミ(故人) 義兄ユウト(故人) 姪アスナ(12才)
本作の主人公。幼い頃に両親が離婚し、歳の離れた姉と共に母に育てられた。その母親もリュウトがに高校を卒業と同時に病で帰らぬ人となった。
それからは姉と別れて、日本の国防軍ではなくユニオン軍に入隊。そこで行われた次期主力機のコンペで見たグラハムの駆るフラッグに魅了され、彼に弟子入りを志願。許可されて、グラハム直々の指導によって腕をメキメキと上げ、彼の片腕と言われるフラッグファイターとまでになった。
そんなある日、テロで姉が亡くなったと知り、そこで姉が結婚していた事と10才の養子アスナがいることも知り、姉夫婦に代わって自分が育てると決意、普段はフラッグファイターとして多忙な為に児童養護施設に預けているが、休日はその子に必ず過ごすようにしており、アスナからも《お兄ちゃん》として慕われていて、関係は良好。
そしてイナクトのお披露目会で出会ったモビルスーツ【ガンダム】によって、彼の運命は変わり始めていく…